アットウィキロゴ

盛ってる京咲をシロが覗いてる・京太郎の浮気疑惑に慌てるシロ(平行世界)



 1/11

 296
 盛ってる京咲をシロが覗いてる
 301
 京太郎の浮気疑惑に慌てるシロ(平行世界)


 「んじゃ、シロ姉。今日も帰りは遅くなるよ」

 「……わかった」


 最近、京の帰りが遅い。

 バイトを始めたというのが原因だが、それだけではないのがわかっている。

 京から女の匂いがする。

 本人は気づいていないつもりでも、女の子は男の匂いに敏感だ。

 ふと漂う香水の匂い一つから疑いを持つ。

 大学生では京の付き合いもあるわけで、そこまでを制限はできない。

 そうして全てを制限してしまえればどんなに楽かと思えるが、そこまでの自由を奪ってしまっては京ではなくなってしまう。

 これも惚れた弱みかと思いつつも、彼の着ていたシャツの匂いを嗅ぐ。


 「香水……」


 べっとりと付いたわけではないが、確かにいつもの香水の匂いがする。

 彼が働いている現場の同僚がつけている香水かもしれない。

 匂いというのはかなりきつくつくもので、彼と触れ合っていなくても同じ空間にいればついてしまうこともあるだろう。

 冷静に自分に言い聞かせるが、感情が納得してくれない。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 2/11

 「なんで京と同じ空間に女がいるの」

 「違う。

  それじゃ京の自由がなくなってしまう」

 「京には私だけいればいい」

 「違う。

  たまたま同僚にこの香水の人がいただけ」

 「同じ空間に存在すること自体が許せない」

 「ダメだ。

  そんな無茶は通らない」

 「なんでそんなに我慢するの。

  京に近づいた女が悪いでしょ」

 「……やめて。

  そんな考えじゃ、私も京もダメになる」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 3/11

 どんなに理屈で説得しても、感情は反発する。

 不安で胸が押しつぶされそうで、吐き気とめまいに襲われる。

 もし、自分から京が離れてしまったら、別れようなんて言われたら壊れてしまう。

 私を安心させて欲しい。

 もう家から出ないで私だけを愛し続けるといってほしい。

 外に出るだけで雌猫どもは京に色目を使う可能性が出てくる。

 そんなの嫌だ。京は私だけのものだ。

 不安だ。不安だ。

 どうすればいい。

 ……京が私の元から離れないようにするには、どうすればいい?



 それは恋人の誰もが持つ些細な不安。

 それでも、その時の私にとっては押しつぶされそうな不安。

 誰かを取られたくないなんて初めての経験で、気持ちをどう落ち着けていいかわからない。

 どんなに深呼吸をしても、鼻を刺激する香水が全てを壊していく。



 もし、京と私だけの楽園があれば―――

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 4/11

           ___/ / /        \   \
           ⌒フ / ,  /   l 〈     \\ \
           /  / /  /  /| \      ∨ \ \
         /  / /  /-~/-| {  \~ー 、'   \ )
           〈 /   |  |八Ν__八{   | _\  ∨  l|′
          /    l|  l ァ┼ ┬ \N┬‐┬  | |  リ
        〃   / l|\_从 乂゚_ノ     乂゚ノノ}∧l/}
          八/ / ,八 入         、   ,,, ,′ ト、ノ
.             { /   }\__              ′ | 「それがあったら、どうするつもり?」
.            从  八{ 込、   ∠>  . イ^| }八
                ∨  \从_}> . __ イ 八jノ  )
                   / \__  Κj/
                    _/  //〉_∧ ‘,
               /:.∨ ,///   ∨ }: : ..
            . .:´: : : : :∨//\__//∨: : : : : `ト、
             /∨: : : : : : : :∨\:i:i:i/ {:.: : : : : :.:| \
          {  ∨: : : : : : : :\/:i∧\{:.: : : : : :.:|   ∧




      //ア    /  / イ   :ト、    \      \        \   \
.     // /     /  /  |    | \    \      \       \   \
.      /′i    /  /i   |    │  \      `ヽ      `ー- 、      Y⌒ヽ}
     {  |  ,:イ   :ハ`¨´`T´   |  、  \ト、  ヽ `ー- 、    \_   }
         |  | |  ト、ハ≫=zzz、   !   `¨´`¨´`¨´`¨´   |  |\    ヽ`ヽノ\
.      人  | |  |  代 {  __} \|    ィ=- ..,,__\ト、 j │ \    }     \
         \! 〉、 !  :. 乂_フ     ´下¨¨“_卞ゝ  jイ  ノ    ヽ  ノ      i
           /  ヽ ハ             弋  `フ ノ  j/`ヽ    j/       |
.           / /   / :.    ,      `¨¨´        ノ      ト、   ト、  }
         i  |  i :从                       /  ト、   | ヽ.  ; } / 「……私?」
         l 人  ト、  ト、    _          rー-イ  イ ! \ !   } / j/
         ∨  \! ∨V .>   `       イ {ス人jヽノ jノ    jノ  j/
               , ´∠ニニ>、 _ ... イ   /  \
                  / /ニニニニニ7   λ    /    /入
              /  {ニニニニニ7/「八.  /     //二\

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 5/11

 音もなく現れて目の前にいるのは、見間違うこともない自分の姿。

 鏡などは置いたつもりもないし、目の前の自分は好き勝手に動いている。


 「あなたの理想郷は存在する」

 「……!!」

 「働く必要もない。他のすべてと関わり合うことはない。

  あなたと京だけの理想の園」

 「そんなもの……」

 「信じられなければ見てみればいい」


 まるで新幹線が動く瞬間のような違和感を覚えたと思ったら、そこには異世界。

 岩手の田舎を思い出すような緑の世界に、大きな屋敷。

 季節を無視した様々な花。

 美しいとしか形容のできないその姿に、圧巻した。


 「ここならばあなたと京は静かに暮らせる」

 「……」

 「あなたなら、どうする?」


 目の前の自分は手を伸ばした。

 私は、その手を―――

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 6/11

 ……
 …

 「ただいまー」


 なんだかんだで思ったよりも遅くなってしまった。

 シロ姉、怒っているかな?

 どうも心配性だから、しばらくはムスッとして怒られるかもしれない。

 電気が消えているから、もう寝ちゃったかもしれない。

 明日は朝一で謝らないといけないな、などと考えていると、机に突っ伏して寝ているシロ姉を見つけた。


 「おかえり、京」

 「シロ姉!?」

 「私、待ってたよ。ここで、待ってた」


 どこか虚ろな眼差しをしている。眠いのかな?

 あんまり心配させるのも彼氏失格だよな。


 「シロ姉、起きてたならこれ」

 「?」

 「初任給で買ったプレゼント。

  これから寒くなるからさ、マフラー買ったんだ。

  それに、シロ姉カッコイイ系だし、似合うと思って」


 シロ姉がマフラーをしているところを想像する。

 ボケーっとしている時ならともかく、真面目な表情ならばさぞ似合うだろう。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 7/11

      //ア    /  / イ   :ト、    \      \        \   \
.     // /     /  /  |    | \    \      \       \   \
.      /′i    /  /i   |    │  \      `ヽ      `ー- 、      Y⌒ヽ}
     {  |  ,:イ   :ハ`¨´`T´   |  、  \ト、  ヽ `ー- 、    \_   }
        |  | |  ト、ハ≫=zzz、   !   `¨´`¨´`¨´`¨´   |  |\    ヽ`ヽノ\
.      人  | |  |  代 {  __} \|    ィ=- ..,,__\ト、 j │ \    }     \
        \! 〉、 !  :. 乂_フ     ´下¨¨“_卞ゝ  jイ  ノ    ヽ  ノ      i
          /  ヽ ハ             弋  `フ ノ  j/`ヽ    j/       | 「……ありがとう」
.           / /   / :.    ,      `¨¨´        ノ      ト、   ト、  }
         i  |  i :从                       /  ト、   | ヽ.  ; } /
         l 人  ト、  ト、    _          rー-イ  イ ! \ !   } / j/
         ∨  \! ∨V .>   `       イ {ス人jヽノ jノ    jノ  j/
               /.:.:/:.:.:./‐/ >、 _ ... イ     ゝ   ヽ
                 l.:.: ′:.:.|‐|    λ´            ` < _
.               人::|:.:.:/::|‐|     `ヽ   ィ´        / 7:.:.:. ’,
                Y:.:.:.';:.:/:.:.:|‐|                     / /:.:.:.:.:.:.:.:
             }.:.:.:.Ⅳ.:.:.:.|‐|                    , ' ソ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:



                    /\-――‐- 、
              , --=7   丶      `ヽ
         /,             ヽ  ヽ
        ∠/       /      、 、  丶  i
        /       i     ! l.  l i.  i |
       /  ,/  ! !  l||   ! |、 ll !  |  ヽ、
      /_ -7 , | l ト、| |ヽ!  N , 斗 r  ,'_  ト--`
     ̄  //!  ! Nヽ!\|,//l/ l/! N ,ハ !|
       ´ / ,i丶 {=== l/ == =l/ ' ノ リ
        // l i `i           _/,、/ 「どーいたしましてっ!」
        ´   {ハ!ヽ{    ′      /!}/ ′
              丶  ー ―‐ '  / |′
               \    /  |
                __ i ー '     ! __
          , ィ'´:.:/-‐ ´}     /  `Y´:.:.\
      , -‐'' ´:.:./:.:.:./― - 、   ,/__ /:.:.:.:.:.:/`丶、
      ハ:.:.:.i:.,:.:,′:.:i     `    ̄    /:.:.:.:.:../:.:.:.:.:.:.:.丶、
    /:.:.:.i:.:.:|,':.:i:.:.:.:.:!   ヽ  /   /:.:.:.:.:.:/:.:.,:.:.:.:.:.:.:.:.:,.ヽ
     !:.:.:.:.ヽ:.{:.:.l:.:.:.:.:l.     i     /:.:.:.:.:.:/:.:./:.:.:.:.:.:./:.:.:.i

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 8/11

 ……
 …

 「霞、ありがとう」

 「私は何もしてないわよー」


 結局、私の手を受け取らずに待つことを選んだようだ。

 胸が痛くて、苦しくて、何もできない中で待つのはとてもつらい。

 それでも我慢して、京を信じることが出来たみたいで良かった。


 「相手を信じられなければ、いつか必ず破局する」


 ふと、こちらの京を見る。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 9/11

 「うげー、気持ちわるー」

 「あっ、京ちゃんおかえりなさ……。

  また飲まされたの?」

 「いや、酒は控えめにしてたんだけどさ。

  連れてかれた店が臭くてなんのって……」

 「……そう。

  おっぱいが大きなお姉さんはいた?」

 「いやもう、すごい人が……。

  あ、あの、咲さん?」

 「香水の匂いでわかるよっ!

  キャバクラにでも連れて行かれたんでしょう!?」

 「ゲーっ!?

  つ、付き合いでな!?」

 「ふーんだ!

  とりあえずその匂い、全部洗い流すんだからお風呂に入るの!」

 「あ、はい。

  ……あ、あの咲さん、なんで一緒に脱いでるの?」

                           ┐
                    /::::/
               /  /::::::::/...-―≠ニア{
                   /{ /:::::::::::::::::::::::::::::::-=<...
               {::∨::::::::::::::::::::::::::::::::::-=く:::::\
                   〉::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\⌒
                 /:/:::::::::::::::::::::::::::\::::::::::::::::::\
               /:::/::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.⌒丶  __
           ⌒i::|:::|:::::|::|:::::::::|:::|::::::::|::::::::: |::::::|乂__ /: :.:|
             |::|:::|:::l:|::|::::l:l::|:::|::::::l:|::::l:::: |:l::l:| ̄/: : : : |
             |::|:::|:::l:|::l::::l:l::|:::l\从:::l:::: |:l::l:l/: : : : : :/ 「匂いを洗い流したら、上書きするからだよ?」
             |从:|::从八从乂{´廴}乂::::从劜: : : : : :./
                )イ::圦     ,     ∧/----: : :__:_/
                   }//> . - . イ:::::: : : : :/´ ̄∨ ̄ ̄\
.            ___∠{: : : : : :| ̄ _」::: : : : :./    l|     | |__
            //   ∧: : : : :.ー―.:: : : :/} ___ }   リ リ
            ノノ   \{ {\: : : :.  .: : :/ニ/ l/ ̄\__彡'--  、  \
           { {     ̄ハニ、:_:_:.//ニニ/   |            \   \
           /\   ___/  |`ー ‐┼┼≦___} -=ニ三三三三ニ=-  \   \
        /  / ̄ ̄   八   ,{三三三三三三三≫  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`   \
      .  ´   /         }    \三ニ=- ̄{ ̄ ̄               \
   /   /            |     \三三三ニ=- __
  /   /            _|     /≧=====┬=ニ三三三ニ=--
. /                / {廴___/´  / ̄ ‘,    ___ .... . -――-
/ /         ____. .: ::|  \     ___/  --- ‘,  /: : : : : : : :./::}:_:_:_/::
,/   / ̄ ̄/: : : : : /: : :人    ̄ ̄   /: :|: :\: : ̄: : : : : : : : : :/::/: : /::::::

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 10/11

 ……
 …

 あそこまではいかなくても、生きていく上で相手を信じなければやっていけない。


 「ねえ、少し聞きたいんだけれども」

 「どうしたの?」


 神妙な顔で霞がこちらを見つめてくる。


 「もし、あの子がマヨイガを求めていたらどうするつもりだったの?」


 ああ、確かにそれはあり得る話だ。

 あれだけ追い詰められていれば、目の前に差し出されたご馳走に手を出してしまうこともあり得るだろう。

 それがいけないことだ、なんて言うつもりはない。

 ……客観的に見れば、の話だ。

 もし、その手を取ってしまうのであれば―――

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 11/11

                    / / `ヽー、     ー、   `ー /´
               _ -‐ァ'/       ´⌒ヽ  、 ヽ、_ 彡 ´
              /⌒ィ'´ /            ',  \  ヽ
                /´ア´ /  / /       !   ',   ヽ
            ({ /  ノ  / /       ! l    \   、   \
             `Y ィ´   / /    i l  '.   、 ヽ.  ',_  `ー-
             / /    /イ/i{    j{ j  、      \ ヾ  ̄´
            , ィア,' イ  /`7~ヽ   ハ 八  (ヽ    ト、 }  ー、
           j/ / { { イzx、_エ、  j |~~、 ヽ Y`ヽ }! ソ \}⌒j
             ´ {  ヽハ、{i  佞i「ヽ. ハ{\{zュ.jYハ }  〉ハ    ヽ.
             ∨   ハ `  ̄   \{ ヽ `芒!リイ ノ /イ     ハ
              ヽ { j! !    、     } ヽ!  〈 /フ   j!  / リ 「京を悲しませるのなら、自分だって許さない」
               `ヘハ ト          j       /´j}   ハ ノ
                  `  \  ゚ `   /    / ノ j_ノ ´
             _ -=ニ7⌒ヽ __ .. イ    / `7=ュ。_
            イ  「ニニニ7   人j  ハ   〈  /ニニニ´⌒ヽ
           ´ i  ニニニ{  /l] `Y  ',   V /ニニ/    '.
               l  ニニニ、/!  [! (   '.   Vニニ7       }
      /     ハ  ニニニニニ|  マ、  ィハ    Vニ7        ′
     /       ',  ニニニニニ|  マ、ィ´  。    V       /

最終更新:2015年12月20日 23:49