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みやながけ!



 1/21

 【みやながけ!】


 須賀咲ちゃんです。

 今日も一日頑張ります!


 「なんか早く起きちゃったなー」


 おバカな顔で寝ている京ちゃんを横目に、パッチリ目が覚めちゃった。

 もうちょっと寝ていてもいいんだけどね……。

 ううっ、まだまだ肌寒い時期が続きます。

 カーテンを軽く開けてみると、まだまだ真っ暗。


 「たまには早めに準備しておこうかな」


 人数が多いだけに、いつもギリギリになっちゃうもんね。

 とりあえずキッチンのヒーターをつけて、活動しやすくしておく。


 「あっ、お隣さんも起きてる」


 照明がついているみたい。

 でも、いつも私より早く起きているみたいなんだよね。

 どちらかというと夜型のお仕事をしているのかな?


 「そんなことより、いつもの仕込み!」


 人のことを考えてる場合じゃないよね!

 まずは朝食から作らないと!

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 2/21


 お味噌汁だけ作って、今日は食パンを焼きました。

 たまにはこういう日もないと飽きちゃうもんね。

 洗濯機を回しながらみんなが起きてくるのを待ちます。


 「おはよー、咲」

 「おとーさん、おはよー」

 「……?」

 「どしたの?」

 「いや、なんでもねーよ」


 意味深に首をかしげるお父さん。

 なにそれきもい。


 「今日は随分と早起きだな」

 「なんか目が覚めちゃった。

  ってお父さん気づいてたの?」

 「寝ぼけながらも誰かが起きていたはわかったぞ」

 「起こしちゃったんだ」


 ごめんね、なんて謝りながらお父さんをスルーして家事を続ける。


        ,..-、_,.ィ⌒:.ー-、
        /:.:.ハ:.:..ハ::::i:::::::.::.:.ヾー:、
      /.::::::::トヽYハ!:i:|::i:::::i:::::::|:.:.:.ヽ
       !::|::|:::i|     }:ハ:ハ:::!:}:::i|:::::::..:i
.     ノ::|::i!::i:|   ノ-j;!‐!:|:i:::i:|:::::::::.:i
    人:i:::{:、ト|-_ r‐彳テiY |;:ィ::i,:_::::.::!
       仟ィiテ)⌒ー―'′ハ!:i'^ヽ::::!
         `┼'7        リ  /::ト!    「うーん?」
.          | ヽ        ィイ:::::|
         、  -―‐    / }:!:::トヽ_
           丶  `゙  ,、 ゙ ′i リ!y′ |`ー-、_
          "',、__,,、ヽ     ! /   |     `ヽ
           // \     i /_    !     _冫ー、
           / /n  ハ    | \. |   /   ヾ、
     .   /   //ノ  {_ !  /f'"   \!   / :/:       i
      /    レ \_ |`  イ        ′:!:       |
      ハ         `ヽ  ノ       ハ /  /:  |

 お父さんは何か納得のいかないような顔をしながらパンを一枚食べ始めた。

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 3/21


 「うう、さき、おはよう」

 「おはよー。

  お姉ちゃんにしては早いじゃん」


 ちょっとするとお姉ちゃんも起きてきました。

 こんなに早く起きてくるなんて珍しい。


 「お腹すいた……」

 「ああ、そういえば昨日おかし食べて晩御飯抜いてたもんね」

 「うん……」

 「だからちゃんと晩御飯食べなきゃダメだって言ったでしょー」

 「太るから……」

 「じゃーおかし止めなよ」

 「うぐぐ……」


 最近ダイエットに目覚めたお姉ちゃん。

 と言っても、お菓子の量を減らしてご飯の量を減らしただけなんだけどね。

 運動もしてないし、それじゃ痩せないよ。

 私だって京ちゃんと運動しているのにそんなに痩せないんだもん。

 へへん。お姉ちゃんだってそろそろ太っちゃうんだから頑張らないとね。


 「咲?」

 「どしたの」


               /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
           /: : :/ : : : : : : : : : : : : : i : : : : : : : : : ヽ
             /: : :/: : : : : : : :./|: : : : : :| : : : : : : :ヽ : : :.
         /: : : i: : : : : : : |: | |: : : : : :|ヽ:.:i: : : : : :i : : i
            ′: : :|: : :i.: : :./|: | |: : : : : :| i:.|: : : |: :.| : : |
          / : : : : |: : :|:|i: :|‐|‐ト: : : :|i:斗‐|┼: i:.|: :.| : : |
.         /: : :/|八 : |八 |_.レ'.._|: : :八/__.}/∨}/: : | : : |
        厶イ  |: : ヽ{{ 午不か}/  午示下}.: : :| : : |
           |: : : :| 弋__ソ       弋__ソ  レ': : : |
           |: : : :|ハ                /| : : : : |   「……なんでも、ない」
           |: : : :|ヽ}       '        /´| : : : : |
           |: : : :|: :人    _    /.: :.| : : : : |
           |: /i: |: |: : `: :._     ィ: : i: : :.| : :i.: :.|
           {/.人{: |/}: :厂}   ー  .{ア}_l_: : |: : i :. ′
            ,. -‐乂¨ ̄{¨       ¨}   ¨八/}/
          r<. 、       |          |        >、
       /   \\      |          |    //  \


 もー、[[お姉ちゃん]]までそれ?

 お父さんもお姉ちゃんも調子悪そうだなぁ。

 そういえば花粉症の季節だし、ちょっと辛いのかな?

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 4/21


 「ママー」

 「♪」


 子供達が起きてきた!

 なにやら機嫌がいいみたい。

 息子はいつもしっかり起きるんだけど、娘はちょっと朝に弱いんだよね。

 それなのにこんなに機嫌よく起きるなんて珍しいな。


 「はいはい。

  顔洗ってご飯食べて歯を磨きなさーい」

                _  -‐==‐-
             /. . . . . .      `
   -‐==ニ二      ‐‐- _         `ヽ
       /                : . . .
      /  /  /          `ヽ  : : : :
       /  /  .i     .ト           : : : . __ニ=-.
      ./ . :/    |      | ヽ      : : : :\
    / . :/    {      i‐-ヽ     : : : :._\       \
    ./  .: :{   i  ',       ! ___\   .: : :/ ヽ:\: : :ニ=- ̄ 
   /   : : :|  i : :|     | |≠r:::rュミヾ  i{ .ハ ∨:∨ミ、
  ./ /|: : :i  :.{ : : !`ヽ    !|  {つ:i!::::} `ヽ| 〉j. 〉: : :}      「はーい!」
 //  |: : ', : :i: : :!ニミヽi\{   乂zzソ     /|: : !|
      |: :i:ヽ : ム:.:|fっi!:}             {: :i : :|‐-─ 、-
        |: ト: : \ヽ|匁ソ ,            / i/| : :|:.:.:.:.:./  ヽ
      |:.| }: : : :ゝ          ‐-    /   !/i|:.:.:/    i
        t|ノノ~|/Vハ    くi    ノ /.     ヽ/       |ゝ、
              \    -‐  /. :    /          ヽ
                >‐──.、. : : :.   /        -‐‐、  /
                _,「  . : :): .   /       イ  ニ=-  ~
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. /  : {   : !_,|.-‐|‐:.,' {: : :| |: : :ィ¨',゙ ̄:|ヾ、, : !:    |:: i
/: : : : |: : |: :ィ":,'マ:.!::,' .',.:.::| |: : : | _,.',: : | ヽ:`ト:. : : |:: |
: : : : : {: : { :,'.|:.| ',:レ   ヽ;| |: : : |  ,≧:|_  マ:|',:. :  |:: }
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 5/21

 ……
 …

 「さて、と」


 だいたい終わったかな。

 我が家のお寝坊さんも起こしに行きますか!


 「あれ、咲?」

 「わっ、京ちゃん!」


 おー!?

 京ちゃんが自分から起きてくるなんてすごく珍しいよ!


 「珍しいこともあるんだね」

 「失礼な!

  俺だってなぁ」

 「じゃあこれから起こさなくていいよねー?」

 「……ゴメンなさい」


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     _| ,   ∨、:` < 、:::::∧  |::::::::::ヽ
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               /_,..-         ヽ  `  、
             / /´     /    ∨   \
                ,  ´      / ,'     :    、 ヽ
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         _/   / /  |_|__'_|  |   _}_|_|_| |  | :
         ̄ ̄´/ イ '  { ´| |/__{  |: , ´/}/_}∧ |  | |
            / / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
            / イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
            ´/イ }从lム     ; \     ,ノ /  \  「……んー?」
                    | ∧          ∧,イ
                   Ⅵム    -  -    イ //
                _ヽl\       //イ__
                |////} `  ー  ´「////|
                |////|  :.   / |/[__}/|
                ,...<////∧  ,     |/////> 、
          , <///////////\   ///////////> 、
        , </////////////////}____{/////////////////> 、
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 「咲?」

 「なぁに、京ちゃん」

 「調子悪くないか?」

 「あんまり良くはないけど、そこまでじゃないよ」

 「そっかー?」


 なにさー。京ちゃんまで様子がおかしい。

 こんなに聞かれるなんて、逆にみんなの調子が心配だよ。


 「なんか最近食欲ないみたいじゃん」

 「あれはダイエットですー。

  お姉ちゃんが始めたから一緒に始めたの」

 「それならいいんだけど……」


 確かに、ちょっと調子が悪いかなーっとは思う。

 でも昨日の夜ご飯を食べなかったことが原因だと思うし、別に風邪ってわけじゃない。


 「大丈夫大丈夫ー」

 「……」


 なーんて言いながら京ちゃんに背中を向けたら……。

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7/21


 「!?」

 「京ちゃんチェックします」

 「な、なにそれぇ」


 ギュッと背中から抱きしめられた。

 ちょっとちょっと、会社遅刻しちゃうよ!


 「やっぱちょっとぬくいぞ」

 「そんなことないもん」

 「ちょっと熱っぽい。

  風邪、かな?」

 「熱なんてないよ。

  ほらっ、会社、遅刻す……」

      / :::::/::::::::::::::::::::.:.::::::::::::::∧:::::.:.:.:|:..:.:.:.|:.:.:::|i::.:.:|
     /   !  / ::::::/:::::::::::::::::|:| |::::::|:::|:::::..:.:i:::::::|:i:.:.:l
.    /............|........|..//.ハ.......:.ハ..:::| | !: : |:: |:::....:...|:::::::|::.:.:|
    /.:.:::;:イ::|!:::::::l//メ、|::::::::!'i:::::|::| i:::::|i:::|::i:::::::::|:::::::::.:.:i゙、
  /:.::/ .|::|:!:::://'´`ヽ!::::::| _、::|V-‐!::::|、::!|:::::::::|:::::::::.:.:|
  //    |/:::V::!|  <ヽヽ:::|  V'"´゛ヽ、!ヽi::::::::::ト、:::::./i|
        !::::::::|:r-、弋ノ  ヾ   f´:i  ヾ ゙、::::::/) }:ル'      「……っ!!」
       r‐|::::∧:ト、.\ ,     _ゞ',、  /  i:::/ ' /W
      人:|i:/:.:.::゙、 \ `ー-、    `i. ヽ  ,..N./:.:.:.:`ー-、
    ,イ ゙、゙、:.:.:.:.:.:\ ヽ   `ー--‐' /_.ノ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,,:.:-‐'´>、
    ! ゙、 ゙、゙、:.:.:.:.:.:.:ヽ         / /:.:.:.:.:.:,,:.:"_, -‐-´i::::|
.   /i ゙、. iヽ\:.:.:.:.:.:.\      ,ク´:.:.:.,,:.:"´イ´/     i::!
   i |  ヽi: :\\:.:.:.:.:.!ヽ  _, -‐'´i:.:/:./: / /     i| リ
.   i  | i ヽ: : :.\\:.:.>'´:.:.:.:,; -=i:./: :/ /    ハ |
   |   ゙、 ゙、 |\: : :\\i:.:.:/:.:.:.:.:.:..| : / /     i | ノ

 急激に吐き気が追い寄せてきた。

 やばっ、と思ったのももう遅い、


 「ほら、やっぱりじゃん」

 「うぐっ」


 せめて京ちゃんが会社に行くまでは、なんて思っていたけれど、目の前でこれじゃどうしようもない。

 あとは京ちゃんにされるがまま、病院なんて大げさなところにまで連れて行かれちゃいました。

 こんなことに有給使わなくたっていいのに、もー。

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 8/21

 ……
 …





 「おめでたです」





 

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 9/21


 「「はっ?」」


 お医者さんが笑顔で告げてくる言葉を飲み込めない。

 なぜかついてきていたお姉ちゃんとお父さんとお母さんは納得しているみたい。


 「さすが照。

  よくわかってんなー」

 「私は咲に重なる気配を感じただけ。

  お父さんはどうやったの?」

 「俺はお父さんだからな。

  なんとなーく違和感があったんだよ」

 「男の人ってそういうのに鈍感だって聞くけれど」

 「普段通りじゃなかいと落ち着かない、おじいちゃん成分がにじみ出てきたのかもよ」

 「ふーん」

 「あとは何より、な」

 「ああ、これだけ発情してたらいつかはこうなると」

 「それそれ」

            _,.......---............_
         ,. : ´: : : : : : : : : : : : : :` : : . 、
         /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
        . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
      ': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .
     /: : : / : : : : : : : : : : : |: : : :ヽ: : : : : : : : : : :'
    .': : : /: : : : : :/: : : :/: :.| : : : : |: : : : : : : :、: : :.'.
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    |: : : |: : : : 、|__/_}__/Nノ: : N、|_}_,:|: : : : | : : :'.
    |: : :ハ: |: : : ハ: / /:イ  }: :/:/ }: ∧:/: : : : ト、}: :.|
    {: : {-从: : :{/ ̄ テ雫ミ/イ /イ }イ雫}: : /:/:| リ\}
    八:{、:、__ \:lヽ  Vり         ヒり/:イ:/: :|
      `\}、: 、    /:/:/:/:/:/:/:/:/ ム:/:人: :{    「失礼なっ!!」
     , --r--,\ ,-- 、_____  人: /  \〉
      /  |::| |::::::>  ____ソイ⌒∨
    {   ,::, {::::::::::::∧-,  r/:::::://|   }
    |   \、\::::::::::∨- /:::::://:/
    |     { 、、\:::::::∨/::::://:∧    |
    |     | \__>、_}'__>´/}   |
    |     |    `ー=-r-- ´ ,:   |

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 10/21


 「その、咲」

 「ひゃ、ひゃい」


 初めての時くらい緊張する。

 京ちゃんががっしり私の肩を掴んでいる。


          /   /     |   | |   | |  :       l :l   |  |   :|   | |
       / /    |    |__ | |   | |  |  :   l :l:  /|  |   :|   | |
.      ///     |    |\ |‐\八 |  |  |    |__,l /-|‐ :リ   リ  | |
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 人目を気にせず私を抱きしめる。

 ちょっと京ちゃん、お父さんとお姉ちゃんが呆れてるんだけど!


 「嬉しいー!」

 「うげぇ」

 「あっ、お腹の赤ちゃんに悪いかな」

 「私の心配をしてよっ!」


 咲ちゃんおこだよ!

 まぁ、以前みたいなお姫様待遇よりかはこのくらいの方がいいかな、なんて思うけどさ。

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 11/21


 「その、京ちゃん」

 「なんだー?」

 「経済的にとか、大丈夫かな」

 「なーに言ってんだ!

  俺がもっと頑張るよ!」

 「おじいちゃんになると金の使い道なんてないんだ、使わせてくれよ」

 「咲、私だって援助するよ」

 「ううっ」


 妊娠初期の不安定さが出てきたのか、ちょっと涙がこぼれてしまう。

 妊娠している私と、この子は認められているんだって言うことが嬉しい。


 そんな女の子の苦しみをわかってくれるのはお姉ちゃんとお母さんだ。

 特にお母さんは妊娠初期の苦しみをよくわかってくれている。

 何も言わず、私のことを抱きしめてくれた。

 それだけで胸が温かくなった。

 目の前に広がる、私にとっての理想の家族なんだなって。

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 12/21


 お互い助け合って、からかいあって、生きていく。


 辛いことがたくさんあって、一度は離れ離れになってしまった。


 二度と一緒になることはないかな、なんて思いもあった。


 話しかけても無視されることすらあった。


 それも乗り越えて、より一層絆を強くして、私の大好きな家族になった。


 ドタバタとお姉ちゃんがトラブルを引き起こして、私がそれを怒って、京ちゃんが優しく見守ってくれる。



 これが私の自慢の『みやながけ!』

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 13/21

 ……
 …

 病院から帰ってきて、部屋で京ちゃんと二人きり。

 三人とも半休を取っていただけなので仕事に行ってしまって、京ちゃんだけ付き添ってくれました。

 まぁ、症状さえ分かっちゃえば一人でも大丈夫なんだけどね。

 これからの事とか、話さなきゃいけないことがある。

 それをわかって二人にしてくれたんだと思う。


 「なぁ、咲」

 「なぁに、京ちゃん」


 いつものやりとりをして、話を始める。


 「三人目は男の子かな、女の子かな」

 「また双子だったりして」

 「ちゃんと名前を考えておかないといけないなー」

 「素敵な名前を考えてあげようね。

  私、今の名前好きだもん」

 「わかってるって。

  前みたいに照さんにも意見を聞こうぜ」

 「お姉ちゃんって一時期名前調べてたもんね」

 「それでも DQNネームを知らなかったり、極端だよ」

 「お姉ちゃんは天然な部分もあるから」

 「確かに」


 そう言って二人で笑いあう。

 一瞬気分が高揚したけれど、すぐにまたナーバスになってしまった。

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 「ねぇ、京ちゃん」

 「なんだ、咲」

 「私、今すっごく幸せなんだ」


 京ちゃんが頷いて話を進めるように促す。


 「京ちゃんがいて、子供がいて、お姉ちゃんがいて、両親がいる。

  友達だっていっぱいいるよ。

  和ちゃんはちょっとアレだけど、仲いいし。

  優希ちゃんと二人でバカやってるのも楽しい」


 ここでココアを含んでひと休憩。

 京ちゃんは何も言わず、私の話を聞いてくれた。


 「霞さんとシロさんはお姉ちゃんみたいで大好きだよ。

  いつも守ってくれている気がする。

  玄さんはとってもいい人で、私の目標。理想のお嫁さん」


 私はいつも周りに救われている。


 「それで。私の隣には京ちゃんがいる」


 こんなに幸せなことってあるんだろうか。

 でも、病院から帰ってきてずっと考えてしまっていることがある。

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 15/21


 「でも、いつか、いつかね?

  子供達は成長して、学校に入って、結婚して、離れてっちゃう。

  お姉ちゃんだって誰かと結婚しちゃうかもしれない。

  仕事が忙しくなってきて、和ちゃんや霞さんたちとも会えなくなるかもしれない」


 私の胸の中に未だに深く刻まれたトラウマ。


 「それは時間が流れる以上仕方がないことなのかもしれないけれど、とっても寂しいなって」


 バラバラになるのは、嫌なんだ。


 子供達がいつか離れていくのだってわかりきっている。


 これはいずれ来る未来。


 もしかしたら楽しいのは今だけ、そう、『私の家族が仲良くやっていた時のように』今だけかもしれない。


 これから起こる未来が、『家庭崩壊した時のように』辛い未来かもしれない。


 そう思うと、また涙が溢れてきた。


 そんな私を見て、京ちゃんは顔を上げた。


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 17/21


 京ちゃんがいつものように私のほっぺたをつねる。

 こっちは真剣な話をしてるのに!


 「お前なー」


 「何さ!」


 「そりゃしょうがないよ。

  子供たちは自立するし、みんな疎遠になっちゃうだろうし」


 「た、確かにそうだろうけど、そんなに言わなくてもいいじゃん……」


 「照さんだっていつか結婚するだろ」


 「する、かなぁ?」


 「どうだろう?

  子供たちが自立するのなんて、二十年くらいで起きる未来だ」


 「そうだけど……」


 「普段嫁入りさせないなんて言ってるけど、それはいつか起きちゃうんだよね」


 京ちゃんもちょっと暗くなる。

 やばい。涙出てきた。

 こんな話するんじゃなかった、かも。


 「子供も、両親も、姉も、友達も、いずれ疎遠になっちゃうかもしれない。

  でも、さ」


 「ん?」

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 「俺がいるだろ」




 

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 19/21


 ちょっと照れながら、京ちゃんは言ってくれた。



 「最後まで一緒にいるのは、俺だ」


 「本当に一緒にいてくれる?」


 「だから結婚したんだよ。安心しろ」



 京ちゃんの顔が真っ赤だ。


 きっと、私の顔も真っ赤。


 なんだこれは。[[プロポーズ]]の時を思い出す。



 「ふふーん、ずっと一緒にいてくれるんだ?」


 「なんだよ、嫌なのか」


 「……嫌じゃない」


 「なら、いいじゃん」



 嬉しくてにやけが止まらないだけ。

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 「なぁ、咲」


 「なぁに、京ちゃん」




 

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 21/21



 「俺がずっとそばにいるよ」


 「えっへへー!

  京ちゃんだって、私で我慢しときなさーい!」




 
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カン!

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最終更新:2016年03月10日 19:14