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【手から離れて気づくもの】 だるてる次元
「須賀ー、最近元気ないな」
「うーん……」
高久田と昼飯を食いながら最近の悩みを思い出す。
最近、照さんとシロさんの様子がおかしい。
少し前まではお世話お世話と俺のところに来ていたのに、今は来ていない。
そのせいでポツンと取り残されてしまって、高久田に声をかけられたんだ。
「あー、わかった。
あの美人の先輩方の話だろ」
「うん。まァそうなんだけどね」
「羨ましーよなァ。
宮永先輩と小瀬川先輩に頼られてるんだろ!」
「頼られる、っていうか……」
ペットのお世話している、というか……。
なんとも言葉にし難い感情が渦巻く。
「なんだよー。
フツーあんな先輩に囲まれてたら嬉しいだろ」
「うん、普通なら嬉しいと思う、んだけど」
「なんかあったのか?」
うぐっ。高久田は妙に鋭いところがあるよなァ。
思えば中学からの付き合いだから結構長くなるし、そういうものかな?
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2/10
「ま、良ければ話してみろよ」
「おう。
実は、最近二人があんまり寄ってこないんだよ」
「……は?」
高久田が目を丸くしている。
なんかおかしいこと言ったっけ?
「今日だって昼に来ないし」
そう、どこか最近よそよそしいんだ。
今までだったら俺の家を占領してまでお世話を要求する二人。
いつもならばお昼ご飯を要求しに我先にと俺のところに来るんだ。
それが、最近は控えめになった。
「そう思ったら二人でご飯食べてて」
「お、おう」
気づいたのはたまたまだった。
お昼を逃した、なんて言いながら部室でご飯を食べている二人。
それもどうやら自分たちで作ったお弁当を交換しているらしい。
キッカケがあるとすれば、前にお弁当を作ってもらった日だろうか。
あの日以来、喧嘩してばかりだった(シロさんがうまく受け流していたけど)二人が妙に一緒にいる。
横目で見ても明らかに距離があった二人。
二人とも口数が多い方ではないけれど、部室で近くにいることが多くなった。
「なんか、寂しいな」
「須賀、それさー」
呆れたようにこちらを見られる。
な、なんだよ。
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「お前がハッキリしないからいけないんじゃねーの?」
「は?」
「宮永先輩と小瀬川先輩!
あんな超美人二人に囲まれてアタックされてるのにフラフラしてるから!」
「アタッ……ク?」
「そりゃそうよ」
「男として見られていないの間違いじゃないのか。
普通の女の子は男の家に入り浸ってごろ寝しながらテレビを見てお菓子を要求するのか!?
自分でご飯を食べるのが面倒くさって俺に食べさせたりしてるんだぞ!?」
「お、おう」
少なくとも、俺が知っている一般の女の子とは違うよね!?
「じゃあお前にとっての普通の女の子って、なんだ」
「普通の女の子って言うかさ。
アタックっていうのはこう、照れた顔をして話しかけてきたりだとか」
「須賀、彼女いたことあったっけ」
「ないけど」
「はいそれアウトー!」
「いや、でもおかしいことは言ってないよね!?」
「知らぬは当人ばかりなり。
あのさー、俺たちからしたら、小瀬川先輩はともかく宮永先輩って完璧超人なんだよ」
「……ッ!?」
今明かされる衝撃の真実ッ!?
いや、知ってたけど、いざ他人の口から聞くと信じられない。
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……
…
・京太郎のイメージ
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 ̄´ |: }从:{ ⌒Y ∨ ⌒Y }: :/}/Y : ′
|: : : :/ 乂_ノ 乂_ノ /:イ /: :,′
|: : : { //// ////r-: ': : / 「京ちゃん、お菓子」
从: : 乂 ^ー( イ: : :/: :/
∨: {:从{¨¨, ィ「 ̄ 7¨´、_: 从:イ: :/
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/ |乂\∨_,イイ/ }
{/⌒ア `ー介 -‐´ {__〉
{`ー∧ /:∧:.、 |- r'
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,, - '' ー '、
´ ヽ\
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/ ,/ /| l _<
ィ / 十/┤ 十ト l ハ ヽ
 ̄| { 示芸 \ |示芸! } 〃
j Y\|廴 リ 廴リ,!リ ノ
/ 廴 /// /// | } 「京、運んで」
{/ヽ|\、, > ___ _-__, イN/
/ 〉 | 〉、 "
/`ヽ::ヽ〈 V/l::ハ
,' |:::::ヽ「」/::::::ヽ,
l !:::::〈/ヽ〉:::::::::}
└t-ィ:::::::::::::ヽ:::::::::イ
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5/10
……
…
うん、これだ。
それを察しろというのは、無理があるんじゃないか……?
「まァ聞けって。
そんな宮永先輩がお前にしか見せない態度で接している。
これはもう、アレよ」
「アレってなんだよ」
「アレって言ったら、コレよ」
「……そ、そうかー?」
本当にそうかー?
あの人たち俺を便利なお世話がかりとしか見てないと思うんだけど!
「女の子が普段見せない一面を見せてるって、アレだろ?」
「抽象的すぎるだろ!」
「お前には気を許してるってことだよ。
咲ちゃんだってお前相手には気を許してたじゃん」
「咲は……」
少しだけ、胸が痛んだ。
中学の頃の咲、高校が始まって麻雀部に入るまでの咲。
確かにあいつは俺に気を許していたと思うし、遠慮がなかった。
「まァこの話は置いといてだ」
「傷を抉るなよ……」
「面倒臭いから言っちゃうと、結局お前が寂しいんだろ?」
「そう、だな」
「じゃあこっちから仕掛けろよ。
理由なんてそれでいいじゃん」
仕掛けなければ、疎遠になる。
それが当たり前のことだって気づくには、少し時間がかかった。
それに気づいたときにはもう遅かったし、今だって言われるまで気づいていなかったかもしれない。
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「そう、だよ。
自然と疎遠になるなんて嫌だ」
「女の子との関係なんてそんなもんよ。
ずっと一途に想ってくれていても、本当に脈がないとわかると切られるんだぜ。
男を見せろ!」
「ずっと俺に寄りかかってくれていると思ってた。
でも、自立することだってあるんだよな」
「そうそう」
「サンキュー高久田!
俺、行ってくるよ!」
とにかくアタックしてみないとわからないし!
誰かと話すのは得意なんだ! 二人と話してからでも遅くはない!
「かー!
美人二人から選べるなんて羨ましい奴!」
「選ぶ?」
?
何の話だ?
「行く前に教えてくれよ。
お前、どっち選ぶのさ?」
「何の話だよ」
「どっちに話しに行くんだってこと」
「?
両方だけど」
「死ね」
「なんで!?」
コイツ、なんか勘違いしてないか!?
むくれた高久田に構っても仕方がない。
午後も講義あるし、それまでに何を話すか決めておこう。
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7/10
……
…
「結局、何も浮かばなかったなー」
ちょっと距離が離れてしまった二人と話す方法。
思い切って話してみれば解決するのかもしれない。
しかしあちらから距離を取られているのに、その距離を詰めるのはどうしたものか。
「どっちにしろ部室で会うんだし」
自分に言い聞かせるように呟く。
言葉にしなければわからないんだ。
……最近二人の思ってることは言葉にされなくてもわかってたつもりなんだけどさ。
いや、お菓子食べたいかとか何して欲しいかとか、その次元の話だけど。
「思えば、二人とも自分で何でもできるんだよね」
昼ごはんは一緒に頼んであげて、晩御飯は作ってあげていた。
お菓子を買ってあげたり、マッサージをしてあげたり。
でも、二人は俺なんかよりよっぽど上手く料理ができる。
勉強だって出来るらしい。
照さんもシロさんも学年上位だとか。
二人とも、麻雀強いし。
あれ、俺っていらなくね?
「やめよやめよ」
ふと、咲のことが浮かんで胸が痛くなる。
何にもできないと思ってた奴が自分よりも出来るものがあった時。
俺は悔しくて、嫉妬して、……そんな自分が格好悪くて嫌いになった。
まるで人のお世話をしていることで自分を保っていたみたいだ。
やだな、まったく成長してないじゃんか。
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8/10
「あー、いたいた」
考えはまとまっていないけど、世間話をするだけだ。
普通に喋って、普通に交流していればいい。
照さんにはポッキーを用意したし、シロさんにはチョコを用意した。
これがなければ話しかけられないのがちょっと嫌だ。
結局、お世話するしないでしか関わっていない気がする。
「行くぞ、俺」
今まで自然にしていたことなのに、させられていた時とは違って妙に緊張する。
二人は麻雀を打ち終わったところで、席を外して椅子に座っている。
深呼吸して、声をかけた。
「照さん、シロさん」
「!?」
「……」
照さんはすごく驚いたような顔をして、シロさんは相変わらずの無表情。
やだ、返事が返ってこなくてちょっと不安だ。
「その、差し入れ買ってきたんですよ。
照さんにはポッキー、シロさんにはチョコ」
「……」
「……照」
「わ、わかってる」
「本当に?」
「うぐぐぐぐ」
二人が神妙な顔をして見つめ合っている。
えっ、なんだこの雰囲気。
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9/10
-─===‐-ミ
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.: 八.: :|┬─┬}/ ┬‐┬‐ .:.:|`ヽ}
.:/⌒ヽ} | :::::: | 三 | :::::| .'.:.::|
.:{ '└─┘  ̄ └‐┘ l.: .:|
人_ u j.: .:|
i.:.: .: .> )‐┤ イ.l: ::' 「が、ががががが我慢する」
i.: .: .:i .: : _;〕ト _/| h ≦.:.:.|: 八/
ト、.: .:|/⌒ 、_| | | | ト、`〉、|/
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/ ヽ > | ノ / ∧
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⌒フ / , / l 〈 \\ \
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〈 / | |八Ν__八{ | _\ ∨ l|′
/ l| l ァ┼ ┬ \N┬‐┬ | | リ
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八/ / ,八 入 、 ,,, ,′ ト、ノ
. { / }\__ ′ |
. 从 八{ 込、 ∠> . イ^| }八
∨ \从_}> . __ イ 八jノ ) 「……貰っとく」
/ \__ Κj/
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/\'´ /{ | 从{__,. \∨Vソ }イ ト、 ∧{
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10/10
なんかあんまり嬉しそうじゃない。
というか、照さんがお菓子を拒否した!?
ーーああ、やっぱり俺って、気づいたときには遅いんだなー
心の中に浮かんだのはそれだ。
「でもちょっとくらい」
「ダメ」
「白望はケチ」
「今晩食べられなくなる」
そうか、二人は仲良くなったんだ。
それだから俺はいらなくなったんだよな。
女子二人の方が気兼ねないし、当たり前か。
「……京ちゃん?」
「いや、すいません余計なお世話を、今日は帰ります」
ちょっと泣きそうになりながら振り返る。
すると、袖を引っ張られた。
振り返るとシロさんが俺の袖を掴んでいた。
//ア / / イ :ト、 \ \ \ \
. // / / / | | \ \ \ \ \
. /′i / /i | │ \ `ヽ `ー- 、 Y⌒ヽ}
{ | ,:イ :ハ`¨´`T´ | 、 \ト、 ヽ `ー- 、 \_ }
| | | ト、ハ≫=zzz、 ! `¨´`¨´`¨´`¨´ | |\ ヽ`ヽノ\
. 人 | | | 代 { __} \| ィ=- ..,,__\ト、 j │ \ } \
\! 〉、 ! :. 乂_フ ´下¨¨“_卞ゝ jイ ノ ヽ ノ i
/ ヽ ハ 弋 `フ ノ j/`ヽ j/ |
. / / / :. , `¨¨´ ノ ト、 ト、 }
i | i :从 / ト、 | ヽ. ; } /
l 人 ト、 ト、 _ rー-イ イ ! \ ! } / j/ 「今日、照の家に来て」
∨ \! ∨V .> ` イ {ス人jヽノ jノ jノ j/
, ´∠ニニ>、 _ ... イ / \
/ /ニニニニニ7 λ / /入
/ {ニニニニニ7/「八. / //二\
続く
最終更新:2016年05月30日 20:44