374. 名無し募集中。。。 2009/07/26(日) 16:35:58.26 O
気付いたらあの屋上に来ていた
はじめてみやと会ったときと同じ青い空が広がっている
給水塔に昇ってあの日、みやが座っていた場所に座る

そしてポケットから合鍵を出してぎゅっと握りしめた
387. 名無し募集中。。 2009/07/26(日) 21:03:31.37 0
授業がまったくもって耳に入らなくて、うちの足は自然と屋上に向かっていた。

過去に縛られて、梨沙子まで傷つけて、うちは一体何がしたいんだろうか・・・
昨夜はもものことばかりを考えていた。
今は梨沙子のことばかり考えてる。

(みやがいて、安心しちゃって。なんか涙出ちゃった。)
感動やさんで泣き虫の梨沙子。

(な、なんでもないよ。ちょっとこけちゃって。 )
酷い目に遭ってもうちの為に我慢してた梨沙子。

(みやが辛そうにしてる方があたしは辛い)
いつだってうちのことを想ってくれてた梨沙子。

梨沙子と出会ってまだそんなに経ってないのに、こんなに梨沙子が心の中に居る。
ポケットに入れたキーホルダーをぎゅっと握りしめた。
もものことは忘れられない・・・。だけど、うちは・・・

(あたし単純だから、みやがあたしに『好き』って言ってくれたらいい。)

うちは、梨沙子のことが―――・・・
385. 名無し募集中。。。 2009/07/26(日) 20:55:33.31 0
合鍵をじっと眺めていると突然梯子を登ってくる音が聞こえてくる
思わず合鍵をポケットに入れて振り返る
するとそこには・・・

「・・・みや」
「!!!梨沙子・・・」

みやはあたし以上に驚いたようで戸惑ったような表情を浮かべながら
あたしの隣に座った

「・・・」
「・・・」
「梨沙子・・・テストは?」
「昨日で終わったから・・・今日は授業だけ」
「そっか・・・うちもそう・・・」

そう言ってみやはぼーっと遠くを見つめていた
388. 名無し募集中。。。 2009/07/26(日) 21:19:46.65 0
それから少しの沈黙が続いた。
最近はみやと一緒にいてこんな風に沈黙になることがなかった。
だってみやと一緒にいられる時間、話したいことたくさんあったから・・・

ねぇ?みや、今何考えてる?
あたしのこと?それとも―――。

あたしは膝を抱えて顔を埋める。
隣からみやがゴソゴソしている音が聞こえて、
戻っちゃうの?ってちょっと不安になって顔を上げる。

するとみやがあたしのことをまっすぐ見つめていて・・・
そしてあの時・・・合鍵をくれた時と同じようにあたしの手を取り何かを握らせた
392. 名無し募集中。。 2009/07/26(日) 21:41:48.61 0
「これ・・・・」

やばい、泣く
そう思った時にはもう遅くて、あっという間に涙は溢れ落ちた

「おそろい」

みやは静かに笑うと、あたしと色違いのキーホルダーを見せてくれた
そしてそっとあたしの涙を拭う

「うち、泣かせてばっかだね・・・」
「グス・・・・ほんとだよっ・・・」
「ごめんね」

優しく髪を撫でてくれるみや

「うちさ・・・うまく言えないんだけど・・・」
「・・・・うん」
「梨沙子の側に、いたい」
「・・・・うん」
「いたい。これからも」

腕を引っ張られたと思うと、そのままキスをされた
涙のせいでしょっぱいキスだった
399. 名無し募集中。。。 2009/07/26(日) 21:58:26.61 0
「梨沙子、鍵貸して?」
そう言ってあたしに手を出すみや。
その手を見てさっきしまった鍵をポケットから取り出す。
するとみやは鍵とさっきくれたキーホルダーを大事に丁寧につけてくれた。

「ほら、可愛いでしょ?」
あたしの目の前でキーホルダーをゆらゆらさせてニコッと笑うみや。
「うん、可愛い・・・」
「昨日、雑貨屋さんでこれ見た時、絶対梨沙子が喜ぶだろうなって思った
予想が当たってなんか・・・ホッとしてる」
「うん・・・」

そしてみやはキーホルダーを見つめながらあたしの名前を呼ぶ
「梨沙子?」
「ん?」
「好きだよ・・・」
401. 名無し募集中。。 2009/07/26(日) 22:13:05.64 0
――好きだよ

みやの声が優しく届いて、あたしはまた涙が止まらなくなった。
聞きたいことはたくさんあった。昨日のこと、ももさんのこと・・・。
でも、あたしのこと好き?って、それが一番聞きたかったから。
だから、みやが好きって言ってくれて嬉しかった。

ほんとはね、何番目に好き?って聞こうと思ったけどそれは意地悪だと思ったからやめた。

今のあたしには「好き」って言葉だけで十分だった。
402. 名無し募集中。。。 2009/07/26(日) 22:29:26.34 0
梨沙子にちゃんと好きって伝えることができた
感情を言葉にするのは苦手だけど今は自然と言えた

ねぇ、梨沙子。知ってる?
うちね、梨沙子以外の人に「好き」って言ったことないんだ

だからね、今ここで誓うよ?
これからも梨沙子だけにしか好きって言わないから・・・
ずっとずっと好きだから・・・
429. 名無し募集中。。 2009/07/27(月) 19:27:56.15 0
「・・・ん」

ピロリロリン♪という機械音が聞こえて目が覚めた。

「うーん・・・愛理、ちゃん・・・?」
「へへっ。いいもの撮ーれた」

目を擦りながら体を起こす。
目の前には携帯片手にニコニコ笑ってる愛理ちゃん。
そして隣には、うちと手を繋いだまま眠っている梨沙子。
そっか、うちらいつの間にか屋上で寝ちゃってたんだ・・・。
愛理ちゃんに聞いたら、今は2時間目が終わったところらしい。
あちゃー・・・2時間も授業さぼっちゃったか・・・・。

「愛理ちゃん、梨沙子探しに来てくれたの?」
「はい。さっき元気なかったみたいなんで心配で・・・」
「そっか・・・」
「でも、先輩と仲良くお昼寝してたんで、安心しました」

愛理ちゃんは梨沙子を見つめて微笑んだ。親友を見守るその視線はとても優しかった。
うちが梨沙子の頭をポンポンしながら起きないね、と言うと、安心したらどっと疲れがきたんじゃないですか?と言われた。
梨沙子、昨日そんなに眠れなかったのかな?改めて申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

430. 名無し募集中。。 2009/07/27(月) 19:30:26.70 0
「あ、愛理ちゃん」
「なんですか?」
「梨沙子に聞いたよ。嫌がらせされた時とか、愛理ちゃんがいつも守ってくれたって。」
「りーちゃん、やっと先輩に言ったんですか。よかった」
みやに言わないで〜ってだだこねてたんですよ、なんて笑う愛理ちゃん。
なんだかその場面が想像できてうちまで頬が緩んだ。

「うち全然気付かなくてさ、梨沙子にも愛理ちゃんにも辛い思いさせてごめんね」
「そんな、大丈夫です」
「いつもありがとうね、梨沙子の側にいてくれて。ほんとにありがとう」

ずっとお礼言いたかったんだ、愛理ちゃんに。
うちが守れなかった分まで、梨沙子を守ってくれて。梨沙子を大切にしてくれて。
うちの言葉を受けた愛理ちゃんは優しく微笑みながら頷いてくれた。

「それなら私こそ、お礼言わなきゃ」
「え?」
「私も、先輩とりーちゃんのおかげで、大切な人が出来ました」
それだけ言うと「4時間目の体育には出ないとやばいぞー」って梨沙子に囁いて、教室に戻っていった。


うちがキャプと愛理ちゃんのことを知ったのは、もうちょっと先の話。
452. 名無し募集中。。。 2009/07/28(火) 00:08:46.21 0
「んん・・・」
目をそっと開けると夏の日差しに目を細める。
「起きた?」
「へ・・・?」
目がだんだん慣れてきて視界がはっきりしてきて・・・
みやが目の前で優しく笑っていた。

はっとしてポケットの中に手を入れると合鍵とそれにキーホルダーがついていて
あぁ・・・夢じゃないんだっておもわずみやに抱きついた。
477. 名無し募集中。。 2009/07/28(火) 15:49:40.40 0
しばらくそのまま抱き合っていた
こうしてみやに背中を撫でてもらってるとまた眠くなってくる

「梨沙子寝ちゃだめだよー」
「だってぇ・・・眠いよ」

このままだと確実に寝てしまうなって時に、突然みやが背中のシャツに手を入れてきた
びっくりして眠気が一気に吹っ飛ぶ

「ちょっ!ここ屋上だよ!」
「誰もいないしいいじゃーん」
「ダメっ!」
えー・・・と分かりやすく落ち込むみや
前から思ってたけど、みやって少し・・・・いや、結構エッチだよね・・・

「あ、そうだみや。終業式の日、空いてる?」
「空いてるよ。どうして?」
「あのね、うちに来てほしいなーなんて・・・」
「えっ?」
「ママが、みやに会いたいんだって・・・ダメかな・・・?」

窺うようにしてみやを見る
みやは少し考えたあと、笑顔で答えてくれた

「うん!行く!」
最終更新:2009年07月29日 14:53