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シンデレラ(平行世界)



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 【シンデレラ】(平行世界)



  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:nodoka

 髪を美容院で整えて、お化粧して、バッグも買って、服も下着も用意しました!!


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 いろいろと気遣いができるともっといいけど、のどっちにそれを期待するのは酷


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 普段からやってないことをやろうとするとボロが出るからやめときーな


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 のどっちが普段やってること……自演?


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 何事もほどほどにってことやねん


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 水筒女子とかの方がいいんでしょうか


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 多分大人はそんなに気にしないと思うよ


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 相手次第としか言えない


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 水筒女子に惹かれる気持ちもわかる


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 お弁当とか作れないっしょ?


  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:nodoka

 お弁当なら作れますよ。料理は得意です!


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 う、嘘ぉ……


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 【朗報】のどっち、麻雀以外の特技が発見される

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 弁当はやめとけ、相手のデートプランが崩れるかもしれない


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 高級レストランとか予約してたら問題だからね


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 アピールポイントにはなると思うけれど、大人のデートだと難しいよね


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 今回じゃなくていいでしょ。次はお弁当作ってきますって言うだけでポイント稼げる


  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:nodoka

 わかりました!


  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???

 気楽になー


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 力抜けよー


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 応援してるぞー


  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???

 デート中はこのスレ見るなよー


  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:nodoka

 みなさん……


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 お礼なら全部終わった後でいいから行ってこい!


  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:nodoka

 はいっ!


  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???

 〜その後、のどっちの姿を見たものはいなかった〜

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 原村和です……。


 「ヒフッ、デュフ、ハフッ」


 過呼吸になりそうなくらい緊張してます。

 前回のお見合いから大体一ヶ月くらい。

 やり取りはラインのチャットと通話だけです。

 それでも一ヶ月もやり取りをすれば通話くらいは慣れていたのですが、実際に会うとなればもうだめそうです。

 何度も自分の姿を見直して、バッグを漁り、挙動不審になりながらも待ちます。


 「と、とりあえず座りましょう」


 駅前にベンチがあったので、タオルを敷いて座ります。

 こういったさり気ないところは住民さんに教えて貰ったところです。

 気にしない女の子の方が好みの男もいると聞きましたが、最後に決めたのは自分です。


 「(須賀君にちょっとでも可愛い姿を見せたいじゃないですか!)」


 中身はドロドロでダメダメなのは自覚してますよっ!

 それでも、ちょっとでもよく見せたいんです!

 新品の服でオシャレしてきたと伝えたい。そのためには汚れもない方がいい。

 あなたのために頑張ったってわかってほしい。そのために少しの手間は惜しまない。

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 「(恋する女の子って、こういう気持ちなんですね)」


 学生時代には考えられなかった感情。


 一般の女の子たちがこうして恋愛話に花を咲かせている中、私は全く関係のないことをしていました。


 その時は『恋愛なんかに浮かれる気持ちなんてわかりません』と思っていましたが、そんな考えがバカらしくなるくらいのふわふわとした気持ち。


 「こういうことだったんですね」


 ちょっとでもよく見られたい。


 可愛いって言って欲しい。


 喜んでほしい。


 そうやって日々を過ごすことが、女の子たちの青春。


 だから今、とっても楽しいです。

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                    |       ' ノ_,」// |    |/()|       待たせちゃった?」
                 :.   /´ //////∧_ r '///>- 、
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   ヽ:::::.{',从|レィ==、   ィ==x .リ/:|」|
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     |:.:.|',| : :人    r─‐┐  ハ/  /:|
     |:.:.|::| : : |> , `.-- ' ,∠// /! :|    「いいえ、今来たところですよっ!」
     |:.:.|::|   .:|ィ‐=_,,} ー  {.__//゙ /_.| i|
     |...:|::| ! :リ.|::::{_   __.//゙ / ヽ!|
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 声が裏返ったらどうしようだとか、ちゃんと喋れなかったらどうしようという悩みは一瞬で解決しました。

 彼の姿を見た途端、自然と笑みが浮かんできました。

 それにそれにっ、なんだか恋人みたいなやりとりじゃないですか! 憧れですよ!


 「須賀君こそ、お仕事で疲れていませんか?」

 「ダイジョーブ!

  デートの日は元気になるだろっ!」

 「そういうものなんですね」

 「しかし和は綺麗になったよね。

  高校時代は可愛いって感じだったのに、今は立派な美人さんだよ」

 「お、お世辞はやめてくださいっ」

 「えーっ。多分みんなそう言うと思うんだけどなァ」


 ジーッと私を見て爽やかに笑う須賀君は、高校生の時を思い出します。

 一番初めて会った時からコミュ力が高い人でしたが、ますますそれに磨きをかけたんでしょうか。

 それにしても、どこか女慣れしてますね……。

 ま、まぁ須賀君もこの歳になって初めてのデートってわけではないでしょうし、それはそうですよね。


 ……むっ。なんだか知らない女の人にムカムカします。


 「のどかー。笑ってー」

 「ひゃっ。し、下から覗き込まないでくださいよ」

 「だって何か考え事してウンウン唸ってるんだもん」

 「そ、そうでした?」


 いけないいけない。

 須賀君の前だけでも『可愛くて愛想の良い原村和』でいなければいけません。

 心がけを忘れないで、気をつけましょう。

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 「今日は俺がデートコース決めちゃってるけどいいよね?」

 「はい。

  ふふっ、期待していますよ」

 「おう、任せとけっ」


 自信満々に言いだす須賀君に笑みがこぼれます。

 もう、そういうところは変わっていないんですね。

 先導してくれますが、手をつないだりはしてきません。

 ま、まぁまだ早いですよね。初めてのデートですし。

 ただちょっと憧れていたので肩透かしというかなんというか。

 それにこの年齢になっちゃうと手をつないでのデートも恥ずかしいですよね。

 ああっ、なんで私は甘酸っぱい青春を送らなかったんでしょうか!


 「そんなに歩かないようにするよ」

 「いえっ、頑張れますよ」

 「そう?

  まぁそれは次の機会だね」


 あんまり歩くコースだと落ちきった体力が響くのでちょっと安心しました。

 しかしこれは完全に手慣れてますね。

 でもそんなところにちょっとドキドキしちゃいます。

 もう、卑怯ですよっ!

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 ……
 …

 「水族館なんて久しぶりにきました」

 「大人になっちゃうと来ないよね。

  まっ、高校生でもあんまり来ないか」


 須賀君に案内してもらったのは水族館。

 やっぱり鉄板でしょうか?

 ディズニーランドとかは今の時間からだと遅いんですかね。まったくわかりません!


 「須賀君って魚好きなんですか?」

 「え、エビは好きかな?」

 「それ、食べ物のことですよね。

  合宿でエビばっかり食べていたのは覚えてますよ」

 「うげっ、なんで!?」


 そんな思い出話が懐かしくて楽しい。

 私にとって一番楽しかった時期ですからね。

 須賀君と一緒にいたのはわずか半年くらいですが、彼の人となりの良さは知っています。

 いなくなってからわかる大切な存在。

 身勝手な話ですが、いなかったからこそ印象に残ったのかもしれませんね。

 それほど次の年で彼の存在の重要さを知ることになったのですから。

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 「いやー、和に覚えていてもらえるなんて光栄だよ」

 「そんな大したことじゃないですよ」

 「そうでもないよ。

  こういうのって嬉しい」

 「そ、そうですか」


 チラッと横顔を見てみたら、本当に嬉しそうに笑う須賀君がいました。

 そんな笑顔を見てドキッとしてしまいます。

 やっぱり卑怯です。


 「まっ、俺も人のこと言えないんだけどさ」

 「?」

 「次、ちょっと見てみようぜ」

 「は、はい」


 言われるがまま先導してもらうと、何かのショーが始まるみたいです。

 須賀君は席を取ってくれて、見やすい席の方に私を案内してくれました。


 「ほらっ」

 「あっ……」


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 そこには、よちよちと歩くペンギンたちの姿。


 「ペンギンかわいいだろ!」


 これ以上ないドヤっとした顔を見せる須賀君の顔を真正面から見られません。

 だって、真っ赤になってしまって恥ずかしくて俯いてしまっているんですから。

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 覚えていたんですね。


 懐かしい思い出。


 エトペンを持って麻雀を打っていた日々。


 

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 「卑怯です」

 「の、和?」


 俯いてちょっと涙が出ちゃいます。


 もう、思い出攻撃なんて卑怯じゃないですか。


 須賀君はダメダメです。


 女の子を泣かせちゃうんですから。


 「ちょっと嬉しくて泣いちゃいました」

 「そ、それならよかった」

 「良くないです。

  乙女の涙を見たんですから、罰があります」

 「いいっ!?」

 「ふふっ、アイス奢ってくださいね」


 誤魔化すようにねだります。

 だって、恥ずかしいじゃないですか。

 だから私もあの時のように、優希のようにあなたに甘えてもいいですよね?

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 ……
 …


 「アイス買ってきたよ」

 「た、食べさせてください」

 「えっ」

 「ううっ……」

 「ほれ、あーん」

 「あーん」

 「美味しい?」

 「ふふっ、須賀君が買ってきてくれたから美味しいです」

 「なんだそれ」


 気づけば堅い雰囲気はどこにやら、素直に須賀君に甘えられるようになりました。

 恋人でもないのにこうするのはおかしいかもしれませんが、泣かせた罰なんだから許されますよね?


 「この後はどうするんですか?」

 「ウインドウショッピングして、そのままそこらのレストランに行こうかなって」

 「ふふっ、期待してますよ」

 「任せとけ!」


 本当に素直に、須賀君に甘えられる時間。

 とっても幸せ。

 このまま時間が止まって欲しいなんて、そんな子供みたいなことを考えてしまう。

 ああ、幸せです。

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 ……
 …

 須賀君との楽しいウインドウショッピング。

 時間を忘れて楽しんでしまいました。

 手鏡だとかの小物も揃えないといけないですね。

 須賀君、私より女性のブランド物に詳しいのが嫉妬しちゃいます。

 調べてきてくれたのか、それとも経験なのかはわかりませんけどっ。


 「そろそろ飯食うかー」

 「そうですね」




 そんな幸せな時間。





 「あれっ、須賀君?」

 「あっ」


 そんな中、一人の女性が声をかけてきました。

 見た目はかなりの美人さんで、スーツを着て堂々としています。

 ちゃんと働いている女性の雰囲気は、とても格好良く見えました。


 「あら、デート中なの?」

 「そうっすね」

 「それじゃお邪魔しちゃ悪いわね。

  ふふっ、今度社内で噂しちゃおうかしら」

 「勘弁してくださいよー」


 そんな風に和やかに話す須賀君を見て、胸がチクリと痛みます。

 女性と須賀君の会話は本当に何気ない世間話で、私に気を使って直ぐに切り上げてくれました。

 逆にそれが私の心に響きます。

 私みたいな生活ではなく、ちゃんと毎日を過ごしている女性を見て、楽しい気持ちはどこかに飛んで行っていましました。

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 ああ、やっとわかりました。


 私は須賀君にふさわしくないです





 

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 何を今更って話ですよね

 こうやって色々な事を隠して、上辺だけを整えて須賀君とデートしてるだけです。

 今日のために買った小綺麗な服も、大人の女性の方ならみんな当たり前のように持っているもの。

 今までちゃんと努力をしてきた人に敵うわけがないです。

 いいえ、敵ってしまってはいけないんです。

 そんな事をしたら、努力をする人なんていなくなっちゃいますもんね。

 須賀君は言いました。

 インターハイで活躍する私たちと同じようにもう一度頑張りたいと思った、と。


 その結果、ハンドボールのプロになった須賀君。

 何もしていなかった私。


 最初から釣り合う人なんかじゃなかった。

 夢を見させてくれた。


 須賀君にはもっとふさわしい女性がいる。

 それはきっと、仕事もできて、美人で、私なんかとは違ってまっとうな人生を送ってきた人。

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 「ごめんごめん。

  同僚がこんなところにいるとは」

 「いえ、お仕事大変ですよね」


 須賀君に気取られないように笑顔の仮面を貼り付けて。

 きっとバレていないはずです。


 「……あー、和。

  ちょっと付き合ってほしいところがあるんだけど」

 「はい?」

 「ご飯食べる前にさ、ちょっとイルミネーションでも見ないか?」

 「もちろん、大丈夫ですよ!」


 それでも、少しだけ夢を見るのは悪い事でしょうか。

 今日だけ、ほんの少しだけ楽しめれば満足ですから。

 ふふっ、シンデレラみたいですね。

 シンデレラと違うところは、シンデレラは見た目が汚くて心が綺麗。

 私は見た目を小綺麗にしても心が汚い、というところですかね?

 それなら魔法はもう直ぐ解ける時間です。

 きっと、そこで本当に別れを告げられるんでしょう。

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 「和。

  結婚を前提に付き合ってくれ」






 

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 18/18


 私たちを包む夜のイルミネーション


 須賀君が伝えてくれた言葉はまるで魔法のよう


 私は理解できず、呆然とする


 まっすぐに私を見据える須賀君


 時計の針が止まった気がした



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 続く

最終更新:2016年01月28日 20:30