リムベの無形文化遺産登録

リムベによるオルティン・ドー演奏の技法―循環呼吸による

リムベは硬質の木材、もしくは竹製の横笛である。伝統的にモンゴルのオルティン・ドーという長く声を引き延ばすのが特徴の民謡の演奏に使われてきた。循環呼吸の使用により、リムベはオルティン・ドーに特有の持続される幅広い音域の旋律を奏することが可能となっている。演奏者は鼻から息を吸い、同時に口から息を吐く。その際頬の中に空気をためることで間断なく演奏することができる。オルティン・ドーの歌詞の一節分はおおよそ4~5分にも及ぶ。1曲の全体は3~5、あるいはもっと多くの節で構成され、この間ずっと休みなく12~25分も吹き続けることが要求される。この楽器の伝統的なメソッドの中には、この技法を習得するために、火のついたロウソクを消さずに息を吹きかけ続ける、もしくは水の入ったコップにストローで息を入れ続ける訓練が含まれている。リムベの演奏の特徴は響きのよいメロディー、メリスマ、倍音、指遣いの妙やタンギングである。この技法の継承者はこの楽器をやろうとする個人や団体の中でも減少傾向にあると考えられる。これは西洋的な音楽様式が中心を占め、教育システムもそれに則って行われていることが一因である。現在、この有用で可能性のあるこの伝統的な技法は14人の演奏者が受け継いでいるに過ぎない。

決議 6.委員会 8.15
委員会はユネスコの「緊急に保護する必要がある無形文化遺産」に横笛のリムベを登録することを以下の要領で決定した。
  • 民謡を奏する際のリムベのこの演奏技法がリムベ演奏者たちの独自性を保証している。
  • 年長の演奏者たちが粘り強くそのノウハウを教え続け、循環呼吸の技法が潜在的に広まることが可能な環境で、多くの優れた演奏者が存在するにもかかわらず、オルティン・ドー演奏のこの技法には中々出会うことができない。
  • 伝承や教授も含めた保護の方法が必要で、しっかりとした機関の組織的、財政的支援が要求される。

リムベを教授するツェレンドルジ(音楽舞踊中学校にて)

原文
Folk long song performance technique of Limbe performances - circular breathing
http://www.unesco.org/culture/ich/en/USL/00543
最終更新:2013年04月20日 11:39
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