Mellow My Mindより
時間をとめてる人
時間を止めてる人とそうでない人っていう分け方で見ると、すごくくっきりわかることがあるなーと思うようになりました、最近。時間を止めてる人って過去に執着して、都合のいい未来をぼんやり描いてて(本人にとっては灰色かもしれないけど、他人から見るとものすごく甘い、なんかへんな感じ。いつまでもそのままでいられると思ってるの?っていいたくなるような)、「今」がすっぽり抜け落ちてるんだよね。「今」をその執着してる過去と、ぼんやりとした未来が埋めちゃってる、みたいな。そりゃー生きてて楽しくないだろうな、と思う。で、そういう人って経験が蓄積にならないんだよね。すごろくでふりだしに戻るみたいなことばっかりやってる。
被害者意識の三点セット
春日 だいたいはそうですね。病気でウチに来る人というのは、そういうパターンに陥りがちだということです。わたしのところに来るような患者さんというのは、だいたい、こだわりとプライドと被害者意識の三点セットなんですが(笑)。
内田 三点セット(笑)。そういう人は、どこにもいるなあ。
春日 精神科的な意味では「こだわり」と言うと、マイナスに見えるかもしれませんが、それに執着していればいいという意味で言えば、話は整理されるわけでしょう。そのこと以外はやらない、ということならば、それはそれで、人生がすごく単純化されているわけですね。
だから、こだわっていたいんだったら、俺のところになど来なければいいじゃない、一生それをやってなさいよと。でも、文句を言うんだったら、こだわりの方をやめるとか、もっと複雑な人生を生きていかなきゃならないんだよ、と言うわけね。そのどっちもとれないって言うんだったら、それはお前がバカなんだよって言うと、怒って帰っちゃったりするんですけどね。
ここで「ああそうか自分はバカだったんだ」っていうのをすとんと理解すれば、止まってた時計も動き出すんだけどね。バカである自分を認めることは恥ずかしいことじゃなくて、そこからいろんなことが始まる、開かれた、ひじょうにエキサイティングな機会だと思うよ。実感から。
「出る杭は打たれる」は被害者意識の現われ
内田 そういえば、統合失調症の人は格言が好きだって前に春日先生おっしゃってませんでしたっけ? 「格言好き」っていう人は言い換えると「脳的」な人だってことなんでしょうね。
春日 中井久夫先生の受け売りなんですけど、一番好きなのが「出る杭は打たれる」だって。
内田 はあ、これはおもしろい。
春日 格言の中でも、「出る杭は打たれる」が一番ピンとくるらしいんですね。「虎穴に入らずんば虎児を得ず」なんていうのは、あんまり人気がないらしい。
Mellow My Mindより
『モラトリアム人間の時代』小此木啓吾
アイデンティティ拡散症候群とは、青年期に決着をつけ、オトナ社会に自己を位置付け、限定することによって確立されるべきアイデンティティ=自己限定=社会的自己定義が、何らかの理由によりできないために生じる青年期後期に特有な自己拡散情報のことである。
1. 「自分は…である」という社会的自己(アイデンティティ)の選択を回避・延期する
2. 過剰な自意識にふけり、全能で完全な無限の自分を夢見る
3. すべてが一時的・暫定的なものとしてしか体験できない
4. 生活全体の緩慢化や無気力化をきたす
5. 人と人との親密なかかわりを避ける
6. いかなる組織にも帰属することを恐れる
7. 既存社会に飲み込まれることへの不安が強い
最終更新:2007年05月18日 12:47