1/8
123
照と京太郎のデート(with咲)
宮永照です。
今日は京ちゃんとデート。すごく楽しみ。
貯めた京ちゃんポイントを使うと、咲は渋々許してくれた。
『咲、貯めた京ちゃんポイントでデート一回』
『うっ、もうそんなに貯まってたの?
わかったよ。公序良俗に反することはしないこと!』
『わかった。
……咲、もう一つお願いがある』
『えっ、お弁当を作るとか?』
『あの、えと、その。
デートについてきてほしい』
『……え?』
咲にお願いするのは結構勇気が必要だった。
最近ますます格好良くなってくる京ちゃん。そんな京ちゃんと一緒にいると恥ずかしいのか胸がドキドキしてしまう。
これがきっと恋心。
辛くて、嬉しくて、ときめいて、一緒にいたいけれど、緊張する。
咲がいればきっと大丈夫。
うん。メインは私だから咲と京ちゃんのデートにはさせないけれどね。
それに咲とも一緒に遊びたい。
わがままなお姉ちゃんのお願い、聞いてくれてありがとう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2/8
「外デートするのも久しぶりですね」
「いつも子供がいたから仕方ない」
(京ちゃんとお姉ちゃんが夫婦で、子供がいるみたいな話してるけど、今日はスルーしてあげる……ぐぬぬ……)
今日は目一杯お洒落してのデート。
京ちゃんはジーンズにシャツと結構ラフな格好。大学時代に着ていたらしい。
私は一応有名人なので、ウィッグをつけて誤魔化す。
いつもならカツラを被ったりもするけれど、今日はもっと素直にデートしたかったんだ。
咲に話したら許してくれた。ありがとう、咲。
「その、照さん。今日はすごく気合が入ってますね」
「うん。京ちゃんも格好いいよ」
「いぃ!? ……照さんも綺麗ですよ」
「本当?」
「ええ。照さんは綺麗系で、咲はかわいい系って感じですよね」
「……」
「咲?」
「なんでもなーい。
今日はお姉ちゃんを敬う日なんだから、ちゃんとお姉ちゃんとデートすること!」
「はいはい」
咲がすごく複雑な表情で許してくれた。嬉しい。
京ちゃんに褒められた。とっても嬉しい。
かわいいって言われることはあんまりなかったけれど、京ちゃんに綺麗って言ってもらえたならそれで十分。
自分がアラサーだし、それ以上なんて望まないよ。
「照さん! スキップすると転びますよ!」
「あー、もう……。京ちゃん。手を繋いであげて……」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
3/8
咲の計らいで手を繋げた。嬉しい。
京ちゃんは咲とも繋ごうとしたけれど、咲が『今日はダメ!』って言ったから私とだけ繋いでいる。
こうして手を繋ぐと、京ちゃんと距離が近くなる。すごくドキドキする。
自然と匂ってくる京ちゃんの匂い。あれ、昨日はシャンプーを替えたのかな?
私は利きシャンプーが出来るくらい匂いを判別できるんだけれども、京ちゃんの匂いが一番安心する。
お父さんというか、頼れる男の人の生活臭。……好き。
「咲……絶対に迷子になるなよ?」
「な、ならないもん。
最悪、GPSで探しに来てね?」
「その前にスマホ落とすなよ。そうだ、首からかけておこう」
「そこまで子供じゃないもん!」
うん。やっぱり二人とも息ぴったり。
でも、やっぱり咲が迷子になるのは不安だよね。
「京ちゃん。咲とも手をつないであげて」
「え、お姉ちゃん?」
「咲が迷子になったら大変だから。お願い」
「はいはい。分かりましたー」
「ムー」
「京ちゃんポイント使うから、ね?」
ふふふ。これはこれでお姉ちゃんポイントをゲットできたかな?
いい歳した大人がみんなで手をつないで歩いている、しかも男一人に女二人だ。
世間にはどう思われているのかな?
あ、京ちゃんが困ってる。かわいい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
4/8
デートの内容はそんなに凝ったものじゃない。
フラフラと散歩をして、思いついたところに行く。
まずは歩いていたら公園にたどり着いたので、一休憩。
「ハァ、ハァ……」
「お、お姉ちゃん体力なさすぎ」
「咲に言われるってひどいな……」
「ム。私は最近子供の世話で体力ついてきたもーん」
ぐぐぐ。咲に負けるのは悔しい。
そう言っているうちに、咲がシートを広げてくれた。
そういえば、もうお昼ご飯の時間だ。
「お弁当作ったんだよー」
「おっ、それは期待!」
「あ、あんまり期待しないで」
「え?」
「はいはい。開けるよー」
「さ、咲。待って」
そう言っても咲は止まらず、お弁当のフタを開ける。
そこにあるのは、咲に手伝ってもらって私が作ったお弁当。
かなり協力してくれたとはいえ、どうしても咲に比べると形も味も自信がない。
う、やっぱりやらなければよかったかな。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
5/8
「て、照さん。これ、もしかして」
やっぱりバレちゃったかな。
私の中が後悔で満ちる。
せっかくのデート、これでダメになっちゃったら嫌だな。
「(´・ω・`)」
「照さんが作ってくれたんですか!?
俺、すっげーうれしいです!」
「(´・ω・`;)!?」
「これ、食べていいですか!?」
「あ、でも、味見はしたけど味に自信が……」
「いただきます!
ーーーうっまーい! すごく美味しいですよ!」
. :´: : : : : : : : : : : : : : : : :` 、
/: : : : : : : : : / : : : : : : : : : : : : .
/: : : : : : : : : : ,イ: : : : : : : : : : : : : ∧
/: : : :/: : : | l: : :/ | : : : : |!: : |: :|: : : : : :,
 ̄ ̄ ̄| : : : N: :/__:| : : : : ト、__|: :|: : :|: : :′
i| : : : | ∨ 八:ト、: : | N: リ: : :|l : : |
. 八: : { l ____ ` \| ___|/ | : 八: : |l
/:リ \N '~⌒`` ´⌒``〕/ ;__: :八
. /:/: : : :ハ """" ' """" '// /: 〔、: :、
.: /:__: : : :圦 lヽ r ┐ // /: : /): :\ 「えへへ」
/: l l\\: : : :| .! ノ .:'_/ 厶 "/: ト、: :ヽ
.' |八 :\\__| .!> __ . イ´ 、__フ‐<ヽ.: :| \:|
. .′ V.rヽ _|___ | /_〔 ̄ | V 〕
//.へ`ー-:.、Υ 八 l |
頑張って、良かった!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
6/8
それからショッピングモールに向かい、季節に合わせた服を見繕って、次はスイーツ巡り。
「照さん、何にします?」
「トリプル!」
「お姉ちゃんだとそれしかないと思ったよ……。
あ、私はシングルでいいや」
「二人ともカップな……。
絶対にこぼすから」
「ム!」
「京ちゃんひどい」
「照さんはトリプルでしょう!
おとなしくカップにしますからね!」
「「はーい」」
そんな京ちゃんの指揮のもと、アイスを食べる。
スイーツは大好き。お菓子も大好き。
ふと、自分はいい、とアイスを食べなかった京ちゃんが手持ち無沙汰なことに気づいた。
私の手の中には、トリプルのアイスが入ったカップと、それを掬うスプーンがある。
……
咲の方をチラッと見る。
咲はため息を一つ吐いた。やっぱりダメかな?
「お姉ちゃん、今日はいいよ」
!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
7/8
「きょ、京ちゃん!」
「うお!? どうしたんですか、照さん」
鬼気迫る表情で近づいたせいか、京ちゃんが後ずさる。
落ち着け、私。深呼吸。
「(;´・ω・)っあ、あーん」
「て、照さん!?」
「京ちゃん。貰っときなよ」
「咲まで!?」
京ちゃんは一瞬迷った末、観念した風に食べてくれた。
_. . : : : : ̄ ̄ ̄: : : : : . 、
,. : : ´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
,. :´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
/: :,: : : : : :,: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
/: : :/: : : : : /: : ,: : : : : : : : : : : : :,: : : ヽ: : : : : : .
,: : : /: : : : : /: : /: : : : :|: : : : : : : : |: : : : :∨: : : : :.
/: : /:,: : :_:_:/: : /: : : : : :i: : : | : : : : l: : : : : :|: : : : : :
/: : :从|: : : :/|:`イ: |: : : : ∧: :.:|: : : : /: : : : : :|: : : : : |
/ : : : ィ: :{: : :/ィ-、 }:∧: : : | -}:|-|---く: : : : : : ,: : : : : :|
 ̄´ |: ∧: :| _)雫ミ从: : :| _}∧:_:/ }ヽ : : : /: : : : : :
|: : : Ⅵ V::ノ \|´_)笊雫ミ/: : : :/:/: : : : : : , 「ありがとう。二人とも」
|: : : ,: | , V:::::ノノ' : : イ:.イ: : : : : : ,′
|: : :j:从 /:/ /' ノ: : /: : :/
|: : ,|: {: : . _ ´ ィ: ー ´: : :/: : :/
|: :/|: 从: : : . ‘ ’ イ |: :/ : : :/: : :/
|:/ 从{_r--'´` ー 、-=≦ ∨: : : /: : :/
}' / ||:| ∧ /,': : : /: : .イ
/ ||:| / _,./ / : イ:/\
/ ∧:{ /⌒\´/ ´ ´ 、
, {:.:\、 ,′ / ,. ---――‐`ヽ、
/ ∧:.:.:. ∨ /_,.:.―:.:.´:.:.:.// Ⅵ |
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
8/8
楽しい一日はすぐに終わってしまう。
私たちのデートも、これで終わり。
明日は日曜日だからみんなでゆっくり休む日。
正直、私も疲れてしまった。
「お姉ちゃん。疲れちゃったんじゃない?」
「咲こそ。足が震えてる」
「二人とも、もうちょっと体力つけてください」
京ちゃんだけはまだまだ平気なのか、あきれ顔だ。
もう少し、もう少しだけデートしていたいなと思ったら、自然と歩みが遅くなった。
そんなことをすれば二人に置いていかれてしまうな、と思ったけれど、二人と距離が離れることはなかった。
みんな、何も言わず、歩幅が揃ってゆっくりになっていた。
「いやー、今日は楽しかったですね!」
「お姉ちゃんにデレデレしてたもんね」
「えぇ!?」
「嘘だよ。今日はそうしてもいい日だもん」
「?」
「また、誘ってもいい?」
「そんなこと聞かなくても、いつもいろんなところに行ってるじゃないですか」
「そーだよお姉ちゃん。今更」
「照さんが一番忙しいと思うんで、暇があったらいつでも誘ってください!」
「宮永家にいる間は、みんな一緒なんだからね!」
うん。そうだよね。
咲と京ちゃんと、ずっと一緒にいたいな。カン!
最終更新:2015年11月25日 03:10