未完の作品?




名無しオンライン sage 2006/06/21(水) 11:25:35.41 ID:ZHpfX4Cs

戦乱の時代 War Age

現代から10年後のその世界では、エルガディン軍とビスク軍の面々が、毎日血を流している。
その中に、一際目立つ金色の兜と銅の鎧を着た男が、目前に広がるエルガディンの者達の死体を見て物思いにふけていた。
「…長、隊長。隊長。」

男の声にやっと気付き、くると後ろを振り返る。
「…すまん、どうした。」
「どうしたんですか?最近やけに、ボーっとしてる事が多いですが。」
「…ビスク軍に入って2ヶ月。まだあの日のことが忘れられなくてな…」
「えっと…『カルディー』将軍の事ですか?」
金色の兜の男が、その男の名前を聞くなり、肩をビクンと震わし、くわえていたタバコをポロリと地面に落とした。
「すみません、あの人の名前は言わない約束でしたね。」
「いや、いいさ。…それより、向こうの軍の隊はどうなってる。」
「中秋付近に2,3の隊が発見されました。どうなさいますか?」
「もうしばらく偵察を続けろ。だが、もし城下町方向に向かっていたら、殺せ。」
「了解しました。」
男は敬礼した後、壁にかけていたバルディッシュを手にすると、それを抱えて走っていった。


金色の兜の男は、落としたタバコの火を足で消し、また物思いにふけた後、

「行くか。」

とだけ呟き、血に塗れたスチールロングソードを手にし、戦場へと赴いた。




これは、その金兜の男が、まだエルガディンに所属していた頃の話。
今でもビスク中に語り継がれる、金兜の英雄と呼ばれる話である。

名無しオンライン sage 2006/06/21(水) 11:26:16.05 ID:ZHpfX4Cs

~エルガディン~


「侵入者が来た!追えー!!」
その声の中に、その頃の彼はいた。黄金のチェイン装備を身にまとい、金の盾と金の剣で侵入者に攻撃をくわえていく。
その男の名は、「アザゼル」。
軍の中でも腕が立ち、黄金の騎士と呼ばれていた。貧相な装備をしたエルモニーの胸から階級章を奪い取り、
「…馬鹿が。大人しくしてれば命だけは助かったものを。」
とだけ呟いた。
侵入者は全滅し、奪い取った階級章の数々をミクルの元にとどける。
「…じゃ、今日はこれで帰ります。」
「まて、アザゼル。」
ミクルの言葉に足を止める。
「お前、昇格する気はないか?その腕で階級がnewbieというのも…」
「言ったはずです。私はnewbieから昇格はしません。上に行くのは、やだと。」
「…わかった。」
ミクルはため息をついた。
アザゼルは階段を降り、自分の家へと向かった。


名無しオンライン sage 2006/06/21(水) 11:26:57.17 ID:ZHpfX4Cs


騒動の始まりは、とある一戦からだった。
城下町ビスクへと侵入し、エルガディン有利の戦となっていた。


その状況を築いていたのは、アザゼルだった。
敵兵の3/2をたった一人で殺していた。
愛用の金に輝く剣を、ビスク人達の血で濡らして行く。
その中には、エルモニー種族の面々が多くいた。
エルモニーは今まで肉の製造としてしか使われなかったが、この戦乱の時代にすこしでも人手を増やすため、
エルモニーの人権もみとめ、少しでも自軍を有利にするための、一か八かの決断だった。
その決断は、結果からすれば正しかった。
ひっそりと、人目につかないように過ごしてきた彼らは、殆どの戦闘スキルが大台に乗っており、戦術も完璧だった。
だが、それらも黄金の騎士にはかなわず、次々と首をはねられる。
「モニイイイィィィィィィ!!!アアアアァァァァ!!」
ビスク中にこだますエルモニー達の悲鳴。
「このままいけば、アクセルの首も近い!」
そんな時だった。
向こうの軍から、銀の鎧を着た、とても見覚えのある女の姿があった。

見間違えかと走りながら目をこらす。しかし、見間違えではなかった。そこには、自分の幼馴染だった、コグニートの女がいた。
驚きを隠せなかった。だいぶ前に死んだ、と聞かされていたから。
今すぐ抱きしめて、再会を分かち合いたい。
そんな思いを胸に戸惑っていると、その女が、悲しそうな顔をしながら、剣をとった。

男は、叫んだ。
「うわあああぁぁぁぁ!!」
その叫びの後、男は戦場から逃げた。



続く。



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最終更新:2007年07月28日 21:46