退魔の剣の刀身の構成成分について考える。

 まずは基本からだよね!
 ということで、形と真と理で抜ける例のアレ、いわゆる退魔の剣の刀身について考えてみます。

 ……の前に。
 小説ではなく、むろんマンガでもなく、考察文でWEBアンソロに参加させていただくと決めた時点で、もう少し読み手が親しみやすくなる工夫はできないものか、具体的にはキャラの語りにしてみたらどうだ、たとえば家出して自らの才能に目覚め思いきり開花させたEDOサイエンティストOTYOUとか! 子供の教育は才能を褒めて伸ばすのだよ的な! などと考えたりもしたのですが、白衣にメガネの才女お蝶も結構似合いそうじゃね? とも思うのですが、最も需要のありそうな薬売りでの語りがムリポな時点でとりあえず棚上げ。
 ……え、イヤじゃないですか、薬売りが重力加速度がどーの、シュレーディンガー方程式がこーの、と解説し始める、データ解析キャラになったら。
「おまえの動きは見せてもらった。このパターンから推測される次の攻撃は右からの確率85%!」とか。
 薬箱のあの段にみっちり詰まってるのが春本じゃなくて、これまで集めたデータがびっしり綴られてるノートとか。
 モノノ怪相手にデータが役に立つのかわかりませんし。

 とまぁ、そんな思考錯誤を経て、ごくふつーに書き手の語りですスミマセン。

 さて本題。

 3カチン後、ハイパーさんによって引き抜かれたときのあの刀身、あれ、何で構成されてるんですかね?

 疑問のきっかけは、旧化猫の戦闘シーン。
「コマ送りで見るとスゲーよ!」とのウワサを聞き、実際にコマ送りしてみました。
 うん、すげえ。
 まだやったことない人は、是非一度やってみることをオススメするよ!

 それはともかく、そこで気になったのが17'06''(時間は三の幕基準)以降。

 剣を抜いたハイパーさんがくるくるっと飛び上がる
→刀身がハイパーさんの動きについていくように渦を巻く
→17'07''刀身の色しか見えないカタマリが化猫と激突
→刀身が乱れてハイパーさんらしき人影
→火花エフェクト、ハイパーさんは右上へ
→また刀身の色だけのカタマリに

 てな具合に、宙で化猫と斬り結ぶ際、どうやら、ハイパーさんは退魔の剣の刀身で自らを包み込んでいるように見えるのである。


 なんてこった、それってバリアじゃん! どんだけ自由自在!?


 一瞬、新体操のリボンを操るハイパーさんを想像しました似合わねえ!
 気になりだしたら止まりません。まずは観察から始めることにします。

 本当は原作のキャプチャ貼るのが一番わかりやすいと思うんですが、著作権的にそれやってOKなのかわからないものをWEBアンソロという個人で責任負いきれないところにツッコむ度胸はないので、申し訳ないですが再生してください、脳内再生でも可。(その必然性があり、論の主従関係からいっても引用の条件は満たしてると思うんだけど!思うんだけどもね!)

 さて、原作からわかる退魔の剣の刀身の特徴は、
  • 基本の長さはあるが、伸び縮みする
  • 柄から噴き出しているように見える(輪郭のゆらぎ、退魔たんロケットなど)
  • 金色と茶色のまだら模様(ただし柄から先端に向かって移動)ところどころ文字っぽい黒い影
  • モノノ怪と接触すると火花が散る
  • 現実(人の世)の建物は傷つけないようだ(旧化猫、海坊主から)
  • 香木に点火することができる。その際、刀身は赤くなる
  • 振り回したとき、柄の部分より、先端部分の動きが遅れる(刀身がしなったり新体操リボン状wに見えることから)

 とまぁこんな感じで、刀身が剛体(※)でないことは確かだ。

※剛体。大きさがあり、変形しない物のこと。硬いものだと思っていただければおk。角材とか鉄パイプとか釘バットとかクリスタル灰皿は剛体とみなせます。なんで「剛体です」て断言しないのかっつーと、ほら、勢い余って折れたり曲がったりするかもしれないのでw そういう意味では、完全な剛体は存在しないとも言えます。この世には完全な直線は存在せず、実在するのは線分だけってのと同じ。


 見た感じだけで言うなら、炎に似てますよね。東大寺に火ぃつけてるし。
 噴き出しているように見えることから、ガスバーナー的なものを仮定してみます。
 要するに、可燃性のナニカが退魔の剣の柄から放出されており、それが燃えてるんだよ説。刃が当たった場所は熱によって変性し、続いて刃部分=ナニカが噴き出す勢いが透過することで変性部分が吹っ飛ばされ、ぶったぎって見えるとゆー仕組み。

 1コずつ検証してみましょう。
  • 伸び縮み→ナニカが噴き出す勢いで調整可能。勢いよく出せば伸びるでしょうたぶん。手元にスイッチがあるか、ハイパーさんの思考連動? わォハイテク!
  • 火花が散る→モノノ怪がなんなのかっつー根本要因にかかってきちゃいますが、ガス溶断とかあるから不可能ではない、か?
  • 建物を傷つけない→……えー……モノノ怪だけに影響を及ぼすナニカってことか……。
  • 火をつけられる→逆に言うと、普段は発火しないということ。となると通常状態は炎ではない

 ―――前提からひっくり返っちゃったよ!!
 でも悔しいから最後まで検証する!

  • 火をつける(続)→発火状態では<人の世>に存在する物体にも影響を与える可能性あり? 香木とその台がまっぷたつですが、これもモノノ怪憑いてたからなのか、どうなのか。
  • しなる→ナニカには慣性が働いているとか、空気抵抗なんかも考えられ。


 ……ふむ。
 ここでもうひとつ、「あれは炎ではない」と考えられる根拠を思いつきました。先に思いつけよ自分ボケェ! せっかくなので書きます。

 みなさま、無重力空間では、火をつけるとどうなるかご存知ですか?
 そう、たとえばスペースシャトルの中とか。数々の実験映像は見るだけで楽しい!


 さて、答はこちらに写真つきで→JAXAサイトより【Q36無重力でろうそくを燃やすと~】
 見てのとおり、炎はしずく型にならず、丸くなります。
 理屈は解説にもある通り。
 あったかい空気は上にいく。冷たい空気は下にいく。節電の必要性に迫られる昨今、快適冷暖房におけるポイントでございますね! いでよ、サーキュレーター!
 ……さておき。
 これ、JAXAページにはさらっと書いてありますがスゴいことなんですよ。
 あったかい空気が上にのぼることで、炎の周りには上昇気流が発生します。それによって炎は上にのび、しずくの形になる。
 と同時に、そこに存在する空気が移動してしまうので、周辺から空気が流れ込んできます。ここポイント、超ポイント!(もし流れ込まなかったら炎周辺だけ真空になっちまいます、それなんてカマイタチ?)
 昔、理科の時間に習ったのを思いだしてくだされ。燃焼に必要な3要素!

つ【熱】
つ【可燃物(紙とか木とかロウソクとかガスとか)】
つ【酸素】←コレ

 上昇気流によって「周辺から(まだ燃焼に関与していない)空気が入ってくる」ことにより酸素が供給され続け、ロウソクは燃え続けることができるのです!
 ブラボーロウソク! いやブラボー重力?
 ね、ね、スゴくね? 自分これ知ったとき感動しました! ……え、そうでもないですか普通ですか興奮しすぎ? …………(´・ω・`)

 えー、話を ガスバーナー≠退魔の剣 に戻します。
 ガスバーナーの火は、上方向のみならず横だの下だのに向かって噴き出しますが、ヤツは酸素供給に上昇気流を必要としません。
 なぜなら、噴き出させる時点でガスに酸素混ぜてるから。
 えーと別作品になりますが、確かどっかの焔の錬金術師は、可燃性ガスと酸素を錬成してから、発火布指パッチンの火花を飛ばして、ドッカンドッカンやってたハズ。
 それむしろ空気の錬金術師じゃないのか。
 え、誰だ「つまり大佐は空気w」とか言ったヤツはオレか!
 ちげーだろ、この内容を考えればむしろ「空気を読める男」ってことだろフォロー終了!

 さておき。

 酸素供給に上昇気流は必要ないのですが、別に酸素供給するために空気が空気読んで移動してくれてるわけではなく、単なる物理現象ですので、熱源があるところに上昇気流あり。
 そういうわけで、ガスバーナーだろうがなんだろうが、炎は基本上方向へ向かうのです。冷たい炎があったら別だろうけど、残念ながら知らない。
 にもかかわらず炎が横だ下だを向いてくれるのは、その方向へガス(=可燃物)を噴き出させているから(+設計とかの工夫)に他なりません。
 しかし、噴き出すモトから離れれば離れるほど、横方向への推進力は減り、上方向へ向かう力が強くなります。
 扇風機から10m離れたら「風こねええええ!暑ィィィィィ!」てなるのと同じ理屈です。
 退魔の剣を見てみましょう。
 お蝶さんの背中につきつけられた剣(先端)を見ると、曲がってません。
 すぐ先のお蝶さんの服が微動だにしてないことを考えると、上昇気流を寄せ付けない推進力が維持されているというのは、ちょっと考えにくい。
 もし退魔の剣が炎だったら、先っちょは上へ向かって曲がってなきゃおかしい。
 よってアレは炎ではない!となります。


 ……ん、あれ? でもコレ、退魔の剣に重力働いてなかったら通じない……?

 ………………。
 …………

 ……次行ってみましょう!(イイ笑顔)


 つづく。
最終更新:2011年07月14日 22:48