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京ちゃんの初恋(平行世界)
小さい頃におぼろげながら誰かのことを好きになった気がする。
その人は格好良いお姉さんで、ヤンチャだった俺の面倒を見てくれた。
年の割に大人びていて、言動も子供っぽくなかった気がする。
引っ越したと聞いて泣きはらした淡い思い出だ。
ただ、それは小さな男の子が持つ憧れのような感情だったのだろう。
もし、俺が『恋愛』という意味で誰かを好きになったのならば、それはきっと―――
『清澄高校、団体戦優勝―――!!』
目の前で成し遂げた全国制覇。
みんなが集まって喜んでいる。
大苦戦しつつも最後の一撃を決めたのは、俺の幼馴染の宮永咲だ。
「咲ちゃん、すごいじぇ!」
「本当によくやってくれたわ!」
「咲さん、ありがとうございます!」
「本当にようやったのう!」
みんなが咲に抱きついてはしゃぐ。
まだ出会って数ヶ月の咲たちだけれども、ここに伝説が生まれた。
かつては麻雀部としての存続ギリギリの状態からここまで来れたんだ。
それはきっと、咲のおかげだ。
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「やったよ!」
「咲、おめでとう」
咲がみんなにもみくちゃにされながら喜んでいる。
そういえば咲は俺が連れてきたんだっけか。
普段だったら俺のおかげだなーなんて言えたのに、そう言って咲を一緒にもみくちゃに出来たのに、それが出来ない。
なんで
「京ちゃん?」
「あ、ああ」
自分の心の中にもやもやとした物が残る
素直に祝福できていない
「咲、おめでとう」
「おー!
ってさっきも聞いたよ!」
「本当に嬉しいわ。
ずっと私の夢だった。
まこが来てくれて、和と優希と須賀君が入ってくれた。
そして咲が入ってくれて、ここまでこれた」
「部長、泣きすぎじゃぞ」
「な、泣いてないもん」
泣き腫らす部長を見て、胸に熱いものがこみ上げてくる。
そうか、俺たちは優勝したんだな。
俺は何もしていないけれど、雑用として頑張ったんだ。
素直に、喜ぼう。
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「京ちゃん」
「なんだ?」
「私をここまで連れて来てくれてありがとう」
咲が純粋な目でこっちを見てくる。
「どう、いたしまして」
「なんでどもってるの?」
「うるせー、咲のくせに生意気だ」
「もう咲ちゃんドジなんて言えないなぁ。
咲ちゃんは名目ともに日本一の雀士と言っても過言じゃないじょ!」
「優希、個人戦がありますよ」
「のどちゃんはこういう時くらい羽目を外すべきだじぇ」
ああ
そうか
「そんなことないよぉ」
「咲、それは対戦相手に失礼よ」
「そうじゃぞ。
胸を張っていいんじゃ」
「咲ちゃんに張る胸はないけどなー」
「優希、こちらをジロジロ見ないでください」
「す、少しはあるもん!」
もう、何もできない咲じゃないんだな。
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……
…
懐かしい思い出
「須賀ー!
お前また咲ちゃんに構ってるのか?」
「だってこいつ放っておくととんでもないことやらかしそうだし」
「そ、そんなことないもん!」
「だってさー。
すぐ転ぶし?」
「あー、この前も転んで須賀に引っかかって助かってたな」
「歩きながら本読むのがいけないんだよ」
「だって京ちゃん、いいところにいるし……」
「咲が危なっかしいから近くにいるんだよ……」
「ハッハッハ。
お似合いさんだ。咲ちゃんはいい嫁さんだなァ」
「嫁さん違います!」
「ハイハイ。
口ばっかでいつも変わらないじゃん」
「ぐぬぬ」
「おー。よく伸びるほっぺただ」
「やめてー!」
―――そんなことも、あったな
…
……
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……
…
「……嫌な夢見た」
懐かしく、苦い思い出だ。
みんなと一緒に全国制覇した思い出。
一般人には味わえない感覚。
それを味わえた俺は幸せ者、だと思う。
でもあの時に感じた感覚はそんな幸せな感覚じゃなくて。
「いつまで引きずってるんだか……」
もう数年前の出来事だと言うのに、未だに精細に思い出せる。
咲とはあれからそれとなく疎遠となった。
麻雀部を続け、頑張ったけれどもまったく芽が出ない。
別に女子三人組と仲が悪くなったなんてことはない。
ただ、女子三人だけで集まっているところに俺一人が行くなんて空気の読めないことをしなかっただけだ。
部活の時以外はあいつらはあいつらで遊んで、俺は俺の男友達と遊ぶ。
本当にそれだけだった。
もしこれが女子二人だとか、女子一人だったらちょっと違ったのかもしれない。
中学生時代の俺と咲が仲よかったのだって、咲に親しい友達がいなかったからだ。
女子三人、三人だ。
それだけ集まってしまえば、軽い気持ちで誘うことはできない。
それは誰が悪いわけでもない、普通の話。
強いて言うならば、勇気がなかった俺を責めるべきだ。
……本当に勇気があったのは、俺なんかじゃない。
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「さて、今日も頑張りますか」
苦い気持ちとはオサラバして、みんなと離れた大学生活。
そこそこ充実した毎日を送っている。
ふふふ、そんな俺の最近の楽しみが一つある。
「あの綺麗なお姉さんと仲良くなることだー!!」
入学式の日、すれ違って一目惚れをした綺麗なお姉さんとお知り合いになること!
どことなく初恋の人に雰囲気が似ていた。
凛とした雰囲気、知的な眼差し、長く下ろした髪の毛、一目惚れとしか言いようがない!
あれからどんなに探しても見つからない。
それでも、同じ大学内にいるってことはわかっているんだ。
俺は決して諦めないぞー!
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/ / /| ト、 ′
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〔 |/ 八〔\ .' \ /
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. /:Ⅴ "" ノ | 「京ちゃん、お菓子」ヒョコっ
/::::入_ _ < / /| /
/\ /∧ノ へ ̄ ̄/ \リイ/ / 〔′
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\ヽーヽ └─ー/─' \
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「……照さん、何やってるんですか」
「京ちゃんに呼ばれた気がして」
「呼んでません。
と言うか朝からどうやって入ったんですか」
「京ちゃんの合鍵を借りた」
「なんで……?
俺はこれから憧れのお姉さんを捜しに行くんです!」
「私のことだね」
「ハハッ、照さんも冗談を言うんですね」
「ほんとなのに……」
……なぜかうちに入り込んでいる彼女は照さん。
ドジでボケーッとしている様子はまるで中学時代の咲だ。
なにやら咲のお姉さんである『宮永照』さんと同名だし、よく似ているけど別人だ。うん、きっと、間違いない。
苗字を聞いても『わたしがてるです』としか言わないし、妹はいないらしいし……違うよね?
だって咲と話していた宮永照さんは知的で、咲を諭すように喋っていた……気がする……。
こんな自活能力皆無な『妖怪おかしちょうだい』じゃないはずだ。うん。
まぁなんやかんやあって知り合いになって、よくわからないけれど俺に懐いてくれている、らしい。
「朝からおかし食べないでください」
「(´・ω・`)」
「朝食を食べたら少しだけならいいですから」
「(`・ω・´)!」
「俺、料理下手なんで目玉焼きくらいしか作れませんよ」
「私がつくる」
「指怪我しちゃうからダメです」
「(´・ω・`)」
本当、見ていて危なっかしい人だ。
この人の相手もそこそこにお姉さん探しをしなければ!
このまま咲系女子に寄生される前に母性溢れるお姉さん系女子を彼女にするんだー!!
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{ |:: 八ハ{ {{ }} ゞ==(⌒) | :: /:::::|
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|:::: ヽ_| /// __,ノ :::::| } 「京ちゃん……、お茶が熱い……」
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レヘ::::::::::::::::::::::_≧=一ァ 〔/⌒T:iT7ス::::/
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/ / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
/ イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
´/イ }从lム ; \ ,ノ / \ 「あー、はいはい。
| ∧ U ∧,イ
Ⅵム - - イ // 水を持ってくるから待っててください」
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カン!
最終更新:2016年02月14日 22:01