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サングル(憤怒)「(瞳を閉じる)時は来た――――世界平和を望む女王に代わり、俺たちが、"殺戮を肯定する世界"を創るのだ。(勢いよく開眼すると血眼が露わとなり、果てしなく広がる天井の闇を仰いだ)」
Dr.Kill「心臓を得続けることで永遠に命を維持するか… 総出で行うとは…容赦を知らないな… やはりお前は"最凶"だよ。ケヒヒヒッ…ケッヒヒヒッヒッヒヒッッ…!!!(サングルたちを眺めて愉快そうに嗤う)」
サングル(色欲)「(コンピュータールームに入って来るや否や、憤怒体の背後に立つ) 『私たち』の補完は終えたわ。(背後には、先程任務を共にした嫉妬体を初め、過去の激戦で死亡したはずのサングルたちが並んでいた)」
コツ… コツ… コツ…(会話の途中で、大人数の足音が反響しているのが聞こえてきた)
Dr.Kill「用意周到な奴だ…ケヒッ、ケヒヒヒヒヒッ…!!」
サングル(憤怒)「女王の『眼』を掻い潜るには、半年に一度の眼の休息期間だけだ。その間(かん)、女王は俺たちの行動を監視することはない。僕共も女王の休息期間には国の防衛を徹底する… 誰も俺たちの目論見に気づく者などいない。」
Dr.Kill「
ケヒヒ… 故に青の国の王を人質に女王を屈服させ、女王を裏から操り、我々の理想国家を創りあげる… ヒヒヒヒッ…!! 愉快なものよ…(口元を拳で拭う仕草を見せ)」
サングル(憤怒)「当然だ。(無機質な声で即答する)俺達の計画は、女王に代わりこの国の覇権を得ることだ。だが実力行使でそれを行うことはできん… 女王の持つ『眼』と、奴に従う僕共…特にエンペラー。それらの存在が妨げとなっているからな。」
Dr.Kill「ヒヒヒ…ッ… それで、まさかとは思うが… 始める気か…――――謀反を。(ニタニタと怪しげな笑みを浮かべ)」
サングル(憤怒)「(納得したように頷く)貴様の予想通りになるとはな。やはり女王は蒼秤総裁機構の王と友好関係にある。俺の分身体が回収した日記によれば、どうやら幼馴染の関係にあるようだ。」
Dr.Kill「あぁ…そうだ… ちゃんと確認…取っていたからな…ケヒッ… 今この会話も、女王には聞こえていないだろう… ケヒッ、ケヒヒッヒッヒヒ…!(不気味な笑い声を零しながら、口元を拳で拭う)」
サングル(憤怒)「(冷徹な瞳で狂気を含んだ科学者と向き合う)念のために確認をしておくが、今は女王の眼の休息期間だな?」
Dr.Kill「(通路の先にある真っ暗なコンピュータールームで、モニターを前にキーボードを打っている。誰かの足音に反応したのか腰かけていた電動車椅子を回転させて振り返る) ケッヒヒヒヒィ… ついに…お目覚めか…(かすれたような声で足音の主を見て、口角を上げる) 」
コツ… コツ… コツ… (ダクトやコードがいくつも剥き出しになった殺風景な闇の通路に、誰かの足音が反響する)
――― 白の国♚Chess♛・何処かの研究施設 ―――
サングル(憤怒)「―――――― ギ ュ ン (開眼と共に全身が僅かに痙攣する)…『俺自身』が動く… この時を待っていた。(そう呟いて部屋を出る)
――――プシャァ…ッ…… ! (閉ざされていた最後のコールドスリープが開き、中から一つの影がのっそりと身を乗り出すように現れる)
オゥン… オゥン… (真っ白な城内とは全く異なる空間――――薄暗く殺伐とした灰色の部屋にある7つのコールドスリープが一定の間隔で唸るような起動音を上げている。既に開かれているものが多いコールドスリープの中に、一つだけ閉ざされたものがあった)
――― 白の国♚Chess♛・城内地下・とある灰色の部屋 ―――
サングル(強欲)「(日記帳をポケットにしまい、席を立つ)―――― 行くぞ、『憤怒』のもとへ。」
サングル(嫉妬)「(色欲体の隣に立ち強欲体を見る) 日記の内容は『全員』見たよ。これで僕たちの計画を始められる。そろそろ『本体』も目覚める頃さ。」
サングル(色欲)「(強欲体に対しこくりと頷く)…心臓は補充した。」
サングル(強欲)「……(足音のした方へゆっくりと振り返り、その影の主を見てニタリと嗤う) ――――― 準備は良いかお前ら。」
コツ… コツ… コツ…(倉庫に二つの影が現れる)
サングル(強欲)「(数分後、日記帳を静かに閉じる) ほう…こいつは…(歪に口角を上げ天井の一角を見上げる。ランプの光で浮かび上がるサングルの影は、悪魔の様に禍々しく、陽炎のように揺らめいていた)」
サングル(強欲)「……(暗闇の倉庫をランプで照らし、古い机の上に置いて自らも座り込んだ)…さて…(ポケットから取り出した日記帳を開き、閲覧し始める)」
――― 白の国♚Chess♛・城内地下・倉庫 ―――
サングル(強欲)「ああ… (……エンペラーめ… まあいい、目的は果たした。あとは『こいつ』を拝見して、真実を確かめるだけだ…)(エンペラーが消えたのを確認すると、ローブのポケットから日記帳を取り出し邪悪な笑みを浮かべた)」
エンペラー「…… …女王が眠りについている間、事態が発覚した際にはこの俺が直々に懲戒処分を下す。命が惜しければ大人しくすることだ。ブワサ… ! (マントを靡かせ、鈍い金属音を鳴らしながらその場を後にした)」
サングル(強欲)「…… …… この俺を疑うか。ふん、それもいいだろう。…その質問に対して応えるならば、俺は本当に何もしてはいない。(横目で睥睨する様にエンペラーを見上げる)」
エンペラー「
ライヒトゥームは貴様の実力を称賛していたが、実際は奴も貴様の奇行には警戒を払っていた。元はと言えば貴様も俺と同じ《円卓の騎士》だったようだが、無色の集団に対する度を越えた暴力で称号を剥奪されたことも
ラティンから聞いている。貴様の行為には目に余るものがある。……答えぬなら、先程の質問に答えてもらおう。貴様、女王の部屋で何をしていた?」
サングル(強欲)「……(エンペラーから目を反らし沈黙する)」
エンペラー「貴様…否、『貴様等』は何を企んでいる。先日の蒼秤総裁機構との戦いといい、Onyxis♞との戦いといい…他の者たちとは違い、『貴様等』は身勝手な行動が目立つ。」
サングル(強欲)「…なんだよ。」
エンペラー「…一つ問う。」
サングル(強欲)「ぐっ…(その威圧感に思わず退く)…恐縮だ。これからは言葉を気をつける。(チッ…女王の犬め… 『皇帝』の名が泣くぞ。)(恐る恐るエンペラーを見上げて)」
エンペラー「御託はその辺で良いか?(強大な重力を含んだかのような一言で制し、サングルを見下す)俺は女王に仕えるKnight。そこに上も下もなく、ましてや野望などありはしない。俺は生涯、女王に仕えるだけの騎士だ。貴様が思っているような、青い夢を見るだけの弱輩などではない。 」
サングル(強欲)「この国にはもともと王がいたそうだが、今はどうだ。女王曰く、今は行方をくらましているようではないか。そうなれば、今すべての指揮権を得たお前は完全なる♚Chess♛の『王』(キング)になったと言っても過言ではあるまい。お前ほどの実力を持つ者が、何故今の今まで女王に代わって何もしてこなかった?"世界最強"の名を冠するお前には何かしらの野望があるのではないのか?お前は――――」
エンペラー「…それがなんだ。」
サングル(強欲)「おぉ… そうだったな…(表情を若干歪める)しかし、そうだとしたら、今のお前はただの《円卓の騎士》(エクエス)ではあるまい。たった今女王から全指揮権をいただいたお前は、実質この国の『王』となったわけだ。」
エンペラー「妙な真似はするなよ。貴様の命は、俺の掌の上にあるのだからな。(ナナの私室前故に覇気を放出することはできないが、その威厳の強い言葉はサングルに多大な圧力をかけていた)」
サングル(強欲)「別に何も。ただ私は女王様の就寝準備をしていただけだ。」
エンペラー「…何をしていた。」
召使い→サングル(強欲)「……――― グ ニ ャ ァ … ! (口元を歪めると全身が渦巻き、全く異なる姿へと変貌を遂げる)…気づかれたか、流石はエンペラー卿だ。(ニタリと不敵な笑みを浮かべる)」
エンペラー「……「サングル」だな。(フルフェイスの兜を被っているが故に表情こそは見えないが、睨みを利かせたような鋭い口調で問い詰める)」
召使い「 ピク… (強大な覇気を持つ男に呼び止められたにもかかわらず、表情一つ変えることなく静止し、彼の方へ振り返る)」
エンペラー「――――― 待て、貴様。(威厳を含んだ声で召使いを呼び止める)」
召使い「ごゆっくりお休みください、女王様。(部屋に入るナナに深々と頭を下げ、彼女が完全に入室したのを確認すると頭を上げる)…ス……(エンペラーにも会釈すると、その場を後にしようとするが…)」
ナナ「(にこりと笑んでエンペラーに応え、静かに部屋の中へと入り込んでいった)」
エンペラー「承知した。今しばらく休まれよ。(声こそは無機質だが、何処か頼りがいのある雰囲気を醸し出し、ナナに対し軽く頭(こうべ)を垂れる)」
ナナ「あ、うん。ありがとう。(寝ぼけたように返答して召使いに軽く手を上げる)じゃあ…エンペラー、私がいない間、後はよろしくね。万が一の事態が起きたら、全指揮権を貴方に委ねるから。」
召使い「(大扉の中から一人の女性の召使いが現れる)女王様、就寝の準備が整いました。」
ガチャ…(ナナたちより前方に見える、両開きの大扉の片方が静かに開く)
エンペラー「……ああ。(がちゃりと鈍い金属音を鳴らしながらナナと並び歩いている)」
ナナ「(寝巻の格好のまま廊下を歩き、今にもすとんと眠りこけてしまうほどの睡魔に襲われていた)部屋…もうすぐ…?(閉じた右目と、眼帯で覆われた左目で前方が見えないようで、隣の人物に問いかける)」
――― 白の国♚Chess♛・城内・廊下 ―――
サングル(色欲)「行きましょう、『憤怒』が待っている。(そう言うと嫉妬体と共に揺らめく炎の中へ溶け込むように消え去った)」
サングル(嫉妬)「(火柱の中から小柄な少年の姿をしたサングルが現れ、色欲体のもとまで歩み寄る。頬を染める返り血を指で拭う)……用は終わった。後は場所を変えて『俺たち』を補うぞ。 ドッグン… ドックン…ッ…(覇気の感じられない無機質な声で色欲体に告げると、自分の胸部を裂いて中身を見せつける。小柄な体の中には二つの心臓があり、それぞれが鼓動していた)」
サングル(色欲)「……(男の遺体には視線を向けずに一蹴し、声のした方へ振り返る)」
ひぎゃあぁ…ッ…!!!(何処からか女性の悲痛な叫びが響く)
サングル(色欲)「……(男性が倒れることで姿が露わになる)ポタ… ポタ… (右の手には先程の男の物と思われる『心臓』が握られていた。定まっていない視線は、何も見ていないようで何かを見ているようで、奇妙な形相だった)」
一般人男性「はぁはぁはぁ……―――― ぐあああぁぁっ!!! ドサァ…ッ…!(恐れをなしたかのように何かから逃亡している最中、背にズブリと鈍い音を受けて吐血し、力なく倒れ込んだ)」
轟々と音を立てながら燃え盛る建物は、やがて泣き崩れるかのように倒壊する。真っ赤な炎と血で包まれた街は、まさに地獄絵図以外の何物でもなかった…
――― 某街 ―――
――――それら、一色で染められた光景が走馬灯の様に、李劉冥の脳の中に流れ込んでいく。彼が目を覚ました時、幻術から解放されたかのように視界が元に戻る。しかしそこにはもう――――彼女の姿はなかった… 」
李劉冥の視界が停止する―――彼の目に映るのは真っ赤な空、真っ赤な掌、真っ赤な月、真っ赤な百合の花、真っ赤な歯車、真っ赤な羊、真っ赤なカーテン、真っ赤な雑踏、真っ赤な昆虫、真っ赤な泡、真っ赤な道化師の仮面、真っ赤な鈴、真っ赤な円卓、真っ赤な立方体、真っ赤な花畑、真っ赤な少年の後ろ姿、真っ赤な数字、真っ赤な巨城、真っ赤な片目、真っ赤な桜並木、真っ赤な少女の笑顔―――――――
李劉冥「(ぬっ・・・・・・!?) 」
ナナ「(目と鼻の先にその刃が迫った時―――)―――――― ク ォ ン ――――――― (開眼と同時に紅色の瞳が露わとなり、瞳の中に李劉冥を捉えた) 」
李劉冥「邪ッッッッ!(咄嗟に隠し持った鳳斬布を槍のように長く鋭くナナに飛ばす) 」
李劉冥は戦慄する―――――――――彼女にその"眼"を開かせてはなるまいと
ナナ「んー…それは無理かもしれないよ。だって――――――(眼帯をそっと外し固く閉ざされた瞳が現れる) 」
李劉冥「ほう、それはそれは特異なモノを持っておるな。どうじゃ?儂と共に来ぬか?(ヘラヘラとうさんくささはそのまま) 」
ナナ「(少し強くなった夜風で髪が靡く)…実は私、なんでも見えちゃうんだ。例えば、箱の中に入ったお菓子とか。例えば、月の表面がどうなっているのかとか。例えば、時計の中の機械仕掛けとか。例えば、鳥の脈打つ心臓とか。例えば、暗い海底を遊泳する魚とか。例えば、人の頭の中とか。例えば、人が考えていることとか。例えば―――――"今日ここでお兄さんと出逢うことになる結果"、とかね。 」
李劉冥「―――呵呵呵、なんのことだぁ?儂には・・・皆 目 見 当 が つ か ん な ぁ ? 」
ナナ「…… …… ……"お兄さんが知りたいのはそのこと"? 」
李劉冥「―――――呵呵、すまんすまん、見ず知らずの人間に話す気にはなれんな。申し訳ない、忘れてくれ。 」
ナナ「――――――――(李劉冥の問いに対し、平常を保ったまま無言する) 」
李劉冥「そうか。確かにここは美味いものが多い、きっと作物を育てるための水や肥料がよいのだろう。故にそれを食べて飲み育つ家畜達にも脂がのる。うむ、ここは優れた料理人も多いしな。それにはこの国の産物は欠かせんわけだ。―――して、お主はどこの国に還る? 」
ナナ「ぇ…? あ、うん、そうだよ。いつもこの国に来ては美味しい物を買って帰るんだ~。(うふふと嬉しそうに笑み、紙袋を大事そうに握る) 」
李劉冥「そう、なのかなぁ。―――あ、すまん、引き留めてしまったかな?お主、今から帰りか? 」
ナナ「でもでも、率先して行ってるなんてすごいことだよ。みんなお兄さんのことを見習うべきかもだね~!(腕を組んでうんと頷く) 」
李劉冥「大変だよ?いっつも儂が書いてるのだ。どいつもこいつも書きたがらないから・・・いっつも儂が書いておる。 」
ナナ「ふーんー… 見た目は立派な戦士なのに、結構インテリっぽいのね…(汗) お兄さんも大変なんだねぇー… 」
李劉冥「呵呵、仕方あるまいさ。兵士だものな。とはいっても儂の専門は年々デスクワークになっていっとるわ。報告書とか始末書とか始末書とか・・・。 」
ナナ「えっ…? …んー……(眼帯で覆われた片目ではないもう一つの目でまじまじと見つめる) んー…わかんない。あ、でも…―――――なんだか血の臭いがする。 …やっぱ気のせいかな。(たははと苦笑して) 」
李劉冥「――――どう見える?(あえて質問を質問で) 」
ナナ「へえ!お兄さん、兵士の方なんですか!?(わあと驚いてずいと近寄る)戦争…うん、確かに現在の世界は、争い事が絶えないね… お兄さんも、戦場で人を殺したこと…あるの…?(恐る恐る問いかけ) 」
李劉冥「うむ、ただの観光客よ。最近は戦争続きでゆったりすることもなかった。職場に申請し、こうしてバカンスを楽しんでおるというわけじゃよ。 」
ナナ「うーうん、違うよ。私他所から来たの。 へえ、心配してくれるんだあ。でも…お兄さんも、ここの人じゃあ、ないよね…?(ふふふと悪戯っぽい笑みを浮かべ) 」
李劉冥「(学生、・・・な)そうか・・・お主はここの国のものか?であるのなら、こんな時間に一人で出歩くなぞ、不用心ではあるな。 」
ナナ「…? ううん、いいよー。(はははと苦笑しながら)女王様かぁ~… えへへ、なんか嬉しいな。そう呼ばれるのは女の子の夢だもの。(ちょっぴり満足げに笑みを零す)…でも私にはなれないよ。だって、私、学生だもん。(優しいよ風で学生服のスカートが靡く) 」
李劉冥「ん、そうだが・・・・?・・・・いや、人違いならすまぬ。気を悪くせんでくれ。 」
ナナ「ス…(李劉冥の声に反応し歩みを止める)……?……?? (「私のこと?」と言いたげそうに小首を傾げ、不思議そうに李劉冥を見る) 」
李劉冥「呵呵、白の国の・・・"女王"殿であったかな?(ヒュッとブラックコーヒーの缶をゴミ箱に捨て) 」
ナナ「♪~(背後に手を組んだまま夜の閑散とした橋の真ん中を歩いている。両手には紙袋が握られており、鼻歌を歌いながら、時折天に浮かぶ月を仰ぐ) 」
―――青の国・街外れの橋―――
最終更新:2016年03月03日 22:23