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火は人間がはじめて生み出した文明。

やっぱり大切なものだ。

何回も言うけど、プリズムリズムのパクリじゃないんだって((



「ポティストの祭りはそろそろか?」
「ああ、日は完全に西に落ちた。まもなく始まるだろう」


 司祭服に身を包んだ男性二人が、公園の水辺で話をしている。
 彼らは、神に身を捧げた証として、眉間に神のタトゥーを入れているから、聖職者であることはすぐに分かる。


「今年も、大きな火事は起こらなかったな」
「レーニ様は今年はお怒りにならなかったな」


 また、別の所では婦人が娘と話をしていた。
「お母さん、お祭りはまだ~」
「まだだよ~。もう少し待っててね」

 その親子や聖職者がいる公園――――トレスティン広場には、もう結構な人数が集まってきている。
 そこにいる人は全員浮き足立っている様子だ。あちこちで楽しそうな声が上がっている。

 トレスティン広場は、きれいな噴水のあることでカーラフィン王国の中でも有名で、毎夜恋人達の憩いの場として、優雅な環境を提供している。
 だから、老若男女問わずに、人がこれだけこの広場に集まることは、極めて珍しい

 何故こんなにも人が集まっているのか。それは、今日はポティストという祭りの日であるからに他ならない。
 ポティストというのはこの地方の言語で「神に捧ぐ」という意味であり、炎の神であるレーニを讃える為に、毎年カーラフィン王国では祭りが行われる。

「時はどうだ?」
「もうそろそろだ。オリオンの三ツ星が今見えた」
 そう、祭りはまずトレスティン広場でのイベントから始まる。


「皆の者、手を胸の前に組め。レーニ様に祈りを捧げる準備をしたまえ」
 聖職者の長であろう、紫色の司祭服に身を包んだ男が、周りにいた司祭達に告げ、天を見上げて腕を組んだ。他の聖職者達、そしてそれを見ていた一般人の人たちも、話を止め、皆一様に手を組んで空を見つめていた。


 そして・・・


「あっ、ママ! 燃えたよ!」
 真っ赤に燃え上がる炎が、ぼうっと音を立ててその大きな姿を現した。


「おお・・・」
「レーニ様のご加護があらんことを」
 人々は、しばしの間、神々しいと形容して問題のない炎に祈りを捧げた。


 今年は、レーニ様のお怒りと言われる大規模な火事は起きることはなく、平和な一年を送ることができた。
 そのため、人々はいつもよりも深く感謝して、祈りを唱えた。
 どれくらい黙祷は続けていたのだろう。


「レーニ様は、私達にご加護を与えて下さった」
 ひとりの船乗りが、神秘的な沈黙を破った。


「だが、書物に書いてある通り、レーニ様は神妙な空気を好んでいらっしゃらない」
 人々は、船乗りの言葉に耳を傾けながら、一人、また一人と組んでいた腕を解いていった。


「さあ、陽気なレーニ様にふさわしい感謝の祭りを! 今宵限りの宴を楽しもう!」
 そう言ったのが契機だった。


「おーいレノン! 一緒に祭り回ろうぜ!」
「おい! ぼーっと突っ立ってないで、早くホカッチャの屋台開け!」
「ママ! 私わたがしのお店に行きたい!」
「爺よ、たまには童心に還ろうではないか」
 沈黙に包まれたトレスティン広場は、たちまちにして騒動の渦に飲み込まれ、人々はトレスティン広場のある都市、ガレンの町中に消えていった。


 ポティスト祭が、今始まった。



やっぱり出だしはプリズムリズム…

どうにかして被りから抜けな…



「にしても・・・」
 人混みが全く絶えない大通りの端により、ガノンはこめかみを押さえた。


 ガノンは、ポティスト祭に来たのはこれが初めてだ。それもそのはず、ガノンが住んでいる所は隣国のイレンビス王国であり、今日はカーラフィン帝国に住んでいる姉のミレナに誘われて祭に来たのであった。


 イレンビスは人口の少ない国で、ここ一帯の中では一番の田舎国である。人はまばらにしかおらず、点々といるその人々も、農耕遊牧をのどかに営んでいるだけである。
 そんな国に16年ずっと住んでいた少年が、いきなりごった返すような人混みの中に放り込まれたら、結果はほぼ一つに落ち着くものなのかもしれない。


「ミレナ姉、何処行っちゃったんだろう・・・」
 辺りを見回しても、そこは見知らぬ人ばかり。
「はぁ・・・」
 普段慣れない人だかりの中に長時間いたこともあって、ガノンはかなり疲れていた。


 空は、今が夜とは思えないほど赤く染め上げられていた。レーニを讃える炎は、普通考えられる大きさの炎を優に越えている。
「あの炎に向かって歩いたら、トレスティン広場に着けるかもしれない」
 トレスティン広場は、カーラフィン王国の首都、ガレンの中心に存在する公園だ。ポティスト祭では、カーラフィン広場を中心に、様々な屋台が並ぶ。
 ガノンは、もしかするとミレナはそこにいるのではないか、と予想したのだ。


「行ってみよう」
 夜の黒い空を赤く染める炎を頼りに、ガノンは人混みの中を進んでいった。


 炎――――それは、聖なる道具。
 今から500年前、この世界は大規模な火災に巻き込まれた。原因は隕石の衝突だった。
 歴史の教科書では、それを「ユーラシアの大火災」と呼んでいる。


 隕石の落ちた場所は、昔中国と呼ばれた場所だった。その隕石の大きさは、中国という国がすっぽりと収まってしまう程の大きさ。後の天文学者は、その隕石は火星が二つに割れた片割れだと発表した。
 当然、隕石が落ちた中国はなくなり、その国があったユーラシア大陸は、その面積の8割が火災の渦に巻き込まれた。 


 死者は、推定で35億人と言われている。地球が生まれてから最悪の惨事だった。
 そして、隕石の落ちた影響で数々の島に分かれたその一つ、ここヨルガナ島では、その原因を火の神、レーニの怒りと解釈した。


 人々は、今後二度とこんな惨事を招いてはならない、としてレーニを絶対神としたレーニ教を作り、国教として布教した。人々は皆、ユーラシアの大火災に多かれ少なかれ恐怖を抱いていたから、レーニ教はたちまち普及した。
 ポティスト祭は、レーニを讃える祭りの中で一番規模が大きい。毎年、祭りになると、ヨルガナ島の人々は挙ってカーラフィン王国に足を運び、その聖火をを見る。


 だが、ガノンがガレンで迷ったのは、聖火が点火される前だったから、ガノンはまだ聖火を見ていない。
 だがら、トレスティン広場に到着したときの彼の驚きは、さぞかし大きい物だっただろう。

「うわぁ・・・」
 それは、思わず感嘆の声を上げてしまうほど。


 人混みに何度も揉まれながら、やっとのことでトレスティン広場の到着したガノンを出迎えたのは、自分の身長よりも何倍も高い、剛毅で神々しい炎だった。



次第にプリズムリズムから抜け出せている今日この頃。

今後の展開は、なんとなく頭に構築されてきた感じがする。



 しかし、ガノンの予想が的中することはなかった。


(ミレナ姉、いないなぁ・・・)
 広さはさほどないトレスティン広場を歩き回ってみても、ミレナの流れるような長い金髪は見当たらなかった。


(これは、いよいよ大変なことになってきたぞ)
 トレスティン広場は狭くても、ポティスト祭の会場となるガレンの街は広い。ここにいないとなれば、いつミレナと出会えるか想像がつかなかった。
 ため息をついて、改めて別の場所を探そうとした時だった。


「うわっ!!」
 唐突に突風がトレスティン広場を駆け抜けていった。慌ててガノンは頭に被っていたベレー帽を押さえる。
 突然の事態に、ガノンだけではなく周りの人々も困惑の渦中に巻き込まれた。


 なんとか帽子を飛ばされずに済んだガノン。
「ふぅ・・・」
 ガノンはひとつため息をついたが、そこでようやく周りの様子がおかしいことに気がついた。


 落ち着いて聞いてみると、叫び声や足跡に埋もれて、声が聞こえてきた。
「早くラフィーを呼べ!」


 どこかの船乗りが叫んだ「ラフィー」というものは、西ヨルガナ地方特有のもので、一般に言われる聖職に当たる。
 火の神が存在するなら、当然それを崇めるための聖職が存在する。それをここ一体ではラフィーと呼んでいるのだ。
 ラフィーの仕事は、レーニへの儀式などを中心に、教会の運営、聖火の管理などがある。


 だが、こういう普通の日常生活を送るに当たって、今回のようにラフィーを大声で呼ぶことは滅多にない。
 あるとすれば・・・


「レーニ様のお怒りだ! 早くラフィーを!」
 人々がレーニの憤怒とあだ名する事件――――火事が起きたとき。
 ラフィーの仕事の中で最も重要とされること、そして等フィーがその実力を試されるとき、それが消火活動だ。


「なにっ!? よりにもよってポティスト祭の時にだと!?」
「早くラフィーを! 周辺の人間達には避難の勧告を!」
 今まで和気藹々とした空気が流れていたトレスティン広場は、たちまちの内にして悲鳴と怒声が飛び交う混乱した状態に陥った。
 恐らく、先程の突風で、トレスティン広場の中心で燃え盛る聖火の一部が燃え移ってしまったのだろう。


「あまり、僕が居ていい場所じゃなさそうだな・・・」
 大人達は火事の対処に大慌てだったが、ガノンはそれよりもミレナに会うことを先決とした。


 彼の姉でもあるミレナは、西ヨルガナ地方で唯一聖職者を育成することで有名な中高一貫校、ヨレイビス学院の一教師であり、且つイレ・ラフィナ――――ラフィーは女性をラフィナ、男性をラフィロと呼ぶ――――でもある。


 因みに、西ヨルガナ地方は、それぞれ北のカーラフィン帝国、西のイレイビス王国、東のドー帝国、南のタクラマフィン帝国の四つに分かれている。
 そして、四つの国は各国の中で最も優秀なラフィナとラフィロを選抜し、それぞれにイレ・ラフィナ、イレ・ラフィロの称号を与える。つまり、イレというのは最高級を表し、イレの称号を与えられるラフィーは西ヨルガナ地方には8人存在する。

 ミレナはイレイビスのイレ・ラフィナだ。
 だから、普通規模の火事ならすぐに止めることが出来る。
 そういう意味も含めて、ガノンはミレナを探そうとしたのだが・・・


「ごめんなさい、君。ちょっと手伝って!」
「え?」
 それは、誰かに呼び止められて中断せざるを得なくなった



なんか、迷走して辿り着いた結果が何かおかしい気がする。

こんなはずではなかったのだが…まあいいか。



 振り返れば、自分の者ではない手がガノンの手首辺りをがっちりと掴んでいる。
 誰かと思って視線をあげれば、ガノンの腕をがっちり掴んでいる人は、一言で言えば美少女だった。
 長い金髪を腰の辺りまで伸ばしていた彼女は、その顔から温厚な性格なのだろうかと推測させる。
 しかし、その表情は真剣そのもの。


 手伝って、の詳細を聞こうとしたときにはもう既に、ガノンは彼女に腕を引っ張られて、混乱で騒然とした人混みをかき分けて進んでいた。
 向かう方向は、火事が起きたと思われる、トレスティン広場でなく空が茜色に染められた場所。


「ちょ、ちょっと!」
 もしかするとの場合に思い至ったガノンは、足を止めることを頼むかのように、彼女に腕を掴まれていない方の手で叩く。
 だが、少女はそれにも気が付かなかったようだった。仕方無しにガノンはなされるがままに少女に付いていく。


 そして、たどり着いた場所は、
(やっぱり…)
 ごうと燃える家。ぱちぱちと飛び散る火花。
 レーニの怒りこと火事の現場だった。


(全く…この子は一体何をするつもりなんだろう?)
 現場に到着するまでほとんど全力で走ってきたガノンは、普段あまり体を動かさなかったことが祟って、肩で息をするほど消耗していた。


 ガノンを連れ回した張本人は、額に右手の人差し指を当てて何やらぶつぶつと唱えている。
(何をやっているんだろう…)
 その行為は、純粋にガノンには理解できなかった。


 しかし、額に置いた指を中心に円形の魔法陣が展開されているのを見て、彼はとっさに悟る。


「ラフィナ…」
 聖職――――ラフィナ。


 だが、彼女の額には聖職者の証である入れ墨が入っていない。恐らく、西ヨルガナ地方で唯一のラフィー育成学校、ヨレイビス学園の生徒、といった所だろう。
 だが、見た所ラフィーは彼女一人。本来ラフィーは男女のペアにならなければいけない筈だが、ラフィロは何処にも見あたらない。


 そこで、トレスティン広場で少女が言った言葉を思い出す。
『ねぇ、ちょっと手伝って!』
(そういうことか…)
 次第に額の前に展開させた魔法陣が大きくなるのを見て、ガノンはようやくその言葉の意味を汲み取った。


 ラフィロは火事の際、基本的にはサポートに徹底するから、ヨレイビス学園で学ぶような魔法はまず使わない。
 それも考えて、少女は近くにいたガノンに手助けを要求したのだろう。


(じゃあ、期待に応えないと…)
 ラフィロの仕事内容は書物で読んだだけだからうる覚えだったが、もはや背に腹は代えられない。 
 覚悟を決めて、ガノンは少女をサポートする為に行動した。



ようやく踊り子が動き出した。安心。

魔法という結論に至るまで一カ月。ちょwww



 書物で読んだだけだといっても、その内容は一通り覚えていたから、ガノンはその場で右往左往することはなかった。

 ぶつぶつと何かを唱えていた少女の足下に、やがて額と同じ模様の魔法陣が展開されていく。
 その機を見計らって、ガノンは魔法陣の周りに個体の鑞を並べていった。

「…」
 てきぱきと魔法陣の周りに鑞を置いていくガノンを、信じられないかのように目を見開いて見つめる少女。
 しかし、少女はすぐに真剣な表情を取り戻した。誠に使命感に溢れた少女である。

「これで、いいんだよね?」
 鑞を並べ終え、それぞれに少量の油を掛けてから、ガノンは魔法陣の中心に立つ少女に確認した。
 目線は手元から離さず、それでもガノンにしっかり分かるよう、少女は頷いた。

 そして…
「イベリヤード・オライシューム!」
 最後の言葉を一際大きく少女が言い放つと、展開されていた魔法陣が、一斉に青白く光りだした。

 いよいよ、ラフィナの仕事、消火活動の開始である。
 そして、ガノンは、その美しさに見とれることとなった。

 家を呑み込み、天にまで届きそうな程激しく燃え上がっていた炎は、魔法陣から解き放たれた光に誘導されるように、鑞に向かって吸い込まれていった。

 まるで、その様子は炎で出来た竜のよう。

 その炎竜は美しい弧を描きながら、魔法陣の周りに置かれた鑞に向かっていった。

 竜は、次第に一匹から二匹、三匹とその数を増やしていく。
 宙に舞う炎竜の美しさは、ガノンの目を奪うには十分だった。

「おお…」
 ガノンがポティスト祭に足を運んでから最も綺麗に天を焦がしていく炎に、ガノンは完全に心を魅了されていた。

 やがて、家を凌駕していた炎は全て周りの鑞に燃え移り、青白い魔法陣の周りでは高くそびえる炎の壁が姿を現していた。
 少女の姿は、炎の壁に隠されて、その姿を見ることが出来ない。

 すると、
「イベリヤード・リューイ!」
 姿が見えない声が、また現場に響いた。

 途端、

 バシュウウウウウ

 空気が抜ける音に似た効果音を生みながら、ごうごうと燃え盛っていた炎が霧散して消えた。

 小さい火の粉が、大きな炎の残滓として天から降り注ぐ。
 朱い雪の中では、左手を高く突き上げた状態の少女が静かに肩で息をしていた。

 少しずつ規模を収縮させていく少女の足下の魔法陣を見て、ガノンは今までの一連のことにすっかり目を奪われていたことを、今更ながら胃に自覚した。
 不規則でありながら、綺麗に天を色鮮やかに修飾した竜。荘厳さすら感じられた、高い炎の壁。そして、なによりもそれを全て指揮した少女。
 ガノンは、その美しさを目の前にして、呆然としている他なかった。

「ねぇ、ねぇ」
 見事な消火活動を見せてくれた少女に肩を叩かれるまで我を忘れていたのだから、驚く。

「ふぁいっ!」
 そして、余りに唐突に肩を叩かれ、奇妙な返事を反射的にしてしまったガノンは、すぐに顔を真っ赤にして口を押さえた。

「あ、えっと、そんな気にしなくてもいいよ」
 それでも気遣いの言葉をかけてくれる少女は、とても優しい。
 にこりと少女が笑いかけた事で、ガノンはようやく落ち着くことが出来た。

「誰だ、あの子?」
「消火活動を一人でやったのよ」
「いや、二人だぜ。男の子もいる」
「ラフィーか?」
「いや、それにしちゃあ年が若すぎるだろう」
 そして、そんな大人の声を聞いて、二人はようやく周りに沢山の人垣が出来ていた事に気がついた。

「えっと…」
 普段から引っ込み思案なガノンは、それだけで縮こまってしまう。

「とりあえず、違うところに行こうか」
 少女がそう言ってガノンの手を引いて人垣から抜けなかったら、ガノンは恥で倒れ兼ねなかっただろう。



ガノン君は、皆が嫉妬するほどの頭脳を持った、内気な子。
少女は、ごく一般的な、大人しい女の子。
普通の小説にしたいんだから、普通でいいの!




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最終更新:2011年02月18日 20:53