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麻雀プロになった宮永姉妹を支える京ちゃん
いい匂いにつられて目が覚める。
これは目玉焼きの匂い……。ベーコンとウインナーの匂いもする。
急いで台所に向かおうと思ったけれど、お布団の暖かさが恋しい。
ぐぬぬ。それでもお布団なんかに負けてはいられない。
勇気を出して、さぁ一歩を踏み出そう。
「おねえちゃん……」
一緒のお布団で寝ている咲の寝言が耳に入る。
咲はとっても甘えん坊で、起き上がろうとする私を離そうとしない。
「もう……」
ポンポンと頭を撫でてあげると、『にへへ』なんて笑い出す。
ほんと、どんな夢を見ているんだろうね。
頬っぺたをツンツンとつついて見ると、『うぐぐ』と呻きだす。
もーちょっとだけ、お布団の中にいようかな?
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「おはようございます!」
「おはよう」
「京ちゃんおはよー……。
まだ眠いよぉ」
「ほらっ、寝癖がすごいぞ」
「わわわっ。自分で直せるよぉ」
「いいから動くなって。
ご飯食べるときにもちゃんとしなさい」
朝から京ちゃんとイチャイチャする妹を見て、ちょっとムッとする。
私はちゃんと髪だけでも整えてきたのに、何も言ってくれない。
それに、京ちゃんに髪の毛を整えてもらえるなんて羨ましい。
ムッとして頭を京ちゃんに差し出すと、『あはは……』なんて笑いながら体ごと抱きしめられる。
むふー、咲に勝った。
「あー! お姉ちゃんずるい!」
「ずるくない。
咲だって髪の毛を整えてもらっていた」
「はいはい。
言い争いは後にして朝食食べますよ」
「「はーい」」
そんな些細な姉妹喧嘩も、京ちゃんの前では形無しだ。
一度ご飯を食べ始めれば『今日も朝食美味しいね』とか『ウインナーの焼き加減が最高!』なんて話題で埋め尽くされる。
そうして褒められて照れている京ちゃんを見るまでが朝の出来事だ。
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「お姉ちゃん、麻雀は別腹だからね!」
「ふふっ、咲。
別腹の意味がおかしいよ」
「あ、あれっ?
その、麻雀では手加減しないんだからね!」
ちょっとポンコツな咲が可愛らしくて、年甲斐もなく抱きしめたくなる。
私たち姉妹は麻雀のプロ、そして京ちゃんは私たちを公私ともに支えてくれるマネージャーだ。
二人して全日本代表となって、仲間であると同時に所属チームは違うからライバルでもなる。
咲とこうして一緒に戦い、競い合う。
本来ならばどちらかしか出来ないような夢だったのに、咲はそれを叶えてくれた。
「前に一緒にいられなかった分、今甘えるんだもん」
「咲は本当に甘えん坊」
「えへへー!
そのために頑張ったもん!」
トテトテと私のあとをついてくる咲の頭を撫でてあげる。
もう、いくつになっても甘えん坊なんだから……。
「咲、照さん。準備できましたよー」
「お姉ちゃん、行こっ」
「二人とも酔い止めはしっかり飲んでなー」
そして高校でも大学でも、プロになっても辛い時に支えてくれた京ちゃんがいる。
そう、私たちは絶対に負けないんだ。
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「疲れたよぉ」
「確かに、疲れたね」
プロとしていろんなところを飛び回る以上、仕方ないことだ。
それでも慣れるのには時間がかかる。
まして、海外にも行くこともある。
今回の遠征は本当に疲れた。
「今日は私の日だよね?」
「違う、私の日」
「ぐぬぬ……」
「譲らないもん」
家に帰って京ちゃんのご飯を食べて、京ちゃんが洗い物を始める。
そんな時に始めるのは、今日の京ちゃんのお相手の話だ。
ちゃんと分担して、京ちゃんの体力も加味して日程を組んでいるんだから、そうそう譲ることはできない。
こればかりはいくつになっても譲らない。
「咲は疲れたんでしょ」
「お姉ちゃんだって言ってたじゃん!」
「これは別腹」
「疲れた時には京ちゃんに甘えたいの」
「それは私だって同じ」
ムムム、と二人でにらみ合う。
正確には今日は『京ちゃんの休養日』なのだが、疲れているからと甘えていれば頑張ってくれることを知っている。
だから『お誘い』するのはどっちか。そういう骨肉の争いなんだ。
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「ったく、何やってんだか」
「あっ」
「きょ、京ちゃん」
食器洗いを済ませ、手を拭きながらこっちに向かってくる。
困った。喧嘩しているところを見られたかもしれない。
喧嘩をしていると両成敗で『今日はなし』なんて言われちゃうかも。
そうなってしまえば姉妹喧嘩どころではなくなり、二人がかりで京ちゃんに謝り始めるのだ。
「こ、これはね?」
「喧嘩してないよ!?」
「咲、誤魔化しが下手」
「お姉ちゃんもそれ言っちゃダメじゃない!」
「二人ともなァ……」
うぐっ、これは怒られる。
二人してちょっと涙目になりながら京ちゃんの言葉を待っていると、京ちゃんはニヒルに笑った。
「二人ともまとめて相手にしてやるってのに、ずいぶん余裕じゃん」
「「ぁぅ」」
『キラーン』なんて聞こえてきそうな笑いに、咲と二人で顔を俯ける。
京ちゃんは両腕で私と咲を抱きかかえ、そのままベッドに運んでくれた。
二人同時に運ぶなんて、男らしい……。
あっ、京ちゃ……。
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……
…
「朝だからみんな起きてきなさーい」
気だるさを感じて目蓋を開ける。
あれ、咲の声だ。
朝食のいい匂いが鼻を刺激する。
宮永家の朝食はベーコンエッグにウインナー、ワカメと絹豆腐のお味噌汁だ。
毎日嗅いだその匂いが、それを現実だと教えてくれる。
「あっ」
さっきの、夢だったんだ。
それに気づいたと同時に顔が真っ赤になる。
ま、また京ちゃんと一緒になってる夢を見ちゃった。
京ちゃんと一緒で、咲もいる。私にとって一番幸せな世界。
恥ずかしくて恥ずかしくて、起き上がるのを拒否して布団の中に潜る。
咲が引き剝がしに来る前に、顔が赤くなっているのを直さないと……っ!
「?」
と、思っていたら布団の中に異物を感じた。
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「きょうちゃ……!!」
声を上げる寸前で押さえ込んだ。
何で京ちゃんが私の布団に寝ているんだろう。
ますます顔が赤くなって、冷静な判断ができなくなる。
どんな麻雀の大会よりもパニックになっていると思う。
とりあえず服を確認するが、二人ともパジャマを着ている。
よ、よかった……?
「これはまずい」
昨日のことをよく覚えていないが、よくないパターンなのはわかった。
そのうち咲が私たちを起こしにくるだろう。
その時にこの状況を見ればどうなるか、……京ちゃんポイントの没収は確実だ。
それは避けなければならない。
でも、京ちゃんは私の腕を掴んで離してくれない。
あまり強く掴んでいないから起き上がろうと思えば起きあがれるけれども、私の意志が弱すぎて離れられない……。
「こ、これは……」
毎朝こんな思いをしながら、宮永家を支えるために一番早く起きる咲の凄さを知った。
咲はすがりつく京ちゃんを振り払って早く起き、暖房で暖まるまで寒い家の中で朝食を作っているんだ。
私なら思い切って京ちゃんの胸の中に飛び込んで二度寝する。
今も正直危うい状況だ。京ちゃんの匂いと胸板という狂気の前に理性が決壊寸前だ。
「うぐぐぐぐ……」
とにかく、起き上がらないと……。
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「あっ、お姉ちゃんは起きてるじゃん」
「咲、これは……」
なんとか弁明しようとするけれど、言葉が出てこない。
咲は『?』なんて表情をしていたけれども、やがて状況が把握できたのか、こちらに近寄ってくる。
「お酒は抜けた?」
「え?」
「もー、昨日は京ちゃんもお姉ちゃんも酔って帰ってくるから大変だったんだよ。
寝ちゃったから二人で転がしておいたんだ」
よく見ればここは咲と京ちゃんの部屋だ。
ああ、なるほど。そういえば昨日は友達と飲んで帰ってきた気がする。
名残惜しいけれど起きないとな、と思ったところで咲に制される。
「?」
「しっ、静かに……」
可愛らしく指を唇に当てて『しー』なんてしてくる。
何が何だかわからないうちにお布団をゆっくり剥がされ、寝ている京ちゃんが露わになる。
「ほら、いじって大丈夫だよ?」
「!?」
「京ちゃんはなかなか起きないって知ってるでしょ?
起きない方が悪いからイタズラしちゃお?」
咲はそんな小悪魔な笑みを浮かべながら京ちゃんのほっぺたを引っ張っている。
私も恐る恐る胸板を突っついてみる。……ずいぶん前にそんなことをしながら思わずキスをしてしまったことを思い出して真っ赤になる。
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{八:{ \:{とヒこソ ヒこソっ: イ: :| \} 「えっへへー、起きるまでイタズラしちゃうぞー」
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从{∧ _ _ 人:∧{
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カン!
最終更新:2016年01月20日 22:12