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小ネタ
今日も今日とで麻雀部は平和ではない。
淡とネリーがいつものように喧嘩をして、部員はいつものことと慣れている。
あとは京太郎が来てくれれば二人を抑えることが出来るのだが、今日はやけに遅いようだ。
「うーっす」
「あっ、キョータロー!」
京太郎が入ってきた途端に顔をにやけさせて空気を弛緩される淡。
それに対してネリーは京太郎の方を見すらしない。
「ちょい待て淡。
俺、やることあるから」
「何さー。
こんなに待たせておいて」
「いやお前……他の人と遊べよ」
「むーっ!」
京太郎はいい意味で淡を受け流すのがうまい。
頬を膨らませる淡を尻目に抗議の課題を外に出す。
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「勉強?」
「牌譜の整理」
「なんで今やるの!」
「他にやることもないし」
「麻雀打ちなよ!」
「麻雀打つための勉強なの!」
これで話はおしまい、と話を切る。
それと同時に淡は膨れつらで京太郎から離れる。
恨みがましい目で京太郎を見るが京太郎はどこ吹く風だ。
「じー」
「……」
「じーっ!!」
「口に出すな口に」
構ってもらおうと様々な手段を講じるが全く歯が立たない。
淡はこの手のやりとりで京太郎に勝てたことはない。
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「(……そうだっ)」
淡は名案が浮かんだ! と笑みを浮かべる。
京太郎はそれに気づいていない。
「(無理やりにでも抱きついちゃえば構ってくれるよね!)」
物理的な妨害をすれば京太郎も逃げられまい。
そろり、そろりと京太郎に気づかれないように近づく。
ーー今だっ!!
「キョータロー!」
「うわっ!?」
「淡ちゃんタックル!」
遠慮なく飛び込まれた京太郎は淡を難なく支える。
普通ならば押し倒されて大怪我になるところだが、京太郎は鍛え方が違った。
完全に淡を受け止め、子供を持ち上げるように脇の下に手を差し込む。
「……なんか思ってたのと違うっ!?」
「何を考えてたんだ何を」
「こう、タックルしてぎゅーって?
何で子供を持ち上げるみたいに持たれてるのさ!」
「危ないだろフツー……」
テンション高めな淡に対し、あくまで冷静に返す。
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「うりゃー!」
「おいおい」
無理やり京太郎に抱きつく淡。
京太郎も観念したのか、淡になされるがままになる。
「……あわっ」
「どしたの」
「にひひー!」
「……」
抱きつかれてここまで嬉しそうだと、京太郎も顔を赤らめる。
しかも大きな胸が腕に当たっている。
男の夢、役得でしかない。
ーーしかしまぁ、それを快く思わない人間が一人いた。
「なにそれ、子供みたい」
「あわっ!?」
「ふーん?」
「べ、別にアンタには関係ないじゃん!」
「そうだね。関係ないね」
「むきーっ!」
そしてまた騒がしい麻雀部の1日が始まる。
淡とネリーが喧騒を始め、京太郎がそれを呆れながら見る。
今日も平和だーー。
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……
…
そして、後日。
今日は淡がいない。
京太郎は先日出来なかった牌譜整理を行っている。
ネリーは、いる。
「〜♪」
「……」
呑気に鼻歌を歌いながら牌譜の整理をしている京太郎。
じっと京太郎を見つめるネリー。
京太郎はそれに気づいていない。
「私は子供じゃないし」
京太郎に聞こえない程度に呟く。
すぐに口を紡ぐが、ネリーはどんどん不機嫌になっていく。
「(あいつ、くっついてた)」
昨日のことを考えてさらにイラついた。
自分が何で不機嫌になっているかわからず、さらに不機嫌になる。
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「あいつみたいにすれば治るかな」
そう考えるが、実行に移せない。
気づけば昨日の淡のように京太郎の周りをウロウロするだけだ。
決心もつかないし、何で自分がそんなことをしたいのかもわからない。
「何だ、ネリー?」
「何でもないよ」
「?」
自分の周りをぐるぐるまわられたら落ち着かないんだけどな、なんて返すもネリーには聞こえていない。
ネリーは少し考え、結論を出した。
「えい」
「?」
「それじゃ、今日は帰る」
「おう」
ほんの少し、触れあうようにぶつかった。
京太郎が少し疑問に思う程度で、昨日の淡とは全く違う。
しかしネリーは機嫌を直して外に出て行った。
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「……ぶつかった」
決してくっついたわけではない、と心に思い込む。
先ほどまでの不機嫌さが嘘のように心が晴れやかだ。
「ぶつかっただけ!」
もう一度声に出してみるが変わらない。
なんだか暖かい気持ちが胸を包み込んでいる。
「えへへ」
どうやら今日は、良い夢を見れそうだ。
カン!
最終更新:2016年05月30日 20:13