リレー小説四ページ目
そろそろ物語が展開を迎えようとしています。
「これで20個目ですね~」
「どうやら俺の異常事態に間違いはなさそうだな」
箱の中にあった時計を適当に持ってみると、1秒とたたずにぐにゃりと5:45を指す。
神よ、いたずらならそういってくれ。
冗談って、行き過ぎると火傷するものだから。
あの後、俺は霜月と時計工場に行って不良品で売らない時計を回収してきた。その量、大小含めてざっと50個。
しかし、今のところ20個中20個時計の針は5:45分を指している。そして、日にちがあるものは明後日――――――つまり日曜日の日付になっている。
「ユウ君が麻薬でも吸って目がいかれたと言うわけでもないみたいですねー」
おい、誰が麻薬吸ったって?この前芸能人が麻薬「マタ2」を吸って逮捕されたとかいうニュースのパクリだろう。
「別に、ニュース見てきたからじゃないですよー」
……いかんいかん。
気を紛らわそうと21個目を手に取るが、やはり針は5:45分をぐにゃりと指している。
気の紛らわしには全くならなかったな…
「どういうことなんだろうか…」
「そーですねー」
人ごとじゃねぇンだぞ。雇い人の息子の異常事態の火の粉はあんたにもかかってんだぞ。
「例えば…こういうのはどうでしょうか?」
霜月が自分の顔の前に人差し指を立てて、神妙に話を始めた。
「人間っていうのは、誰もが誰も普通に生活できるというものではありません。たとえば、交通事故などの不慮の事故で命を落としてしまい人生の幕をにわかに落としてしまう人だっているかもしれません。そこで、ユウ君も聞いたことがあると思いますが、人間は異常事態だと脳が認識した時潜在していた身体能力が姿を現し、普通に生活している時の5倍以上は力を出すことが可能だと化学的に立証されています。そして、旦那様が事故にあわれた時にあなたの頭はあなたが置かれた状況を異常といち早く認識したのです。そして、それが神経を伝わって全体に伝わっていった。しかし、それが火事のようにだんだんと危険性が増していくようなものではなくその事件が唐突に起きた場合、脳は前の状態に戻る、つまりリバウンドの指示を体中に伝えるのを困難な状態に置いてしまい、その力が引っ込まなかったと。これでどうです」
「まっこと大層な話をしてくれましたが、それ、結論的に俺が針を捻じ曲げてるということ?」
「え?違うんですか?」
おい、さっきの説明の時間全部返せ。軽く3分は経ったぞ。
しかし、霜月の話が何から何まで間違っているというわけではない。
この異常は実際親父の事故から始まった。親父が死んでから急に人々の胸のあたりに時計が浮かんで見えるようになった。
その時計は本人が待ち望んでいる、本人にとって重要なイベントが起こる時間、今の心境を時間で表わすなど効果はさまざまあった。
しかし、この状態も長くは続かず、今は時が完全に止まってしまったかのように全部が全部5:45分を指して眠っている。
これが果たしてメッセージなのか。警告なのか。
しかし、これが警告だとしたらなんの警告だろうか。そして、誰からの警告だろうか。
はっきりしない気持ちを握りつぶすかのように22個目の時計をわしづかみにする。
「あ、それは…」
霜月が俺の取った時計を、幽霊が見たかのような目で見ている。
見てみると、普通12、3、6、9が刻まれているところにN、E、S、Wがはっきりと刻まれている。これは時計盤を方位磁針と見立ててデザインしたのだろう。
これのどこにそんなびっくりする要素があるのか。
「ほら、ユウ君、ちゃんとみてください」
急に霜月が俺のすぐ近くまで寄ってきた。ちけぇよ。
しかし、確かにみると驚愕するべき状態に時計がなっていた。
時計の長身と短針は5:45をさすことはなく、二つの針がそろって「N」の文字を指していた。
さらに、よくみると本来なら2010:01:01:Wと年月日曜が表示されるところが
「0003:00:00:M」と表示されている。
―――――――北へ30000m
確かに時計はそうさしていた。
「これは…」
「なんでしょう。とりあえずいってみますか?」
霜月が俺の目の前で車のキーをみせてくる
「いくっきゃないだろう」
すげー手抜きwwww
読んでて笑っちゃったwww
眠かったからスマソ
そして霜月は流れ通りにして時計の設定を勝手にした自分自重(((
結論から言えば、あれから何事も無かったかのように時計は針を進め、2日後の日曜日となっていた。
「北へ30000m、もとい30kmって具体的にどこへ行けばいいのやらですね」
その原因の一つは霜月によるこの的確な指摘。
車の中から、後ろへ流れていく街中の映像をぼんやりと見ていた俺は、一気に萎えてしまった。
車進めた後でそんなこと言うなよ・・・。
「いくっきゃない、なんて言ったのは我が主様でしたのでそれに従ったまでですよ」
「俺がそう言ったのはそちらさんがいってみますか?と聞いてきたからなんだが」
「こんな単純なことに気付かないユウ君ではないだろう、と思いまして」
買被り過ぎた私が馬鹿でしたねー、とニヤニヤしながら言ってくる。
見事に的を射てる発言なため、俺は返す言葉もない。
ここの所の<時計>なり5時云々なりでまともに思考が働いてないのかもしれない。まぁ、言い訳ですよ。
霜月が道路の制限速度をわずかにオーバーしながら車を飛ばす。
若干目立つのが手痛い。ただでさえ外車なため目立つというのに。
そしてきわめつけは真紅に輝く車体。自分から目立ちたいといってるようなものだ。
ちなみに、車種はイタリア製品であるアルファロメオ。
目立ちたいオーラを全開に出しているアルファは、今現在は他の車同様信号の赤にてお預けを貰っている。
我が家からは10分ほど離れた距離だ。
もう少し行けばうちの生徒御用達の繁華街へと突入する。
ん、そういえば。
「あそこから北30kmっていったら、ちょうど街の辺りじゃないか?」
「今更気付くとは・・・。なんとまぁ私の主は」
分かったから、もうそれ以上言わないでください。
――とまぁ、こうして霜月に散々弄ばれつつも、問題の日曜日を迎えたというわけだ。
(ちなみにあの後どうしたのかというと、普通に何もせずそのまま家へとUターンして帰った)
俺の視界に映っているのは、白亜色の天井のみ。
朝からベッドの上でごろごろしてるのだから、当然といえば当然だ。
勿論当たり前の如く、俺は昨日から一睡もしていない。
ずっと今日について延々と考えていた。
俺のこんな脳では仮定だけしか出てこず結論は出てこないためあんまり意味は無かったが。
(どうすりゃいいんだ・・・)
ふと時計を見ると、時間は7時半。
5時45分まではまだ10時間はあるため一応は何とかなる(ベッド横の棚に新しく設置した時計には触れてない為5時45分は指していない)。
だからといって何ができるかというとやっぱりその"時間"になるまでは何の手のうちようも無い。
更にだからといって何もしないわけにはいかない。
こういうときにすべきことといえば、そうだな。どこぞの探偵らしく状況整理から、か。
"5時45分"の時間自体はどの人間にも視えているわけだが、その中でよりくっきりと視えた人間は2人。
いや、正確には3人。俺自身にも視えているからだ。
それはまぁ俺にも視えているからこそ、柄にもなく焦ったりしているわけだ。
残りの2人はというと、
「瑞乃」「霜月」
の両名。まるで関連性が見当たらない。
彩菜はともかく、瑞乃はこの家へは訪れたことが無いため当然霜月との面識もない。
こういうのをなんというべきか。
(迷宮入り・・・)
今更ながら、こんな事件的な何かに発展し始めてるこれにもう色々と面倒になってくる。
別にこれは俺の憶測だから事件でもなんでもない可能性もあるが、幸い中の不幸とでも言うべきか、この手のもので俺の憶測が外れたことはない。
瑞乃と霜月、そして俺の身に5時45分に何かが起こる、ということだろうか。
いつぞやの「北へ30km」とを照らし合わせると、あそこの街中で今日何かが起こる。
急に背筋に悪寒がはしった。
何かって何だ?いや、何かというだけで悪寒がはしるような出来事ではないだろう。
だがしかし、俺の危険度感知センサーからは全力でメーデーが発せられている。
こんなのは単なる思い込みに過ぎないというのに・・・。そう、思い込みだ。
だから、その音が聞こえてきた時は、俺の思い込みが実現し、本当に救難信号(メーデー)かと思ってしまった。
…もちろんそんなはずはなく、何の音かというと時計の横に置いてあった携帯から流れている曲。
この曲を設定している奴といえば・・・
「瑞乃?」
先程の思い込み云々の名残的なもののせいで、若干危なっかしい手つきで携帯を開く。
『今日デートしない?』
「おう」
何の脈絡もなく切り出されたそれについうっかり条件反射で返事する。
前もこんなことがあったような。
いや、それよりも何よりも。
…なんだって?
更新ペースが大幅にダウンします。
なぜか?
そりゃあ、グレイセスに入り浸りだからさ。
「……」
予定よりも30分近く早く到着しちまった。
ここは街の真ん中、電車の駅の前のロータリー。瑞乃と9:00に待ち合わせすることになっていたが、なんか結構早くここについちまったな。
とりあえず暇なので電柱に寄りかかり彼女を待つ。その間に現状報告。
5:45の紅茶追加オーダーから気になって記録を取っていたのだが、間違いない。
ここ最近の5:45分の出来事を説明しよう。
木曜日 現実:紅茶追加オーダー
金曜日 現実:彩菜からペンを借りた 俺:紅茶追加オーダー
土曜日 現実:霜月があわてて俺に連絡 俺:彩菜からペンを借りた
…もう、俺には大体わかっていた。
今日の午後5:45、つまり17:45に俺は霜月からあわてて連絡を受けるだろう。
しかし、妙だ。すべての5:45分における現実の出来事は、すべて一日だけずれて俺の身に起きる。
まるで、その一瞬だけ俺の時間が一日だけ遅れているかのように……
「17:45…」
茫然と空を見上げため息をつく。あげたついでに見た時計台は当然ながら17:45を指している。あの、奇妙な曲がり方をして。
「鬱病になっても何ら問題がないね…」
全くその通りなのだから笑ってしまう。
それより、今日は初めてのデートだ。我ながらかなり決めこんだ衣装で今ここに立っている。
俺は自分を着飾るのをあまり好まないが、さすがに長袖のTシャツにジーンズはまずいだろということで、全身合わせて10万円程度の超豪華セットで来た。
そして…
「あ、カジキ!まった?」
駅の南口から瑞乃が来る。
「そんな待ってねぇよ」
「そっか。それならよかった」
「それじゃ、いこっか」
ということで、俺と瑞乃はデートに出ることにした。
「ようやく歩きだしたね…」
駅前で合流する二人を目で確認した。
瑞乃とユウキ君は、合流すると軽く言葉を交わして歩き出す
「もう、終わりだよ…」
私は手の中にある時計を軽く中に放り投げてにやりとほくそ笑む。
「私のユウキ君を奪った代償は、高くついたね」
瑞乃の胸に浮かびあがる――――時計――――をにらみつけつつ、
私、小日向彩菜は行動に出た。
手の中にある時計を握りしめれば、瑞乃の時計に入ったひびはどんどん侵食されていく。
瑞乃の時間が我が手中で動くさまが、彩菜には快感でたまらなかった。
ひゃひゃひゃひゃhy(ry
彩菜ちゃんの武勇伝w(ry
そろそろ自重するわ。
俺と瑞乃は、ありえないぐらい普通のデートをした。
ゲーセンで遊び、マクドナルドで昼食を食べながらそつのない会話をし、カラオケに行き…とにかく普通だった。
ただ、1つおかしいことがあった。
瑞乃の『時計』が薄れて見えるのだ。
時間が5:45を指していることはかろうじて見える。が、『時計』は今にも儚く消えてしまいそうな状態だ。
少し心配しつつも、楽しい時間はあっという間に過ぎていき…
「今日は楽しかったね!!カジキ!!」
「おう。普通のデートだったが、かなり楽しかったな。」
今、俺と瑞乃は夕日の差し込む公園のベンチに座っていた。
時刻は5:44分。XデーならぬXタイムは間近に迫っていた。
「ねぇ、カジキ。伝えたいことがあるの?聞いてくれる?」
「おう?何だ?」
そういった瞬間、『ざわめき』を感じた。
間違いない。5:45に『何か』が起こる…。
いったい何が起こるというのだ?
そして…運命の時を迎える…
「私ね…カジキと…うっ…」
「瑞乃!!」
瑞乃がその場に崩れ落ちた。
いや、正確にはベンチから転げ落ちた。
そして、俺は驚愕せざるを得ない状況に陥った。
なぜなら…瑞乃の『時計』が消えていた。
俺は、一瞬時計が見えなくなる普通の体質に戻ったのかと思ったが…この後姿を現した人物の胸の中にある『時計』によってその推測は崩された。
その人物とは…
「こんにちは。ユウくん。」
綾菜だった。
いや、綾菜「らしき人」といったほうが正しいのかもしれない。
それほど綾菜の顔からは綾菜らしさが感じられなかった。
目が死んでいる…。
「あ、その女は私が『壊した』の。ユウくんとは釣り合わないから…」
「こ、壊す…?」
「まだ分からない?私はね…」
綾菜はそう言葉を区切り――――言った。
「ユウくんのことが好きなの…」
超絶久々参加。
2回ほど今までの物語を読み返したんですが、あまり『時計』のこの物語での『意味』が分からなかったので、あまり進めることができませんでした。
ということで、ありそうな展開にまとめたつもりです。
そして、このリレー小説、ずっと進行が止まっていたようですね。
これを契機にこのリレー小説が進行することを心から願っています。
彩菜は死んだ目のまま、自分の気持ちを言葉にしている。
俺はその内容を一語とも聞き取ることができなかった。
そりゃそうだ。
今、俺の腕の中でぐったりと横たわっている瑞乃の時は止まっているのである。
端的に言い換えよう。死んでいるのだ。
正直、あまり瑞乃の死を驚く気持ちにはなれなかった。
それよりも、瑞乃の時計がどこに消えたのかが気になる。
なぜ、瑞乃の時計が消えた…
その疑問が頭をめぐるだけだった。
「壊したって、なんだよ…」
かろうじて喉から漏れた言葉は、そんなものだった。
ショッキングなことが起きたという現実から逃げだしたくなるのを必死にこらえた。
だが、彩菜から漏れた言葉はそんな抵抗を崩壊させるには十分すぎた。
「時計が、見える?」
バッと顔を上げた。
「ユウ君には、時計が見えるの?」
文字どおりの意味で、あいた口がふさがらない。
時計…
冷静な思考回路を焼失した俺は、図星を突かれうなずくことしかできなかった。
「そっか。やっぱり<具現者>はユウ君だったんだ」
彩菜は満足そうに一つうなずいた。
「ユウ君が時計が見えるようになったのは、おじさんが事故に合ったときからだよね?」
「あ、あぁ…」
その死んだような目で見られると、正直怖い。
「ユウ君はさ、<時間>ってものの本質を知ってるかな?」
彩菜は唐突に場にそぐわない質問を投げかけた。
「概念?」
「そう、概念。<時間>は、この平面上の空間の上に均一に流れるもの。それはユウ君もわかるよね」
そりゃあそうだ。世界の一部で時間が止まっていてはたまったものではない。
「でも、そういうふうに<時間>の概念をとらえるのは間違ってるんだよ」
「間違い?」
「うん。<時間>は、正確には空間上を漂っているわけじゃないんだ。<時間>は、人一人一人が持っているステータスみたいなものなんだ。ある人が今の<時間>が6時であると認識したら、その時間はその人にとっては6時になる。でも、同じ時間で別の人が今は2時だと思ったなら、その時間はその人にとって2時になる」
赤く焼けた空に、カラスが一匹鳴きながら飛んで行った。
「<時間>っていうのは、多面性を持つの」
そういうと、彩菜は手のひらに一つの時計を乗せて俺に見せた。
それは、俺がすれ違う人それぞれに見える時計とまったく同じものだった。
「でも、<時間>の本当の性質は一つだけ。それは、この世の中にいる<決定者>の認識する<時間>なの。つまり、<決定者>が決めた時間以外は、すべて邪道っていう風に定義されるの」
彩菜の口からバンバン放たれる言葉に俺は絶句せざるを得ない。
意味は理解できる。要するに、この世の時間は決定者とやらが決めた時間であるのだ。
そして、それ以外の時間は嘘なのだろう。多分。
だが、意味不明だ。
なぜ今彩菜がそんな事を言わなければならないのか。
そして、そんな小説みたいなことを、なぜ彩菜はぺらぺらとしゃべれるのか。
「私は、その<決定者>の一人なの。この空間の時間を決められる選ばれた人間なの」
彩菜は、本当は電波な少女なのだろうか。
「そして、<決定者>は邪道な<時間>を持つ人間に対して、どんな仕打ちもできる。力を使って時間を合わせてあげることもできるし、逆にその女みたいに時間を止めてあげることもできるんだ」
その言葉に誘導されるように、俺は手元に横たわる瑞乃を見た。
そうだ。瑞乃は時間を止められて死んだのだ。
彩菜の言っていることは正しいということをまるで証明するかのように。
「あんまり死体がユウ君の上に寝転がっているのを見るのは不快だね。消しちゃおうか」
彩菜はそういって瑞乃に歩み寄り、手に持っていた時計を瑞乃の時計があった場所に充てた。
すると、瑞乃の体は発光しながらいくつもの粒子になり、彩菜の持つ時計に吸い取られていった。
現実の光景とは思えない事態に、冷や汗が流れるのがわかった。
一分もしないうちに、俺の腕から瑞乃が消えた。
「でも、<決定者>は、一人でいる限りはあまり力を使うことができないの。<決定者>には<具現者>のパートナーが一人必要なの。<具現者>が一人つくことで<決定者>は真の力を発揮するの」
さっきまで瑞乃が座っていた俺の隣に、彩菜が座る。
「そして、世界には<決定者>がまだいるの。<決定者>が同じ空間の平面上に十何人もいるのは本当じゃあり得ないことなの。だから、各国の<決定者>は、他の<決定者>を殺そうとしてるんだ」
スケールの大きすぎる話に俺はおびえていた。
「さっき、ユウ君があの女に釣り合わないって言ったのはそういうことなの。だから、<決定者>の私がお願いをするわ」
そういって、彩菜は俺に近寄り…
恐怖でまったく動けない俺の服の中に、手を入れた。
そして、俺の胸に浮かぶ時計を直に握られて、つまりは今日は脅迫されながら彩菜に言われたのだった。
「<具現者>である梶岡ユウキに命ず――――我が同伴者と為れ」
物語に、少しばかり設定を増やしました。
設定が漠然としてると描きにくいかなあって思ったりして…
余計な御世話だったらすんません
「あ、おかえりなさい」
家に帰ると、霜月が声をかけてきた。
「ああ、ただいま」
気の抜けた声で返事をしたのは失敗だったか?
だが、完璧に無視する方が空気も重くなるし怪しまれるだろう。
「あっれぇ~」
案の定、霜月は食らいついてきた。
「ユウ君、あっから様に元気が無いねぇ」
当然だ、という言葉が喉元までせり上がってきたが、何とか耐えた。
因みに、俺はあの後彩菜から解放されるまでに大分時間がかかった。
まず、脅された体勢からなんとかはぐらかして命の危険から脱出した。
目に見えない時計を掴まれていたはずなのに、実際は心臓を掴まれたかのような感覚だったから不思議だ。
もちろん、それは後で思ったことで、その時は頭が真っ白だったけど。
その後なんとか、考える時間をくれ、という名目で一旦帰らせてもらえる事になったのだ。
彩菜は「どうなっても私のパートナーになってもらうけどね」と言っていたが。
「ちょっと、予測不可能な事が起きたんだ」
嘘はついてない程度にはぐらかした。
頭の中では、彩菜の話を否定しようと本能が頑張っていた。
だが、目の前で瑞乃が死んだことも事実。
僅かな理性は、彩菜の言う事が真実であることを知らせ、警鐘を鳴らしていた。
「ふーん、彩菜さんと何かあったのかしら」
「まあ、そういうことに…」
頭の中で何かが引っ掛かった。
強烈な違和感。
気付けば、霜月に聞き返していた。
「ちょっと待て、俺が今日何してきたか言ってみろ」
「ん~、おかしなユウ君ですね~」
霜月は笑顔のまま首をかしげた。いつも通りだ。
世界は普通では無かったが。
「今日は彩菜さんとデートしに行ったのでしょう?」
全身の鳥肌が立ちあがったのは言うまでもない。
べ、別に
更新履歴を見てふざけようと思った訳じゃないんだからねっ
(上記は本当です。レフィ殿のページの未消化ネタ見て思い出しただけです)
ところで、ちょっと読み返してみたけど、俺昔の方が文章力上じゃね?
次の方はこのスペースで暴れましょう((
最終更新:2010年11月21日 23:41