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【憧れのお姉さんを求めて】(平行世界)
子供心に深く刻み込まれた憧れを覚えている。
公園で遊んでいると声をかけてくれたお姉さん。
年は自分より二つ上と言っていたけれど、もっと離れていると思えるくらい大人びていた。
「『須賀京太郎』っていい名前だね」
「そうなの?
わかんない」
「細かいことを省くと、須賀って言うのは『清々しい』って意味があるんだ」
「ふーん」
「そして、『京太郎』っていうのは……」
「よくわからない!
おねーちゃん遊ぼっ!」
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「おねーちゃん!
こっちこっち!」
「今行くよ」
深い考えなんかないし何かをやりたかったわけじゃない。
とにかくお姉ちゃんに構って欲しくて、いろいろなことをした。
ボールで遊んだり、公園のブランコから飛び降りたり。
ブランコから靴を飛ばして遊んで、やりすぎて怒られたこともある。
その時の自分はお姉ちゃんの関心が自分に向いていると言うだけで嬉しかった。
だから、気恥ずかしくて続きを促さなかった言葉もよく覚えている。
「清々しいって何?」
「あっ、覚えてたんだね」
「べ、別に……」
「君の隣にいると『とても落ち着く』ってことだよ」
「じゃ、じゃあさ。
僕の隣にいるとお姉ちゃんも落ち着くの?」
胸をドキドキさせながら聞いてみる。
お姉ちゃんは悪戯を成功させたように笑った。
「どうかな。いつもワンパクだからドキドキハラハラ」
「うっ」
泣きそうになる。
「でもね」
一拍置いて、満面の笑みを浮かべた。
「とっても落ち着くよ」
そのあとの一言が、小さい頃の自分に突き刺さった。
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3/8
……
…
「照さん、歯を磨きましたか。
というかなんでうちに歯ブラシがあるんですか」
「京ちゃん磨いて……」
「それくらい自分でやってください。っていうか口の中は危ないですよ」
「……zzz」
「寝ないでくださいっ!」
「京ちゃんの隣にいると落ち着く……zzz」
「あーもー……」
『落ち着く』という単語にドキリと反応する。
中学高校と、友達によく言われた気がする。
優希や和に言われたのは嬉しかった。
高久田たちの男グループにすら言われたのはちょっと危険な匂いを感じた。
……中学時代の咲もそう言って、ずっと俺のそばから離れなかったな。
「講義に遅れますよ」
「大丈夫。単位はたくさんとってあるから、三年生からは少なくしている」
「えっ」
照さんがちゃんと講義に出ていただと……!?
こんなポケーっとした小動物で、すぐに誰かに食べられちゃいそうで、突拍子も無いことを言い出す照さんが……。
その時にお世話していたのは誰なんだろう。
……いや、一人で生活なんてしていないよなあ。
でも、かれこれ数ヶ月。この人の知り合いだっていう人に会ったこと無いし。
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4/8
「じゃあなんでうちにいるんですか」
「京ちゃんがサボらないようにって」
「さ、サボりませんよ!」
ドキリ、と胸が鳴る。
照さんに言われたく無い、と思ったのが一つ。
一人暮らしを始めてから堕落してきたので、少し怪しかったのが一つだ。
咲がいなくなってお世話をする人がいなくなって、気が抜けていたのかもしれない。
その代わり、この人と出会ってからはそんな暇もなく、健全な大学生活をしているわけだけど。
「じーっ」
「何してるんですか」
「京ちゃんを見てる」
「なんですか。
言われなくてもサボりませんよ」
「京ちゃん成分を補給しているだけ」
「はぁ……」
ちょっと感心したかと思えば、すぐにこんなことを言い出すんだ。
……何? 年上のお姉さんに付きまとわれて面倒臭がるなんてバチが当たるって?
よーっし、お前ら、よく考えてみろ。
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/ / /| ト、 ′ ←コレ
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〔 |/ 八〔\ .' \ /
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. /:Ⅴ "" ノ | 「京ちゃん、お菓子」
/::::入_ _ < / /| /
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/ イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
´/イ }从lム ; \ ,ノ / \ 「(これに女としての感情を持てと言うのか)」
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Ⅵム - - イ //
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妹や娘ならまだいい、雛鳥の世話をしている気分だ。
うん、俺の中ではカピーと同じ位置だ。
まっ、カピーは大好きだけどね!
正直、出会いの時からなんで照さんが俺のことを気に入っているのかわからない。本当にわからない。
というかこの人は何者なのかすらわからない。
名前を聞いても『須賀照』としか言わないし、とりあえず照さんと呼んだらすごく喜んだからそのまま呼び続けている。
どこのサークルに所属しているのか、どこに住んでいるのか、どこの学科なのかなのを聞いても誤魔化してくる。
本人はうまく誤魔化しているつもりだろうが―――
-─===‐-ミ
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人_ u j.: .:| 「ま、まーまーまー」
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ト、.: .:|/⌒ 、_| | | | ト、`〉、|/
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―――これを誤魔化していると言っていいものか。
多分、無理やり聞き出せばいくらでもわかるんだろうけれど、それを出来ないのが俺らしい。
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/ イ { ':|_,斗| | 、_l__/_ィ |l∧
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/ イ / {∧{ 、__,.V {∨ 、_,/ イ}' `
 ̄´ V∨乂l \ ムイ/ 「はぁ、あの時のお姉さんを捜しに行きたいんだけどな」
从 ' 八/
-〈〈/\ v-っ イ》く__
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……
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・入学式
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′: : : ://⌒/ }: : :リ }: :ハ:|ト: : :i: : : ,
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/: :从: : 八《´んハ. j/ r==ミ /: ::/| . . .|
// _ }ト: : :ハ 弋 ソ :::::: 厶イ: |: . . |
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. ' .i / / }: : ::::::人 f ノ ./:::::: i: :|: : i | 「こちらのサークルの新入部員募集してます!」
. i し' ./ .i} i: ::::i:::::>o。.. < i::::::::/::/: :/: |
ノir―-ミ |:∧:::八::::::::::r'ス´ / ゝ-、 :/}: / }/
f入 `ー 〉 /' V_ゝ/.〈 Ⅹ / i`/イ、_
辷ーく / / / rヘ/__rヘ_/ | ヽ
{ ̄` 入 i / | /:::| / . / ハ
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ハ. // ‘, 」:::/ / |/::::::|l/ \ / |
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《`ーイ::: V:::{ ‘, |i i/ / | | 〉
ヽ:::::::::::::.. L::i ..........ゝ. У_彡 .........| | ./
マ:::::::::::. 八:::::::::::::\く L:::::::::::::| ′ {
`マ::::::::. :∧:::::::::: ヽ} ::::::::::::::::::::/ .j
マ::::::: }i :::i Oj ::::::::::: /
その時は結構遠くから見たからうろ覚えだけれども、すごく元気な声と笑顔に見惚れてしまった。
確かこの記憶よりもうちょっと髪の毛が長かった気がする。腰くらいまではあったような……。
それでもこの知的な雰囲気とお姉さんオーラにやられてしまった。
軽く見た限りでは、一人一人にチラシを渡してニッコリ笑っていたようだ。
彼女の周りにはものすごい人だかり、それでも彼女が歩くときにはモーセの十戒のように人が切り開かれた覚えがある。
その後、知り合いになった友人たちも美人だったと言っていた。
どこか初恋の人を思わせる面影。
話したことも、ちゃんと見たこともない人に一目惚れしてしまった。
つい最近に失恋して、心を埋めたかったのかもしれない。
まぁこの瞬間まで引きずっていたせいで、チラシをもらいに行って間近で見ることすら出来なかったんだけれども!
俺のヘタレ!!
あっ、だめだヘタレって言うと咲のこと思い出して胸が痛むわ。
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8/8
……
…
「じゃあ照さん、俺は講義行ってくるんで」
「うん、私も一旦家に帰る」
「あれ、なんかもう居座る気かと思ってましたよ」
「そ、それはちょっと恥ずかしい……」
「俺には照さんの感覚がよくわかりません。
とりあえずお菓子ちらつかされて知らない人についてっちゃダメですよ。
家に着いたら連絡してくださいよ」
「京ちゃんは失礼。子供じゃないよ」
「この買い置きのチョコ、朝来てくれたお礼にでもあげようと思ってたんですけど……」
「あう。
わ、わかった」
「はい、どうぞ」
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|l: : : : : : λ , ハ: : : : : : :| 「ありがとう、京ちゃん」ニコォ……
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八:/ \: : |:::|-- 、 --/ .:::::|:/ |:/
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: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ !: |ハ: ト : | ̄ ̄
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: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ \ : :!丶  ̄ Vイ:ハ |\:i
.: : 丶 \゙、 `> リ `
ヽ: : :`┬ 、 ヾ /
i: ;ィノ U ,....-ィ / 「(照さんの笑い顔、こえーよ……)」
,,:‐レリ _  ̄ /
゛=!_ \ `ー-、_ _/
::::::゛== 、 \ / ̄ヽ、
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カン!
最終更新:2016年02月23日 14:05