Mops Manual

概観

Mopsに入り込む前に、このやや長たらしいマニュアルの構成を概観しておくのが、もっとも役に立つでしょう。

Mopsドキュメンテーションの本体は三つの区画に分かれています。

Mopsは、本格的なMacintosh開発用言語として、また、初心者や一過性のプログラマがMacのパワーを手に入れることを学ぶための言語として、それらどちらでもあるものとして設計されています。 このマニュアルは、その両方を受け手として書かれていますが、ある部分はその中間を狙っています。

このマニュアルは次のような主要部分に分けられています。:

概観 この章 全1章
第一部 チュートリアル 全22講座
第二部 参照 全14章
第三部 クラス 全12章


第一部;チュートリアル
この導入部分は、経験の如何を問うことなく、全ての人にむけられています。それは、このマニュアルの中であなたが取り組む最初の部分となるべきものです。わたしたちは、Mopsマニュアルの大部の区画を費やして21の講座からなるチュートリアルに充てました。これは、初心者、特にこれまでにコンピュータをプログラムした経験が無い人にとっても、また、もっと経験豊富なプログラマーにとっても、Mopsの本質的な要素に対する見通しを与えてくれるものとなるでしょう。わたしたちは、すべてのMopsユーザーに対して、その経験を問わず、このチュートリアルを完遂することをお勧めします。もしも、Mopsが、あなたが既に知っている言語に部分的に似ていることに気付いたとしても、チュートリアルを読めば、思っていたよりももっと重大な違いがあることがわかるでしょう。チュートリアルにある講座を参照しながら、10から12の区分されたセッションを数日で終えるように計画してください。MopsはForthに基づいています。このForth言語を知っているなら、そのことはきっと役に立つでしょう。Mopsは伝統的なForthに、他のとても有用なツールと並んで、オブジェクト指向パラダイムのパワーを追加しています。

第二部;参照
この部における6つの章は、Mopsについて、その細部の解説を数多く提供しています。そこには、チュートリアルで触れられた話題についてのかなり拡張された説明が含まれています。この部は、チュートリアルを読み通した後になってからお読みください。

第三部;クラス
マニュアルのこの部は、ひとたびMopsプログラムを書き始めたならば、以後、もっともよく利用される参照セクションの一つとなるでしょう。それは、Mops言語の中の、Macintoshのユニークなやり方に対してあなたのプログラムの考え方を伝達する助けとなるために書かれた部分について、その詳細な説明を含んでいます。各章は既定義クラスの各カテゴリーに充てられており、そのクラスの一般的な議論から始まっています。あなたは、プログラムを書く前に、第三部の内容に慣れておくべきでしょう。

さらに、Mopsパッケージは、Mopsの多くの部分に該当するソースコードリストを含む、たくさんのファイルを含んでいます。これらは、実質的には、あなたにとって追加的なドキュメンテーションになります。チュートリアルの中に、これらを利用可能な参照文献に組織するための方法について、その解説を見つけることができるでしょう。

独立(スタンド・アローン)アプリケーションの開発

Mopsは、独立のダブルクリックできるアプリケーションをつくるのに利用できます。このようなアプリケーションでは、ユーザーは、それがどの言語で書かれているのかを気にする必要がありません。そのユーザーは、Mopsの辞書やインタープリターに触れることはありませんし、その必要もありません。この制作の手順の解説はチュートリアルに書かれています。

あなたのMopsシステムに含まれているもの

【変更の可能性があるため、省略】

System, Tool box classesおよびDemoフォルダ中のソースコードの大部分は、追加的なドキュメンテーションとしてばかりではなく、変更版Mopsをコンパイルしたいときのためにも提供されています。

あなたが圧倒的な高頻度で開くファイルは、Mops.dicかMopsFP.dicかPowerMopsのいずれかになるでしょう。これらはMopsのワードと既定義クラスの大部分を含んでおり、この基盤上にあなたはプログラムを組上げることになるのです。

このマニュアル中に用いられる規約

このマニュアル全体を通じていくつかの約束事があります。あなたはこれを知っておくべきでしょう。

チュートリアルでは、あなたがコンピュータに打ち込まなければならない、たくさんの例を提示してあります。あなたが打ち込む文字とコンピュータがスクリーン上に生成する文字とを区別するため、あなたが打ち込むべき文字はスタイルが設定されています。コンピュータのプロンプトその他の反応は、正規等幅字形で印字されています。

マニュアルやMopsソースコードの中に、例えば、bArrayのように、奇妙に思える場所が大文字になっているMopsワードを見かけることも、多々あるでしょう。このようなスタイルの大文字化は経験のあるプログラマーの間では、読みやすさのためによく使われるものですが、Mopsを習得するのに何らかの大文字化の枠組みをマスターする必要などはないと考えてください。Mops自体は大文字小文字を区別しません(case insensitive)。この意味は、あるワードを、全部小文字ででも、全部大文字ででも、あるいはそれらを取り混ぜてでも書くことができ、Mopsはそれを同じワードとして認識するということです。Mopsについてもっと経験を積めば、わたしたちが設定した大文字化の標準がもっと解るようになるでしょう。

経験豊かなForthおよびSmalltalkプログラマーへの特別な注意

MopsはForthを基礎としており、そのオブジェクト指向機能はSmalltalkに多くを負っています。SmalltalkかForthの経験のあるプログラマーは、Mopsの振る舞いに関する何らかの結論に、以前の経験を基に飛躍してしまうことのないように注意し、チュートリアルを注意深く読み通すようにしなければなりません。

歴史

Mopsは、Charles Duffによって開発され、Kriya Inc.によって販売されていたNeon言語から派生した、オブジェクト指向プログラミングシステムです。KriyaはNoenのサポートを停止し、Neonという名前の所有権だけを留保して、そのソースコードをパブリックドメインに解放しました。

MopsはNeonの完全な再実装であり、多くの付加的な拡張も加えています。これもまた、パブリックドメインです。

このマニュアルの多くの部分は、2000年9月に公開されたMS Word形式のMops 4.0マニュアルから直接に取り入れられています。オリジナルのHTML公開は2003年にGnarlodiousによって完成されました。
その際、素材のいくつかの部分は、OSXの出現を反映するためアップデートされました。この改訂作業は継続中ですが、ウェブサイトとしてはバージョン付けはおかしいように思われるので、このマニュアルはバージョンナンバーを持っていません。そのかわり、このページのタイトルバーに「最終更新日」が記入されています。

Mops

Mopsという名前は、"Mike's Object oriented Programming System"の略称ということもできますが、Mikeはコンピュータの世界ではもうたくさんの略称が溢れていると感じているので、これ以上増やすのは申し訳ないと考えています。そこで、わたしたちは、Mopsを、MOPSではなく、Mopsと綴ります。

Mikeは、長期にわたり、Mopsユーザーが、その開発を分担することで、持続的なMops開発の努力に貢献してくれることを望んでいます。一人の人間の、細切れの時間での作業のため、Mikeには、大仰で騒々しい付属機能で満ち満ちたMac用開発システムを生産する商業的な輩に一人で対抗することなどは望むべくもありません。Mikeとしては、Mopsの核部分や基礎的システムコードのような低層の実装に集中できるのが望ましいのです。





最終更新:2019年01月07日 23:00