実は久しぶりの更新


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なんという懐かしさ



LAP81 追跡開始

 チュンダーは、本来サンダーと読む単語を特別な読み方で表わしたものだ。その名の通り、年がら年中天候が不安で、365日のうちの300日が雷雨という、きわめて環境が良くない惑星である。

 書物によれば、この星に生き物が生息し始めたのはまだ50年前。この銀河系にチュンダーが加入されたのが実に5億年前だというのだから、逆にここ最近の開発のスピードに驚かされるばかりである。

 しかし、これでもすこしはトレイキョウ政府が環境を整備してましになった方であるというのだから、昔のチュンダーのひどさを楽に想像させる。

          • ドガシャアン

「やっべぇ…」

 本来F-FIREはジェットエンジンで発信するものであるが、噴射校からジェット気流を生じさせるために機体は磁気をまとっている。

 こんなんでずどんと一発貰ったたまったものではない。

 しかし…

「随分お前、元気そうだな」

 電気を操る能力を持っているのなら、話は別になる。

「うっひょーーーい!最高だぜ!」

 雷大量発生地帯で元気になるのは必然なのだが、まさかここまで元気になるとは。

「いや~、俺もブーストなしでこいつが時速4000kmオーバーだすとは思いませんでしたよ~」

 つくづくもうチュンダー杯が終わったことにほっとした。

 俺達は、今とりあえずチュンダーに着き、道の端にマシンを止めて次の行動を考えていた。能力もちが集まる不良集団があると聞いただけで、その集団の名前は俺達は知らない。だから地元の連中にそれを聞かなければならない。

 だが、当然のごとくこんな環境の所にそうやすやすと人が住んでいるわけもなく…
「困ったな」

「人という人が全く見つかりませんね」

 スティも首をぐるりと一周させて周りの様子を確認するが、やはり誰もいない。

 というか、虫一匹いないってのは問題じゃないか?

「やはり、こういう環境ですと生息できる生物も特定されるんでは無いのでしょうか」

「だろうな。グリーンシティの環境が1日でこんなになったとしたら大惨事になりかねないな」

「大惨事で済めばいいですけどね」

 去年のチュンダー杯がふっと頭によぎった。

 実は、去年のチュンダーハイではエントリーマシン23機中、落雷という理由でリタイア宣告をくらったのは8機にものぼった。

 マイケルもそのうちの一人に含まれた。

 俺も、雷雲の発する磁気に充てられたのかブレイクダークの止まりが非常に悪くなり、最終的にカーブで壁に激突してクラッシュという情けない結果を残した訳だが…

 その時、観客、とりわけグリーンシティから見に来た人が次々に体調不良を訴えたという話を聞いた。

 やはり、あのような環境が整った世界に慣れていると、こういう空気になじめないのだろうか。

「しっかし、こうも人がいないと、事情徴収もへったくれもねぇな…」

「じゃあ…」

 そこで、スティが提案した。

「マシンから離れてみませんか?」

「またそれは大胆なことを」

「まあ、大胆だとは俺も思います」

「で、内容は?」

「当然不良集団となれば、お宝的物に目がないでしょう。それを利用するんです」

 スティの作戦はこうだ。

 まず、俺達はマシンの様子を遠くから確認できるところまで離れる。そして、そこからマシンの様子を遠目から確認して、不良軍団が姿を現したらすぐさま俺の念糸で全員を拘束、長がいるところまで道案内するよう…気が乗らないが、脅す。

「上手くいくとは思えないんですけどね。やってみるだけ」

「じゃ、行くか」

 本当に盗まれると困るものだけ持って、俺達は近くの岩の陰に隠れた。

 だが…

「うげぇ…」

 背後でバンバン雷が落ちている訳だが、さすがに背後30mのところに一つ落ちた時は焦った。

 雷って、近くに居るとバキィィィィィィイって音がするんだぜ。今初めて知ったよ。

 と、俺が周りに怯えていると、

「先輩には…」

 不良軍団を待っている間、スティは突然話を切り出した。

「自分が心に留めておこうと思った言葉がありますか」

「なんだよ、随分重い話するな」

 離しつつ、目はずっとマシンに向いている。

「いや、たまに俺不安になるんです」

「…」

「俺は、自分で相当の正義心があると思っています。だから、どんな悪事に対しても俺が片付けようとした。それは間違っていないと思います。でも、結果俺の家族は殺されました。俺の正しいと思っていることは、本当は違うんじゃないかと思えるんです」

 まるで幻想郷に行く前の俺だ。

 そうかんがえるとおかしくて笑ってしまいそうだったが、必死にそれをこらえた。

「先輩は…どう思いますか?」

「俺にも、まったく同じことを思ってたときがあったよ」

 幻想郷のあの夜を思い出しながら、静かに語った

「俺は、お前と違ってそれで悩むことすらなかった。それが絶対に正しいことだと思ってずっと突っ走ってきた。でも、それは……伏せろッ!」

 とっさにスティの服を引っ張って体勢を低くさせたのは、

(三人…他に人はいなさそうだな)

 ターゲットだった男達が現れたからだ。

「きましたか?」

 無声音で質問するサティに、首を縦に振る。

 いまは三人が散っているので、念糸を出して拘束することもできない。

 しばらく様子見だ。

「……げぇ…ぉい…」

「…サト…スティ…」

「おま……のうりょく…」

(能力?)

 一人が発した、能力という言葉にピンとくる。

(あいつら、不良軍団の一味か。なら、好都合だ)

「出るぞ」

「えっ?」

 俺はスティの返事を待たずして、岩場から姿を現した。

「貴様らあ!俺のマシンに何してやがる!」

 俺の怒鳴り声に三人がこちらを振り向く。三人が三様の同様の表情を浮かべ、

「やっべ」

「ずからるぞ!」

「ったりめぇよ」

 一目散に逃げ出した。

「逃がすかよ」

 すぐにブレイクダークを発進させる。遅れてスティがダーティーアンサーでついてきた。



存在を忘れかけていた事は秘密









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最終更新:2010年08月25日 19:46