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重婚が法的に認められてテルーと京ちゃんの子が誕生、という照の夢オチ
「照さん、照さん」
ん、京ちゃん。もうちょっと寝かせてほしい。
今日は仕事がなかったはずだし、本当にもう少し休みたい。
最近、記憶を奪う使い手や、夢を見させる使い手と対局したせいで疲れている。
そんな相手と戦って、何のオカルトも持たず君臨する人がいると聞くけれど、私にはまだ遠い。
というわけで私は寝る。京ちゃんを抱き枕にして寝る。
「照さん。俺たちの子供が早く出かけようって、怒ってますよ」
!?
「え、何、京ちゃんもう一回言って」
「どうしたんですか、今日は俺と照さんのデートですよ。
咲にも許可もらったじゃないですか」
突然のことに動転する。
いつもはポーカーフェイスで過ごせてるはずなのに、胸がドキドキする。
「ム。今週は許すけれど、来週は私と京ちゃんのデートなんだからね」
「照さんが普段忙しいのはわかりますが、子供はやっぱりお母さんと一緒に遊びたいんですよ」
「私が普段世話をしているんだから、このままじゃ私がお母さんと間違えられちゃうよ。
早く行ってきなよー」
京ちゃんと咲が言っていることがわからない。
未だに混乱する私。
咲を別室に引っ張って行って聞き出した話によると、どうやら私は京ちゃんの第二夫人らしい。
なんやかんやで重婚法が発表され、それを受けて私と京ちゃんが子供を作った。
咲よりはるかに遅れてしまったけれども、私も子供を授かったことを喜んでいたはず。
なぜか忘れてしまっていたけれど、そういうことになっているんだ。
よし、デートに行こう。
好きな男の子と同じ名字を使いたいというのは、女の子としての憧れだ。
念願の『須賀』照としてのデート……
えへへ
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「て、照さん。俺が抱っこしますよ」
「だ、大丈夫」
「でも手がプルプルしてますよ!?
危ないから!」
失礼な。赤ちゃんの抱っこくらい私……須賀照ちゃんにもできる。
それに、今日だけはこの子を離したくない。
そう、普段仕事で疲れていて、育児のほとんどを咲に任せている以上、こういうところでお母さんをしないといけない。
子供の顔を覆い隠すようにギュっと抱きしめる。
絶対に離すもんかと抱きしめる。……京ちゃん曰く、私の全力は全然力が入っていないらしい。
「まぁ、辛くなったら代わりますからね。
照さん。今日は遊園地ですよ」
「うん。楽しみ」
「じゃ、行きますか」
こうして、私たちは一時の休みを夫婦として過ごした。
メリーゴーランド、コーヒーカップ、子供に乗れるものは少なかったけれど、十分楽しめた。
遊園地の最後と言えば観覧車。最後に乗り込む。
「照さん。楽しかったですか?」
「うん。夢みたいに楽しかった」
「それは良かったです」
本当は、このまま終わらせたい。
けどそれは、『宮永』照が許さない。
「ねぇ京ちゃん」
「なんですか?」
「私と咲、どっちが好き?」
京ちゃんは呆れ顔でこう言った。
「二人とも好きですよ。
だから俺は二人と結婚したんじゃないですか」
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3/5
…
うん、やっぱりそうだよね。
「京ちゃん。いや、私の夢の中の京ちゃん。
今日は1日ありがとう」
「え、どうしたんですか?」
「私の子供。名前も顔も知らないけれども、私の子供でいてくれてありがとう。
きっとまた会えるから、その時にもっと遊ぼうね」
朝から子供の顔すらもやがかかったように見えなかった。
だから抱きついて顔を覆い隠していた。自分がその事実を認識したくなかったんだ。
「京ちゃんは、私と咲を選べと言われたら、咲を選ぶ」
「!」
「ありがとう。本当は最初からわかっていたんだ。
それでも、少しだけ、この幸せに浸っていたかった。
本当に楽しかった」
「て、照さん?」
「なんで、って顔してるね。
だってそれが私の好きになった京ちゃんだもん。
私は『咲を一番に愛してくれている京ちゃんを女として好きになった』。
損をしてるよね。それでも、女の子だから仕方ないの。
『貴方は須賀京太郎じゃない』
『今度はいつか、現実でこうしよう』」
……
…
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4/5
「照さん! 照さん!」
「……?」
「大丈夫ですか?」
京ちゃん。……仮眠室のベッド?
記憶がない。どうしたんだろう。
「照さん。対局後に倒れたんですよ。
夢に関するオカルトって呟いてましたけれど、大丈夫ですか?」
「そう。対局は勝った?」
「いや、今は照さんの体調の方が」
「京ちゃん、プロとしてあの場に立っている私は、それが何より大切」
「……僅差で照さんが勝ちました」
「それなら良かった」
納得できないような顔で京ちゃんが答える。
まだこれが夢の中かもしれない。
胸が痛い。チクチクする。
でも、聞かなければいけない。
「京ちゃん。大事な話がある」
「はい?」
「咲のことは好き?」
「はいぃ!?」
「もしかしたら対局に関わる。真面目に答えて」
「えっ、対局って、えっ!?
……まぁ、好きだから結婚したんですよ」
うん、良かった。本物の京ちゃんだ。
ちょっと辛いけれども、やっぱり嬉しい。
「そんなことより、いくらプロでも限度があります!
照さんだって大事な家族です。
体を大事にしてください」
「京ちゃん……」
「わかりましたか!?」
「うん、わかった」
それでもやっぱり、私はこの人が好きなんだなぁ。
咲に分けてもらえないか相談してみよう。そうしよう。
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5/5
「起き上がれますか?」
「少し甘えれば大丈夫」
そう言って京ちゃんに思いっきり抱きつく。
全力で抱きついたのに身じろぎ一つしない京ちゃんはすごい。
「照さん軽すぎです。お菓子以外も食べてください」
「京ちゃん成分を吸入してから考える」
京ちゃんの呆れ顔が目に浮かぶ。うん、今の私はこれでいい。
「京ちゃん帰ろう」
「わかりました」
「手をつないで」
「いぃ!?」
「じゃないと迷子になる。訴訟も辞さない」
「新しい脅迫ですね……。
はい、どうぞ。【お姫様』」
「うん」
私と京ちゃんの距離感は『今は』これでいい。
それでもいつか、あの夢のように
「京ちゃんお菓子」
咲と一緒に、あなたの隣に立ちたいな。 カン!
最終更新:2015年11月25日 03:38