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【みんなからどう見られてる?】
白望はだるがりとはいえ、大学にも友達はいる。
京太郎がいない時には何人かの話に巻き込まれることも少なくない。
女子大生の話といえば、やはり恋愛話がメインとなるだろう。
白望はそれが苦手だった。
「シロの彼氏くんってすごいよねー。
主導権を握って引っ張って行ってくれるなんて憧れだよー」
「わかるわかるー。
男の子に無理やり引っ張られるのっていいよねー!」
「シロの彼氏くん、イケメンだし!」
「うらやましー!」
「……だる」
ーー京太郎を引っ張っているのは私だ
そうは思っても口に出さない。
この前の風邪の一件で、本当に引っ張って行ってくれているのは京太郎だとわかっている。
それでも、簡単には認めない。
ーー恥ずかしいから
京太郎を褒めてもらえるのは嬉しい。
白望から見ても京太郎は格好いいと思う。
だから好きでいてもらえるように、普段慣れない家事もできるようになった。
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しかし、お世話してあげているのが白望だということは信じてもらえない。
高校の友達、塞ですら全く信用してくれないのだ。
「シロって面倒くさがりだし、色々としてもらってるのー?」
「……」
「ご飯作ってもらったりとかしてそう!」
「……うん、してもらってる」
「「きゃーっ!」」
嘘だ。京太郎は料理が苦手だ。
というより、手伝おうとしても手伝わせない。
恥ずかしいし誰にも言わない。女の子としての魅力をアピールしている。
それを悟られたくないから、対外的な『小瀬川白望』のキャラを通す。
「シロと彼氏くん、並んで立ってたらカッコイイもんね」
「ビジュアル系二人……美味しいです!」
「……そう?」
「おっ、食いつきますなー」
「二人ともお似合いだよー」
「……お似合い、かな」
「やだー、シロかわいいー!」
〃-‐‐-----‐'/´
,, - '' ー '、
´ ヽ\
/ / | | ヽ \
/ ,/ /| l _<
ィ / 十/┤ 十ト l ハ ヽ
 ̄| { 示芸 \ |示芸! } 〃
j Y\|廴 リ 廴リ,!リ ノ
/ 廴 /// /// | } 「ほんと?」
{/ヽ|\、, > ___ _-__, イN/
/ 〉 | 〉、 "
/`ヽ::ヽ〈 V/l::ハ
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l !:::::〈/ヽ〉:::::::::}
└t-ィ:::::::::::::ヽ:::::::::イ
「ホントだよー!」
「メスの顔をしていますなぁ!」
ーーそう言われると、嬉しい。
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「シロ姉!
ご飯食べよう!」
「ほら、彼氏くんが呼んでるよ」
「熱々ですなぁ」
「……だる」
赤くなった顔を隠しながら京太郎の方に向かう。
友達がニヤニヤしているが、反応したら負けだ。
「彼氏の手作りお弁当かな?」
「いいなー。羨ましいなー」
「?
弁当はシロ姉の……」
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⌒フ / , / l 〈 \\ \
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〈 / | |八Ν__八{ | _\ ∨ l|′
/ l| l ァ┼ ┬ \N┬‐┬ | | リ
〃 / l|\_从 乂゚_ノ 乂゚ノノ}∧l/}
八/ / ,八 入 、 ,,, ,′ ト、ノ 「っ!!
. { / }\__ ′ |
. 从 八{ 込、 ∠> . イ^| }八 京、行くよ……」
∨ \从_}> . __ イ 八jノ )
/ \__ Κj/
_/ //〉_∧ ‘,
/:.∨ ,/// ∨ }: : ..
. .:´: : : : :∨//\__//∨: : : : : `ト、
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{ ∨: : : : : : : :\/:i∧\{:.: : : : : :.:| ∧
「えっ、どうしたの?」
京太郎の手をとって逃げるようにその場を後にする。
いつもの白望ならば考えられない俊敏さだ。
それを見て、友人たちはニヤニヤしながら見送った。
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……
…
「今日のシロ姉の弁当は何かなー?」
「……お弁当作るのだるい」
「そう言いながら毎日作ってくれるシロ姉、最高!」
「……さっさと食べる」
全く、京は人の気持ちがわかっていない。
いや、ここ最近はわかった上でからかっている気がする。生意気だ。
「そういえばさっきはどうしたの?」
「別に……」
「俺が弁当作るみたいな話ししてたけど」
余計なところだけ聞かれていた……。
誤魔化すのもだるいけど、本当のことを話すのはもっとだるい。
「俺、弁当なんて作れないよ?」
「わかってるくせに」
「えー、なにがー?」
京が嬉しそうにこっちを見てくる。
やっぱりわかっていて聞いている。
性格悪い。
卑怯。
生意気。
嫌い……ではない……。
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「そんなにガツガツ食べない。
ちゃんと噛んで食べる」
「ダイジョーブだって!」
「……はい、水筒」
「水筒女子っていいよね。
シロ姉そういうところしっかりしてるし」
「……もう」
「だってさー。嬉しいんだよ」
「いつものことでしょ」
「いつもやってくれるから、嬉しいんだよ」
「……」
「あっ、シロ姉照れてる」
最近、京が調子に乗ってる気がする。
これは姉として制裁を加えないといけないかもしれない。
「……シロねぇ、何してんの?」
「……」
無言で頬をつねってみる。
あんまり効いてないようだ。
あまり強く捻ると痛いだろうから、やめておく。
ダメだ。無理に相手する方がだるい……。
ふと、京の頬に注目する。
あっ……。
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//ア / / イ :ト、 \ \ \ \
. // / / / | | \ \ \ \ \
. /′i / /i | │ \ `ヽ `ー- 、 Y⌒ヽ}
{ | ,:イ :ハ`¨´`T´ | 、 \ト、 ヽ `ー- 、 \_ }
| | | ト、ハ≫=zzz、 ! `¨´`¨´`¨´`¨´ | |\ ヽ`ヽノ\
. 人 | | | 代 { __} \| ィ=- ..,,__\ト、 j │ \ } \
\! 〉、 ! :. 乂_フ ´下¨¨“_卞ゝ jイ ノ ヽ ノ i
/ ヽ ハ 弋 `フ ノ j/`ヽ j/ |
. / / / :. , `¨¨´ ノ ト、 ト、 } 「ご飯粒ついてる……」
i | i :从 / ト、 | ヽ. ; } /
l 人 ト、 ト、 _ rー-イ イ ! \ ! } / j/
∨ \! ∨V .> ` イ {ス人jヽノ jノ jノ j/
, ´∠ニニ>、 _ ... イ / \
/ /ニニニニニ7 λ / /入
/ {ニニニニニ7/「八. / //二\
: : : : :/ : : : : : :| : : : :|.. : :. ゙、: . ゙、゙、. \
: : : : : |. : : : : :i |: : : :i:|. : : : ∧: :、.i. .i: : . ` 、
.: : : : : !: : : : : | |、: : :| | : : i | !: :|:| : |:、: : : : : : >
: : : : : :| : : |: i 「! ヽート!、: : リ !: |ハ: ト : | ̄ ̄
.: : :,..-、|: : :i: :|: !゙、 _、!二゙、-| イ: リ ! |ヽ:|
: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ \ : :!丶  ̄ Vイ:ハ |\:i
.: : 丶 \゙、 `> リ `
ヽ: : :`┬ 、 ヾ /
i: ;ィノ U ,....-ィ / 「うえっ、マジ?」
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やっぱり京はまだまだ子供。
そっと指を使って取ってあげる。
京も少し恥ずかしいのか、顔を赤くしている。
やっぱり弟は姉にひれ伏していないとダメだと思う。
そのまま、何気なくご飯粒を食べてしまった。
// ´ ! 丶、 \ \
/ / / ! ', ヽ ヽ \ \
/ ,' l ', \ ヽ、 ヽ \
' ,' !',, ', ` 、、 ヽ ヽ ヽ
{l ,' l . l ヽヽ ヽヽ ヽ \
/ ,' l | \ \ヽ"'' - ,, ヽ~\ ヽ
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,' /! .∧ __ ~ー ヽ < ,,x≦ }ヾy、', / }
,' l ,'! l !l 、~ ',丶-- `  ̄彡ヤ"::o:::::} }/ }/i / \ ヽ ,'
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、 . ! | | | ∧ .|l ヤ:::::o::::} ¨ ! } \ ',
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 ̄ -| ` ‐ | 八
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数瞬後、自分のしたことを理解して混乱する。
もしかしたらここまで京の計算済みだったのかもしれない。
そうだとすればずるい。
ーーやっぱり京は、生意気だ。
カン!
最終更新:2016年05月30日 20:29