Chapter 3 Error Analysis(DRaEA)

この章では、不定性の評価、不定性の元、別々の測定の不定性を組み合わせる方法を考える。

  • 3.1. INSTRUMENTAL AND STATISTICAL UNERTAINTIES

[Instrumental Unertainties]

不定性は、機器の不完全性からくるセッティングの厳密な再現ができないか観測セッティングの人為的な精度のなさ、もしくはその両方からくる。そのような不定性は、「機器的(instrumental)」という。これらの不定性は、測定する量の実際の値によらないことがある。

機器的不定性は、測定の信頼を回復するために、機器を検証したり、測定の手順を検証したりして決定することができる。一般に、機器の最小目盛の半分や四分の一などを読み取ることがある。この最小目盛の半分のプラスマイナスを一回の測定での標準偏差の評価を代表することとする。ガウス分布で、68%の確率でランダム測定が1σ以内に入ることを考えると、測定範囲の最外縁を求めるのが我々の目的だが、不可能なので、繰り返し測定が平均値により近づくように信頼度(confidence level)を設定する。68%の信頼度の1σを選ぶこともあれば、他のレベルを利用することもある。これについては、Chapter11で議論する。

デジタルの機器は特別な考察が必要である。一般的に製造会社は信頼性(tolerance)を特定する。例えば、デジタルマルチメーターの信頼性は、±1%と与えられる。とにかく、精度はディスプレイの最後の桁の半分より小さくなることはない。製造会社が示した信頼性は系統誤差か統計的効果かで扱うかを決める必要がある。例えば、生徒が機器で1%の信頼性のレジスターを使う場合、そのレジスターを使った全ての実験で、系統的な寄与をする抵抗の不定性を期待できる。逆に、結果を、他のレジスターを使ったクラスの他の生徒と組み合わせて、個々の抵抗の不定性が統計的な方法で組み合わせたサンプルのバリエーションに寄与する。

繰り返し測定が可能であれば、標準偏差の評価はChapter1で議論したようにこれらの測定の広がりから計算できる。その結果は、1回の測定の期待できる不定性に対応する。原理的に、この不定性を決める内部的な方法は、機器や実験を考慮する外部的な方法で入手した不定性と一致する。実際に、その2つの間の重要なズレは実験手順の誤解のような問題だと考えられる。しかし、合理的に一致していれば、データから内部的に計算された標準偏差は不定性のよりよい評価を与える。

[Statistical Uncetainties]

xがランダムプロセスの単位時間間隔の検出器のカウント数だとすると、不定性は統計的(statistical)といわれる。なぜなら、これらは、測定精度の不足によるものでなく、有限の時間間隔の有限のカウント数の集まりの統計的なゆらぎから来ているからである。統計的なゆらぎに対して、実験的に決めることなく、それぞれの観測の標準偏差を解析的に評価できる。同じ実験を繰り返しできれば、観測された値は、ガウス分布ではなく、ポアソン分布の平均について分布する。二項分布に関連しているが、正のカウント数を集めることができる境界条件にコンシステントな分布を期待するべきことを考えることで、この分布を使うことを正当化できる。

ポアソン分布と統計的な誤差は単位時間間隔に記録されるカウントの実験に単に適用しない。データがヒストグラムを形成するためにいくつかの条件によってビンにグループ化される実験では、個々のビンのイベントの数はポアソン統計に従い、統計的な不定性で揺らいでいる。

ポアソン分布の利点は、標準偏差が自動的に決定されることである。
\sigma = \sqrt{\mu}
相対不定性、つまり標準偏差と平均値の比\sigma /\mu = 1/\sqrt{\mu}は、時間間隔に受けるカウント数が増加すると減少する。なので、相対不定性は、カウント率が高いほど小さくなる。

標準偏差を決めるために、平均値を式(3.1)で使われる値とすると、それぞれのxの測定の分布が近似的なサンプルで、母分布からの平均カウント率の値である。無限に実験ができれば、全ての測定の平均は、母分布の値に近似的に近づく。しかし、よく測定は1回しかできないことがある。そうすると、1回の測定の標準偏差の評価として、\sqrt{x}を使うことになる。

=Example 3.1=
強い核源から放射されるガンマ線をカウントする実験を考慮する。微小時間間隔に検出されるカウントはないので、カウント率はすぐには決定できない。しかし、時間間隔Δtでカウント数xを決定することができ、これは、その間隔の平均カウント率を代表すべきだ。1秒間に5212カウント記録されたと仮定する。カウントの分布は時間でランダムで、ポアソン分布に従う。なので、この分布の標準偏差は、\sigma = \sqrt{5212}であり、時間間隔Δtのカウント数の結果を、5212±72と記録すべきである。そして、相対誤差は、
\frac{\sigma_x}{x} = \frac{\sqrt{x}}{x} = \frac{1}{\sqrt{x}} \simeq \frac{1}{72} = 0.014 = 1.4%
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機器的不定性があるかもしれない。例えば、有限の精度で時間間隔を決定できる。しかし、これらの不定性を制御できるかもしれず、しばしば実験を計画し、統計的誤差が卓越する。例での機器的誤差が、時間間隔で、\sigma_t = 0.01 (s)とする。時間間隔の相対誤差は、
\frac{\sigma_t}{\Delta t} = \frac{0.01}{1.00} = 0.01 = 1.%
である。この相対的な機器的誤差は、カウント数に、1.%の相対誤差を作る。機器的誤差は統計誤差とコンパラなので、時間間隔のより精度の高い測定と間隔を伸ばすことはよいかもしれない。時間間隔を1sから4sに伸ばすと、カウント数xは約4のファクターで増加し、相対的な統計誤差は、2のファクターで減少し、0.7%となる。一方、相対的な機器的誤差は、4のファクターで減少し、0.25%となる。

  • 3.2 PROPAGATION OF ERRORS

他の変数の関数である変数xを決定したいことがある。従属変数の不定性がどのように伝わっていくかを知るべきだ。

=Example 3.2.=
長さL、幅W、高さHの箱の体積Vを決定したいとする。3つの変数をL_0,W_0,H_0と測定でき、これらを組み合わせた。
V_0 = L_0W_0H_0
それぞれの不定性が体積の不定性にどのように影響するだろうか?

実際の誤差\Delta L = L - L_0などを知っているとすると、V_0の誤差の評価を、テイラー展開で手に入れることができる。
テイラー展開の1次の項は
V\simeq V_0 + \Delta L\left(\frac{\partial V}{\partial L}\right)_{W_0H_0}+ \Delta W\left(\frac{\partial V}{\partial W}\right)_{L_0H_0}+ \Delta H\left(\frac{\partial V}{\partial H}\right)_{L_0W_0}
であり、このことから、\Delta V = V-V_0とわかる。この近似は、テイラー展開の高次の項を無視しており、偏微分が誤差によって与えられたL,W,Hの範囲で定数でないことと同等である。もし、誤差が大きければ、この定義では、少なくとも2次偏微分の項(\partial^2 V / \partial L^2)や、クロス偏微分の項(\partial^2 V/\partial L \partial W)も含めなければならないが、以下では省略する。

式(3.3)は、
\Delta V \simeq W_0H_0\Delta L + L_0H_0\Delta W + L_0W_0\Delta H
となり、ΔL、ΔW、ΔHが分かっていれば、評価することができる。
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[Uncertainties]

一般的に、従属変数の実際の誤差を知らない。代わりに、誤差を評価するか、標準誤差や確率分布などのなんらかの特徴を評価できるかもしれない。個々の標準偏差を組み合わせてどのように結果の不定性を評価できるだろうか?

少なくとも2つの測定された変数、u、vの関数である量xを決定したいとする。uとvの特徴と基本的な依存性
x=f(u,v,...)
から、xの性質を決定する。厳密ではないかもしれないが、xの最頻値が
\bar{x} = f(\bar{u},\bar{v},...)
で与えられるとする。

xの不定性は、個々の変数u_i,v_i,...を組み合わせて見つけられる。
x_i = f(u_i,v_i,...)
測定回数が無限の極限では、分布の平均値は、式(3.6)の平均\bar{x}と一致し、分散\sigma_x^2は式(1.8)の定義からわかる。
\sigma_x^2 = \lim_{N\rightarrow\infty}\left[\frac{1}{N}\sum (x_i-\bar{x})^2\right]

式(3.4)でVのズレを表現したように、観測パラメータのズレu_i-\bar{u},v_i-\bar{v},...x_i-\bar{x}で表現できる。
x_i - \bar{x} \simeq (u_i - \bar{u})\left(\frac{\partial x}{\partial u}\right) + (v_i - \bar{v})\left(\frac{\partial x}{\partial v}\right) + \cdots
ここで、偏微分は、他の変数を平均値に固定して行うことを省略している。

[Variance and Covariance]

式(3.8)と式(3.9)を組み合わせて、xの標準偏差をu、vの標準偏差で表せる。
\sigma_x^2 \simeq \lim_{N\rightarrow\infty} \frac{1}{N}  \sum \left[ (u_i-\bar{u})\left(\frac{\partial x}{\partial u}\right)+(v_i-\bar{v})\left(\frac{\partial x}{\partial v}\right) + \cdots \right]^2
\simeq \lim_{N\rightarrow\infty}\frac{1}{N} \sum \left[ (u_i-\bar{u})^2\left(\frac{\partial x}{\partial u}\right)^2 + (v_i-\bar{v})^2\left(\frac{\partial x}{\partial v}\right)^2 \right.
+\left. 2(u_i-\bar{u})(v_i-\bar{v})\left(\frac{\partial x}{\partial u}\right)\left(\frac{\partial x}{\partial v}\right)+\cdots \right]

最初の2つの項は、式(1.8)の分散の表現で与えられる。
\sigma_u^2 = \lim_{N\rightarrow\infty}\left[\frac{1}{N}\sum (u_i-\bar{u})^2\right]
\sigma_v^2 = \lim_{N\rightarrow\infty}\left[\frac{1}{N}\sum (v_i-\bar{v})^2\right]
式(3.10)の第3項を同じように表現するために、共分散(covariance)\sigma_{uv}^2を導入する。
\sigma_{uv}^2 \equiv \lim_{N\rightarrow\infty}\left[\frac{1}{N}\sum[(u_i-\bar{u})(v_i-\bar{v})]\right]

これらの定義で、分散\sigma_x^2の近似は、
\sigma_x^2 \simeq \sigma_u^2\left(\frac{\partial x}{\partial u}\right)^2 +\sigma_v^2\left(\frac{\partial x}{\partial v}\right)^2 + \cdots + 2\sigma_{uv}^2\left(\frac{\partial x}{\partial u}\right)\left(\frac{\partial x}{\partial v}\right) + \cdots
とかける。この式は、誤差伝播方程式(error propagation equation)として知られている。

一般的に、最初の2項は、ずれの2乗の偏微分の2乗で重み平均したものである。一般に、この項が不定性を支配している。u、vの他に変数があっても、同様の項となる。

第3項はクロスタームの平均である。u、v、...のゆらぎが関連していなければ、平均的に、正の値と負の値が等しく分布するはずで、観測をランダムに選ぶと、この項は消える。これは合理的な近似で、式(3.13)は
\sigma_x^2 \simeq \sigma_u^2\left(\frac{\partial x}{\partial u}\right)^2 +\sigma_v^2\left(\frac{\partial x}{\partial v}\right)^2 + \cdots
とできる。一般的に、式(3.14)を使用し、共分散項は無視する。しかし、Chapter7でみるように、共分散項は最小二乗法でのデータフィッティングにおいて不定性に重要な寄与をする。

  • 3.3 SPECIFIC ERROR FORMULAS

特定の関数について結果を求める。

[Simple Sums and Differences]

関係が、
x = u + a
とすると、\partial x/\partial u = 1であるから、xの不定性は、
\sigma_x = \sigma_u
ええあり、相対不定性は、
\frac{\sigma_x}{x} = \frac{\sigma_u}{x} = \frac{\sigma_u}{u+a}
である。uとaに違いがない場合には、xの不定性はuの小さな相対不定性に対してもxの規模より大きくなる

=Example 3.3.=
分裂する核源から放出される粒子をカウントする実験で、実験の初めに15秒の時間間隔にN_1 = 723を測定し、のちの15秒の時間間隔にN_2 = 19を測定した。イベントはランダムでポアソン分布に従っており、N_1,N_2の不定性はそのルートである。核源のない場合の背景カウント率を注意深く計算し、B=14.2カウントを得た。長時間で平均したので、15秒の背景カウント数の平均は整数ではない。

最初の時間間隔では、修正したカウント数は、
$$x_1 = N_1 - B = 723 - 14.2 = 708.8
x_1の不定性は、
\sigma_{x_1} = \sigma_{N_1} = \sqrt{723} \simeq 26.9
であり、相対不定性は、
\frac{\sigma_x}{x} = \frac{26.9}{708} = 0.038 \simeq 3.8%

2番目の時間間隔では、修正したイベント数は、
x_2 = N_2 - B = 19-14.2 \simeq 4.8
xの不定性は、
\sigma_{x_2} = \sigma_{N_2} = \sqrt{19} \simeq 4.4
であり、相対不定性は、
\frac{\sigma_x}{x} \simeq \frac{4.4}{4.8} = 0.91
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[Weighted Sums and Differences]

もしも、
x = au + bv
であれば、偏微分は、
\left(\frac{\partial x}{\partial u}\right) = a,\left(\frac{\partial x}{\partial v}\right) = b
であるから、
\sigma_x^2 = a^2\sigma_u^2 + b^2\sigma_v^2 + 2ab\sigma_{uv}^2
となる。

もし、共分散が適切な大きさと符号をもっていれば、xの分散が0となる可能性がある。これは、ゆらぎが完全に関連していて、uのそれぞれのエラーのある観測が厳密に、vのエラーのある観測によって補完されているような起こりそうにないイベントで起こる。

=Example 3.4.=
Example 3.3.で、背景カウントBが1回の測定で、B=14と\sigma_B = \sqrt{14} \simeq 3.7とすると、xの不定性は、
\sigma_x^2 = \sigma_N^2 + (-1)^2\sigma_B^2 = N + B
となる。

最初の時間間隔については、
x_1 = (723 - 14) \pm \sqrt{723 + 14} = 709 \pm 27.1
で、相対不定性は、
\frac{\sigma_x}{x} = \frac{27.1}{709} \simeq 0.038
となる。

2番目の時間間隔は、
x_2 = (19-14) \pm \sqrt{19+14} = 5 \pm 5.7
で、相対不定性は、
\frac{\sigma_x}{x} = \frac{5.7}{5} \simeq 1.1
==============

[Multiplication and Division]

もし、
x = auv
であれば、偏微分は、
\left(\frac{\partial x}{\partial u}\right) = av,\left(\frac{\partial x}{\partial v}\right) = au
っだあら、xの分散は、
\sigma_x^2 = (av\sigma_u)^2 + (au\sigma_v)^2 + 2a^2uv\sigma_{uv}^2
で、書き換えると、
\frac{\sigma_x^2}{x^2} = \frac{\sigma_u^2}{u^2} + \frac{\sigma_v^2}{v^2} + 2\frac{\sigma_{uv}^2}{uv}
となる。

同様に、
x=\frac{au}{v}
とすると、
\frac{\sigma_x^2}{x^2} = \frac{\sigma_u^2}{u^2} + \frac{\sigma_v^2}{v^2} - 2\frac{\sigma_{uv}^2}{uv}
となる。

=Example 3.5.=
三角形の面積は、A=bh/2である。底辺と高さが、b= 5.0±0.1 cm,h=10.0±0.3 cmとすると、面積は25.0cm2であり、相対不定性は、
\frac{\sigma_A^2}{A^2} = \frac{\sigma_b^2}{b^2} + \frac{\sigma_h^2}{h^2}
または、
\sigma_A^2 = A^2\left(\frac{\sigma_b^2}{b^2} + \frac{\sigma_h^2}{h^2}\right)
=25^2(cm^4)\left(\frac{0.1^2}{5^2}+\frac{0.3^2}{10^2}\right)(cm^2/cm^2)
\simeq 0.81 (cm^4)
高さの絶対不定性は、底辺の絶対不定性の3倍だが、相対不定性は1.5倍であり、その面積の分散への寄与は、1.5^2でしかない。
==============

[Powers]

もし、
x = au^b
の場合、偏微分は、
\left(\frac{\partial x}{\partial u}\right) = abu^{b-1} = \frac{bx}{u}
であるから、相対不定性は、
\frac{\sigma_x}{x} = b\frac{\sigma_u}{u}
である。b=+1の特別な場合には、
x=au, \sigma_x = a\sigma_u
であり、
\frac{\sigma_x}{x} = \frac{\sigma_u}{u}
となる。b=-1の特別な場合には、
x=\frac{a}{u},\sigma_x = -\frac{a\sigma_u}{u^2}
であり、
\frac{\sigma_x}{x} = - \frac{\sigma_u}{u}
となる。マイナスサインは、uの正の誤差は、xの負の誤差に対応することを示している。

=Example 3.6.=
円の面積は、A=\pi r^2である。半径が、r=10.0±0.3 cmとすると、A=100.π (cm2)で、不定性は、
$$\frac{\sigma_A}{A}=2\frac{\sigma_r}{r}
または、
\sigma_A = 2A\frac{\sigma_r}{r} = 2\pi (10.0 cm)^2(0.3 cm)/(10.0 cm) = 6\pi cm^2
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[Exponentials]

もし、
x = ae^{bu}
の場合、偏微分は、
\frac{\partial x}{\partial u} = abe^{bu} = bx
なので、相対不定性は、、
\frac{\sigma_x}{x} = b\sigma_u
となる。

もし、底がe出ない場合は、
x=a^{bu}
=(e^{\ln a})^{bu} = e^{(b \ln a)u}
= e^{cu}
ただし、c=b \ln aである。
同じようにして解くと、
\frac{\sigma_x}{x} = c\sigma_u =(b\ln a)\sigma_u

[Logarithms]

もし、
xx = a \ln (bu)
の場合、
\frac{\partial x}{\partial u} = \frac{ab}{u}
\sigma_x = ab\frac{\sigma_u}{u}
となる。

[Angle Functions]

もし、
x = a\cos (bu)
の場合、偏微分は
\frac{\partial x}{\partial u} = -ab\sin (bu)
なので、
\sigma_x = -\sigma_uab\sin (bu)
である。同様に、
x = a \sin (bu)
の場合、偏微分は、
\frac{\partial x}{\partial u} = ab\cos (bu)
なので、
\sigma_x = \sigma_uab\cos (bu)
となる。注意すべきなのは、\sigma_uは角度の不定性で、radianで表現されなければならない。

これらの関係は、即座に不定性を評価するのに有用である。変数uと定数の単純な掛け算の場合、uの1%のエラーは、xの1%のエラーとなるなどである。

  • 3.4 APPLICATION OF ERROR EQUATIONS

やたらと、誤差伝播方程式を単純に使うと、面倒なことがあるので、実践的には、無視できる項を考えたりして簡略化する。

[Approximations]

生徒は、式(3.14)の項を別々に考慮することで、最終的な不定性の近似評価を実践すべきだ。基本的には、最も大きい寄与をする項の10%以下の寄与をする項を無視することである。(この手のすべてのルールのように、特別な場合を考える。小さな寄与のものが集まって、大きな寄与をすることもある)

=Example 3.7.=
長方形の面積をA=LWとして、
L=22.1 \pm 0.1 cm,  W=7.3 \pm 0.1 cm
と決める。
誤差へのLの相対的な寄与は、
\frac{\sigma_{A_L}}{A} = \frac{\sigma_L}{L} = \frac{0.1}{22.1} = 0.005
Wは、
\frac{\sigma_{A_W}}{A} = \frac{\sigma_W}{W} = \frac{0.1}{7.3} \simeq 0.014
である。\sigma_Lからの寄与は\sigma_Wの1/3である。しかし、寄与が組み合わさると、
\sigma_A = A\sqrt{0.014^2 + 0.005^2}
で、展開すると、
\sigma_A \simeq 0.014A\left(1+\frac{1}{2}\left(\frac{0.005}{0.014}\right)^2\right) \simeq 0.014A(1+0.06) = 0.015A
すると、\sigma_Lの寄与は、\sigma_Wの6%であり、無視しても良さそうである。
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[Computer Calculation of Uncertainties]

不定性をコンピュータで扱う場合、(3.14)のように簡単に計算できるわけではない。
例えば、従属変数U,V,W...によって、Xが表されるとすると、
X=CALCULATE(U,V,W...)
であり、それぞれの偏微分を求めるためには、以下のような計算が必要である。
DXU = CALCULATE(U+DU,V,W,...) - X
DXV = CALCULATE(U,V+DV,W,...) - X
DXW = CALCULATE(U,V,W+DW,...) - X
...
ここで、DU,DV,DWは、各変数の標準偏差である。
そして、結果としては、
DX = SQRT(SQR(DXU)+SQR(DXV)+SQR(DXW)+...)
で、不定性がかける。
また、
DX = CALCUATE(U+DU,V+DV,W+DW,...) - X
とするのは正しくない。

[EXCERCISE]
解答は、下の添付ファイルにある。



最終更新:2014年03月12日 15:35
添付ファイル