178. 名無し募集中。。。 2009/07/22(水) 22:50:18.54 0
朝日が部屋に射し込み眩しくて目が覚める
「ん・・・ふわぁ・・・」
あくびをしながら隣で眠っている梨沙子を抱きしめようとする・・・

「あれ・・・?え・・・?梨沙子・・・?」
梨沙子がいない・・・すぐさま梨沙子がいたところを触るとまだ温かい

梨沙子、どこ?どこ行ったの?
うちは慌ててベッドから飛び起きて部屋を出た
179. 名無し募集中。。。 2009/07/22(水) 23:00:16.61 0
「ふふふーん♪いいニオイ」
あたしは朝からみやのキッチンを借りて朝食を作っている
目覚めた時、みやの幸せそうな寝顔を見て作ってあげたいなって思ったから

今朝のメニューはシンプルにトースト、目玉焼き、そして温かい紅茶
それから今日は部活、終わってからバンドの練習がある
みやのためにお弁当のサンドイッチ

我ながら上出来だと思う、お湯が沸いたので火を止めたところでドアの音がして振り返る
「梨沙子・・・いた・・・」
「あ、みや、おはよ」
にっこり笑ってみやに朝の挨拶
するとみやは泣きそうになりながら近づいてあたしを思いっきり抱き締めた

「え・・・みや・・・?」
「・・・いなくなったかと思った・・・」
182. 名無し募集中。。。 2009/07/22(水) 23:32:38.95 0
「えっ?えっ?」

朝ごはん作ってただけなのに、どうしたんだろう・・・?
いなくなるって、え?
思ってもみなかったみやの言葉に、少し戸惑ってしまった。

「もう梨沙子は…勝手にベッドからいなくなるの禁止」
「・・・・はい?」
「てゆーか、うちの側からいなくなるの、禁止」
「・・・」
「返事は?」
「はい・・・」

そう答えると、さらにぎゅっと抱きしめられた。
184. 名無し募集中。。。 2009/07/22(水) 23:40:42.59 0
約束だからね、なんて言いながらあたしを抱きしめ続けるみや。
なんか・・・なんか・・・こんなみやって・・・

「・・・可愛い♪」

寝起きだから寝ぼけてるのか分からないけど、こんなこと言うみやが可愛くって思わず口に出しちゃった。
起きたらあたしがいなくて寂しかったのかな?
どうしよう、めっちゃ可愛いんだけど・・・。
自分が年下ってこともすっかり忘れて、お姉さん気分でみやの頭を撫でた。

「いなくならないよ、ずーっとみやの側にいる」

みやは急に恥ずかしくなったのか、耳を真っ赤にさせたまましばらくあたしを放さなかった。
183. 名無し募集中。。。 2009/07/22(水) 23:40:26.36 0
「でもおいしそうな匂い・・・ありががとね、梨沙子」
そう言って耳元で囁いてくれるみや
みやの息遣いがくすぐったくてつい「いひぃいい♪」って笑ってしまう

「これからはちゃんとみやが起きるまでそばにいるからね」
「うん・・・」
「えへへ。じゃあみや、御飯食べよ?」

素直に返事するみやが可愛くていつもと逆であたしがみやの頭をなでた
191. 名無し募集中。。。 2009/07/23(木) 00:28:05.89 0
二人でテレビを見ながら朝食を取る
ニュースを見ながらあの人とあの人が熱愛だって―とか、
あの女優さんのCM可愛いとか、そんなたわいもない話をした

一通り食事を終えてそろそろ学校に行く準備をしようと思った時、
みやがあのさ、って切り出した

「夏休みになったら二人で旅行しない?」
「え・・・旅行・・・?」
「うん、ちょっとだけ遠いところ、湘南の海とか・・・どうかな?」

みやは窺うように効いてくるけどあたしがNOなんて言うわけないでしょ?

「うん!!行きたいっ!!」
226. 名無し募集中。。。 2009/07/23(木) 20:40:20.08 0
勇気を出して梨沙子を旅行に誘ってみた。
OKしてくれるとは思ってたけど、いざ口に出す時はやっぱり少し緊張した。
でも、「早く夏休みになんないかな〜」なんてはしゃぐ梨沙子を見ると誘ってよかったなって思う。
笑顔の梨沙子につられてうちまで笑顔になった。
なんてゆーか、梨沙子はうちを笑顔にする達人かもしんない。
そんなことを真面目に思った。

「梨沙子、今日の夜はさすがに家帰る?」
「うん、今日は帰るかな…そろそろ怒られそうだし」
「そうだよね…」

さすがに昨日今日と2泊もしちゃったもんね…今日はお泊りは出来ないか。
うちはバンドの練習で遅くなっちゃうし、放課後は会えないかもなぁ…。
ここ2日間梨沙子と過ごした時間が長かったせいか、それだけのことなのにすごく寂しく感じる。
休み時間になれば会えるけど…でも寂しい。

「今日さ、まだ時間あるし、自転車じゃなくて歩いて学校行こっか」
「いいけど、なんで?」
「いいからいいから。のんびり行こうよ。手繋いでさ」
「・・・?変なみや」

ほんとはね、一分でも長く梨沙子といたいからだよ。
・・・なーんてセリフはまだうちには言えないみたい。
梨沙子は不思議がってたけど、いいんだ。
いつか、照れずになんでも伝えられるようになるはずだから。
そしたら、今まで言えなかった分まで好きってたくさん言ってあげるから。

だから、それまで待っててね、梨沙子。
245. 名無し募集中。。。 2009/07/23(木) 22:54:47.09 0
みやと手をつないで登校する
その途中色んなところから悪意のある視線を送らている気がしたけど
もうあたしは怖くない・・・
みやが守ってくれるって言ってくれた・・・
しれだけであたしは強くなれる気がする

それに今朝誘ってくれた旅行の話・・・
みやと二人っきりで旅行・・・すごく楽しみ・・・
チラチラとみやの横顔を見ながらいひぃいい♪と笑う

そんな幸せに浸っているとまた・・・
〜♪ポーニョポーニョポニョ♪

「梨沙子、鳴ってるよ」
「あ、うん・・・今度はメールだ・・・」

差出人はママからで今日は絶対家に帰ってきなさい、話がありますって・・・
ヤバい・・・ママにばれちゃったかな?あっちゃんチに行ってないこと・・・

急に嫌な予感がしてみやの手を思わず強く握りしめた
258. 名無し募集中。。。 2009/07/24(金) 10:32:30.10 O
今日はテストだけだったからお昼まで。
あたしは今朝のママからのメールでブルーになっていた。
帰るのやだな…ってトボトボ歩いているとみやが部活の練習着で体育館に向かうのが見えた。

そういえばみやってバスケ部だっけ…?
みやがバスケしてるところ見たことなかったな

そう思った途端あたしは自然と体育館の方に足は動いていた
278. 名無し募集中。。。 2009/07/24(金) 22:34:46.32 0
着替えてアップをして、2チームに分かれて軽いミニゲームをする。
これはいつものことなんだけど、今日はそこに普段とは違う何かが加わった。

ボールを持つ相手を追いかける。やっぱりこうやってバスケをするのは楽しい。
でも、今はミニゲームと言えど試合は試合。楽しんでばかりはいられない。

相手がゴールにシュートする。
が、ボールはリングに当たって弾かれる。
うちはそれを瞬時に判断して、人より少し早めにジャンプしてこぼれ球をキャッチして、そのまま反対側に走りだす。

・・・予定だった。


ジャンプした瞬間、体育館の外からこっちを見ている誰かが視界に入った。
・・・え!?今のって・・・!うちは思わず二度見した。

「梨沙子!?「みや!!危ない!!!」」

仲間の声が体育館に響いたのと同時に、うちの頭に取り損ねたバスケットボールが見事直撃した。
279. 名無し募集中。。。 2009/07/24(金) 22:36:26.08 0
一瞬バスケコートが静まりかえる。そして数秒後、みんな一斉に吹き出した。

「みや!!何してんのー!!」
「せんぱーい!!しっかりー!!!」

しゃがみこんでるうちに構わず周りからは盛大な笑いが起きている。
クラクラする頭を押さえながら恐る恐る梨沙子を見る。

すると、梨沙子もクスクス笑っていた。

うわああああ!最悪だ・・・・かっこわる・・・・
バカりさこお・・・見に来るなら先に言ってよおおお・・・
どうせなら、梨沙子にはかっこいいうちを見て欲しかったのに・・・
よりによってこんなまぬけな姿を披露してしまった。

「もうやだあああ!!」

うちは違う意味で頭を抱えるはめになった。

284. 名無し募集中。。。 2009/07/24(金) 23:45:40.02 0
みやの頭にバスケットボールが当たった瞬間、
みやには申し訳ないけどつい笑ってしまった
でもそれはみやが面白かったってわけじゃなくて
あぁ・・・みやにもこういう一面があるんだなって思ったら嬉しくなったから

それからゲームが再開してみやの動きを追う
バスケなんてよくわからないけどやっぱりみやは上手いと思う
あたしには到底できないことはいとも簡単にしてる

そのままみやの方をずーっと見ていたら後ろから何人かの女の子の声が聞こえてきた
「あ、夏焼先輩部活でてるじゃん!」
「ホントだぁ!やっぱりめっちゃ上手い」
「最近部活結構出てるらしいよ、何か心の変化でもあったのかな」

そうなんだ・・・みや、部活サボりがちだったんだ・・・
心の変化・・・あたしのことも少しは関係していると嬉しいな・・・
285. 名無し募集中。。。 2009/07/25(土) 00:00:00.55 0
あ、そろそろ帰らなきゃ。

カバンを肩にかけると、偶然か分からないけどみやと目が合った
がんばって、と口パクで伝える
するとみやはニコっと笑って小さく手を振ってくれた
あたしも手を振り、体育館を後にした
294. 名無し募集中。。。 2009/07/25(土) 00:40:44.16 0
家の前まで来て深呼吸を一つ
自分の家なのにとっても久しぶりな感じ
あぁ・・・ママ、怒ってるだろうな・・・

意を決してインターホンを鳴らすと案の定目を三角にしたママがドアを開けてくれた
「あ・・・えっと・・・ただいま・・・」
「いいから入りなさい!話があります」
「はい・・・」

さっきまであんなに幸せだったのに・・・と肩を落としてママの後をついていった
314. 名無し募集中。。。 2009/07/25(土) 14:47:11.85 O
リビングに入るとママが明らかに怒ってますという顔でソファーに座っている
あたしはその表情を見てただただ目を泳がせて立ち尽くす

「梨沙子、そこに座りなさい」
「はい・・・」
言われた通り、ソファーの前の絨毯に正座する

「ママが何で怒ってるかわかる?」
「・・・えっと・・・」
「今朝、2日間もお邪魔になったからあっちゃんのお家に電話しました」
その言葉を聞いた瞬間あちゃーと思った
おとなしく愛理の家って言っておけば愛理がなんとかしてくれてたかもしれないのに
完全に人選ミスだ・・・
321. 名無し募集中。。。 2009/07/25(土) 20:19:48.66 0
「あれー?ママ、あっちゃんってあのあっちゃんに電話したの?」
精一杯の笑顔を作って言ってみる
「あのあっちゃんってあっちゃんはあっちゃんでしょ?」
「えー!?もーうーやだなぁ!あっちゃんって愛理のことだよ?
あれ?ママに言ってなかったっけ?最近ね愛理のことあっちゃんって呼んでるの
ほら、愛理ってあたしのことりーちゃんって呼ぶでしょ?
だから愛理のこともあっちゃん!って呼んだ方が仲良しみたいでしょ」
取り繕うようにしゃべりまくるあたし
そんなあたしを怪訝な目で見てくるママ

超怖いよぉー・・・どうかばれませんように・・・
330. 名無し募集中。。 2009/07/26(日) 00:39:43.32 0
「・・・本当なの?梨沙子」
「・・・うん」
「本当に愛理ちゃんちに行ってたのね?」
「・・・・・・・う、ん」
「・・・あんたはホントに嘘が下手ね・・・」
「・・・ごめんなさい」

あたしの必死の演技も虚しく、あっさり嘘がバレた。
ママは呆れ顔でため息をつく。

「ママはね、梨沙子が嘘ついたことを怒ってるのよ。嘘はいつかバレるんだから、正直に言いなさい。正直に言ったらもう怒らないから。」
「うん・・・」
「本当は誰のおうちにお邪魔してたの?」
「高等部の、2つ歳上の女の先輩んち・・・」
「名前は?」
「夏焼雅ちゃん・・・」

夏焼・・・変わった名字ねぇなんて言ってるママ。
どうしてあっちゃんちって嘘ついたの?って聞かれたけど、今となったらあたしにもよく分からない。
なんか咄嗟に隠しちゃったけど、よく考えれば同性の先輩なんだから最初から正直に言えばよかったんだ・・・。
変に意識しちゃったせいで逆に疑われるはめになった。
自分の対応力のなさに今度はあたしがため息をつく。
331. 名無し募集中。。 2009/07/26(日) 00:40:42.67 0
「今度、その子家に連れてらっしゃい」
「・・・え?」
「ママ、その子と話してみたいわ」

不敵な笑みを浮かべるママ。
何考えてるか分からないけど、少し楽しそうな、ワクワクしてるような顔をしている。
もしかして恋人ってバレたのかな・・・?
なんていうか、ママにはホントに敵わないなって、改めて思った。

みや、来てくれるかな・・・?
339. 名無し募集中。。。 2009/07/26(日) 02:06:55.90 0
ママにも本当のことを言って許してもらえたし
(みやと付き合ってることは内緒だけど)
ホッとしたらみやの声が聞きたくなった

時計を見たらそろそろバンドの練習も終わった頃かななんて思って携帯を手に取る
みやのページで迷わず発信ボタンを押す
呼び出し音を聞きながら、ママに正直に言ったら今日もお泊まり許してもらえるかな
なんて考えてたらつい口元がにやけてくる

いつもよりも長い呼び出し音の後
『・・・もしもし』
やっとみやが出てくれた・・・
最終更新:2009年07月27日 15:20