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「剣客商売」という小説で少し勉強してみたZE

「あ、こんにちは・・・」
挨拶をされたからには返さないわけにはいかないので、戸惑いながらも返しておく。
それを受けて、相手の少女は無邪気に笑う。大分幼い感じの笑みだ。

一緒にいた動物たちは――おそらくイタチの親子なのだろう、少女の笛の音が消えた途端にそそくさと何処かへ逃げてしまった。

「あ~、待ってよぅ」
少女は慌てて腰掛けていた幹の根元から立ち上がり、親子の後を追いかけていく。
すらりとした体躯、控えめながらちゃんと女性を主張する膨らみもあり、少なくとも鈴音と同い年、もしくはそれ以上ではあるのだろうが、その様子からはかなり幼く見える。

猫。

それが、鈴音が彼女へと持った最初の印象だった。



最悪だ。
これ書いてる最中に、うっかり別リンク押してしまい、書いてたところが全て消えた\(^o^)/
ここだけプレビュー状態で残ってたので、仕方なくこれだけ挙げる。
レフィ の モチベーション が ガクっと さがった !



お天道様はまだまだ高く上がっているのか、健康的な日差しが雲ひとつない空から少女二人のいる空間を照らす。
その空間を囲む、それとは対照的な不健康な木々の先は陽があるにもかかわらず薄暗く虚ろな風にしか見えない。

そしてそれ同様に薄暗く虚ろ、というイメージがぴったりな鈴音と、それとは対照的に明るくぱっちりな少女。

その明るくぱっちりな少女は、鈴音の存在を忘れたかのごとく逃げ出したイタチを捕まえにこの広場から抜け出し林で奮闘している。
なんとなく呆れた風な眼差しでそちらを見ながら、鈴音はてくてくと歩き広場内にぽつんと立つ一本の幹の下に腰を下ろす。

(・・・笛でイタチを操った?)

先程のイタチの動きは、どう考えても笛に合わせて動いていたような。
まさかイタチが自主的に動いたなんてことはあるまい。

そういった類の法を鈴音は一応は知っている。
といっても、よくあるおとぎ話のようなものだが。
以前、心壊の修行の際、儚宅で鈴音が読んだ書物の中に(儚さんの家かは分からないが、とにかくたくさんの書物があった)そのようなものがあった。

なんでも、小さな村の領主が仏から授かった横笛で、美しい音色を奏でて獅子や熊などの獣を操り、村に攻め入ってきた鬼を追い払ったのだとか。
その後、その領主は一国を治める主となり、末永く幸せに暮らした・・・本当になんともありきたりなおとぎ話だ。

「ふぅ・・・」
いつの間に戻ってきたのか、二匹のイタチを抱えて少女が鈴音の前で一息ついていた。
服に土汚れや木屑が付着している所を見ると、それなりに悪戦苦闘したようだ。
彼女が片手に持っている1尺より少し長い程度の竹製の横笛は無事らしい。

「私は狭霧カヤ!」
ぴょこんとその場に座り、鈴音と目線を合わせる形になりながら、唐突に少女――狭霧カヤはそう切り出す。
女性的なような男性的なような、どちらかといえば女性なような中性的な声だ。

「・・・羽橋鈴音」
相手に名乗られて名乗らないわけにもいかないので、やはり名乗り返す。
また、苗字と名前を名乗っているので倭教徒ではないようだ。あそこの人間は苗字しか名乗らない。
なんでも、名前を名乗るという行為は自身が神と同列・・・とかなんとか。
要は、名前を持ってもいいのは神だけ、とかなのだろう。相変わらずよく分からない。

そういった意味では一安心できる。
とか言う以前に、どこをどう見てもこの少女(カヤだっけ?)は倭教徒には見えないが。

「りんね!よろしく!!」

出会って間もないのに何がよろしくなのかは分からないという突っ込みは入れないで置く。
言い換えれば鈴音に入れる暇が無かった、というべきか。

「・・・ッ!」
すかさず鈴音は立ち上がり愛刀「虎和唄」に手をかける。


「わ!」


鈴音にかわされてしまい、あやうくカヤは目の前の樹に頭から突っ込みかける。
幸いそうはならず、前のめりにこけるだけで済んだ。
とんだとばっちりを喰らう形となったのは、下敷きになったイタチの親子。

「え?え?あの、あぅ、どうして」
起き上がりながら、おろおろと戸惑ったような視線を鈴音へと向ける。

…どうしても何も、見ず知らずの人間に抱きつかれそうになったら普通はこうなる。
こんな人気のなさげな場所にいる相手からなら更に。怪しさ全開だ。

「普通はいきなり抱きついたりなんかしない・・・」
本気で分かってないようなので、とりあえずそう言ってやる。
傍から見ずとも物凄く投げやりに、だが。

「で、でも、こうしたらお客さんの皆は喜んでくれたよぅ?」
うんうんとうなずくかのように、木々が風を受け揺れる。
気のせいか、腕に抱かれているイタチの親子もうなずくかのような仕草をしている。

男でもない限り喜ばないと思うけど・・・。
なにやら色々と思う所はあったが、ひとつだけ気になる単語が飛び出していた。

「・・・お客さん?」
身売りでもしているのだろうか。
一瞬、同族意識みたいなのが浮かんだが、即座にそれは打ち消した。

「動物たちと私が笛で踊ってみせて、お客さんも一緒に踊って、そのお礼としてお金もらって」

少々言葉に問題が発生しているように思えるが(”笛で踊る”ってなんだ)、要は大道芸人みたいなもの、ということか。

「えっと・・・見てくれるかや?」

期待に満ちた、幼子のような眼差しを向けられる。
鈴音は立っており、カヤは座っているので構図的に上目遣いに。
疑問形になっているが、どう考えてもこれは断れる空気ではない。

それに、本当に笛で操るかも気になるところであり、何よりもしかしたらこの辺りの村のことも聞けるかもしれない。住人の可能性もある。
見物料もさほどは取られないだろう。(と言っても、鈴音の財布の中は今現在ほくほくだ)

「ん・・・いいけど」
ぽすん、と樹の根元に座りながらぶっきらぼうに答える。

転瞬、カヤの顔がはじけるような満面の笑みに変わるのだから、そう悪い気もしない鈴音であった。



「嘘を真実と思い込ませるには、嘘の中にほんの少しの真実を混ぜる」

なんだとか。随分と凄い高等テクだ。
しかしこれ、今の現代人のほとんどが無意識のうちにこれをやっているんじゃないかと思う。
ネットとかを見ていても、「嘘っぽいけどなんだかなぁ」とか思うことは多々ある。

うーむ・・・少し真実を混ぜるくらいならはなから真実を話せばいいのになぁ。
こうして手の込んだ嘘はとにかく性質が悪い。
そして、これがバレたときなんかは余計に性質が悪い。

まぁ、リスクを背負う覚悟があるならいいんだけどね。

(貴様の常套手段は間違いなくこれだな)
(う・・・じゃあこれからは真実は入れず嘘だけをつきます)
(それじゃ単なるネタになるぞ、とだけ言っておこう)
(本望だ)



縦横に細身の樹木を走らす林。
そんな中にぽっかりと空間のひずみの如く穴の開いたような広場がひとつ。
広場といえども、村や町にあるような平坦な広場ではなく、茶と緑が混合したでこぼこした地が広がっている。
周囲を囲むのは木々のヴェールであり、それらがその広場の地面へと触手のような根をうねうねと張らせている。

根をひょいひょいとまたぎながら、イタチの親子を腕に抱えた狭霧カヤは鈴音の座る樹よりも離れた所へとゆく。
鈴音はというと、やはりそれを冷めた目で眺めている。本人からすれば、別に冷めてるわけではなく元からこんな目なのだからどうしようもないのだが。

「ではでは・・・行くよぅ!」

イタチを下に降ろし、笛を横にちゃっ、と構える。
今度は2匹のイタチは逃げ出そうとせず、諦めたような空気を身に纏っていた。
人語を話せるのなら、間違いなくやれやれ付き合ってやるかとでもぶつくさ言っていただろう。

それから、その2匹のイタチに異変が現れたのは、狭霧カヤの笛の音色が広がり始めてからのこと。


ひゅぅ・・・という笛の音と共に、明らかに動物的にあり得ない行動をした。


鈴音の目には、それは
「踊っている」
ように見えたそうな。幼少時代的に普通の16歳よりは確実に人生経験豊富な鈴音もこれにはただただ驚かされるだけだ。

淡く黄色がかったやや灰味の白色の体毛を揺らし、宴会の時にするような楽しげな踊りをイタチは披露している。
この場合は、披露させられている、という風のが正しいかもしれない。
動物に秘められた本能には、当然ながら記されていない行動だ。

ちなみに狭霧カヤの方はというと、そちらもそのイタチの動きに合わせてぴょんぴょんと飛びながら踊っていた。
「踊る」という表現が定かなのかは分からないが。こちらに関しては、

「ただ闇雲に動き回ってるだけ」
という風に鈴音の目には映った。
笛の音色の方に集中しなければならないので、仕方ないといえば仕方ないのだろうが。
素直に笛だけを吹いていた方が見栄えは良かったかもしれない、と鈴音は思ったり。

そして、それだけが鈴音の今の表情を作り出しているわけではない。
細い鈍色の瞳を更によりいっそう細くし、不快感を露骨に外にさらけ出している。


ひゅ・・・ぅ・・ひゅうっ・・ひゅー・・・・ひゅるるるる・・・・・


響き渡る笛の音色。
他にこの広場へ通りかかったものがいれば、鈴音の表情の原因はすぐに分かっただろう。
おそらく自分自身ですら鈴音のような顔になるに違いない。


ひゅるるっ・・ひゅうぅ・・・ひひゅるる・・・・・ひぃゆぅぅ・・・


(耳が痛い・・・)

思いっきりのしかめっ面を鈴音に作り出させたのは、この笛の音だ。



成功者の皆さんを「凄い」と思うだけでなく、「なぜ成功したんだ?」ということを考えるだけで自分の人生も「成功」に近づく。

なにやら毎度毎度あとがきが長ったらしかったので、今回はこれだけ。



「五月蝿い」

何の誠意も相手への気遣いも何もかも全て微塵も感じさせずぴしゃりと鈴音が言い放ったのは、だだっ広い青が広がっていた空へどこからか砂色の雲がもくもくとやってきた頃の事。

途端にカヤは演奏をやめ、途端にイタチ二匹は踊りをやめそそくさとその場を去っていく。
何やらカヤは一瞬捨てられた子犬のような表情を見せてから。

「ええ!?」

虚しく響く笛の音の中、瞬時に形相を猫の威嚇顔か何かのように変えてなんでかや、なにがだめなのかや、とか色々と一気に捲し立ててきた。
もちろん、鈴音の方へと一気に駆け抜けながら。

…なんでとかなにが駄目とか聞かれても答えは一つしかないわけで。

こちらへ飛んできてこちらの肩を掴もうとするカヤをひらりと避けつつ、


「笛」


一蹴。
肩を掴もうとしたところを避けられ微妙に所在なさげにしていたカヤは言葉を失っている。

この狭霧カヤの笛の演奏技術自体はかなり卓越したものであろう。
高速に複雑な音を刻む粒のひとつひとつを他の粒と被らせることなく、ちゃんと綺麗に表現している。
指の動きに至っては、「神速」と表しても過言ではあるまい。

イタチについても、やはりまさしく操っていたのだろう。
流石にこの事実には鈴音も驚愕した。

と言えども、それはそれであり。

カヤはもう喚くということを通り越して目じりの端に涙を浮かべている。
鈴音はそれを慰めようとはせず、どころか呆れ果てた風に空なんかを振り仰いでいる。やれやれと言った風にため息なんかついて、

(あの笛は誰が聞いても酷すぎる・・・)

いくら演奏技術が良かろうが、あの”演奏”は酷い。
綺麗な鴬のような音色とは裏腹に、あまりに耳に受け入れ難い奇怪な旋律。
あれではもはや”演奏”と言うよりは単なる音の”羅列”だ。

今まで何人かの人間にも演奏を聞かせてきたらしいことを言っていたが、間違いなくそれは男ばっかりだったのだろう。
一応、この狭霧カヤは一見ではかなり愛くるしい風体だ。それに騙された男がいてもおかしくはない。
その騙された結果、どうなったかは手をとるように想像できるが。

女の私に当たったが最後お終いだったね…、と思いきり悪人の台詞を頭に思い浮かべる鈴音である。



正しい道を選んだ、と思っても結局はそれは間違った道しか進めていない。
すなわち、人は間違った道をひたすら開拓し続けている訳だ。

5/5追記:彼女刀はここで終わり。
本編は女剣客の方にて。一応「NEXT」より飛べます。


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最終更新:2010年01月25日 21:58