売れない露店




名無しオンライン sage 2006/05/27(土) 04:05:27.91 ID:kGpNMuCX

最近ビスク西では露天の店番に顔を出している人はもに子がほとんどだ。
それもそのはず、モニコンが増加している一方で裏社会(もとい裏ビスク)では謎肉処分の予定となっているもに子が手軽に手に入る現状だからだ。
もに子は金銭による売買はされない。常に物々交換である。
これにより人身売買の謗りを免れるらしい。
詭弁もいいところだ。もに子なのでどうでもいいが。
肝心の相場だが、もに子のステータスにもよるが、脳筋仕様はスタイリッシュクロース装備いずれか一つ、メイジやプリーストはイクシオンステーキ10個、料理、裁縫などの生産系はもっとも高く賢者の石<採掘>といったところだ。
結局のところ顧客の多くは買ったもに子を外には出さず家事と性処理に用いるらしい。
所詮は家畜だ。

話がそれたので元に戻そう。今日も市場ではもに子の媚びた声が鳴り響く。
「おにいちゃん買ってもにぃ~おにいちゃんのためにお安くするもにぃ~」
もに子は自分の思い通りに事を運ぶために他人に媚びるというが、ここのもに子達にそんな腹黒さは無い。
何しろ自分の今日の餌や処遇が露天の売り上げにかかっているのだ。
小賢しい計略などなく、生きるために必死の表情で媚びるもに子たち。
そこにはかつてのちやほやされた時代の華やかさなど欠片も無く、薄汚れた世界が広がっていた。

さて、ここで一人のもに子に注目してみよう。
彼女は3ヶ月前に今の主人に謎肉加工工場から拾われ、家に連れてこられてから
甘える暇も無く暴行を加えられ、服従を強制されたもに子である。
スキル値はさまざまなものを20前後取ってはいるものの飛びぬけた能力が何一つ無い典型的な器用貧乏だ。
謎肉加工工場のもに子調達課につかまった段階ではダイアロスに流れ着いて一月程度だったらしい。

彼女の指定席はビスク西の料理売りNPCが配置されているあたりの2つのテントの間。
そこで彼女は今日も自分で作ったリンゴジュース(13G)と生目玉焼き(13G)を露天している。
しかし今日もまったく売れない。
「買ってほしいもにぃ・・・とっても美味しいもにぃ・・・」
泣きそうな声で宣伝をするもに子。しかし客の反応は厳しい。
『生目玉焼き・・・こんなの誰が食べるんだろうねぇ・・・。あ、あそこのベーコンサンドおいしそー!』
『リンゴジュースってwwwwwwバナミルの方がチョー便利だしwwwww』
「頑張ってつくったもにぃ・・・おひとつ・・・どうぞ・・もに・・うっ・・・うくっ・・・」
慣れてはいることだが、あふれる涙が抑えられない。
そこに一つの影が訪れた。
『うーん、全然売れてないね』
「あっ・・・ご主人さ・・・もげぇ!」
言い切る前に主人のレッグストームがもに子を襲う。
体力だけでなく、ただでさえ低いスタミナまで奪われ、
鼻血をボタボタと零しながら肩で息をするもに子。
『今日中に各100個ずつさばけないなら餌抜きだと朝言ったよね?』
表情を変えずに言い放つ主人
「も・・・もにぃ・・・」
[こんなメニューが売れるはず無い!]
そういいたかったもに子だが、かつて口答えをした結果受けたヒーリングをかけられながら
ポイズンミスト+オーブンのおしおきの苦痛が脳内をフラッシュバックして口をつぐんだ。
『しかたないね、今日もお前の餌は無しだ』
「ご、ご主人様!おねがいもにぃ・・・もう4日も何も食べてないし水も飲んでないもにぃ・・・」
これは本当だ。先ほどのように『売り上げが少ない』という理由でこのもに子はここ数日餌を抜かれている。
もっとも、意図的に売れないメニューを露天させている主人の目論見どおりではあるのだが。


名無しオンライン sage 2006/05/27(土) 04:06:15.75 ID:kGpNMuCX

『そうか・・・それなら食料と水、どちらかだけくれてやる。どっちがいい?』
「もに・・・それじゃあ、お水が欲しいもに。お願いしますもに・・・」
飢えは何とか耐えられるが渇きはどうにもならない。もに子も必死だった。
『わかった』
そういうと主人はおもむろにもに子の髪を掴み、引きずり始めた
「もにぃいぃいいぃ!!!!!」
苦痛に2顔をゆがめるもに子。
かまわず歩を進める主人は、ある場所で歩みを止めると、もに子に告げた。
『さあ、お望みの水だ。好きなだけ飲め』
その言葉と同時にもに子を放り投げる主人。
ここはビスク西、鍛冶屋横の溜池。もに子が露天していた位置からそう遠くないところだ。
「もに・・・げほ・・・もにぃいい!」
もがくもに子。水泳0の彼女にとって突然の水中はどう対処すれば良いかわからなかった。
なんとか水面に出ようとした時、急に脚を掴まれ、引っ張られた。
「もげぇ・・がはっ・・・」
ゲージも無くなり、徐々に体力を減らすもに子。
『おいおい、せっかくお前が望んだ水を飲ませてやろうとつれてきたのに、そんなにさっさと出ること無いだろ?』
脚を掴んでいた者の正体は彼女の主人だった。
泡で囲まれている様子から、バブルボールを自分にかけて潜ったのが明白だ。
「も・・・に・・・」
徐々に顔が青白くなり、ばたつかせていた手足の動きが緩やかになっていく。
酸素不足で思考能力も低下してきたもに子の脳裏には、[これで楽になれる]という考えが浮かんでいた。
「やっと解放されるもにぃ・・・」
「おいしいものたくさん食べて、皆と遊びたいもにぃ・・・・」


「げぽっ!もげええええええ!!!」
『おっ、気がついたな』
腹部を走る鋭い痛みと、吐き出す水の不快感にもに子が目を覚ますと、目の前に主人がいた。
どうやら失神している間に家へ運び込まれたようだ。
『いやー、チャージドフィストってこういうときにも使えるんだな~。便利便利』
「もげっ!げほっ!」
胃の中の水を大量に吐き出したもに子は、しばらく動くことが出来なかった。
「それじゃ、約束どおり水は飲ませたんで餌は無しだ。明日の露天の支度をしてさっさと休め」
もに子の体調など意に介さないように主人は言い放ち、部屋を後にした。

「けほっ・・・もにぃ・・・」
何度も何度も水を吐き出し、ようやく落ち着いたもに子は、状況を確認した。
「結局、死ねなかったもに・・・」
「おなか・・・すいたもに・・・」
そして何一つ状況が好転してないことを認識すると、
木の板に布を敷いただけの寝床に体を横たえ、明日に始まる地獄までその思考を停止した。

ここはダイアロス。
誰もがその理由を知らないままエルモニーを虐げる地。



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最終更新:2007年07月28日 21:01