白菊ほたるは疫病神と言われていた。
それは、別にナチュルスターをやっているからってわけではない。
謎の不思議パワーとか精霊の力とかで変身後は誰も彼女が白菊ほたるとは気づかない。
じゃあ、何故呼ばれてたか?
とある一軒家。そこに彼女は住んでいた。
ほたる「……おはよう。お父さん。お母さん。」
彼女の一日は両親への挨拶から始まる。
だけど、彼女以外には人影も何もない。
何故なのか?
それは仏壇があるのを見れば誰だって察するだろう。
母親は亡くなった。彼女を産む時に母体に負担を抱えてしまい、そのまま帰らぬ人に。
父親は亡くなった。産まれてきた我が子を必死で育てようと働いて、過労死した。
彼女は写真でしか知らない。自分の両親を……
昔の話をしよう。
両親が亡くなり、幼き彼女は親戚のうちへ預かる事になった。その家は彼女が来てから、父親の会社は傾いた。母親は事故を起こした。そして、一家は離散した。
次の親戚もその次も彼女を預かってから偶然にも不幸が起こった。
「この……疫病神っ!」
物心ついた時からそう言われ続けた。それは決して彼女のせいではなかった。
ただ……悪い偶然が重なった。それだけだ……
親戚からの罵声、暴力。彼女はそれらを受けながら思った。
---自分はいらない子だ……
---なんで、私は産まれたの?
---すみません…すみません…すみません…
私がいなくなれば……いいのかな?
小さな少女が死ぬ覚悟をするのも、そんな環境だったからだろう。
ボロボロの身体。フラリフラリと外を彷徨う幼き少女は光のない瞳で、死を選んだ。
近所からも関わらないように言われてる為か、誰も幼き彼女を止める者もいなかった。
---私が産まれたから、お母さんはいないのかな?
---私がいたから、お父さんはいないのかな?
---私がいなくなれば、皆幸せになれるかな?
もう彼女に待ってるのは死しかなかった。
???「あら?こんな所で何してるの?カワイイお嬢ちゃん」
それが、今の白菊ほたるの始まりだった。
時は戻って現代。
仏壇に手を合わせたほたるはもう一人の同居人を起こしにいった。
ほたる「志乃さん。朝ですよ。起きてください」
志乃「ふふ、おはよう。ほたるちゃん」ニコッ
ほたる「おはよう。志乃さん」ニコッ
空のワインボトルがたくさん置いてある部屋。そこの中央のソファーで寝ているこの家の主が微笑みながら眼を開いた。
ほたる「ダメですよ。お酒ばっかり飲んでは…。もし、志乃さんになにかあったら」
志乃「うふふ。大丈夫よ。私は死なないわよ。最初に言ったわよね?貴女が望めば私は一緒にいてあげるって」
心配するほたるを他所に彼女は微笑みながら、ほたるを撫で、近くにあるワインボトルをあけ、グラスにそそいだ。
その光景に「もうっ…」と飽きれながらも、自分は生きてて大丈夫なんだと、ほたるは実感する。
柊志乃は謎が多い。
彼女が最初に出会った時も、何故か外でワイングラスを片手に持ち、ワインを飲んでいたのだから。
何故か彼女と始めてあったのに、幼いほたるは自分の事を彼女に話してしまい。
何故か彼女はほたるを養子にした。
その時に彼女はほたるにこう言った。
「貴女は生きてていいのよ?」
そして、彼女は、何故かほたるの父親と母親の写真と仏壇も一緒に持ってきていた。
柊志乃が何者か……それはほたるにもわかっていない。
仕事が何しているのかもわからない。
ただ、ほたるにとって柊志乃はもう一人の母親であり、恩人である。
始めて、自分を必要と言ってくれた人。
始めて、抱きしめてくれた人。
始めて、温もりを与えてくれた人。
彼女がいなかったら、白菊ほたるは存在していなかったか、人を呪う存在になっていたかである。
志乃「うふふ。それより今日は乃々ちゃんと友達の家行くのでしょ?」
クイッとワインを飲みながら、時計を指差す。
ほたる「あっ…いかないと。じゃあ、志乃さん。行ってきます」
慌てて出かけるほたるを見て、志乃は本当の母親のように見送った。
パタンッ!
志乃「うふふ、ヒーロー活動頑張ってね。ほたるちゃん」
柊志乃は謎が多い。
志乃「さて、周子さんのところに遊びに行こうかしら?ふふ、それとも美優ちゃんのところにからかいに行こうかしら?」
ただ、言えるのは彼女は普通の人間ではない事だけは確かだ。
終わり
最終更新:2013年06月26日 19:39