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- おバカ小説かと思いきやSFでした。類まれな発想力と着眼点が素晴らしいと思います。 -- (蓮見) 2019-08-08 22:09:51
- 現実と非現実の境目が曖昧なお話っていうのは私の好物なんですが、今作で一番面白いのは主人公である"俺"が最初から最後まで徹底的に"現実側"の住人である点だと思っていて。普通、こういうタイプのお話は現実が非現実に侵蝕されてみたり(オカルト)、主人公が非現実世界(妄想や夢)にのめり込んだりする形で話が進んで行くのですが、彼の場合は逆に非現実を現実世界上で成立させる為にトイレや部屋の大改造・空き地の前を通らないようにするといった行為を(割と)躊躇なく実行してしまう。その精神性が正常かどうかは置いておいて、結果として現実世界に居るハズの自分こそ非現実の存在(AR俺)になってしまうという主客転倒な展開がたまらなく好みにハマりました。
というのも、彼は紗代子が実在しない事を正確に頭で理解していて、だからこそトイレの小窓から眺められる光景に自分を偽る嘘を求めていて。それは考え方としては非常に現実的であり紳士的な(犠牲にする物は自分だけで犯罪などにも手を染めない・臆病だとも言い換えられる)紗代子の存在を確認する方法で、おまけに肯定の仕方としてはかなり後ろ向きな方向性でもあって…だからこそ"俺"という人物の常識からのズレっぷりと、後半、現実に置いて行かれてしまった彼の籠城作戦とそこからの脱出(…と言うのは酷な気分になるが)描写が読んでて重たく圧し掛かる。その哀れと言うのも少し違う、ボタンの掛け違い次第では「ひょっとしたら自分だって…」と考えさせられる生々しさは本作最大の見所であると思っています。…こういう事言うのも何ですけど、実際によく見る誕生日にケーキを買ってお祝いしたり、聖地巡礼だったりキャラクターの持ってる小物と同じ商品を買ったりする行為と彼の取った行動って根っこはおんなじだって思いますもの。
そうして、そんな彼を再び現実へと引き戻したのが紗代子が実在しない事を認めるというのも物語の仕掛けとして妥当であり面白く思える部分。しかも"俺"がトイレを改造した時と同様にその理屈付けには「ちょっと待て」と首を傾げてしまいそうな"一見前向きに見える暗さ"があって…要するに、本作にはずっと、ずーっと語り手である"俺"が持つネガティブな雰囲気がまとわりついていて、その仄暗さから時折覗く事の出来る外の光もしかし、彼にとってはそれほど魅力的な物では無い感じ、そう思わせる理路整然とした描写も含め、一本筋が通っているからこその不安定さが代えの効かない独特な読み味となって印象に残った一編でした。 -- (餡煮詰め) 2019-08-02 00:03:25
- PはPでもプロデューサーならぬプライヤーとは、やられましたね
ラジオの投稿や武闘会で大活躍中ですが、ssでもインパクトを与えられるとは。
ミリシタさんの言葉を借りるとこれこそお見それいたしました、よね。
いやはや面白かったです。 -- (シマ) 2019-07-14 18:32:29
- お話に出てくる男性なの行動が妙にリアルですね。もしかして、作者さん実践済み……?
どうして現実にあの娘はいないのだろう、というのは確かに私自身も考えたことありますが、自室をミリシタの世界に閉じ込めた箱にするのは狂気の沙汰ですね(褒め言葉)。本当に奇怪なのは生身の人間だ、という昔の偉い人の言葉を思い出しました。
面白かったです、ありがとうございます。 -- (ペテロ) 2019-07-14 18:22:04
- まずはすごい変化球来たなと思いました。
お話は拡張現実の紗代子見守るアイドルマスターミリオンライブ!のファンが、
砂上の楼閣を造り、そして、その楼閣が崩壊していくまでのお話。
ファンの意識化では砂上の楼閣が存在する間は紗代子は確かにそこに存在していた。
それはあたかも存在しない神――偶像の存在を信じる宗教のようで、新興宗教にそまり、その後新興宗教から抜ける様子を
疑似体験させてくれる。そんなお話でした。
最後にどうでも良いことなのですが、主人公は、どんな気持ちで排泄しながら紗代子を見てたんだろうと思いました。 -- (kotobuki) 2019-07-13 01:29:06
- 色んな感情が湧くなかで一言で言うなら「気持ちが悪い」。と思いながら、思う自分にそっくりそのまま返ってくるまるで鏡を見せつけられたようだった。
この話を攻撃すればするほど、自分に返ってくるのでこれ以上攻撃はできない。
いや、というかする必要ないくらいすごく面白く惹きつけられた。でも出てくる人物はとても気持ちが悪い。当然これも自分に返ってダメージを受ける。
なんでそう思うのかって、なんだか自分の「あったかもしれない未来」を見ているかのような、現実と虚構の区別が”出来るようになってしまった”大人のフリをした子供の
僕のような人間に「これは他でもないお前なんだ」と言われるような深く刺さるものでした。
吸い込まれずに真人間で還ってこれて良かった。
-- (七瀬) 2019-07-08 15:11:56
- 所謂「現実と虚構の区別がつかなくなった愚か人」と言ってしまえば容易いのかもしれないが、そう断言出来ない自分がいるのも、また事実。それだけ描写が生々しかった。己の「理想」を構築し、綱渡りながらもそれを維持し、そしてそれが崩れ去ってしまうまでの過程が、まるで体験したのかと言わんばかりの説得力がありました。最後のシーンも、良い「引き方」をされていらっしゃる。終始、お見事の一言です。 -- (直球) 2019-07-08 03:48:59
- コンテンツとの付き合い方を考えさせられる話でした。
結局のところ、彼女らは画面の向こうの存在でしかなく、こちらと交わることはありえない以上、彼のやったことは傍から見れば無意味でしかありません。
けれど私は、「俺」が自分の行為を悔いていないことを祈らずにはいられません。 -- (まとりーる) 2019-07-07 00:24:10
- さっと表面をなぞれば滑稽な人なのでしょうが、私には彼を嗤うことはできないなと思いました。彼が抱いている嘘の世界への没入感は、きっと多かれ少なかれきっと多くのユーザーが持ち合わせているものでしょう。自分の心の表面、中間層、はたまた根っこか、どこかの表層に彼女たちの呼吸音があるからこそ、我々はこのコンテンツにのめり込んでしまうのだと思います。
初めは現実と虚構の間で葛藤する主人公が、お話が進むにつれ虚構と虚構の間で葛藤してしまう様は、彼の心の核に紗代子が根を張っているんだなと思えて、情けないながら微笑ましくもありました。
個人的には学園祭学園というバンドの『嘘』という曲がこのお話にぴったりだと思ったので聞いてみてください!(唐突な宣伝 -- (タオール) 2019-07-06 12:46:03
- 読んだ。
あまりこの男のような考えを持ったことがないから、共感はできなかった。
でも、この男の心情を理解はできた。
自分のことなのどこか他人事のような、少し突き放したような書き方だったからかもしれない。
淡々と日々を生きるこの男は、自分のことが嫌いなんだと思った。ぼくと少し似ている。 -- (someP213i) 2019-07-05 17:22:39
最終更新:2019年07月04日 18:50