プロジェクトX 謎肉を作った男2
勝手にタイトル付けちゃったけど、同じ人の作品かどうかは不明です。
302 名前:名無しオンライン 投稿日:2006/10/02(月) 19:27:09.34 TaTQnFuG
僕は正直者のモニ男モニ。
パーティーに誘われた時も、正直に脳筋に文句言えるし、
ボッタクリ露店を晒したり、周囲に注意を促したりもしてるモニ。
そのせいで意地悪なニュタ男や暴れん坊のパンダにいじめられたりもするし、
【正直者は馬鹿を見る】とかいう言葉もあるけれど、僕は正しい事をしているから、
後悔はしない様にしているモニ。
僕がいじめられているのは、悪い奴らが正直者の僕に嫉妬しているからモニ。
生暖かい目で見守ってあげるモニ。
これはとあるスジの依頼によってビスク西で聞き込み調査をしている私にエルモニーが語った言葉である。
本来はもっと長かったのだが、省略してある。
ここで問題となって来るのは自分を【正直者】と呼ぶ所であろう。
確かに正直は正直なのだろうが…
実際に細かい状況を聞いてみるとPT時のクレームについては、
バルドス狩りの最中に作業を円滑に進めるために、友好、神秘持ちの脳筋が肉をかき集め
ドワーフに売りに行くのを持ち逃げされると勘違いしての行動らしい。
再三に渡って集団行動をとった経験があるにもかかわらず、
このエルモニーは毎回の様にこの様な問題を引き起こしているらしかった。
この時、脳筋氏は獲物の種類と個数を提示し分配したにも関わらず、
「ルートしたのはあなただから、賢者とか持ち逃げしているに違いない」とまで言っていたらしい。
また、彼の言うボッタクリ露店の定義はこうだ。
以前に○○Gで売られていたのを見かけた事がある。
だからあなたの売っている品物も○○Gで売るべきだ。
もしくは同じ理由で自分の持っているアイテムを高値で買い取るべきだ…と。
まるで子供の言い訳である。
安値で売った人は、独自の素材確保の方法があったか、在庫処分か…
それなりの理由があったのであろう。
高値で買い取った人についても、至急で用意する必要があった等の理由があった事は容易に想像できる。
それをまったく考えようとしていない、これは他の種族にはみられない特徴であり、
エルモニー独自の文化や歴史に由来しているのかも知れない。
303 名前:名無しオンライン 投稿日:2006/10/02(月) 19:28:00.42 TaTQnFuG
また、後半は自分は正しいという事に終始している。
自分は正しく、自分に反発する者は悪人である。
そして自分より愚かなのだ、だから自分の方が立場が上なのだ…と。
そして中には「あいつらは悪人だから殺しても良い、盗んでもボッタくっても良い」と
平然と言ってのけるほどの連中もいる。
いや、言葉にしないだけで彼もその連中の一員だろう。
彼らの思考の中では「自分が殺したなら、殺す事が正義。しかし自分がやられたら相手が悪」なのだ。
常識的に考えれば、どちらがおかしいのか、どちらに問題があるかは一目瞭然である。
しかし彼らは、その独善的な正義を疑おうとはしていない。
そして【後悔はしない】と言うのもくせ者だ。
それは言い換えれば【反省しない、する気もない】と言う事だ。
……まったく、この言葉を聞いた時はただの冗談だと思ったよ。
しかし、そう語った彼の目は真剣その物だった。
そして今までの調査から、彼は決して冗談を言っている訳ではない事も知っていた。
いい加減に慣れてきた私も迂闊にも目眩を感じたのを覚えている。
そして腰の物に手が伸びてしまったのも無理からぬ事だろう。
このような下劣な生物が、誇りあるビスクに巣喰っているとは…考えるのもおぞましい。
また、このエルモニーが特殊なだけで、普通の者はこのような性格ではないと誤解する者がいるかも知れないが、
私が調査した限りでは、ほとんど例外はなかった。
外見と同じくニューター種の子供の様な稚拙な理論を振りかざし、矮小な視野でしか物事を考える事ができず、
決して己を顧みて反省する事がない、もしくはできない、やろうとさえしない。
304 名前:名無しオンライン 投稿日:2006/10/02(月) 19:28:54.81 TaTQnFuG
私はこの決して分かり合う事のできない生命体との会話を打ち切ると、彼と次の任務に向かった。
向かう先はビスクの闘技場だった。
そこには先客が既に私たちの到着を待ちわびていた。
『今日はその○○が相手ね』
共通語ではなくコグニート独自の言語で彼が語りかけてきた。
ちなみに共通語にはないニュアンスの、酷く汚らわしい言葉はあえて意訳しない事にした。
横では例のモニ男が汚らわしい表情を更に歪め、キョトンとしているが放っておく事にした。
『あぁ、昨日にもまして××な□□野郎だ。
本来なら俺がこの刀の錆にしてやりたい所だが…』
『やめておきなよ、そんな□□野郎を切ったらアンタの名に傷が付くだけだって。』
彼が軽く笑いながらアニマルケイジを取り出すと、中身を強引にぶちまけた。
その中から出てきた者を見て、モニ男が驚いた表情をする。
「君は正直者だという話をしていたんだよ。
そして普段から損な役回りをしている君に、ささやかなプレゼントだ。」
そう告げると、モニ男の表情が変わった。
「本当モニ!? 本当に僕にプレゼント?
僕の好きにしても良いモニか?」
昨日も、一昨日も、更にその前も…モニ男のとる行動は単純だ。
見た瞬間にそれから先の行為を想像し、発情し始める。
目の前のこの男も、その表情が完全ににやけきっており、見るに堪えない表情となっている。
他種族にはないほどのこの種の愚かさは、そのまま発情に繋がっているらしかった。
また西銀行裏の路地などでは、レイプ未遂を起こしバイーンやニュタ子に叩き潰されたモニ男が
無惨に転がっているのを良く見かける事からもこの種族の性欲の異常さが伺える。
それ故に調査も単純極まりない物になる。
放っておけばそれで良いのだ…調査員としては退屈とも思えてくる…
「あぁ、好きにして構わないよ。
それに偉い人にも話は行っている、今はここは貸し切りだからね。」
私は股間を押さえるモニ男にそう告げると、コグニートの彼と共に闘技場の二階に上って行く。
狂気にふるえる目をしたモニ男と、対照的におびえた目の三匹の裸のモニ子を残して…
私には今日中に片付けなければならない任務が他にもあるため、
休息をとろうとしていた私に彼が例のコグニ語で語りかけてきた。
『所で、最初の日に実験したサンプルだが…早くも生まれたぞ。
しかも6つ子と5つ子が2組と来た…』
彼はあきれた様に両手を広げている。
『ちょっと待て、最初の日って…
まだ20日位しか経っていないだろ?』
『あぁ、しかし事実だ。
本当にねずみ算式と言う奴だな…呆れるよ』
その時、私は今日二度目にして、今までにないほどの驚きを感じた。
本当に呆気にとられるというのはこういう事を言うのだろう。
『だから選ばれた…と言う事もあるが、これほど早いとはな…上層部に連絡は?
受け入れ先はどうなっているのだ?』
『それ以前に今は君が調査している段階だろ?
養殖場、処分場共にまだ完成してはいない…
当面は仮設と言う事でアルケ、レランが協力して場所を提供する事になっているよ。』
それを聞いてとりあえずは安心した。
治安問題と食糧問題、両方を解決できる方法として画期的な方法とされた物も、
受け入れ先が整わずに調査段階からサンプルが逃走、挙げ句に治安を乱していたのでは意味がない。
私はモニ子の悲鳴を聞きながら、軽く眠る事にした。
305 名前:名無しオンライン 投稿日:2006/10/02(月) 19:29:45.41 TaTQnFuG
休息を終えると、私は次なる調査のためネオクへと飛んだ。
昨日はビスク港で行った。
今回はネオクの竜を相手にしてみる事にした。
岩の陰から覗き込むと、数匹の子竜がいつもの様にたむろしているのが見える。
私は背負い袋から肉の塊を取り出すと、それを放り投げてやる。
初めはこちらに警戒をする子竜たちだが、しばらくするとその肉塊にかぶりつく。
どうやら竜に対しての毒性も持ち合わせていない様に思える。
私は懐からメモを取り出し、チェックを付ける。
魚、犬、熊、竜、鳥、半漁人に鳥人…
多様な種族に与えて、その肉の毒性をチェックしていたのだが…どうやらどの種族に対しても
極めて強い毒性という物は確認されていない。
どうやら最終的な調査に向かうべきのようだ。
私はその肉塊の一つを串刺しにするとたき火の横に刺し、焼き上がるのを待った。
ちょうど良く、腹を減らした旅人のモニ男がそこを通り過ぎた。
「そこのモニ男くん、初心者だよね?」
モニ男がこちらを振り向く。
「今、肉焼いてたんだけど、良かったら食べないかい?」
モニ男がただでさえ汚らわしい表情を、更にいやらしく歪めてこちらに走ってきた。
「食べるモニ! ちょうどお腹が減っていたところモニ!!」
言うが早いか、私の腕から肉を奪い取り貪り始める。
私はこの無礼な生き物に、できるだけ優しく語りかけた。
「どうだね? 美味しいかい?」
「味は薄いけどお腹が減ってるから美味しく感じるモニ!」
振り返ったモニ男は地面に置いた私の背負い袋の中身を目撃してしまった。
開いた口の中には先ほどの汚らわしいモニ男の生首が転がっている。
「モッ、モニ!?」
「あぁ、これは戦利品だよ。
珍しいオークの鼻、ギガスの頭…そんな物と同じだよ。」
私は言いながら腰のロングソードを抜き放つと、そのまま目の前の汚らわしい生き物を一刀のもとに切り伏せた。
(しかし、焼いただけでは流石に食べられないか…
レランに新しい調理法を研究させねばな…)
考えながら、この汚らわしい生首と、真新しい肉塊をたき火に投げ込むと、私はネオクを後にした。
最終更新:2007年07月29日 01:08