94. 名無し募集中。。。 2009/07/21(火) 13:03:44.67 O
どれだけの時間座り込んでいただろう
遠くから聞き覚えのある車輪の音が聞こえてはって顔を上げる

すると目の前に会いたくてしかたなかったみやがいて…
あたしの顔を見た途端一瞬にして険しい表情になった

「梨沙子、その頬どうした?」
「へ?」
「すごい腫れてるし血も出てる」
みやはあたしの頬に優しく触れる
その暖かさであたしはさっきの恐怖からの緊張が解け、また涙がとまらなくなった
101. 名無し募集中。。。 2009/07/21(火) 18:39:16.46 0
「どうしたの?」
みやが心配してくれてる。
みやだけには知られたくなかったのに。
「な、なんでもないよ。ちょっとこけちゃって。」
精一杯、ばれないように笑顔を作る。
「約束に遅れちゃってごめん、はやく買い物いこっ」
みやの手を引いていこうとするけど、みやの身体が動かない。
おかしいな、と思ってみやの顔をのぞいてみると、ビックリするぐらい険悪な顔をしていた。
「―――にされたの?」
「え?」
「誰にされたのって聞いてるの!!」
102. 名無し募集中。。。 2009/07/21(火) 18:49:01.19 0
温暖なみやが急に怒鳴るから、身体が2,3センチ跳ねてしまった。
あ、あれ・・・どうしたんだろう、また、涙が・・・。
険悪な顔のみやに抱きしめられる。
「ごめんね・・・梨沙子。」
―――みやは悪くないのに。
なんでみやが謝るの?
「うちのせいで、怖い思いさせてごめん。」
「・・・・・うん」
「だから、次何かあったら絶対うちに言うんだよ?」
「・・・・・はい」
みやに心配かけないために黙ってたのに、逆に心配をかけちゃった。
ほんとダメだな、あたし。
でも、これからはもっとみやに甘えてもいいよね?
108. 名無し募集中。。。 2009/07/21(火) 19:59:25.19 0
梨沙子を見た瞬間、息が止まるかと思った。

なんで梨沙子が・・・頭が混乱していく。そしてだんだん頭に血がのぼっていくのが分かった。
最初は通り魔とかに殴られたのかと思った。だけど、「ちょっとこけちゃって」と無理して笑う梨沙子を見てなんとなく感づいてしまった。

―みやがさ、こないだ抱いた子いたじゃん?その子みやのファンにボコされたらしいよ

いつだったか友達に言われた言葉を思い出す。
実は前にもあったんだ・・・うちが気まぐれで抱いた子が、あとで大変な目に遭っていたらしい。
まさかと思ったけど、一応その時はその子との関係を切ることで現実から目を背けた。
真実と向き合わないことで自分をかばった。

もしかしたら梨沙子も・・・同じように嫌がらせされてたのかも知れない・・・・。
うちが何も考えないでお昼に誘ったり、朝一緒に登校したりしたから・・・。
梨沙子を傷つけた奴らが許せなくて、何より自分が許せなくて、罪悪感と悔しさで胸が押しつぶされそうになる。

うちを責めたっていいのに、
怖かったのを隠して「なんでもないよ」と笑う梨沙子が、どう見ても誰かに叩かれた跡があるのに「こけちゃって」と笑う梨沙子が、
誰にやられたって聞いても答えない梨沙子がもの凄く痛々しくて、いじらしくて、堪らなくなって抱きしめた。
107. 名無し募集中。。。 2009/07/21(火) 19:53:53.67 O
頬が真っ赤に腫れ、爪でやられたんだろう、所々切り傷のようになっている梨沙子
治療しなきゃ行けないから部屋に戻ろう?って言ってるのに梨沙子は首を横に振る

「湿布貼って冷やさなきゃ」
「でも早く行かなきゃお店閉まっちゃう」
「買い物なんていつでもできるから」
「今日がいいの…みやに鍵もらってすごく嬉しかったから
早くお揃いのキーホルダーつけたい」
そう言って梨沙子はうちの制服の袖をきゅっとつかんだ
109. 名無し募集中。。。 2009/07/21(火) 20:23:43.91 0
「梨沙子、聞いて。今日はうちで怪我の治療しよ?」
「でも!」
「キーホルダーなら、いつでも買ってあげる。それより今は怪我直さないと。」
「いやだぁ・・・・」
いつもワガママなんて言わない梨沙子がここまで言うなんて。
よっぽど楽しみにしてたんだろうな・・・。
そう思うと、心が熱くなるけど、今はやっぱり怪我を治療して、精神的なケアもしてあげないと。
「梨沙子、とりあえず、うちあがろ」
「・・・うん」
ついにすすり泣いてしまった梨沙子の手を引いて、家に向かった。
110. 名無し募集中。。。 2009/07/21(火) 20:25:08.15 0
部屋に入って電気をつける。
暗いとこよりも梨沙子の顔がはっきり見えた。
さっきより痛々しく目に映る傷を見ていられなくて、もう一回強く抱きしめてごめんと言った。
ごめんなんかで済む問題じゃないけど、それ以外に言葉が浮かばなかった。

「みや、あたしほんとに大丈夫だから」
「そんなわけ、ないでしょ・・・」
「大丈夫だよ、腫れはいつか治るし。それより、みやが辛そうにしてる方があたしは辛い」
116. 名無し募集中。。。 2009/07/21(火) 20:58:17.08 O
みやはあたしをぎゅっと抱きしめごめんって繰り返した
みやは悪くないよ…
だからそんなつらい顔しないで?

しばらく抱きしめてくれたあと、みやはそっと体を離す
そしてあたしの腫れた頬に優しく口づけていった
117. 名無し募集中。。。 2009/07/21(火) 21:32:04.65 0
みやが辛そうにしてる方があたしは辛い―――

梨沙子の言葉が胸に響いて思わず泣きそうになる
どうしてそんなに優しいの…?
うちは体を離すと梨沙子の頬に口付けた

心も体も、この傷さえも、梨沙子の全部が愛しい


湿布にしようと思ったけど血が出ているので、いったん切り傷を消毒してからガーゼをかぶせることにした
膝枕をして梨沙子を寝かすと、頬にタオルを置いて氷水で冷やす

早くよくなりますように…

うちは空いた方の手でひたすら梨沙子の髪を撫で、祈り続けた
118. 名無し募集中。。。 2009/07/21(火) 22:12:07.43 0
あたしはみやの髪を撫でる優しい手つきが好き・・・
すごく大事にされてるって感じるから・・・

きっとこれからもみやのファンの人たちにひどい目に遭うと思う
だけどね?あたし、みやがそばにいてくれるなら頑張れるよ?
ずっと一緒にいたいの・・・この部屋で一緒に住みたいの・・・

あたしがみやを見つめると「ん?」って優しい声を出してくれるみや
「ねぇ、みや?夕飯準備出来てるよ」
「え・・・?夕飯を?」
「食べる?お腹空いたでしょ?」
「うん、でもあとでいいよ、梨沙子は安静」
そう言ってあたしを制するみや
だけどあたしは早くみやに食べて欲しくてみやの止める声を
よそに立ち上がってキッチンに向かった

後ろでみやが「もう・・・梨沙子は・・・」って呆れた声を出していた
132. 名無し募集中。。。 2009/07/22(水) 02:21:59.96 0
食事を終え、一緒にお風呂に入ることにした。
傷が沁みたけど、みやに洗ってもらうと、そんなのどうでもよく感じた。
ただ、身体を洗う手つきが少しやらしかったのは別の話。
「梨沙子」
「んー」
「これからはさ、なんかあったらちゃんと言ってね。」
「・・・うん」
「心配かけたくないって気持ちは分かるけど、言ってくれないと悲しいから。」
「ごめんなさい・・・」
「そうやってすぐ謝るんだからwかわいいなぁもう」
こうして、バスタブの中で向かい合ってお湯につかってると、疲れが吹き飛んでいく。
どんな薬を塗るより、傷が癒えてく気がした。
「梨沙子、こっちおいで」
みやの方に身体を持っていき、背中をみやの身体にくっつけ、ひざの上に乗っかる。
「あったかい・・・」
「うん・・・」
案の定というか、なんというか、みやの手が胸に伸びてきた。
「もう!エッチ!」
「だってぇ〜」

133. 名無し募集中。。。 2009/07/22(水) 02:29:11.76 0
結局じゃれ合いながらのぼせそうになるまでお風呂にいた。
ずっとこうしていたい。時間がこのまま止まればいいのに。
でも、時間が止まったら将来みやと一緒に住むという夢もかなわない。そんなのやだ。
ワガママなのかな、私。
―――――――――――――――
お風呂からあがって、ベットに寝転がる。
気づいたら9時近くになっていた。そろそろ梨沙子を家に帰さないと。
「ごめんね、こんな時間まで」
「ううん、いいよ」
「そろそろ遅いから、家に送っていくよ」
「いい、今日も泊まる。」
「親御さん心配するよ?」
「お風呂であんないやらしく触ってきてよく言うよ!帰したくないなら、強引に奪い去ってもいいんだよ」
中学生のくせに、なんて艶のある声を出すんだ・・・
こんなこと言われて我慢なんて出来るわけないじゃん。
梨沙子を押し倒した。
「じゃ、ご希望通り、食後のデザート、頂きます。」
「・・・・・召し上がれ」
この日のエッチが、私の人生の中で一番激しかったかもしれない。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
138. 名無し募集中。。。 2009/07/22(水) 02:42:49.95 0
行為が終わってみやに腕枕をしてもらって顔を寄せ合う
するとみやが急に何かを思い出したように腕を伸ばしてカバンの中をゴソゴソする

「みや、どうしたの?」
「んー・・・ちょっと待っ・・・あ。あったあった!」
みやがあたしの前に一枚のビラを出す

「なぁに?これ・・・」
『サマーフェスティバル’09』って書いてある・・・もしかして誘ってくれてるのかな?
なんてちょっと一人で浮かれていると・・・

「それの出演が決まったんだ」
「・・・え?・・・ほ、ほんと・・・?」
「うん!今日キャプテンに聞いたんだ」
「・・・すごい・・・すごいじゃん!みや!おめでとう!!」
あたしは自分のことのように嬉しくてみやにおもいっきり抱きついた
155. 名無し募集中。。。 2009/07/22(水) 19:01:48.25 0
やっぱりみやはすごい!
サマーフェスティバルってあたしでも耳にはしたことある
毎年やっててフェスの翌日には朝のニュースでその模様が映るくらいだもん

ホントはみやのこと・・・独り占め、したい
でも、そう思う気持ちと裏腹に―――


”Buono!のみやを見て欲しい、聴いて欲しい”


愛理からCDを借りて聴いた時から惹かれてた
みやの歌声はすっごく良いもん!
沢山の人がフェスでみやの歌を聴いてくれる
あたしはみやを独り占めしたいけど
みやの歌声は独り占めできないもん・・・

でも心の底から嬉しいなぁって
みやに抱きついたまま考えていたら・・・・・・・・

〜♪ポーニョポーニョポニョ♪
158. 名無し募集中。。。 2009/07/22(水) 19:18:00.85 0
みやとの時間が楽しくてママに連絡するのを忘れてた!
あたしは反射的に素早く携帯を取った

「もしもし!・・・ごめんママ!!あの・・・」

みやが心配そうに見てる
そうだ腫れた頬を今ママが見たら更に心配かけちゃう・・・

「ごめん、今日もあっちゃんチに泊まるね。
連絡忘れてたのはホントにごめんなさい。
―――・・・うん、うん・・・じゃあ、あの・・・ありがと」

ママから「次に連絡しなかったら外泊禁止よ!」なんて言われた

「お母さん・・・だよね、大丈夫?」
「ん、今度からみやのトコ行く時はちゃんと連絡しとかなきゃ」
「心配してくれるなんて良いじゃん
うちほっとかれっぱなしだからさ
梨沙子可愛がられてるんだよ」
154. 名無し募集中。。。 2009/07/22(水) 18:56:14.30 O
みやは頭を撫でてくれながらあたしの耳元で囁く

「ねぇ、観に来てくれる?」
「当たり前じゃん…あたし、みやの歌声好き…」
「声だけ…?」
「意地悪…全部好きに決まってるじゃん…」
そう言うとみやはあたしの頬に優しく口づけてくれた
160. 名無し募集中。。。 2009/07/22(水) 19:40:49.54 0
日付が変わる頃、横でスヤスヤ眠る梨沙子を見つめる。

「可愛い・・・」

カーテンの隙間からこぼれる月明かりに照らされる梨沙子は、お世辞抜きで綺麗だと思った。
惚れてるからそう見えるのだろうか。誰かに聞いて確かめたいぐらいだ。

ふと、今日の出来事を振り返る。
サマフェスのこと、キャプテンのこと、そして梨沙子のこと・・・。
梨沙子の頬はさっきよりはだいぶ腫れが引いたものの、まだ少し痛々しい。
うちの為に必死に我慢してくれてた梨沙子。
どれだけ辛かったんだろう。どれだけ怖かったんだろう。
目を瞑ると、マンションの前で一人ぼっちでしゃがみこんでた梨沙子の姿が浮かんでくる。
梨沙子、ごめんね。気付かなくて。君を守れなくて…。

でもね、これからは絶対守るよ。
梨沙子がうちの笑顔を守ってくれてるように、うちも梨沙子を守るから。

そっと梨沙子の手に触れる。繋がった手と手を見つめながら、
梨沙子のこの手を離したくないと、うちのこの手で梨沙子を幸せにしたいと、心から思った。


明日も、目が覚めたら隣に梨沙子がいる。
それだけでどんなことだって乗り越えていける。
そんな気がした。
最終更新:2009年07月23日 19:34