163. 名無し募集中。。。 2009/07/22(水) 20:26:32.65 O
みやはやっぱりすごい人だと思う
一瞬にしてうちの不安を取り去ってくれた

あたしは舞美が好きっていう自分のこの気持ちを信じよう
そして舞美のことも信じよう

そう決心した時、急にうちの携帯が震える
確認すると舞美からのメール

『今から会える?えりの家の前に来てるんだけど』

あわてて部屋の窓を開けて下を見下ろすと頼りなさげに舞美が立っていた
172. 名無し募集中。。。 2009/07/22(水) 22:12:40.57 0
舞美の姿を見て慌ててパーカーを羽織って外に出る

「舞美!」
「あ、ごめんね?もしかして勉強してた?」
申し訳なさそうにうちを見る舞美
「大丈夫、もう今から勉強しても手遅れだって―!」
「あ・・・いや・・・うん・・・そうだね」
うちの冗談に顔を少し引き攣らせて曖昧な返事をする舞美

「で、どうしたの?急に・・・」
突然今日見た舞美が告白されているシーンが蘇る・・・
もしかして舞美・・・別れ話・・・?

「・・・あ、うん・・・そうだよね・・・あの・・・さ・・・」
「・・・・・・うん・・・」
「あの・・・実はさ・・・今日・・・ちょっと・・・告白・・・とかされたりしちゃった・・・んだけど・・・
あ!そ、それはちゃんと断ったよ!!うん」
「・・・あ・・・そ、そうだったんだ・・・」
舞美が告白を断ったって聞いて安心しているうち

「うん・・・それは・・・そうなんだけど・・・今日・・・ね?愛理に久しぶりに会ったんだ・・・」
「愛理ちゃん・・・?」
愛理って確かみやのことが好きな舞美の幼馴染だっけ・・・

「あー・・・もう!ぐだぐだするのって苦手だから単刀直入に聞くね
愛理が・・・愛理が見たって言ってたんだ・・・

えりがラブホテルから出てくるところ」

その瞬間うちは何も動けなくなった
174. 名無し募集中。。。 2009/07/22(水) 22:33:16.05 0
「・・・・あ、・・・・・・っと、えっと・・・」

まさか!みやともう会わないって・・・
ああいう関係は終わりにしようって・・・
決めたのに・・・!!
愛理が見てた?
みやのことは?

「・・・・・えり?」
心配そうに、不安そうにうちを見る舞美
目が少し潤んでいていつもに増して可愛いよ――・・・

じゃなくて!
なんて言えば?
うちには裏の顔があったって?
言えない!言いたくないよ!!
175. 名無し募集中。。。 2009/07/22(水) 22:34:29.94 0
「えり!」
「っ・・・・く・・・・っ・・・・・」

言葉は出ず変わりに涙がボロボロ出てきた
なんて言ったらいいかわかんないよ・・・
舞美が好きなの
今はそれが真実なの

「えり、ごめん・・・急に変なこと聞いたから・・・」
舞美はハンカチを出して拭ってくれた
優しい舞美、ごめん舞美
うち、どうしよう
どうすればいい―――――

189. 名無し募集中。。。 2009/07/23(木) 00:27:07.45 0
うちの涙を拭いながら、独り言のように舞美がつぶやいた。
「じゃあ、本当なんだね、ホテルに行ったの・・・・。愛理の見間違いかも、って期待してたんだけど・・・」
「・・・・・」
こんな悲しそうな舞美の顔、初めて見た。
そうさせたのは他でもない自分だから、まともに顔を見てられなくて俯く。

目を逸らしたのをどう解釈したんだろう? 舞美も俯いてしまって、お互いに黙り込む。

「ねぇ、えり・・・」
「・・・なに?」
涙をぐっと堪えて返事をする。
「相手・・・、私の知ってる人?」
「!!・・・・」
その質問に答えるべきかどうか躊躇っているので察したらしい。

「そっか・・・知ってる人なんだ。・・・じゃあ、聞かない方がいいね、その人の顔見るの、辛くなっちゃいそうだから」
うちもその方が多分いいんだと思う。舞美の大好きなバスケ部の、しかも信頼している後輩だなんて、知らない方が。
192. 名無し募集中。。。 2009/07/23(木) 00:28:18.58 0
またお互いに俯いて無言が続いた後、意を決したように顔を上げて舞美が訊く。
「その人のこと、私より・・・好き?」
口調はしっかりしているけれど、震えている唇と不安そうに揺らいでいる目を見て、考える前に言葉が飛び出てきた。

「そんなことない!  てゆうか、うちは舞美しか好きじゃないの! あの頃はっ・・・・・・。
  あの頃・・・自分でもなんであんなことしてたのか、ごめん、正直分からないの・・・
  舞美のこと裏切って・・・弁解の余地はないし、虫がいいってことも分かってるんだけど・・・
  でも、でも、うちは舞美と別れたくないっ・・・」

また涙が出てきて怪しい呂律で、溢れてくる気持ちのまま叫ぶようにまくしたてるうちを、目を見開いて見つめた後、舞美が小さな声で言った。

「・・っかい言って・・・」
「え?」
「もう一回、言って・・・私のこと、好きだって・・・」
194. 名無し募集中。。。 2009/07/23(木) 00:30:36.98 0
太陽のように明るくて天真爛漫で、全校生徒の羨望の的で、身もココロもでっかい舞美が、今は子犬のように小さく見える。
そんな舞美がすごく愛しくて・・・。

こんなに愛されてるんだ、うち・・・
今にも泣きそうな切ない顔で見ている舞美の目をしっかり見つめて、心からの思いを口にした。

「好きだよ。舞美が好き。舞美だけが好き」
「っ!・・・」
途端、両手で顔を覆って、舞美が体を震わせて泣きじゃくり始める。
「・・・わ、私もえりが好き・・・えりだけが好き・・・。好きすぎてバカみたいに大好きなの・・・」

思わず舞美を抱きしめたら、舞美がギュって強く抱きついてきて。
舞美のぬくもりが涙腺を緩めたのか、うちもまた涙が出てきて。
2人してそこで、お互いの涙と、うちの懺悔と舞美の不安が消えるまでじっと抱き合ってた・・・・・。
195. 名無し募集中。。。 2009/07/23(木) 00:31:42.77 0
一緒に試験勉強をするからってことにして、その日の晩、舞美はうちに泊まって行った。

舞美と、1つのベッドで眠ったのに何もせずに過ごしたのは初めてだった。
うちに親がいたから我慢したってのじゃなく、その日はそういう雰囲気にならなかった。

ただ、手を繋いで寄り添って眠っただけ。

でも、今までで一番、誰とした時よりも満ち足りた幸せな夜だった。
最終更新:2009年07月23日 19:39