第二十九章
『厄介すぎる男」
いつもの午後の商店街の喧騒…
ここは学園から、さほど離れていない所にある…
「ふぅ……。(さて…汰譜王はロマンに入ったし…しばらくはすべきことは無いか…)」
男はため息を一つ…
ロマンの向かいのビルの屋上に寝転がる…
「はぁ…あいつは此処に来ると、いつも長いからな…」
そして二つ目…
カランカラン…
「ん?」
誰かがロマンから出てくる…
「(あれは…酔逸か…
なんか様子がおかしいな…
ん?もう一人…あれは…
な…!洋食!
…帰ってきていたのか…
クッ…もっと早く気付いていれば対策が取れたものを…!)」
酔逸は学園とは逆方向に…
洋食は学園の方に走っていく…
「こいつは学園に戻るのか!畜生…厄介なことに…!」
「(この様子だと、汰譜王はやられた後か…?
…クッ…どちらにしろ今は洋食を追うしか無い!)」
「弥…居るな?」
フッ…と、ビルの影から気配…続いて声が聞こえてくる…
弥
「酔逸を追えばいいのね?」
「あぁ…それと紫音君をここに呼び出しておいてくれ…、汰譜王が心配だ…。」
弥
「貴方は?」
「俺は桜舞君の所へ…。今、洋食に会わせると汰譜王は立ち直れなくなるだろう…。もちろん桜舞君に会わせてもな…」
弥
「わかった…」
気配が消える…
さっきまで人が居た痕跡など何処にも無い…
「あいつも成長したな…。
さて…、こっちも仕事だ…」
男は大きく伸びをすると、学園に向かって走りだす…
「ったく…はぁ……」
男……
いや…紅馬は何時になく不機嫌だった…
紅馬
「(裏方は辛いね……こんな仕事ばっかだよ…。
まぁ……もう慣れたけどな…)」
三つ目のため息を吐きながら、紅馬は学園の方へ消えていった…
第二十九章・完
最終更新:2007年01月11日 15:10