もに→処分場員
711 名前:名無しオンライン 投稿日:2007/02/18(日) 11:56:25.44 DrKegDaV
城下町ビスク西エリア深夜。
皆が寝静まり、騒がしいビスクに静寂が訪れる時間帯。
そのビスクの裏路地に二人のもにこが向かい合っていた。
一方は、Fシルクローブにチョッパー装備、
もう一方は、チェイン装備にバトルフォークだった。
しかし、バトルフォークは中心でまっぷたつに折れており、
全く使い物になっていなかった。
そして、チョッパーがチェイン装備のもにこの首筋に当てられていた。
一方は憎悪の眼差しで、
もう一方は恐怖の眼差しでそれぞれを見ていた。
「嫌・・・やめる・・・も・・・に・・・」
チェインのもにこはかすれた声を出す。
それに対しFシルクローブのもにこが口を開いた。
「何故やめる必要がある。お前はここで死ぬ。私の手でな」
暖かみの欠片もない氷のように冷たい声だった。
「断末間の叫び声くらいはあげさせてやろうと思ったが
無駄みたいだな」
チョッパーを握る手に力を込める。
少し首に食い込んだらしくもにこの首から一筋の鮮血が流れ出す。
「痛い・・・もに・・・死にたく」
「・・・死ね」
言い終わらない内にFシルクローブのもにこはチョッパーを振り抜いた。
712 名前:名無しオンライン 投稿日:2007/02/18(日) 11:56:55.36 DrKegDaV
翌日、私は家でいつものように
朝食のストロベリーサンドを頬張りながら、
ダイアロス新聞を読む。
一面の見出しには大きくこう書かれている。
『またビスクでエルモニーの遺体 連続殺人犯の犯行か』
記事に目を移す。
『本日未明、ビスク西エリア裏路地において
エルモニーの遺体が発見された。
ビスクガードは、ここ最近の連続殺人犯の犯行と見て
犯人の行方を追っている。』
私はおかしくて仕方ない。
全く、ガードの調査力の低さには笑える。
何故なら、この連続殺人犯の正体は
他でもないこの私なのだから。
713 名前:名無しオンライン 投稿日:2007/02/18(日) 11:57:29.39 DrKegDaV
私は外見はエルモニーだ。
しかし、私はエルモニーではない。
私はニューターの父とエルモニーの母のハーフだ。
ニューターの血が入っているせいか、
私は普通のエルモニーとは部分的に違う所が幾つかある。
例えば、エルカプモニア語訛りがなかったり、
腕か少し細く、やや背が高い、等だ。
私の父は極度のモニコンで何度も母を孕ませていた。
しかし、異種族交配のせいかほとんどの子どもが、
出産直後にもしくは1ヶ月以内に死んでしまい、
うまく成長したのは私だけだった。
母は10人目を産んだ時、既に身体は限界に達しており
程なくして亡くなった。
それからが私にとっての地獄の始まりだった。
まだ小さかった私は、母の死にただ泣くしかなかった。
しかし、父は母が元からいなかったかのように
狂った性欲を娘であるはずの私に全て向けた。
私は父に毎日、犯され続け肉体も精神もズタボロになった。
そしてある日、私は僅かに残った体力を振り絞って
あの悪魔の家から逃げ出した。
外の世界は辛かった。
私は必死で敵を倒し、なんとか生活費を賄った。
知り合いも、友達も、仲間もできた。
しかし私はつい自分はハーフであると口を滑らせてしまった。
その一言で周りの世界は反転した。
エルモニー共は自分達と外見は同じだが
自分達とは違う生物がいるのに耐えられなかったのだろう。
私は奴らから度重なる、執拗な、
それでかつ悪質な嫌がらせを受ける事になった。
私の心に憎しみが生まれたのは言うまでもない。
そして今、奴らの迫害に耐えながら
鍛えてきた、この身体でエルモニー共に復讐を始めた。
一人、二人、と順に殺し、今日で七人目。
私はこの身の続く限り奴らを殺す。
それが私の生き甲斐なのだから。
714 名前:名無しオンライン 投稿日:2007/02/18(日) 11:58:07.28 DrKegDaV
ふと昔を思い出しつつ朝食の後片付けを始める。
ピンポーン
玄関のチャイムが鳴った。
さすがに寝着のまま出るわけにはいかないので
Fシルクローブを素早く羽織ると玄関のドアを開ける。
「はい、どちら様です・・・っ!」
いきなり後頭部に打撃を食らい私は意識を失った。
私が目覚めるとそこは取り調べ室のような所だった。
手が椅子の後ろで縛られていて身動きが取れない。
おそらくガードにでも捕まったのだろう。
自分でもこうもあっさりと
捕まってしまうとは思わなかった。
「目覚めたか」
私の前に一人のパンダが腕組みをしながら座っていた。
どうやら私を捕まえたのはガードではないようだ。
「私にこんな事をして何がしたい?」
「俺はお前に頼みたい事がある。
ただ、普通に頼んでも無理だろうから
少々乱暴な手段を講じさせてもらった。」
「頼み?」
「そうだ」
パンダは手に持ったファイルから
一枚の写真を取り出し私の前に置いた。
それは、あるもにこの写真だった。
「お前にこいつを捕獲して貰いたい。
殺さずに、な」
「断ったら?」
「ここに連続殺人犯がいるとガードに通報するだけだ」
「・・・っ!」
バレていた。
私が先日の連続殺人犯であると。
「お前に選択肢は一つしかないはずだ」
私は従うほかなかった。
715 名前:名無しオンライン 投稿日:2007/02/18(日) 11:59:03.82 DrKegDaV
私は一旦家に戻り、準備をして出かけた。
標的のもにこはネオクで時たま見かける顔だった。
私はネオクラングで標的を見つけると、
適当に「装備をあげる」とtellを入れ
山のほうに呼び出した。
こいつは私がハーフであることを知らないので
暫くすると意気揚々と待ち合わせ場所に来た。
「装備くれるって本当モニか?
本当なら早く渡すモニィ」
「・・・」
私がダイイングスタブで腹をぶち抜くと
もにこはあっと言う間に気絶した。
このままでは死ぬので、適当に包帯を巻いて
袋に詰め運んだ。
「これでいいか?」
私は例のパンダにもにこの入った袋を渡した。
「ふむ、中々の腕だな。
少し聞きたい事がある」
「何だ?」
「何故お前は同族であるはずの
エルモニーを殺す?」
「それは・・・」
「どうした?」
私は言うべきか迷った。
下手ひハーフであるとバラせば何をされるかわからない。
しかし、黙って見逃してくれる相手ではない。
私は仕方なく口を開いた。
「・・・私がニューターとエルモニーのハーフで、
エルモニー共から迫害を受けて来たからだ」
「ふ・・・そうか。
なら今から見るものを公開される危険は無いな」
パンダが壁に触れると壁が開き
奥から鉄の扉が現れた。
「ついてこい」
扉の奥から何やら騒がしい声がした。
少し進むと、ガラスごしに奥のほうが見えた。
そこは、大量のもにこが牢の中で
必死に泣き叫んでいる姿だった。
「これは・・・?」
「ここは処分場。
エルモニー達を謎肉に加工する、ダイアロスの裏世界だ。
そしてお前にはここの職員になって
奴らを処分して貰いたい。」
私の顔はエルモニーに対する嫌悪で歪んだが
すぐに悦びの笑いに変わった。
「ふふふ、その話乗った」
こうして私の処分員としての人生が始まった。
716 名前:名無しオンライン 投稿日:2007/02/18(日) 12:00:18.55 DrKegDaV
処分場のとある一室。
そこは処分場の所長の部屋。
今、こぐおの所長とあのパンダが話しをしている。
「新しい職員を入れたそうだな。
だがエルモニーとは納得いかんな」
「いえ、あれはハーフらしいのです」
「ハーフ、か」
「それにあれの能力は本物です。
かなりの成果を期待できるかと」
「なるほどな、だが裏切られたらどうする?」
「その時はガードに通報すれば大丈夫です。
あれは新聞に出ていた連続殺人犯ですから」
「そうか、あれが連続殺人犯の正体か。
お前のスカウト能力は高く評価している
これからも頼むぞ」
「はい」
最終更新:2007年07月29日 22:02