――大きなことを成し遂げるために 強さを与えてほしいと神に求めたのに
謙遜を学ぶように 弱さを授かった。
――偉大なことができるようにと 健康を求めたのに
よりよきことをするようにと 病気を賜った。
――幸せになろうとして 富を求めたのに
賢明であるようにと 貧困を授かった。
――世の人々の称賛を得ようとして 力と成功を求めたのに
神を感じるようにと 失敗を授かった。
冬木の街が燃えていた。
街のあちこちで劫火があがり、ぬらぬらとした炎が舌で舐めるように建物を溶かしていく。
人々は武器を手に鬼気を漲らせ、自分と家族の為と叫び、暴徒と化して殴り合う。
悲鳴、絶叫、嗚咽、武具の音。爆音と混じって鳴り響く戦場音楽。
そう、此処はまぎれもなく戦場であり、繰り広げられているのは戦争だった。
聖杯戦争。
七人七騎で繰り広げられる、世界最小の戦争。
残ったのは、僅か二陣営のみ。
最終局面に至った戦争は、もはや留まる事を知らず、冬木を呑みこまんとしていた。
故にこそ、彼は行かねばならなかった。
黒いコートをなびかせて、銃を手に黙々と進む男。衛宮切嗣。
この世全ての悪、この世全ての闘争の根絶を掲げ、妻と共に聖杯戦争に挑んだ男。
最後まで勝ち残ったはずの男は、しかし全てを喪おうとしていた。
聖杯たる妻は命を落とし、出現した聖杯は神父に奪われ、敗北すれば娘が次回の聖杯とされる。
この惨状は、言峰綺礼のサーヴァントたる
ライダーによって生み出された地獄だ。
何としても奴を滅ぼさなくては……。
連戦に続く連戦で死に体となった切嗣だが、彼は立ち止ろうとはしない。
「おい、マスター。やはり、子供を守るために両親が死ぬのは、宜しくないと思うぞ」
だから彼を止めるのは、切嗣が召喚したサーヴァント、
アーチャー以外にはありえない。
瓦礫の中、慣れた調子で歩く野戦服の男に、しかし切嗣は一瞥もくれず、吐き捨てる。
「お前に何がわかる。好き好んで戦場に行った手合いだろう、お前も……」
「おいおい。私が戦争狂かもしれないのは否定しないが、そうじゃないかもしれないだろう。
私が誰なのかは私にだってわからないんだ。……ああいや、マスターの言いたいことはわかる」
「…………」
「ノルマンディー上陸作戦。あれは最悪だったよ。ベトナムだったかな? 朝鮮か、イラクかもしれないが……。
もはやどの『私』の記憶と経験なのかは、さだかではないが、燃える街の事は良く覚えている。
マスターが何に怒ってて、何をやりたくて、何をしようとしてるのかは、私にだってわかるさ」
「お前のお喋りに付き合っている暇は無い」
「だからだよ。最後かもしれないんだ。ちゃんと、言っておかないと」
そう言ってアーチャーは笑った。
「私はね、マスター。私は、正義の味方になりたかったんだ」
「――――……」
切嗣の足が、ぴたりと止まった。
「おい、驚かないでくれるか。子供っぽいのは、自分でもわかっているんだ」
「……なりたかった、って。……なんだ、諦めたのか」
「ああ。私は、悪の秘密結社に攫われもしなければ、宇宙人と激突したりもしなかった」
「……なら、仕方ないな」
「ああ、仕方ない」
二人の男は、どこか乾いた、けれどしかし実に愉快そうに声をあげて笑った。
切嗣はアーチャーがどんな風に笑うのかを知らなかったし、アーチャーもマスターがどう笑うかは知らなかった。
聖杯戦争も最後の最後まで来て、彼らはほんの少しだけわかりあう事ができていた。
奇妙な事だが……人間とは所詮、そんなものなのかもしれない。
「ああ、だけど。なあ、マスター。
戦争は忌むべきものだ。人類は遥か昔から何一つとして変わっていないのだろう。だが、それでも……。
それでも、その中で掲げられる理想には、やはり意味があるんだ」
「その為に、この地獄が繰り広げられるとしてもか?」
「違う。地獄の中で、それでも理想を掲げて、立って行かなければならないんだ」
アーチャーはそう言って、ゆっくりと歩き出した。
行く手には燃え上がる家がある。切嗣は、はっと目を見開いた。
弾ける火の粉、遠くの悲鳴。それに混じって、微かに、泣き声が聞こえた。
「子供……!?」
「ああ。理想の為に切り捨てるのでは、結局……何も変わらない」
九の為に一を切り捨てる。それは当然のことだ。
かつての衛宮切嗣ならば、子供の泣き声など無視して、言峰の下に向かっただろう。
だが最愛の妻であるアイリスフィールを、長年の部下であった舞弥を喪った今。
切嗣を突き動かしているのは、娘イリヤスフィールを切り捨てねばならない恐怖。
前へ進む事に対する迷いが、確かに彼の中に生まれていた。
「僕、は……!」
「……大丈夫だよ、マスター」
だから、と若者は笑った。
極々普通に生まれて、極々普通に戦争に行って、そして極々普通に死んだ若者は。
「ここは正義の味方に、任せてくれないか」
火事の中の子供を切嗣に託し、銃を抱え、ヘルメットをかぶり、そして背嚢を背負い、駆け出した。
若者の、その背中。
――それこそが衛宮切嗣が見た、最初で最後の「英雄(ヒーロー)」の姿だった。
* * *
キルロイという超人的な兵士、スパイが、世界中に活動している。
だからその証拠に、此処にも、其処にも、「キルロイ参上!」の落書きが残っているじゃないか。
それは第二次世界大戦中に流布した、他愛ない都市伝説に過ぎない。
だが、都市伝説とて「伝説」には相違なく、「伝説」の蘇る聖杯戦争においては「真実」だ。
キルロイとしての殻を与えられたその若者は、今や誰よりも早く地を駆け、誰よりも正確に銃を撃つ事ができる。
それは人間の範疇でしかなく、神話の英雄とは比べるべくもなかったが――……。
(十分じゃないか)
正義の味方なら。きっとそう言って笑うだろう。不敵に。高潔に。大胆に。
燃え上がる廃墟の瓦礫から瓦礫へ。残骸から残骸へ。
身を隠して遮蔽を取りながら走り抜け、時折、暴徒に銃床で一撃を喰らわせて大人しくさせる。
こんな状況だからこそ、子供にまで見境なく棒きれを振ってる暴徒は看過できない。
頭に叩き込んだ地図を思い返し、変わり果てた街を駆け廻り。
「しかし、やっぱ空飛べたりするのはズルいな」
意味も無く額を拭って天を振り仰ぐ。
街の燃える暗黒の臭いと煙が充満した暗く、赤い空。
二度と見たくないと思ったのは――さて、どの戦場だったか。
そこに君臨する真紅の騎士を見たのも、一度や二度では、無かった筈だ。
「――黙示録の日(アポカリプス)は来たれり」
君臨するは真紅の甲冑、真紅の鎧、真紅の騎馬に跨った、赤きライダー。
此度の聖杯戦争における、最優最強最悪の鬼札。
言峰綺礼がサーヴァント、黙示録の赤き騎士。
立ち昇る魔力と瘴気。
聖杯の泥と渾然一体となり、マスターの肉体を核として受肉したそれは、圧倒的な存在感を放っている。
背後には、巨大な暗黒の塔、赤黒く燃える暗黒の太陽。
磔にされているのは――白銀の髪を持った、一糸まとわぬ美女の姿。
目の毒だな、と思う。
「戦争に惹かれてやってきたか、哀れなる無名兵士よ」
「はっきりと言ってくれる。ま、否定はしないがね」
アーチャーは皮肉気に笑って、銃の弾装を取り出し、がつがつとヘルメットにぶつけてから銃に叩きこむ。
装填し、コッキング。薬室に弾薬を送り込んで、ゲン担ぎに噛み終えたガムを貼って、準備完了。
自分は単なる無名の兵士だ。戦場で死んでいった、英雄でも何でもない、ただのその他大勢。
対する黙示録の騎士は、屠竜の英雄を筆頭に数多の英霊を平らげた、聖書由来のビッグネーム。
「だがな。民間人の虐殺というのは、戦争にしても下の下だろう?」
「然り。戦争は悪だ」
「だが、これを為したのは人だ。数多の動物が生存競争を繰り広げる中、ただ人だけが戦争を為す。
戦争を為すが故に人は獣でなく人であり、故に人は悪であるという事の証左に他ならない。
なればこそ英雄も、兵士も、民草も、須らく平等に、いよいよもって死ぬが良い」
「それが貴様の得た答えか」
「如何にも」
「やってみろ」
ライダーの炎の剣が振り下ろされるのと、横っ跳ぶライダーのライフルが銃を吐きだすのがほぼ同時。
真正面から着弾した鉛は甲冑に跳ねて、振り下ろされた剣の熱風が野戦服を焦がす。
爆撃めいた暴威が吹き荒れて、瓦礫がヘルメットに当たっては音を立てている。
「……!」
マスターの装備から拝借した手榴弾を放り込み、爆風を目眩ましに遮蔽を取って、アーチャーは毒づく。
まったく、嫌になるほど戦力差は明白だ。
だが、まあ――いつもの事か。「戦争」なんてのは、いつだってそうだった。
「ようし、走るか、兵隊」
即席の塹壕から飛び出して、アーチャーは古来から続く兵士の仕事を再開した。
歩き、走り、戦い、また走る。
廃墟の中を豪火の剣から逃げまどいながら、黙々と銃弾を叩きこむ。
ひたすらに走り、ライダーを振りまわす。
黙示録の騎士の一撃は街を吹き飛ばし、瓦礫を築き、民間人を巻き込み、悲痛な叫びを木霊させる。
たった1対1。正しくこれは、極東で繰り広げられる、世界最小の戦争に他ならない。
「私を見ろ」
「――!?」
果たしてその意味を、赤の騎士は理解しただろうか?
吹けば消し飛ぶようなサーヴァント独り。
だけれど、戦禍の中にあって真っ直ぐ前を見た瞳は、揺れる事がない。
故に。
レッドライダーは、自身の背後に刻まれた、たった一語に気付かない。
「我は、此処に、在り(キルロイ・ワズ・ヒア)!!」
「ヌ、オ、アアッ!?」
銃弾に喰らい付かれた黙示録の騎士が、雄叫びと共に振り返る。
強烈な視線に曝された無名兵士の幻影は、いとも容易く消え去ってしまう。
英霊に対し、亡霊など風の前の塵芥にも等しいものだ。
落書きを残したその兵士は、夢幻の如く消え去って、
「けどな……私達は、此処に、いる(キルロイ・ワズ・ヒア)!!」
次の瞬間には、無限の如き無名兵士がレッドライダーへと襲いかかる。
「ッ、ガ、アア……!」
銃弾が雨あられと降り注ぎ、兵士たちが次々と斃れては消えていく。
ライダーの劫火によって次々と焼き尽くされて尚、新たな兵士が現れる。
もはや次々と現れる幻影のうち、どれが真実、ただ独りの英霊なのか。
ライダーにも、走りまわって落書きを刻み続けたアーチャーにも、もはやわからない。
「戦争」は「兵士」を殺す。「兵士」は「戦争」で死ぬ。「兵士」は「英雄」には敵わない。
変わらぬ世界の理だ。
ああ、だけれど。
それは墓碑無き無名兵士たちの魂の叫び。
理想、現実、希望、絶望、満足、失意、ありとあらゆる感情渦巻く、貴き祈り。
有史以来、ありとあらゆる戦場に刻みつけられた、切実な願い。
俺は此処で戦った。俺は此処で死んだ。俺は此処にいた。
そしてついに、真紅の甲冑が砕け、内に秘められた神父の姿が垣間見える。
アーチャーはライフルを引っ掴むと、雄叫びをあげて突撃を開始した。
銃は騎士よりも強い。「戦争」の化身であればこそ、この概念からは逃れられない。
科学は神秘を駆逐する。近代歩兵達の前に、英雄たちの存在は戦場の露と消えた。
そう。赤の騎士が「戦争」であり、アーチャーが「無名兵士」であればこそ、この結末は必然足り得る。
――「戦争」を終わらせるのは、いつだって、名もなき「兵士」たちなのだから。
「俺たちは、此処に、いたんだ(キルロイ・ワズ・ヒア)……!」
筒先に括り付けた銃剣を、アーチャーは泥の心臓へ躊躇なく突き立てた。
* * *
「ん、ぁ……」
「やあ、ミセス。目は覚めたか?」
アイリスフィール・フォン・アインツベルンは、瞼を刺す青白い光によって覚醒した。
吹き抜ける風が妙に肌寒く、はっと気付いた彼女は、自分が裸体である事に気付き、慌てて胸元を隠した。
いや、正確には裸の上に、草臥れて硝煙臭い、彼女の夫のそれにも似た匂いの野戦服がかけられている。
瓦礫の上、眩い光を背負って、そこには独りの若者がいた。
汗と埃に塗れ、不精ひげを生やし、目の下に隈を作りながらも、まるで子供のように笑う若者が。
「ア、アーチャー……?」
「ご加減はいかがかな?」
冗談めかした言葉に、しかしアイリスフィールは愕然として身を起こした。
豊かな胸元を掌で撫でる。そこには生き物としての温もりがあり、澱みが一切ない。
この世全ての悪が、自らの内に巣食っていた六体の英霊の重みが、まっさらに消えている。
「あなた、まさか……」
「どうも私は、衛生兵でもあったらしい」
アイリスフィールには、語られずとも理解できた。
今の自分は、もはや
ホムンクルスではない。
身体が軽い。心臓が脈打つ。血潮が流れる。世界を感じる。何もかもが、鮮やかに。
――第三魔法。
魂の物質化。アインツベルンの悲願。
それが今、この身に宿っている――そうでなければ。
死したホムンクルスの、人間としての完全なる蘇生など、ありえない。
彼は「呑んだ」のだ。
アンリ・マユと、英霊たちの膨大な魂を。
自分が背負っていたからこそ彼女にはわかる。
とてもただの……ただの人間の魂には耐えられぬ重みと量だ。
そして、彼は――根源に至った。
「生憎、私は数ばかり多いのでね。ご心配なく」
だが、そう言って笑う青年の身体は、もはや薄く、透けつつあった。
およそ魔力供給など必要としないサーヴァントである彼が、現界を維持できないのだ。
数多の無名兵士の集合体であるキルロイという英雄なればこそ。
戦争という最も強大な「悪」と、極めて近似値にある彼であればこそ。
アンリ・マユというこの世全ての悪と、英霊たちの魂を受け入れる余地はある。
だがそれは。
キルロイという英霊の殻を纏った、ただ独りの、何処かの誰かの自我が、呑まれて消えるという事に他ならない。
聖杯になるとは、つまり、そういう事なのだ。
「アーチャー、キルロイ……ううん。貴方は、それで良いの? 貴方の望みは、だって……!」
「私が何処の誰かを知る。……ああ、うん。それは確かに大事だけど。もう、良いんだ」
若者は、ポケットから取り出したくしゃくしゃの煙草を取り出して、一本を咥えた。
火は点けない。煙はもうたくさんだ。
瓦礫の山から見下ろす街は廃墟のようであり、けれど白んだ空の光を受けて、輝いている。
ああ、これで良い。若者は、心からそう思う。
「マスターにとって、俺は正義の味方のキルロイだ。イリヤスフィールにとっても。
アインツベルン家にも手土産はできた。これで、一家団欒もできるだろ。それに……」
彼はそう言って形の解けつつある自分の胸元を、そっと撫でた。
「さっき『繋がった』時、俺の名前だけは、聞けた。座に還れば消えてしまうとしても、俺にとっては充分過ぎる」
「なら……」
アイリスフィールは詰まる言葉を誤魔化すように、目尻に滲んだものを拭った。
見届けなければいけなかった。彼の最期を。視界が滲んでしまっては、台無しではないか。
「あなたの真名を、教えてくれるかしら?」
「……名乗るほどの者じゃない、っていうのは駄目かな?」
「あら。謎を遺して去って行くのは、女の子だけの特権じゃない?」
滲む視界を懸命に擦り、アイリスフィールは無理やり軽口を叩く。
参ったな、と。若者は困ったように笑った。その唇の端を、微かに持ち上げて。
「俺の、名前は――……」
そうして、僅かな言葉だけを遺し、浅黒い肌の若者は朝焼けの中へ消えて行った。
* * *
その後の事を話そう。
アインツベルンは揶揄される事はあっても、古式ゆかしい名門の魔術師一族たる誇りは喪っていなかった。
つまり、彼らは約束を守ったのだ。
アイリスフィールが持ち帰った第三魔法の代価として、彼女たちは自由を手に入れた。
衛宮切嗣の提案で一家が極東に移り住む事を聞けば、快く資金援助から手続きからを支援したばかりか、
イリヤスフィールのお目付け役とばかりに、専用に調整したホムンクルスを二体を贈った。
悲願達成に浮かれていて些細な事を気にしなかったのか、はたまた娘と孫可愛さによるものか。
娘夫婦と孫から毎月届く手紙をニコニコ読んでいるのを見るに、アハト翁も人の親であったのかもしれない。
切嗣は、すっかり険がとれて、生来の性質が徐々に表に出てきたらしい。
アイリスフィールにも、ぽつぽつと、彼自身の父や義母の事を語ってくれるようになった。
今は父から受け継ぎ、義母に託された「衛宮」の魔術刻印をどう繋ぐか、少し考えているようだ。
それと共に、紛争被害者や孤児救済の為に、各地を旅するようになってきている。
彼は前向きになったのだろう――誰かを救えた事は、切嗣にとって大きかったのだ。
火災から救われた少年は、衛宮家の養子となって、今日も元気に暮らしている。
件のイリヤスフィールといえば、最近はいろいろと複雑な年頃らしい。
突然現れた「兄」にどう接して良いものかぐるぐるしたり、突然タックルしていたのも昔の話。
今では「お兄ちゃん」と言って慕ってついて回っているのだから、可愛いものだ。
小学校に通うようになってからは毎日が楽しくて仕方ないらしい。
……そういえば最近は奇妙な杖を持ち歩くようになったそうだが、どうしたのだろうか?
そうした日々を忙しく過ごしながら、アイリスフィールは時々思う。
あの「正義の味方」を。無名兵士として戦い、死んだ若者のことを。最後に彼が遺した笑みを。
朝焼けを見る度に彼女は思い出し、そしてその度、微かに笑って、こう呟く。
――大きなことを成し遂げるために 強さを与えてほしいと神に求めたのに
謙遜を学ぶように 弱さを授かった。
――偉大なことができるようにと 健康を求めたのに
よりよきことをするようにと 病気を賜った。
――幸せになろうとして 富を求めたのに
賢明であるようにと 貧困を授かった。
――世の人々の称賛を得ようとして 力と成功を求めたのに
神を感じるようにと 失敗を授かった。
――人生を楽しむために あらゆるものを求めたのに
あらゆるものを楽しむために 人生を授かった。
――求めたものは一つとして与えられなかったが 願いはすべて聞き届けられた。
私はもっとも豊かに祝福されたのだ。
「大丈夫よ。私たちは頑張って生きているから――ね、シロウ」。
あとがき:
アーチャー=キルロイ=無名兵士=無銘=
エミヤ=アーチャー。
エミヤが無銘の英霊であるなら、キルロイとして召喚される可能性も十分あるよなーと。
そして無名兵士と戦うラスボスといえば「戦争」だろうなという考えからこの配役に。
キルロイvsレッドライダー、楽しんでいただけたなら幸いです。
最終更新:2015年09月15日 00:29