339. 名無し募集中。。。 2009/07/26(日) 02:06:55.90 0
ママにも本当のことを言って許してもらえたし
(みやと付き合ってることは内緒だけど)
ホッとしたらみやの声が聞きたくなった

時計を見たらそろそろバンドの練習も終わった頃かななんて思って携帯を手に取る
みやのページで迷わず発信ボタンを押す
呼び出し音を聞きながら、ママに正直に言ったら今日もお泊まり許してもらえるかな
なんて考えてたらつい口元がにやけてくる

いつもよりも長い呼び出し音の後
『・・・もしもし』
やっとみやが出てくれた・・・
340. 名無し募集中。。。 2009/07/26(日) 02:14:29.63 0
「みや?あのね、みやの声聞きたくて」
『・・・ごめん、今ちょっと・・・ごめん』
「え?え?」

プツン、と音がして電話は切れた。
ごめんってどういう意味なの?みや?

私は携帯電話を持ったまま固まってしまった。
みやの寂しそうな悲しそうな声が耳に残っている。

「みや・・・・?」

一気に胸騒ぎが押し寄せてきて不安に包まれていく。
私は、ママにちゃんと説明をして家を出た。

合鍵を持って。
341. 名無し募集中。。。 2009/07/26(日) 02:23:57.27 0
梨沙子がせっかくかけてくれた電話も言葉が上手く出てこなくて・・・
ごめん、梨沙子・・・今、梨沙子の声聞くと混乱するんだ・・・

うちは寝ころんだままピンクのメモを見つめ、そっと文字をなぞる
これが本当にももが書いたもので・・・この連絡先がもものところのもので・・・

それでうちはどうするつもりなの・・・?
もしも、今ももと話がすることができて・・・うちは何を言う?

頭ではそう思っているのに体は自然と机の方に向っていて
ペン立てに差したままの、あの日・・・できなかった線香花火を握りしめていた
350. 名無し募集中。。。 2009/07/26(日) 10:20:01.33 0
線香花火を持ったまま、机の椅子にドサっと座り込む。

目は線香花火から引き出しへ。あの日しまったフォトフレームのあるところ。

引き出しに手をかけようとしてためらって、ぎゅっと手を握り締める。
ためらったのは、梨沙子の顔が浮かんだからとかじゃなくて、写真を見た時の自分の気持ちの揺れが怖かったから。
・・・だったんだ、ってことに気付いたのは後になってからで。

気付いた時には取り返しのつかない状況になってるんだなんてこと、この時には知る由もないうちは、ゆっくりと引き出しを開けて、フォトフレームを取り出した。


写真を見た瞬間、気持ちが決壊した。


両手でフォトフレームと花火を握り締めたまま、嗚咽を漏らし始めたうちには、チャイムの音は聞こえなかった・・・・。

351. 名無し募集中。。。 2009/07/26(日) 10:20:51.78 0
チャイムを2回鳴らしたけれど、応答はなかった。
電気がついているから、いると思うんだけど。

なにかあったのかな?
さっきの電話もあって心配で震える指で鍵を開けて中に入ると、奥、みやの部屋から泣き声が聞こえてきた。

慌てて部屋にかけていって、入り口で凍りついたように体が動かなくなる。


「みや・・・・」
呼びかけるでもなくつぶやいた。


みやは机で泣いていた・・・・フォトフレームと花火を持って・・・。
352. 名無し募集中。。。 2009/07/26(日) 10:22:28.11 0
気配を感じてそっちを見て心臓が止まるかと思った。
梨沙子が立ちすくんでいたから。

「ど、どしたの、梨沙子?」
慌ててフォトフレームと花火を机に置いて涙を手の甲で拭う。
「・・・・・」
「どしたのさ?」
泣き顔を梨沙子の方へ向けるわけに行かなくて、顔を逸らしたま、ごまかすようにもう1度問いかける。

「・・・・さっきの電話・・・なんかみやの様子が変だったから・・・心配になって・・・」
「な、なんでもないから」
「・・・・・・」
「ほんと、なんでもないの」
それしか言葉が出ない。

信じてもらえるとは思わなかったけど、意外にも梨沙子はアッサリと納得してくれた。
「・・・そっか。うん、じゃあいいんだ。ごめんね、いきなり」
「・・・・・・」
「えっと、じゃあ、あたし、帰るね」

顔を逸らしていたうちには、その時の梨沙子の表情は見えていなかった。
ヤバイとこ見られたって動揺していただけで、ヤバイことになったんだ、ってことも見えていなかった・・・
353. 名無し募集中。。。 2009/07/26(日) 10:28:54.91 0
「どしたのさ?」と聞くみやは、全身で周囲を拒絶するオーラを出していた。
以前、付き合う前にも少し感じたことがある「ほっといてくれ」という雰囲気、今それがあたしにも向けられていた。

何があったのか全然分からない。
でも、フォトフレームを出してたんだから、きっと前好きだった人・・・ももさんって言ってたっけ?・・・が関係あるんだとは思う。

あたしの方が泣きたくなった。
でも、必死で我慢して、みやの部屋を後にした。


帰り道でも涙は流さなかった。
どこかで期待してたから、みやが追いかけてきてくれること。
その時には笑顔で、何もなかったように接したいって思ったから。

だけどそんなことはなくて。

家に着いた途端に涙が溢れて来た。
そんなあたしを見てママが「どうしたの!?」って聞いてきたけど「なんでもない」って振り切って部屋に駆け込んだ。


結局その日、みやからは電話もメールもなかった。
354. 名無し募集中。。。 2009/07/26(日) 10:44:57.47 0
梨沙子が部屋から出て行った・・・
そのときのうちにはそんな当たり前のことしか考えられなくて
追いかけなきゃっていう気持ちすら生まれなかった

うちはただフォトフレームの中のももと自分を見て
楽しかったあの頃を思い出して泣き続けた

梨沙子・・・ごめん・・・うち・・・まだもものこと・・・忘れられてない・・・
最終更新:2009年07月29日 14:34