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和京のお見合い(平行世界)
原村和です。お見合い19連敗中です。
ここまで来て私は悟りました。
「間違っているのは私じゃない! 世界の方です!」
そう。現実世界で相手を見つけようとするからいけないのです。
よく考えてみてください。
ほうら、画面の中にはより取り見取りのイケメンがたくさんいるじゃないですか!
髪の色だって選び放題! 性格だって好きなだけ! 相手の職業だって好きに出来ます!
決して裏切られることもなく、好きなだけイチャイチャ出来るんです。
危なかった……。危うく三次元に惑わされるところでした。
そもそも、私はネトマで有名になったんです。
私の世界は電子の世界にあるんです!
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「さて、今日もFF14をやりますか」
ネトマも一息ついたので、ネトゲに移ります。
天使のどっちのイメージが崩れる?
やれやれ、今時ネットゲームをやっていて2ch等と関わらないなんてありえませんよ。
ネトマの掲示板や情報一つ見ても煽り煽られ叩き叩かれの混沌。
超有名なニュースサイトも2ch・twiter・ふたばのまとめばかり。
否が応でもアングラサイトに触れてしまう昨今、それらに一切触れない女の子がいるでしょうか?
『私、ネット使うんだけど2chなんてわかんなーい☆』なんて言ってる子は絶対にアウトですよ!
大なり小なり関わってるはずです。
もちろん、『のどっちは運営の用意したプログラムだ』なんて言われた私がその世界にハマらないわけもなく……。
「また私に負けた人が騒いでいますね……。
IDを変えて、と。『負け犬の遠吠えじゃねーかwwwwww』
おっと、草を生やすのは時代が古いですね。
『負けたから文句を言うとか草生える』にしておきましょう』
ネットスラングも流行り廃りが激しくて困りますね。
かれこれ中学時代から10年以上ネットの世界に浸かっている私からしてみれば、新参に伝わらない言葉が多くて困ります。
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「和、またお見合いの相手を用意したぞ」
……ついに来ましたか。20人目の相手。
ここまで、19人斬りを成し遂げた私にふさわしい相手が見つかるとも思えませんが……。
父もいい加減諦めてくれればいいのに。
いやまぁ、気づけば私も28になり、クリスマスケーキも半額以下のお値段で買えます。
お相手を選んでいる場合ではないのはわかりますが……私にだって夢があるんです!
「会うだけあって見なさい」
「はい。わかりました」
しかし家にいる間は両親に従順です。
父も私のことを心配してやってくれているのはわかりますし、それを無下にするのも気が引けますからね。
「相手の写真とプロフィールはここに置いておくから、目を通しておくんだぞ」
そう言って父は部屋の隙間からアルバムのようなものを差し込んできました。
以前、勝手に部屋に入った時に蹴り飛ばしましたからね。
最近は気をつけるようになったので、嬉しい限りです。
お相手の方も、ちゃんとプロフィールを見たいところですが、今は縄跳びの最中です。
後で見ればいいでしょう。
……その後ネトゲとネトマのループに陥った私は、相手の写真を見ることもなく本番に出向くことになったのでした。
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「はふっ、はふっ」
「和、落ち着きなさい……」
お、落ち着けるわけがありません。
ここまで28年間、男性と話したことは数少なく、親しい男友達なんて一人しか出来ませんでした。
最後に会話を交わしたのは高校時代。その後のお見合いもいつもこんな感じです。
「お、落ち着きます。
デュフ、フヒッ、オゥフwwwwww」
「(今回もダメか……)」
父の哀れむ視線が痛いです……。
私だってこんなことになるなんて思いませんでしたよ!
ああ、高校時代が懐かしいです。
思えばあの時が私の黄金時代でした。
ゆーきと咲さんという友達がいて、全国制覇を成し遂げた時代。
あの一年が私にとっての絶頂期で、そこから先は転落するばかり……。
そう、全ては歯車が噛み合わなくなった、あの時に―――
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/\'´ /{ | 从{__,. \∨Vソ }イ ト、 ∧{
////\ r--- ´八 !∧  ̄ ,: :.:.: }/ノ/ リ 「和……か……?」
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//////////〉 込、 __ ,.: /
///////// / }>、 ` イ |从
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{少′ / ,i l ト、 i ,ィマ、
Y / /// | l| | ハ 辷='/|:..ヽ\
イ ′ / | { | 从、| } |彡' /|:.:i:.:.|,∧
. { | l |ィ爪 {(リ八「了 メ、 彡个rイト、
リ、_! l リィチfト '行タト、彳,ィl |:.:| |:.:i
l_,以 { ヒtリ ヒztリ |f リ| |:.:| |:.:|
「 l 「ト'" ' '""' _,イ | |:.:| |:.:| 「須賀、君?」
} } ハ tっ ィ' ) ,j リ 刀 「
/ /,イ| |l>、 ,ィ |ノイイ / リ |
/ /リ |:! !仏ィ_〕¨ 》,// / /| !
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「おおっ!? 知り合いか!
じゃあ後は若い二人に任せよう」
父はそう言って私と須賀君を二人きりにしてしまいました。
……ものすごく気まずいです。
何せ、私と須賀君はあの高校一年生のインターハイが終わってから会ってないのですから。
「その、相手を聞いてなかったんだけどさ。
和だったら気兼ねしなくていいや」
「え、ええ」
そう、須賀君はインターハイが終わった後、私たちに何も言わず、転校していきました。
詳しい話を知っていたのは咲さんだけでした。
でも、咲さんは詳しい話を言おうとはしませんでした。
「今なら、聞いてもいいですよね」
「……大した話じゃないんだけどね」
おおよそ、お見合いの雰囲気とは思えない空気が場を覆っています。
「勝手な話なんだけどさ。
みんながインターハイで活躍してるのを見て、俺ももう一度頑張ってみたかったんだ」
「何を、ですか」
「ハンドボールだよ。中学生の頃にやってたんだ。
だからそこそこの強豪校に転校したんだ」
須賀君はバツが悪そうに頬を掻き、目を逸らしました。
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「やっぱりほぼ1年間やってなかったブランクもあって、そんなに結果は出せなかったよ」
「そう、ですか」
「でも、あの時のみんなに少しでも近づけたんじゃないかって思ってる」
うっ、須賀君の笑顔が眩しいです。
い、言えません。その後の私たちはなんとなく気まずい雰囲気になって、まったく結果を残せませんでした。
咲さんはそれから隙間を埋めるように麻雀に打ち込みました。
ゆーきは須賀君のことが好きだった分ショックが大きかったようで、しばらくは消沈していました。
私は、その、寂しかったのは間違い無いんですが、二人ほど豹変したりはしませんでした。
問題は、夏休みが明けた後に起こったんです。
優勝したことが原因で入部希望者が殺到。
染谷先輩が頑張りはしましたが、もともと多くの人数を捌ける部活ではありません。
機材も何もかも足りませんでしたし、私たちは『男の子』のイメージがなかったのです。
ゆーきはそういった人たちにも素晴らしい対応を見せてはいましたが、染谷先輩とゆーきだけでは人手が足りず。
もともとの私たちの人数を遥かに上回る入部希望者によって、あの小さくとも居心地のいい空間はなくなってしまいました。
あの時、須賀君がいれば……なんて思うのは、さすがに身勝手が過ぎますね。
「それに、何より咲に見合う男になりたかったんだけどな……」
「?」
「いや、何でもないよ」
何処となく寂しそうな顔をする須賀君。
その意図を掴むことはできませんでした。
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「そ、それで、和がこんなところにいるなんて意外だよね。
すごく美人になったし、男が放っておかないでしょ」
「び、びじっ!?」
い、いきなり何を言うんですかこの人は!?
「小学校の先生になりたいって言ってたもんね」
「しょ、しょれより須賀君は何をしているんですか!?」
「俺?
俺は日本ハンドボールのプロやってるよ。
あんまり有名な選手じゃないけどね。1.5軍くらいかな。ハハハ……」
そ、それでも十分に凄いじゃないですか!
よく見れば須賀君の顔にもハンドボールで受けたものか傷の跡がありますし、手のひらもボロボロです。
高校時代でも大きかった身長にさらに筋肉がつき、一回り大きくなったように見えます。
す、須賀君なら、私も素を見せられるかもしれませんし、高校時代のようになることが出来れば私だってお嫁さんに……。
勇気を出すのです、原村和! ここで彼を捕まえなければ一生独身ですよ!
「しゅ、しゅがくん!」
「お、おう?」
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/_ -7 , | l ト、| |ヽ! N , 斗 r ,'_ ト--`
 ̄ //! ! Nヽ!\|,//l/ l/! N ,ハ !|
´ / ,i丶 {=== l/ == =l/ ' ノ リ 「そ、その、和。
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´ {ハ!ヽ{ ′ /!}/ ′ また今度暇なときにでも遊ぼうな……。
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\ / | 今日はとりあえず帰るよ……」
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ハ:.:.:.i:.,:.:,′:.:i `  ̄ /:.:.:.:.:../:.:.:.:.:.:.:.丶、
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人.. V } :!:ヽV/'/l;;;_/ Y ..人 !
. / ヽl l ! [__] / .l i/ ヽ|
人と喋るのが久しぶりで、うまく喋れなかった気がしますが、次の約束を取り付けられたのでOKです! カン!
最終更新:2015年12月04日 22:39