・スキーム(仕組)
出資者より資金を集めて不動産を取得(買収)し,その不動産の賃料を分配するというファンドです。
運営期間満了後は,不動産を売却して出資金を回収し出資者への償還に充てます
※みんなで大家さん9号は,みんなで大家さん販売株式会社が営業者
但し,元本は収益還元法に基づく不動産評価額から求められます。不動産が期待する収益を上げられないときは元本評価が下がり元本割れすることがあります。評価額が割れなかった場合は規定運用期間経過後に出資額が満額償還される仕組みとなっています。
・収益還元法と不動産評価額
細かいことはおくとして,例えば債券を考えてみましょう。
毎年5万円の利子(収益)が手に入るとして,期待収益率を年5%に設定するなら,その債券を幾らで買おうと思いますか?
5万円÷年利5%=100万円(100万円×5%=5万円)
答えは100万円になります。この考えが「収益還元法」とよばれるものの基本です。
みんなで大家さん(例として5号)の場合は,割戻率が6.6%(想定分配率は7.5%)に設定されており,想定賃貸益※(賃料から物件にかかる費用を差し引いた利益)が4620万円と設定してますので
4620万円÷年6.6%=7億円と評価されます。年賃貸益が4620万円をくだらなければ評価額は下がらない,という仕組です。
・不動産評価額と償還原資について
評価額自体の算定は計算でいくらでもできます。実際の賃貸益を割戻率で割れば不動産の評価額は自動的に決定されます。(但しこの手のスキームは,賃貸益が想定以上の場合は出資者へは想定分配率の配当をほぼ上限とし,償還額は出資額を上限とする規定になっています)が,ここで問題になるのが運営期間満了後にあつめた元手をどうやって出資者へ償還するか,という点です。
冒頭に述べたとおり,不動産を取得する元手を運営期間経過後に償還(返済)しなければなりませんが,公開されている都市綜研インベストファンド株式会社及びみんなで大家さん販売株式会社のバランスシートを見てもとてもそのような財務的に余裕のある会社とは思えません。
実際に元本割れ(評価額割)をせず1号から3号まで運用し,想定分配を行った上で満額償還したと実績をうたっていますが,なぜか償還済とされる1号と3号の不動産物件は,それぞれ5号と9号で現在も運用が続いている状態です。
つまり物件売却も進んでいないし,返済する元本も用意できないので新たに出資を募って実質ロールオーバ(借換)している状態といえます。まあロールオーバしたとしても償還した事実には変わりはないのですが・・・