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バレンタインデー(二回目)



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 バレンタインデー(二回目)


 宮永咲です。

 京ちゃんと恋人になってから早半年以上。

 気づけばバレンタインデーなんてイベントが近づいてきています。

 京ちゃんは誰でも見てわかるくらいソワソワしてる。

 授業中もこっちをチラチラ、一緒にると上の空、下校の時なんてチラチラコンビニを覗いている。

 それ、アピールのつもりなのー?


 「咲ー!」

 「なぁに、京ちゃん」

 「いやぁ、もう2月だなァ……って」

 「そだね。進級だね」

 「2月はイベントが多くて困っちゃうなー」

 「えー、京ちゃんの誕生日は済ませたでしょー」

 「お、おう」


 目に見えてしょんぼりする京ちゃん。

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 2/10


 確かに、もう直ぐ特別な日だ。

 恋人になって初めてのバレンタインデー。

 今までだってチョコはあげてたけれど、ちょっと意味合いが違ってくる。


 特別な恋人にあげるバレンタインチョコって、どうすればいいんだろう。


 今までと違うチョコじゃないと京ちゃんはしょんぼりしちゃうのかな。

 中学生時代からあげているけれど、何か違うのを求められていたらどうしよう。


 ほんとにもー!

 男の子は貰うだけで終わりだからいいけれど、女の子は色々と大変なの!


 そもそも、バレンタインって数少ない女の子から告白できる日だと思うんだ!

 恋人になっても毎年毎年特別なものをあげるって大変なんだからね!


 でも、チョコあげたら京ちゃん喜ぶんだろうなぁ……。


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 3/10


 ……
 …

 手作りって言ったって、高校生の私たちに出来る事は限られています。

 チョコを買って湯煎にかけて溶かして、もう一度固めて飾り付け。

 そんなに難しい作業じゃないけれど、好きな人には少しでも良いものを食べてもらいたい。

 女の子にとっての聖戦なんだよ!


 「咲ー、この辺にあるチョコ食っていーか?」

 「お父さん用のはこっち」

 「お、おお。

  俺用のもあるのか!」
 
 「うん。形崩れちゃったやつ」

 「ですよねー」


 おとーさんを適当にあしらいつつ、京ちゃんへのチョコレートに飾り付けをする。

 今時の女の子みたいに煌びやかで、可愛いやつ。

 あれで女の子っぽい感性もあるから、可愛い装飾とか好きなんだよね。

 でもこの飾り付けが曲者なんだ。

 せっかくチョコが良くできても、飾り付けがうまくいかなかったら台無しだ。

 京ちゃんならそんなの気にはしないだろうけど、私は気にする。

 だから、ちょっとでも良く出来るように頑張った。


 その結果は、どうだろう?

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 4/10


 ……
 …

 ちなみに京ちゃんは良くモテる。

 中学校時代からチョコに困ったことはないはずだ。

 それでもなぜか誰かと付き合うってことはなかった。

 みんな京ちゃんに『義理だから安心してねー』なんて言って、こっちにウインクしてきたし。

 京ちゃんの後輩が渡そうと思って渡せなかったのを見たことだってある。


 「そんなにモテモテなら私からのチョコなんていらないんじゃないかな!」

 「いやー、それ咲ちゃんがいたからいけないんだじょ」

 「えっ?」

 「どう見ても彼女付きの男にチョコを渡せるやつなんていませんよ。爆発しろ」

 「か、彼女違います。その時は……」

 「あっ、これ咲ちゃん用の友チョコ」

 「どう見てもタコスじゃないかな!?」

 「さすがにチョコにしようかなーなんて思ったけれど、ここは自分のキャラ付けを強める方向にしたじぇ!」

 「キャラ付けって……」

 「キャラ付け……アリですね。

  咲さん咲さん。私がプレゼントです。はぁと」

 「やる気ないし無理矢理すぎない!?

  自分で記号まで言わないでよ!」

 「ヤる気があればヤっていいんですか!?

  わかりました服を脱いでください!」

 「どうしてそうなるの!?」


 もー、和ちゃんが地球外生命体になっちゃってるよー。

 なんでこーなったのかなー……。

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 5/10


 「ちなみに私たちは京太郎にチョコをあげてもいいのかー?」

 「咲さんの許可が出たらあげようと思って持ってきたんですが」

 「うん。大丈夫だよ」

 「わかりました」

 「なんで服を脱いでいるのかな!?」

 「チョコとは言ってません」

 「ダメダメダメー!!」

 「のどちゃんドン引きだじぇ」

 「まぁ、それはそれとしてちゃんとチョコを渡しますよ」

 「あっ、包装とかしっかりしてる……」

 「こんな残念な頭をしておいて、料理が上手いのは卑怯だじょ……」

 「ふふーん。お嫁さん志望ですからっ!」


 ぐぬぬ……、私の本命チョコに見劣りしない出来だよ。

 和ちゃんは勉強できるし、麻雀強いし、スタイル良いし、料理も出来るなんて反則だよっ。


 「少しはこの胸とか分けてよ!」

 「触りますか!? 触りますか!?」

 「あっ、いいです……」

 「なんでですか!!!!!!」


 察しろよ。

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 6/10


 ……
 …

 そんなこんなで放課後になっちゃいました。

 今日は麻雀部もないし、和ちゃんと優希ちゃんはサクッとチョコを渡して帰っちゃった。


 『あとは二人でおたのしみ、だじぇ』

 『私も入って3Pしても良いですよ』

 『はいはいのどちゃんはこっちなー』


 う、ううっ。なんでハードル上げるのかな!


 「咲ー、帰るぞー」

 「ちょ、ちょっと待って!」


 急いでカバンを持ち上げて、中のチョコレートに気づいて大事に扱って、一緒に外に出る。

 その間、京ちゃんはずっとニヤニヤソワソワしていた。

 ぐぬぬ……、貰えると確信してる顔だこれ!

 そりゃまぁ確かにずっと上げてきたけどさ!

 それにそんなに嬉しそうにされたら私も嬉しいんだけれども。

 でも、やっぱりハードル上がりすぎだよぉ!

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 7/10


 ……
 …

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 結局渡せたのはそれから少し経ってから。

 このままだといつまで経っても渡せないから少し頑張ったよ。


 京ちゃんが! かわいそうだから! 仕方なく! 渡したの!!


 「やっべー超嬉しい!」

 「も、もー、大袈裟なんだから」

 「大袈裟なもんか!

  うぇっへっへ」

 「どうせ他の人からも貰ってるでしょ」

 「いや、今年は麻雀部のみんな以外だと咲だけだ」

 「へー、モテなくなっちゃったんだね」

 「そりゃ断ってたし」


 へ?


 「あっ、嘘。なんでもない!」

 「……へー、そうなんだー。へー」

 「嘘だってば!」

 「はいはーい。嘘ですねー」

 「ぐぬぬ……」

 「えっへっへー!」

 「だってさー。嬉しいだろ……。

  本命チョコなんて貰ったの初めてだし……」


 は?

 ちょっと、京ちゃん?

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 10/10


 「あっ、ちが、何でも……」

 「そ、それ本当?」

 「う、ううっ」

 「えっ、今までって中学の頃から?」

 「うるさいうるさーい!

  ハイおしまい、おしまい!」

 「俺が告白する前から?」

 「聞こえない聞こえない!」

 「咲ー!」

 「ぅひ!」


 後ろから抱きしめられた!?

 あすなろ抱きだこれ!?

 や、やだっ。ドキドキする。


 「俺、やっぱり咲のこと好きだ」

 「う、ううっ」

 「待たせてごめんな」

 「ほんとだよっ」

 「いい匂いする……」

 「変態!

  ほら、もう私の家に着いたよ!」

 「あっ、そうか……」


 目に見えてしゅんとする京ちゃん。

 ……もー。


 「今日、お父さんいないから」

 「!?」

 「う、うちでチョコ食べてっていいよ?」


 カン!

最終更新:2016年02月23日 14:07