979. 名無し募集中。。。2009/07/20(月) 00:03:42.28 0
梅雨が明けて、夏が来た。
この時期になると、中高問わず、テストに生活の大半を割かれることになる。
もちろん部活も例外じゃなく、バスケ部はテストが終わるまでは活動しない。

あの日以来、舞美とは毎日会って、キスして、抱きあってたけど、テストが始まるとそうもいかず、恋愛にうつつを抜かしてる暇なんてなくなっていた。
一日数通のメールのやり取り。正直、物足りない。

そんなテスト期間のある日、私は体育館でテスト明けの練習のための準備をしていた。
ボールを磨いて、スポーツドリンクの買い足し、スケジュール管理・・・やることはやまほどある。
外は日が燦々と降り注ぎ、すっかり夏模様だ。

誰もいない体育館は、昼間でも静まり返り、蝉の音だけが聞こえる。
が、ふと、人の声がすることに気がついた。
どこからだろうか。
980. 名無し募集中。。。2009/07/20(月) 00:08:53.26 0
声のする方向へ、足を進める。
どうやら、体育館裏からのようだ。
うちの学校の体育館は、四方の壁の下の方に小さな小窓があり、体育館裏の方にも窓がある。
声の主は、そこから発せられているのかな。

「――――――」
「――――――」

そっと耳を澄ましてみる。
この声は・・・・
舞美!?

「・・・・いや、あの」
「好きなんです」

え、え、え!?
これって、舞美が告白されてるってこと!?
体育館裏って定番中の定番中の定番じゃん・・・
まぁでも、舞美に限って、浮気はあり得ない。んなアホな・・・

頭ではそう思ってるけど、一度抱いた邪念は簡単には消えない。
気付くと、私は舞美たちがいる体育館裏の方に足を進めていた。
982. 名無し募集中。。。2009/07/20(月) 00:17:20.38 0
舞美と私が付き合ってるのはバスケ部の人たちは誰しもが知っている。
おそらく、学校でも噂にはなってるだろう。
その舞美に告白する命知らずはどこのどいつだろうと思って盗み見てみた。

わ・・・キレイな子・・・
でもバスケ部の子じゃないな。誰だろう。見覚えはあるんだけど・・・。

「ごめん、うち、もう付き合ってる人がいるんだ」
「知ってます」

知ってて告白してるの?意味わかんない。
なんなのこの子。

「じゃあ、無理なことも分かるよね?」
「別に、恋人じゃなくてもいいんです。」
「え・・・」

つまり、ちょっと前のうちとみやの関係?
もし、舞美がそうなっても、うちには責める権利はない。
甘い誘いなんか、断ってよ、舞美・・・
986. 名無し募集中。。。2009/07/20(月) 00:45:11.48 0
「ごめん、やっぱり、今すぐその答えは出せない。」
「分かってます。いつでもいいですよ。」
「うん・・・」
「舞美さんになら、私、何でもしますから」

思い出した。
あの子、うちの学校の生徒じゃない。
いつだったか、みやが話してくれた。確か、結構有名なバンドを組んでる子。
きっかわ・・・そう、吉川友。
あんなすごい人が舞美に・・・
うちなんかと比べ物にならないよ・・・

涙が頬を伝う。
あの子うちを天秤に乗せて、果たして舞美はうちを選んでくれるだろうか。
あの日、確かに舞美はもう一度告白してくれた。
でも、人の心なんて時間とともに揺れ動くのが普通だし、一度舞美を裏切った私に、舞美の心を独占する権利なんてない。

マネージャーの仕事もほったらかして、逃げるように学校を出た。
別に、そこまで深刻な状況じゃないはずなのに。
舞美はモてるから告白なんてしょっちゅうだろうし、私は彼女なんだから、どんと構えてればいいはずなのに。
涙が止まらない。
明日からどんな顔で舞美に会えばいいのか分からない・・・
42. 名無し募集中。。。 2009/07/20(月) 13:18:17.28 0
部屋に逃げ込むように帰ってきて、ベットに倒れ込む。
今まで、出来る限り考えないようにしてきたけど、ついに来たんだ。
散々舞美を裏切ってみやと関係をもったツケが回ってきた。

明日はテストなのに、どうしても机に向かう気力が湧いてこない。
科目はなんだっけ・・・それすらも忘れちゃった。

ふと、気付く。
私にはこういうとき、本音で相談できる相手がいない。
友達ならたくさんいる。でも、それは私が築き上げた陽気なキャラだからこその友達。
本当はこんな弱くて、暗くて、汚い私と友達になってくれる人なんていないんだ。

唯一、この汚い私を知ってる人がいる。
―――――――――みや。
もう会わないって決めた。
でも、こういうときどうすればいいか、答えを持っていそうなのはみやだけだ。
携帯の待ち受け、舞美と撮ったプリクラを、ギュッと抱きしめ、みやに電話することにした。
最終更新:2009年07月23日 19:17