童話風




581 名前:名無しオンライン 投稿日:2007/01/29(月) 20:45:22.71 BUt5EnMH

おお、結構好評だった。作者冥利に尽きるというもの!
次は童話風に駄文投下



ダイアロスと言う島でのお話です。
海に面した所に、ビスクと言う城下町がありました。
商人や冒険者、芸人など、様々な人たちが集まる賑やかな町です。
一人の踊り子と一人の商人が居ました。
コグニートの踊り子は森の洞窟で生まれ、自然の中で培った美しい踊りを見せながら、ダイアロス中を渡り歩いていました。
エルモニーの商人はビスクで生まれ、都会の中で人々の活発な商売を見て育ちました。

二人とも知らない人は居ないほどの有名人でした。
踊り子には老若男女、種族など関係なしにいろんな人が、商人にはもにこんと呼ばれる男の人達が、それぞれ二人をちやほやしていました。
踊り子は言いました。
「私はただ楽しいから踊っているのに、こんなに自分を好きになってくれる人達が居る。私は凄く幸せです」
こんな謙虚さもまた、人を引き付ける魅力なのです。
益々人気になっていくコグニートの踊り子に、欲張りなエルモニーの商人は嫉妬の気持ちを募らせていました。


582 名前:名無しオンライン 投稿日:2007/01/29(月) 21:01:43.98 BUt5EnMH

裕福な家で生まれ育ってきた商人は、人のものを欲しがる困った性格でした。
「あの女の人気ももにのものにしたいもに! あの女に魅力が無くなれば皆はもにの所へ集まるもに!」
そう考えた商人は、腹心のもにこんを呼び寄せ、ある作戦をこっそり授けました。
商人の為ならどんなこともするもにこんも、流石にこの時ばかりは憂欝になりました。


何日か経った後です。
踊り子はいつものように広場で踊っています。
変わらず見る人の心を奪う美しい踊りです。
遠くから雷のような轟きが聞こえます。
皆は音がした方に振り向きます。
そこにはネオクドラゴンが居ました。
一歩一歩、大股で踊り子へ向かって歩いてきます。
町の人達は我先にとその場から逃げました。
勇気のある踊り子は、愛用の剣を構えると、ドラゴンに立ち向かいました。
護身程度に嗜んでいた剣術。
到底ドラゴンには歯が立ちません。
ドラゴンが炎の玉を吐き出しました。
炎の玉の直撃を被った踊り子は致命傷にはならなかったものの、全身が焼け爛れ、手足も満足に動かなくなってしまいました。
屈強な冒険者達とガードがドラゴンを倒し、ドラゴ


583 名前:名無しオンライン 投稿日:2007/01/29(月) 21:11:46.42 BUt5EnMH

ンを操っていたもにこんを捕らえました。
人々は踊り子を哀れに思い、そのもにこんを殺せと、怒りをあらわに言いました。
踊り子が言いました。
「その人は誰かに頼まれたのです。その人に罪はありません」
一番の被害者の踊り子がそういうならば仕方ないと、そのもにこんは許されました。
踊り子の優しさに涙したもにこんは、商人に頼まれたのだと真実を語りました。
最初は町の皆もまさか、と思いましたが、思い当たる節が幾つもあります。
商人をちやほやしていた他のもにこん達も、流石に怒りました。
直ぐ様商人はガード達に捕まり、裁判に掛けられました。
商人は私ではない、そこの男に濡れ衣を着せられたのだ。と罪を認めません。
しかし、裁判を見ていた町の人のビークが声を高く喋り始めました。


584 名前:名無しオンライン 投稿日:2007/01/29(月) 21:33:23.64 BUt5EnMH

「お前のドラゴンをあの踊り子にけしかけるもに! あの女が消えれば皆は私のものもに! 成功すればもにの夫にしてやるもに!」
その声は商人そっくりでした。
そのビークは偶々一部始終を見ていたのです。
ビークの声真似が決定的な証拠となり、商人の有罪が確定しました。
刑は残酷でした。
ダーイン山の高いところに磔にされ、ガードの飼っているグリフォンに腹を貫かれるというものでした。
商人の胸にはお札が貼ってありました。
リジェネレイションの呪文が封じ込めてあり、グリフォンが腹を貫いた傍から回復していくのでした。
気が狂いそうな程の痛みと苦しみが襲い、商人を深く後悔させました。
その責め苦は何十年にも渡り続きました。
そしてグリフォンが天寿を全うした頃、商人も後を追うように息を引き取りました。
裁判が終わった後、一流の魔法使いの尽力によって、踊り子はかつての美しさを取り戻し、商人の悲鳴に合わせて妖しくも美しい踊りを踊り続け、皆を魅了しました。
踊り子は幸せに暮らし、沢山の人に看取られながら寿命を迎えました。



名前:
コメント:
最終更新:2007年07月29日 21:51