…呉の某所…

太史慈
「ふん!ふん!ふん!」
虞翻
「鍛練に余念が無いな、太史慈殿。」
太史慈
「ああっ…。戦が近いし、戦場に出て腕がなまってたら話にならんから、なっ。」虞翻
「ところでよろしいか?」
太史慈
「ふぅ~、何だ?」
虞翻
「お前は何者だ?」
太史慈
「何者って、俺は太史慈だが?」
虞翻
「お前、合肥で死んだだろ。」太史慈
「?」
虞翻
「合肥の戦いは赤壁の大戦より前だ!」
太史慈
「えっ、そうだったか!?」虞翻
「それをお前は赤壁後にも関わらず、のこのこ南蛮討伐にしゃしゃり出て来て…何者だ、貴様!」
太史慈
「誰一人気付かぬ中、よく気付いたな、虞翻。」
虞翻
「伊達に占術に長けておらぬわ。加えて、『えっ、そうだったか!?』などとは白々しい!」
太史慈
「そ、そうか、では話そう。確かに、俺は合肥でやられたはずだった…。」
太史慈
「だが、俺は左慈という仙人に逝く間際に出会った。老師はこう言ったのだ…。」左慈
『ヒヒヒ、お主、見込みがある。仙術を学ばせてやろう。』
虞翻
「何だと!?」
太史慈
「左慈老師は俺の寿命を改竄し、さらに不老の術を俺に授けた。他にも色々学んだが、多用するなとかたく止められているから、使ったことは記憶操作の術が一回だけだ。」
虞翻
「記憶操作…?」
太史慈
「これのおかげで俺は怪しまれることなく元に戻れたのだ。」
虞翻
「なるほど、そういうことか。」
太史慈
「だが、不完全だったようだな。現にお前は気付いてしまった。」
虞翻
「いや、占術は仙術を汲むからな。仕方なかろう。」 太史慈
「左慈老師との約束でな、誰かに気付かれた時は老師の元に戻ることになっている。世話になったな、虞翻。」虞翻
「いや、その必要はない。」太史慈
「なぜだ?」
虞翻
「言ったろう。占術は仙術を汲む、と。俺は道士だ。」太史慈
「虞翻、お前は道士だったのか!?」
虞翻
「ふっ、しばらくこのことは黙っておくが、頃合いを見て去るのが良かろう。」 太史慈
「そう…だな。俺は未熟だ。修業を積まねば。」
虞翻
「じゃあな。いい仙人になれよ。」
太史慈
「あぁ。」



…謎の存在だった太史慈はこうしてひっそりと呉をさるのだった…

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最終更新:2006年12月18日 12:55