Quick Edit入門
【以下は、QE helpを基に、私こと、Nao Sacradaが創作したものです。原マニュアルが出来上がったら、その翻訳に差し替えます。当座をしのぐための仮のものとご理解ください。】
Quick Edit(クイック エディット)は、Mopsとともに利用することを予定した、 プログラマー用ソースコードエディターです。 それ自体としてもテキストエディターとして利用できます --- ただし、日本語は文字化けを起こしますが --- が、Mopsとともに利用すれば、アップルイベントを用いて恊働することによって、コードテスト環境ともなることができ、開発を促進します。 ここでは、Quick Editのごく基本的な機能について説明します。
起動
Quick Editのアプリケーションファイル本体は、"Quick Edit ƒ"フォルダ内に含まれています。 "QuickEdit"という名前の次のようなアイコンをダブルクリックして、起動します。:
"untitled"というタイトルのウィンドウが、画面の右側に現れるでしょう。 右側に現れるのは、Mopsのウィンドウが左側に出るようになっているので、重ならないようにするためです。初期設定によっては、Mopsも同時に自動的に起動されるかもしれません。
Fileメニュー
ファイルメニューの項目は多いですが、ほとんどは、通常のテキストファイルエディターと共通ですので、特別なものだけを説明します。
特殊機能
"Save & Include"は、Mopsとの通信を含んでいます。 Mopsプログラムのソースコードを編集し、できあがったとき、この項目を選択すれば、 ソースコードはファイルとして保存され、その後に、もしもMopsが同時に走行しているなら、 Mopsにそのソースをロードします。Mopsは、そのコードをコンパイルして辞書に格納し、コードは実行可能になります。
"Detab file"は、ファイル内のタブ文字を、同じ幅分の個数の半角空白に置き換えます。 タブの幅(半角空白で何個分にするか)は、環境によって異なります。 タブを半角空白に置き換えておけば、違うエディターで開いたときにも外観を維持することができます。
次のメニュー項目(仕切り線のすぐ上)は、状況によって名前が違うと思います。 これは、複数のウィンドウが開かれている場合に、現在、一番下になっているウィンドウを表面に出すための項目です。
"Find…"は、文字列検索ダイアローグボックス(ウィンドウ)を表示します。 このダイアローグボックスについて説明します。
文字入力可能領域が二つあります。上の方に入力したものが検索される文字列になります。 文字列検索は、カーソル位置から始まります。
中程に並んだ四つのボタンの一番左"Next"ボタンは、前から後ろに検索します。ファイルの最後に到達したなら、ビープ音がなります。 その右隣の"Previous"ボタンは、後ろから前へ逆行検索します。ファイルの先頭に到達したなら、ビープ音がなります。
下の並んだ三つのチェックボックスは、検索のオプションです。
文字列検索の範囲は、通常は、Findダイアローグを開く時点でフロントウィンドウだったウィンドウで開かれたファイル内に限定されます。 しかし、左端の"Folder"ボックスをチェックすると、そのファイルが含まれているフォルダー内の前ファイルに渡って文字列検索が実施されます。
"Whole Word"ボックスをチェックすると、 検索文字列は、ワードとして扱われます。 つまり、同じ文字列で、前後が空白(半角空白、タブ、改行)で区切られているものだけにヒットします。 チェックしていない状態では、検索文字列を含む文字列全部にヒットします。
"Case sens."ボックスをチェックすると、Case sensitiveな検索、つまり、大文字と小文字を違う文字として扱う検索を行います。チェックしていない状態では、大文字/小文字の違いは無視します。
二番目の文字入力可能領域は、文字列置換に用いられます。 文字列の置換には、中程の四つのボタンのうち、右二つを使います。 右から二番目の"Change & Find"ボタンは、まず、通常の文字列検索を行います。その状態で再度このボタンを押せば、今ヒットした文字列は、二番目の文字入力可能領域に置かれた文字列に置き換えられ、それから、検索を続行します。
一番右の"Change All"ボタンは、上と同じ置換をヒット毎に停止することなく、ファイルの最後まで実行します。
文字列置換の検索部分の機構は、順行検索(‘Next’ボタン)と同じになっています。つまり、カーソル位置から開始され、オプションも同じように働きます。
コンソールモード
印刷用の項目は飛ばして、最後の"Console"項目を説明します。 これは、Quick Editのフロントウィンドウをコンソールモードにするものです。
Quick EditとMopsが同時に走行している場合、 Quick Editのウィンドウに書かれたソースコードは、Mopsウィンドウ上と同じように、 enter キーを押すことによって、Mopsでコンパイル/実行することができます。 そのまま enter を押せばカーソルのある行がコンパイル/実行され、 マウスで領域を選択して enter を押せば、選択された部分がコンパイル/実行されます。 この場合、結果の表示等は、Mopsウィンドウ上で起ります。
これに対して、コンソールモードでは、 Quick Editのウィンドウ上にワード実行後のスタックの状態がプリントされます(右がスタックの上方)。 また、画面上にプリントされるべき内容はQuick Editウィンドウ上にプリントされます。 さらに、適切にコマンドが終了したことを示す"ok"プロンプトも表示されます。 Quick Editウィンドウを、ほとんどMopsコンソールウィンドウと同じように使うことができるというわけです。
3 4 <enter>
3 4 ok
|
この機能は、コードのテスト中には特に便利です。 間違ったコードの実行によって、Mopsがそのエラーを捕らえきれずクラッシュしてしまったり、あるいは、無限ループに陥ってしまうことがあります。 Mopsは何らかの形で強制終了させられることになります。 このときMopsウィンドウ上でテストしていたなら、そこまでにMopsウィンドウ上に書いたコードは失われてしまいます。 その点、Quick Edit上で作業をしていれば、Mopsはクラッシュしても、Qucik Editには関係ありませんから、そこまでの作業結果を残すことができ、何がクラッシュの元であったのか、あとからゆっくりチェックできます(特に、OS Xの場合)。
コンソールモードに切り替えるには、Fileメニューからだけではなくて、 Quick Editウィンドウの左下隅の行数が書かれた部分の左側を、マウスでクリックするという方法も利用できます。こちらの方が簡便といえるかも知れません。コンソールモードのウィンドウでは、その左下隅の部分に"C"という文字が表示されます。
機構上、メニューから‘Console’を選択した場合、このモードがアクティブになるためには、切り替えの後、そのウィンドウがアクティブにされる必要があります。 具体的には、状況によっては、一旦、そのウィンドウを背景に下げたり、Quick Editを非アクティブにして、もう一度、ウィンドウ上をクリックしてアクティブにする必要があるかも知れません。 ウィンドウのマウスクリックによる方法には、この問題はありません。
追加的検索機能
ファイルメニューから‘Find’ダイアローグを経由して行う検索の他にも、Quick Editはマウスを用いた簡易な検索機能を持っています。
Mopsが同時に走行していると仮定します。このとき、‘command’キーを押したまま、Quick Editウィンドウ上で何らかのワードの上をマウスでクリックします。 すると、Quick EditはMopsを用いて、このワードの定義が含まれているファイルを見つけ出し、 それを新規Quick Editウィンドウで開き、このワードを検索し、ハイライトします。 これは、あるワードの具体的な定義を見たいときには便利です(機構上、場合によってはうまくみつけられない場合もありますが、大抵は大丈夫です。)。ソースコードブラウザと呼ばれます。
‘command–option’を押して同じようにワード上をクリックすると、クリックされたのと同じワードの、そのファイル内で次に現れるものを検索します(順行検索)。
‘command–shift’を押して同じようにワード上をクリックすると、クリックされたのと同じワードの、そのファイル内で一つ前に現れたものを検索します(逆行検索)。
‘option’を押しながら同じようにワード上をクリックすると、クリックされたのと同じワードの、そのファイル内で最初に現れるものを検索します。
Editメニュー
ここでも、抜粋して説明します。
"Jump Mark"は、ファイル内にマーク(しおり)が設定されている場合、その場所にジャンプします。マークは0から9までのひと桁の数字で、10個まで付けることができます。マークの付け方ですが、まず、コード編集中のQuick Editウィンドウ中のマークしたい場所にカーソルを置きます。そしてそのまま、command–shift–jを同時に押します。Quick Editは
ループ に入ります。そこで、マークの数値キーを押します。マークが設定され、Quick Editは
ループ から抜けます。 同じ数字のマークを複数付けると、後で付けられた方が優先されます。 数字以外のキーではビープ音がなり、マークは設定されないまま、
ループ から抜けます。 さて、マークが設定されているとしましょう。ここでJump Mark項目を選ぶか、ショートカットキーで、command–jを押します。Quick Editはここでも
ループ に入ります。次に、マークの番号に当たる数字キーを押します。カーソルは該当するマークにジャンプするでしょう。
下から二番目の"R/L Auto Scroll"項目は、 キー入力によりカーソル(キャレット)が左右に動いてウィンドウ幅からはみ出していくとき、自動的にスクロースして追走していくかどうか、を決めます。チェックしてあれば、画面は左右に自動スクロースしてカーソルの動きを追います。チェックをはずしてあれば、スクロールせず、カーソルは見えなくなります。通常はチェックしておくことになるでしょう。
一番下の"Auto–Indent"項目は、 自動行下げをするかどうかを決めます。チェックしてあれば、タブや半角空白で行下げしている行で改行すると、次の行は同じように行下げした場所から始まります。 チェックを外してあると、改行後の行は先頭から始まります。
コンテキストメニュー
Quick Editは二種類のコンテキストメニューを持っています。 クラス-
メソッドの定義 と、ワードの定義を閲覧することができます。 ポップアップブラウザとも呼びます。
Quick Editウィンドウでコードファイルを開いているとします。このとき、"control"キーを押しながら、ウィンドウ内をマウスでクリックすると、メニューがポップアップします。このメニューには、そのファイルに含まれているクラス名と、そのクラスのメソッドが、それぞれにアルファベット(ASCII)順に並んでソートされて表示されています。定義内容を見たいものをメニューから選べば、その定義の先頭にジャンプします。
"control–option"を同時に押しながら同じようにクリックすると、今度は、そのファイルに含まれたワードの定義が表示されます。同じように、選んだ項目の定義にジャンプします。
Web-Infoメニュー
このメニューは、Mopsプログラミングに有用な資料(英語)のあるウェブサイトへのリンクを提供しています。項目を選べば、その項目に示されたサイトをOSのデフォルトのウェブブラウザで開きます。(‘Carbon Manager インデックス’というベージは、なくなってしまったようです。)
Mopsメニュー
"Mopsメニュー"は、Mopsプログラミングと特に関係の深い機能を集めたものです。非常に多くの機能が提供されていますが、ここではごく基本的なもの荷限定して説明します。
Glossary
Quick Editには、Mopsで定義されている基本的なワードの機能を解説している"Glossary"(語彙集)ファイルが付属しています。この項目は、Quick Editウィンドウ上のワードをこのGlossaryで調べるという機能を提供します。まず、調べたいワードをマウスで選択します。それから、このメニュー項目を選ぶ(か、またはcommand–Yショートカット)と、Quick Editは、そのワードをGlossaryから探し出し、Glossaryウィンドウを開いて、該当箇所を表示します。見つからない場合、それでもGlossaryウィンドウは開きますが、ビープ音が、そのことを警告するでしょう。なお、ワードをセレクトしなかった場合には、現在のカーソル位置にあるワード(ワード上にないときは直近左側の1ワード)を検索します。
Edit File
この項目は、Quick Editウィンドウ上のワードをファイル名とみなして、Mopsを利用して、その名前のファイルをQuick Editで開きます。 ですから、Mopsが同時に走行している必要がありますし、そのファイルがMopsが探し出せる場所にあることが必要です。
Stamp
これは、ソースコードを編集した場合に、その日付等を
コメント する機能です。時間まで表示される標準スタイルと、日付のみ表示される簡略スタイルがあります。その選択および表示される編集者のイニシャルの設定は初期設定で行います
MopsManual
HTML版Mopsマニュアルを、デフォルトのブラウザで開きます。"MopsManual"フォルダを、‘Quick Edit ƒ’と同じフォルダ階層においてください。どうしても他の場所にMopsマニュアルを置きたい場合は、‘Quick Edit ƒ’と同じフォルダ階層に"MopsManual"という名前のフォルダを作り、その中に、Mopsマニュアルの中の‘MopsManual.html’というファイルのエイリアスを置いてください。エイリアスの名前はMopsManual.htmlとしてください。
Launch PowerMops
PowerMopsを起動します。(Quick Editウィンドウが一つも開いていない状態では使用しないでください。)
初期設定
wholewordfind= off \ use on or off
programmer's initials= XXX \ place up to 3 initials here
auto-indent= on \ use on or off
cursorResetAfterFind= off \ use on or off
When doing a Find, setting this
to on will reset the cursor
to the beginning of the file
short stampString= on \ use on or off to get the short stamp
\ short stamp = " \ 10/10/03 XXX "
\ long stamp = " \ Last Revision: 10/10/03 04:07:23 PM XXX "
\ where XXX is the programmer's initials from above
large font size = off \ use on or off. on=12 off=9
smooth thumb scroll = off \ use on or off
Auto Launch PowerMops = on \ use on or off
*** This file must be in the same folder as QE
同じフォルダに"cQE Prefs"という名前のファイルがあります。 これは、Quick Editの初期設定を記述したテキストファイルです。これを編集することによって、初期設定を変えることができます。この内容について、いくつか説明しておきましょう。ファイルアイコンをダブルクリックして開いてもいいですが、 Quick Editが走行中なら、Mopsメニューの中の‘Preferences’項目を選択するか、‘command – +’ ショートカットで開くことができます。
初めの"wholewordfind="という項目は、文字列検索に関する初期設定です。 これをonにすると、Findダイアローグの"Whole Word"チェックボックスが初期状態でチェックされます。
"programmer’s initials="には、上で述べたタイムスタンプに表示される名前のイニシャルが設定できます。3文字まで設定できます。
"auto-indent="はonにすると、Editメニューの"Auto-Indent"項目が初期状態でチェックされます。
"short stampString="をonにすると、タイムスタンプが日付とイニシャルだけの短縮形(" \ 10/10/03 XXX "のような形:XXXはイニシャル)になります。 offにすると、標準形(" \ Last Revision: 10/10/03 04:07:23 PM XXX "のような形)になります。
"large font size ="は、onにすると、Quick Editのテキストフォントサイズが12ポイントになります。offにすると9ポイントになります。
"smooth thumb scroll ="は、onにすると、縦方向のスクロールについて、ドラッグと同時に画面がスクロールします。offにすると、ドラッグ中は行数が表示され、放したときに画面がスクロールします(クラシックMacでの挙動)。
"Auto Launch PowerMops ="は、onにすると、Quick Editの起動と同時に、PowerMopsが起動されます。
初期設定ファイル(cQE Prefs)はQuick Editのアプリケーションと同じフォルダ階層になければなりません。初期設定の変更を有効にするには、Quick Editを終了して再度起動してください。
Tip
以下は、Quick Edit Helpファイルからの抜粋です。
私(Douglas Hoffmanさん)の典型的なMopsプログラミングセッションは、次のように進みます。:
MopsとQuick Edit (QE)を両方起動します。
ソースコードファイルを開くか、作るかします。このとき、QEコンソールとして宣言はしないでください。 実際には、あなたのソースファイルをコンソールとして宣言することはできますが、そうしてしまうと、これをSave&Includeしたときに、あなたのソースウィンドウが、ロードメッセージなどで"汚されて"しまいます。 ただ、あなたのファイルの終わりに"ENDLOAD"を置き、忘れずにカーソルをファイルの終わりに飛ばし(例えば、commandと下向き矢印キーで)ておいた場合には、この汚れは問題にはならないでしょう。
Save&Includeを実行します(command–K)。コンパイルエラーが起った場合、QEウィンドウは提供されたコードの中で最初にそのエラーが起った場所にスクロールします。そこで、その誤りを直し、再びSave&Includeすることができます。これは非常に手早くできるもので、何か致命的なクラッシュが起る前にコードをディスクに保存するための追加的な保護機構となっています。 しかし、OS Xをお使いなら、あなたが何かMopsをクラッシュさせることをしたときにも、 QEが道連れにされることは皆無といっていいでしょう。OSXでのプログラミングは快適です!
コードの小さな断片のインタラクティブなテスト(試して、結果を見て直し、また試す、というサイクル)は、通常は、QEコンソール上で行われます。
コンソールウィンドウがあれば、Mopsコンソールウィンドウも見えるようにウィンドウを配置換えすることはありません。必要がないからです。
Mopsプログラミングセッションで私がよく使うのは、Glossary(語彙集)、ソースコードブラウザ、Edit Fileコマンド、そしてポップアップブラウザ、です。
最終更新:2018年12月04日 22:20