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のどっち(平行世界)



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 【のどっち】(平行世界)


 「なんで、ですか」

 「えっ」

 「なんで、私なんか……」


 かろうじて口から漏れた言葉はそれだけ。


 「なんでって、好きだからじゃダメか?」

 「須賀君は私のこと、何も知らないじゃないですか」

 「そうか?」


 勝手に悩んで、いきなり不機嫌になっているのに須賀君は全く気にしていない様子です。

 その様子が逆にイラついて、ますます不機嫌になります。

 そんな身勝手な自分が情けなくて、もっともっと不機嫌になる。

 なんて負のループ。


 「まず、美人だろ」

 「っ!」

 「あと、優しい」

 「優しくなんてないですよ」

 「毎日労ってくれてるじゃん」

 「そ、それは……」


 心配なのは確かです。

 でも、下心があっただけじゃないですか。

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 「今日も俺のために新しい服出してくれてるみたいだし」

 「な、なんでそれを」

 「見ればわかるよ」


 我ながら面倒くさい言い回しだと思います。

 ネットでなら、こんなメンヘラ女と言って叩いていたに違いありません。

 でも、実際にこうなってみると自虐しか浮かびません。


 「私は、そんな綺麗な人じゃないです」

 「全部下心があってやっていたことなんです」


 気づけば涙がこぼれ始めました。

 ダメです。もう我慢できません。

 言っちゃダメなのに、せめて綺麗にお別れしたいのに、勝手に言葉が口から漏れてくる。

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 「今、働いてないです」

 「須賀君がいなくなった後、清澄麻雀部がぐちゃぐちゃになって」

 「大学に行っても友達ができなくて」

 「就職もできなくて、家に引きこもって」

 「知ってますか?

  私、ネット民なんですよ」

 「普通の人に引かれちゃうような言葉を使って、みんなで煽って煽られて」

 「昔なんか自演して」

 「そんなバカみたいな毎日を過ごして今があるんです」

 「そんな私と須賀君が、釣り合うわけないじゃないですか」


 もう、止まらない。

 想いは漏れ出して決壊したまま。

 こんな風になるなら、須賀君と再会しなければよかった。

 須賀君と再会しても、連絡先の交換なんてするんじゃなかった。

 スレ民に相談して、恋仲になろうなんて考えるんじゃなかった。

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      リ、_! l リィチfト   '行タト、彳,ィl |:.:| |:.:i
      l_,以 { ヒtリ    ヒztリ  |f リ| |:.:| |:.:|
      「 l 「ト'"   '     '""'  _,イ | |:.:| |:.:|   「えっ?」
      } } ハ    tっ     ィ' ) ,j リ 刀 「
     / /,イ| |l>、    ,ィ |ノイイ / リ |
      / /リ |:! !仏ィ_〕¨     》,// / /| !
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 ちょっ、まっ、ええっ!?

 なんで一番知られたくない人に知られているんですか!?

 咲さんや優希も知らないことですし、須賀君につながるパイプはないですよね!?

 ま、まさか父が……。

 よし、父を殺して私も死にますか♪


 「だって、『のどっち』で検索すると一番上に出てくるし……」

 「あっ……」


 おのれグーグル!!!!!!!!!!!


 「し、知ったのは最近だよ?」

 「嘘ですよね!?」

 「あー、これ見てよ」


 そう言って須賀君はスマホをぽちぽちと弄り始めました。

 ぐぬぬ、イケメンがスマホいじってると様になるのが卑怯ですね。こんな状況なのにキュンキュンします。

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 【のどっち、通販で服を買う】より

 ……
 …

  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???

 透明でレス番が飛び飛びなんですが


  名前:以下、名無しに変わりまして雀士がお送りします 投稿日: ****/**/ ** **:**:**: ID:???

 お前新参だろ。アレを弄って遊ぶのもスレの楽しみの一つなのにNGなんて勿体ない


 …
 ……

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 「一発で新参って見抜かれちゃったよ」

 「ファーーーーーーーーーーー!?」

 「だ、大丈夫。ちょっとしか見てないし?」

 「そういう言い方するってことはログも見てますよね!?」

 「さ、さすがにそこまで見てないよ」

 「死にたい」


 なんですかこれ。

 どういうことですかこれ。

 どんな羞恥プレイですかこれ!!

 いっちばんの黒歴史を意中の人に見られてたってどういうことですかこれ!?

 やめてくださいしんでしまいます。


 「だから和のそう言った部分も含めて好きになったんだよ」


 ケタケタ笑いながらそういう須賀君。

 そ、そんなこと言われたら……。


. . . . . /. . . : :/: : :/: : : : : : : :ヽ: : : 、: . . 寸三ニ7
: : : : /. . : /:/: : /:!: : : : : : :.|: : :゙、: : :!: : . . 寸三}
: : : /. . ://! !: :,':.:.|: :.:|: : : : :!: : : :ヽ: :l:| . . . ゙ニ7
: : / . .:Ll-┼┼-l、: :|: : : :.!|ヽ,r|''T:ーt、: : : :├'ヾ、
: :,'. : :.´!.! |:∧ | l.| ! ,'|:.l: : :|| |: !:||: |: : :.l: : !  ヽ、
: :l{: : : :|!| i'  ヾ |! |/,'/|: :/|! |/|' |:./!|:.,イ: :.i!   i!
: :l|ヽ: : | ┳━┳━/' /:/./'┳━┳' イ:/,': : ,'|    ノ
: :.i!: :lヽl ┃//┃  /'´  ┃//┃ イ'l/: :,イリ
: : : : |  ‘ ━ ’        ‘ ━ ’ '://: |
: : : : |                 ,':´:!: : . .!    「いや、ねーよ」
: : : : L  """       '   """ |: : |: : . .l
: : : : ト.ヽ               イ: : l: : . ∧
: : : : |ヽ|ヽ      ⊿     .ィ´: !: : i: : . . .゙、
: : : : ト、l}  `   _    _ ....:チ: : :.,':λ: :!: : . . . ト、
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: : . : : lヽ      ,'-.、_: : /: : :./!,' .!: :.|:. : : . .l ヾ.
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 「あんな黒歴史を見て好きになる人とかありえません!!」

 「いるんだなー、ここに」

 「……お願いします。真面目に答えてください」

 「うーん……」


 ポリポリと頭を掻いて、目線をそらす須賀君。


 「その、さ」

 「はい」

 「和、すごく頑張ってたじゃん」

 「どこがですか」

 「俺のために慣れない外出したこと。

  失敗しても頑張って服を買ったこと。

  化粧品やバッグを整えたこと。

  知ってるよ」


 うん、恥ずかしくて死にます。


 「それに、毎日のラインは和が考えて送ってくれてたんだろ。

  それのおかげでどんなに助かったことやら。

  俺のためにそんなことをしてくれてるのを見たんだ。

  それが理由で惚れちゃダメか?」


 ダメです。ダメダメです。

 恋愛っていうのはもっとロマンチックで、せっかくこんなイルミネーションがあるところなんですから。


 ダメだ。


 嬉しい。


 些細な私の努力を見てくれていたことが、こんなにも嬉しいなんて。

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 「卑怯です。


  最低です」


 「うぐっ」


 「麻雀でいうなら、自分だけ相手の手牌が見えているようなもんじゃないですか!」


 「そ、その通りです」

 
 「いつからですか」


 「お見合いしてちょっとしてからかなァ」


 「ううっ、一ヶ月も見られているなんて」


 「だから言わないで告白したいなーとか考えてたり。お互いのためにも」


 「この、どヘタレ!」


 「いやほんと、まだネトマやってんのかなー程度だったんだけど、まさかトップにあんなスレが」


 「黙ってください」


 「はい」


 「須賀君は卑怯者です」


 「あーもう! 卑怯だよ!


  それで、返事は?」


 「そんなの!」

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 「相手の手牌が見えているならわかるじゃないですかっ!」





 

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 須賀君にぎゅっと抱きしめられる。


 「手慣れてますね」

 「そ、そんなことねーし」

 「どれだけの女の子をコマしてきたんですか」

 「和……、言い回しが……」

 「これが今の私の素です。

  幻滅しましたか?」

 「和のことはよく知ってるから」

 「一方的に知られているなんて許せません」

 「これから知っていけばいいじゃん」

 「じゃあいっぱい教えてくださいね」

 「おう」

 「何にやけてるんですか!」

 「和が柔らかくて」

 「スケベ!」

 「俺のことを一つ知れたじゃん」

 「このっ!」

 「幻滅した?」


 悪戯っ子のような笑みでこちらを見てくる須賀君。

 ……ええ、そうですね。

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 カン!

最終更新:2016年01月28日 20:31