近代三国志外伝Ⅰ
曹操、若かりし日々(1)

曹操
『ここか…。往年の名車のエンジンがあるという張家は…』
袁紹
『ああ…。…しかし、本当にやるのか?』
曹操
『無論だ…。金持ちのくそジジイが持っているより、俺達が使った方がエンジンも喜ぶだろう。
…惇!準備は出来ているか?』
夏侯惇
『いいぜ!』
曹操
『では!行くぞ!』


洛陽の名家、張家に在るというエンジン
それを手に入れる為に、曹操らは屋敷に忍び込む

屋敷に潜入する事が出来た3人

曹操
『エンジンはどこだ?』
袁紹
『…あっ!あった!あれだ!
…おお!素晴らしい…』
曹操
『馬鹿!袁紹!待て!不用意に触るな!』

袁紹がエンジンの保管ケースに触れた瞬間、けたたましく鳴るサイレン

袁紹
『しまった!』
曹操
『…袁紹!逃げるぞ!…惇!』
夏侯惇
『おお!』

夏侯惇はエンジンを背負う
3人はその場から立ち去り始める

張家の警備に追われながらも必死に逃げる3人

曹操
『はぁ、はぁ、はぁ…何とかまいた様だな。』
袁紹
『はぁ、はぁ、はぁ…すまん!俺のせいで…』
曹操
『なに、いいさ。あともう少しで完全に屋敷から出られる。行くぞ!』

また走り出した瞬間、袁紹が番犬のドーベルマンに足を噛まれ負傷する
曹操と夏侯惇が犬達を全て斬り伏せる
袁紹の傷は深い

曹操
『大丈夫か!袁紹!』
袁紹
『…駄目だ…歩けない…』
曹操
『…ちっ!』

しばらくの沈黙の後、曹操、突然大声で叫ぶ

曹操
『うおおおー!皆の者ー!賊はここにいるぞー!』
袁紹
『!、な、何を言うのだ!』
夏侯惇
『孟徳!』
曹操
『ええい!今は話などしてる場合では無い!早くせねば追手が来るぞ!走れ!』

再び走り出した3人
足の痛さも忘れ、必死に走る袁紹

いつしか、屋敷を無事に逃げ切った

逃げ切った3人

袁紹
『はぁ、はぁ、はぁ…も、孟徳ー!』
曹操
『はぁ、はぁ、はぁ…ん、何だ?』
袁紹
『何故あんな事をしたー!捕まってしまうではないかー!』
曹操
『ふん…。…でもそのおかげで足の痛みも忘れ必死になって走れただろ?』
袁紹
『!、…お前の策か!………悪かったな。』
曹操
『…なに、いいさ。』
夏侯惇
『ところでこのエンジンどうするのだ?』
曹操
『…袁紹、お前が使えよ。』
袁紹
『!、いいのか?』
曹操
『ああ、こんな素晴らしいエンジンは名門のお前が使うのが相応しいからな。』
袁紹
『曹操…お前…。有り難う!本当に有難う!この恩は忘れないぞ!』

エンジンを持ち去っていく袁紹

夏侯惇
『…簡単にくれてやったな…いいのか?』
曹操
『ああ、所詮あんな物は古びたガラクタよ。今の一般のエンジンよりも性能が落ちる。そんな物を有り難がる様な俺では無い…。それよりも今ここで、あいつに恩を売っておいた方が、後々デカく利益が返って来るだろうさ。』
夏侯惇
『ふん…。流石だな、孟徳。』


近代三国志外伝Ⅰ、完

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最終更新:2006年11月23日 22:13