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本名は一充。F市から遠く離れた街の小さな病院で働く、どこにでもいるようなごく普通の医者だった。彼には最愛の女性がいた。彼女は女の子を身篭っており、もうすぐ臨月に差し掛かろうとしていた。生まれてくる子供の名前も2人で決めた。彼の生活は、ごく普通の、ありきたりな幸福で充ちていた。
ある日のことだった。彼の家に、一人の"探偵"と名乗る女が訪れる。「一妃里は麻薬の密売に関わっている」、女はそう淡々と述べた。勿論本人は反論していた、彼もそれを信じていた。なのに、それなのに。数日後、彼女は亡くなった。「不運な事故」によって彼の病院に運び込まれた彼女の死因は、「医療ミス」だと断定された。冷たくなった彼女を前に彼は、"ありきたりな幸福"が脆くも崩れ去る音を聞いた。
その時から、一充は『復讐』の炎に囚われた。必ずやあの探偵を、それに関わる全てを殺し尽くすと決意した。泪を綴る旅が始まった瞬間であった。

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最終更新:2020年06月14日 22:10