第十六章
「信頼のカタチ」
(コツコツ…)
足音は一つの教室の前で止まる。
教室の中ではハクが一人…
なんとも頼りない表情で、うなだれていた…
ハク
「(今日で三日目か…)」
あれからボブは学校に姿を見せないでいた…
ハク
「(ウザいよ…か…。早く戻ってこいよ…。話も出来ないんじゃどうしようもないぜ…)」
?
「まったく…、君はお気楽だねぇ…」
ハク
「誰だっ!?」
汰譜王
「やぁハク君。お久しぶり…」
ハク
「汰譜王……か。…何しに来たんだ?今はお前と遊んでる場合じゃ…」
汰譜王
「そうかな?今の君は、『何もしていない』じゃないか…。いや、『何をすればいいかわからない』の間違いかな?」
ハクの言葉を遮るように、汰譜王は話し続ける…
ハク
「……」
汰譜王
「正直、今の君は見るに耐えないね…。あの時の方がよっぽど大きく見えたんだけど……。とんだ期待ハズレだったみたいだね…」
ハク
「……」
ハクは言葉を返さない…
いや、返せなかった…
それほど自分が「ちっぽけな人間である」と、ひしひしと思い知らされていたのだ…
汰譜王
「ハァ……君…もう立候補辞めたら?」
ハク
「…!」
汰譜王
「これは子供の遊びじゃないんだよ…」
ハク
「俺は…」
汰譜王
「…これ以上ボクを落胆させないでくれよ?」
そう言うと、汰譜王は『二枚の紙切れ』を残し去っていった…
ハク
「なんだ…?この紙……………ッ!」
ハクは教室を飛び出した。
ヒラヒラと『一枚の紙切れ』が地に落ちる…
そこには…
『ボブ君は綺羅祭壇とは別のグループに捕まってるよ♪場所は、広報・新聞部の部室…。「待つ」だけが「信頼」じゃ無い。次は自分で気付くんだよ♪…汰譜王…』
そして二枚目…
これは裏返しのまま、読まれてはいない…
『あ、そうそう…偽物に気を付けてね♪』
ハクは走る…盟友の元へ…
第十六章・完
最終更新:2006年12月12日 16:25