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【深淵の監視者】
この世界には、『世界一位』と呼ばれるものがいる。
『世界一位』とは『世界二位』の上に立つ者である。
では、まず世界二位とは誰のことを指すだろうか。
世の中に名を轟かせる『世界二位』とは、小鍛治健夜である。
事の起こりは10年前のインターハイでの出来事だった。
小鍛治健夜とは、麻雀を始めて数ヶ月でインターハイを制覇した女性である。
それも一切敵を寄せ付けず、彼女はその後麻雀界において伝説的な人物となる。
『国内無敗』、『史上最年少八冠』、『永世称号七冠』、『毎年MVP』と輝かしい経歴を持ち、
『アラサー』であり『実家暮らし』であり『水着と猫耳』が似合う。
そんな彼女が『世界二位』なのだ。
もちろん、多くの人は『世界一位』とは誰か? と疑問に思ったことだろう。
そもそも、『世界一位』と言う概念を作りだしたのが小鍛治健夜なのだ。
順番としては小鍛治健夜が世界二位であるから世界一位が生まれたのだ。
そう、あれは宮永照、宮永咲が活躍した世代のインターハイだった。
『彼女』を見た時、解説としての仕事をしていた小鍛治健夜が呟いた。
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ーーそう、その背中はあまりにも大きく、遠すぎた。
故に意識するより先に上の存在を認める言葉が出てきたのだーー
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/ / ./ / // /⌒トミ
その言葉は意識の外で生まれたものだ。
ボソリと小さく呟いただけで、場所が場所ならば誰にも聞かれずに歴史の闇に葬られたことだろう。
だが、歴史はそうならなかったのだ。
ーー健夜がいたのは、放送室の実況席。
『世界二位の認める世界一位』ということで、世間は大いに沸いた。
もちろん、麻雀は四人でやるものである。
最初は【『世界一位』とはこの四人の中で誰だ?】という問いが某掲示板で議論された。
だが、それも長くは続かなかった。
実際に『世界一位』である必要はない。『世界一位』とは概念なのだ。
周りが認めれば本当の『世界一位』でなくても『世界一位』になりうる。
一言で纏めよう。
満場一致で『彼女が世界一位だ』というカリスマ性があっただけである。
そこに異論を挟むものなど誰もいなかった。
だいたいすこやんのせいである。
ちなみに論争が起きたのはのどっちスレである。
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こうして、何の変哲もない女子高生、いや『女子校生』は世界一位と成り果てた。
こうあったらいいなという男の子の理想の『世界一位』(意味深)
インターハイはテレビでも映った。故に知名度もトップとなる。
余談だが、この後四年間に渡り自由投票型の『世界一位投票』にて圧倒的なトップを維持し続けた。
彼女は伝説であり、今後も世界一位であり続けるだろう。
そう、男の子みんながお世話になった彼女の名前はーー
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: / | : |: . : ∧: .ハ:卞::i:lil刈 |: |: .| ヽ у´ ___}_
/ : . l: . : . ‘:,⌒!ム ゞ…″ ` :':':':゚|: |: .| │ r  ̄ } 「新子憧、16歳です!」
|: . 。: . : . :∧ い ゚:':':': -┐ }: |i:∧ | ――‐{
| : ..。 . : . : ∧、vハ ゝ __ ノ / : |i: .‘ | ー―{
/: . : ゚: . : . : . ∧:vハ` ..,, / } |i: . :; ′ -- ′
. /: . : . : 。: . : . : .:∧vハ__  ̄{ ̄: .| }/}: . :.。 /\ }、
′: . : . : .。: . : . : . : .ⅵ\>―‐n: . :.{ / l: . : ∨/ / \ /:.入
/: . : . : . : ./\: . : . : . : \: \ |{x=xハ 乂: .:// / / / `¨¨´:.:}
なお、このインタビューはインターハイ決勝戦出場時に撮られたものである。
このインタビューはインターハイ決勝戦出場時に撮られたものである。
インタビューの時に名前を名乗って年齢を答えただけである。
他意はない。
ーーもっとも、本人にとっては普通の発言が世界一位になるところが彼女のカリスマ性である
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5/11
……
…
ーーそれから、四年
彼女は大学生になり、女子高生から女子大生になった。
もっとも、元から女子校生と呼ばれていた新子憧にはあまり関係のない話だ。
何故かわからないうちに人気者になったが、生来の男性恐怖症も相まってアイドルになることはなかった。
しかし何故か彼女に関する話題が尽きることはなかった。
偏差値70を超える某大学に入学。
そしてこれは大学二年生の時の物語である。
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ヽ!:.i、`゙ー-r≧ >≠ , " " / |:! : : : :.:|:.!////
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. 从! l\\:| |: :l: !:| |ヽ|: !:.:.:.| |: :/ ,イ|:゙、:ヘ !:.|
ハ:ト:l Lf~ヽ `_ヽ_:!|ヽ ||、-、ヽ:_L`_r"∠!: :!:∧ |:.:!
,' :|::!ミ、 | >、ゝ.|´ヽ ヽヽ:ヽ-、 ,.r!::>‐'{ | |ノ|ノ7: |:.:.ヘ. ,':.:|!
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|i| !:| |\,ゝ |: :ヽ |::::/´ /` ̄ヽ: |:.: :.∧/:.:.:.:||i!
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/ / , rⅥィ笊 从 {∨ /ィ笊_ヽ}/、 | |
/ イ ∧{ 从 Vり \∨' Vり /' / ∧{
´/イ }从lム ; \ ,ノ / \
| ∧ U ∧,イ 「お、おう。
Ⅵム - - イ //
_ヽl\ //イ__ 俺は行かないよ?」
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「なんでですか!!!?!?!」
「なんでよ!!!!!」
「一緒に合コン行って、友達に噂とかされると(社会的に)恥ずかしいし」
私、新子憧!
ちょっと男の人が苦手だけど恋に憧れる二十歳になったばかりのピチピチギャル!
どこにでもいる女子大生だけれど、一つ違うところは『世界一位』ってトコかなー?
自分でも何が世界一位なんだか良くわかんないんだけどね!
「須賀ったら、本当に枯れてるわねー」
「憧、須賀君は照れているだけですよ。
実は私たちと一緒に行きたいに決まっています」
「勘弁してくれ。勘弁してくれ」
「でもこう言ってるわよ?」
「須賀君ったら、金髪でツンツン頭だからって某国民的RPGの主人公のモノマネをするなんてどうしたんですか?
私としては見た目よりCVが合っている方が好きなんですよ。
やっぱり須賀君はたまねぎ剣士で行きましょう!」
「そんな情報知りたくなかった!」
「和ったらいつからゲーマーになったの?」
「それはもちろん、大学に入って一人暮らしを始めてからですね。
窮屈な父親から解放されてヒャッホイ大学生活を満喫しています」
「ちなみに和はセフィロス×クラウド派?」
「もちろん私は589派です!」
「和にしては王道好きねぇ。
もっとマイノリティなのが好きだと思ってたわ」
「俺は何も聞こえない……。
俺でも知っているゲームで腐った会話がされているなんて信じない……」
なっさけないわねー。
大学一年からの付き合いなのに、女の子の会話に慣れてないなんて。
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8/11
「お前ら、せめて俺のいないところでやってくれよ。
なんで近づいてくるんだよ」
「ダメでしたか?」
「和……、あのね。
俺も男な訳で、そんなホモホモしい会話をされても困るっていうか」
「でも須賀って女慣れしてるんだから大丈夫でしょ?」
「そうですよ!
高校時代だって大丈夫だったじゃないですか!」
「そりゃいくらなんでも麻雀部でBLトークなんてしてなかったからね!?
最近女子会の話とかエグい事しか話してないじゃん!」
「ほら、女の子に幻想を持っていると後悔するわよ。
そういう意味でも場慣れしておくべきじゃない?」
「耐性をつけるにしても、公共の場でBLトークをする彼女を作る気はないっ!」
「須賀君は本当におバカさんですね……。
女の子は全員大なり小なりそういう趣味を持っているものですよ?」
「『公共の場』っつってんだろォォォォ!?」
「それじゃ公共の場じゃなければいいんだ?」
_,...---、_,.、
/ : /: : / : : ヽー-、
/. : :, !: iハ!/メ、.i | \
イ : :{ ヽN 'i:!/!人iヽi
_1: : :i( _ 丶:\
/ `Yリヽ '、_)'´!`ー`
/:::.. | ,. _/ 「あ”あ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ーー!!」
. /.::、:: ト、ィ'
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/ ::::|:: ! ヽ、 ,:-‐クヽ
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./__ /! i / iu-゙、
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9/11
須賀って本当に希少種なのよねー。
私と和が話していると男が近寄ってくるくせに、数分話すと顔をしかめながらどっか行っちゃうんだもん。
それなのになんだかんだでちゃんと話を聞いてくれるし、逃げないでいてくれるし。
ついついワガママ言っちゃうというかー?
からかっちゃうって言うかー?
まぁでもこんなに可愛い女の子二人に振り回されるなんて幸せ者よね!
「そういえば最近しずと連絡がつかないのよねー」
「あっ、憧もですか?
実は私もそうなんですよ」
「おかけになった電話は電源が入っていないかってなるのよねー」
「携帯壊しちゃったんじゃないですか?」
「あるかも。
山登りしてて壊しちゃったり!」
「アリですね」
「……(俺、ついこの間に電話番号とメールの変更連絡が来たんだよね)」
「まっ、実家の番号もわかるし、その気になればいつでも連絡取れるわよ」
「そうですね。
今度東京に遊びに来てもらったりするのもアリかもしれません。
阿知賀に行くのもいいですが、東京でオススメしたいものもありますし」
「乙女ロードに連れてってあげたいわね!」
「この間連絡した時はその話をしていたんですよ。
それから何かあったんでしょうか……?」
「……(あっ)」
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10/11
……
…
・1年前
//|: : : : | : : // |:∧/ |/ |八∧/ \ |;ハ: : :| : : : |)〉
|:| |: : : : | : /: ≫去干气ト ィ去干气≪ |: :/: : : : |\
|:| |: : : : |: :|:::; 〃 んJ:::::::爿 トJ:::::::::::爿ヾ |:/: : : : :/ : ∧
|:| ∨: : :乂{::::〈{ V辷七歹 V辷七歹 }〉/ : : : : /: : : :∧
. 乂 \{\: Ⅵ とつ'⌒~ /////// `⌒とつ /|: : //: : : : : :∧
/ `トh ///////////////// ハl/Ⅳ: : : : : : : :∧
{ |: : :|ハ | ! : | }: : : : : : : : :∧
. 八|: : :l } /~⌒^⌒^ヽ j | : レ : : : : : : : : : ∧
|: :从,_| ´ ` 厶イ : |: : : : : : : : : : : ∧
|: :| 人 人 : : : |: : : : : : : : : : : | }| 「良かったら、憧と和のことを見捨てないであげてください……」
|: :| > < |: : : :|: : : : : : : : : : : | ||
|: :| > < |: : : :|: : : : : : : : : : : | ||
人_| r=≦}___ T爪 {≧=ミ, |: : : :|: : : : : : : : : : : | ||
|{  ̄`Y^Y´ ̄ } | : : / : : : : : : : : : : /∥
__ 从 ー---〈 ∥---―=彡〈 ∧/ : : : : : : : : : : / /
/  ̄¨ニ=- _幺 ー―===У===-一 r公=―=ニ¨ ̄ ̄ \:/
___,-、 _, ---- 、
, ´ / ` < ⌒\
/ | :. `ヽ、
/ / / l| V ` 、
.' / , { { | | | 、 、_ \_
| | | | |∧| { : ハ V 、\  ̄´
| | {/--{ 从 | , |-|、 | 、 \`
' | ,..- | | | ,ィtォ=ミ∧ |,ィtォ、} / |l ハ\_、 ←当時よくわかってなかった京ちゃん
/イ{ { r 从 { Vソ ∨' Vソ/イ |∧}
∨乂 \ |/ j' リ
}∧ ー:. ` ムl/ 「……おう?」
/ 、 八 _ _ 人
}イ/|\ /
「<l| ` .__/_
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11/11
……
…
「(約束、したもんな)」
歯を食いしばり、ぎゅっと手を握りしめて耐える。
別に一緒にいることが嫌なわけじゃない。嫌なわけじゃない。
なんだかんだで最低限のラインは守って……守って……くれてるし……。
見捨てるのもなんか嫌だし……。
付き合ったりとかはもっと嫌だけど……。
でも、彼女と約束したんだ。
和と憧を見捨てないって。
それがきっと、俺に課せられた使命なんだと思う。
きっと俺は前世で何か悪事を働いたんだろう。
その償いをしているんだ……っ!
だから、二人に彼氏が出来るまでは面倒を見るって決めたんだ!
__ /⌒ヽ
⌒\ ∨ ヽ___
_, ----` ∨ `ヽ、
/´ | \
/ ____ / l| | :. \
/// / | |l | : ヽ
/ / // ,∧ / ,イ l| :. . .
/ イ / // : l | ' / ! 从 | : :.
.'/ ' ' /-|-{ { | /}/ | / } } | .
}' / |Ⅵ { 从 ' , }/ /イ } .
/ イ | l{ { ∨/ ' } ∧ : :.
´ | {|从三三 / 三三三 / /--、| ∧{
{从 | , ムイ r 、 }} /} \
| ノ ' }/イ/ 「(そしてあわよくば玄さんを紹介してもらうんだっ!!)」
{ _,ノ
人 _,..::ァ r }/
` ゝ - ' イ |/
` ーr ´ ___|_
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{|___ノ __|[_]//∧_
/// |____|///////////> 、
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ーーこの京太郎、下心満載である。
カン!
最終更新:2016年05月30日 20:48