- 149. 名無し募集中。。。 2009/06/23(火) 01:35:19.62 0
- それからお昼休みの間中愛理は夏焼先輩の話ばかりしていた
夏焼先輩のことを話す愛理の顔はまさに恋していますって感じ
愛理のそんな顔を初めて見て・・・愛理がなんか遠くなった気がして・・・
あたしは外見は大人っぽいって言われるけど中身はまだ子供だって思い知らされた
- 150. 名無し募集中。。。 2009/06/23(火) 01:51:23.84 0
- 教室に戻るとすぐに愛理が自分の席から手帳を持ってきた
「りーちゃん、さっきのライブの話なんだけど」
「あ、うん」
「ライブ、今週の土曜にあるんだけど行ける?」
「土曜?」
土曜かぁ・・・土曜は・・・って考えるふりするけど何も予定なんてない
部活にも入ってないし恋人がいるわけでもないから・・・
それでもちょっとためらう振りをしたのはあたしの精一杯の見栄
「あれ・・・?もしかして予定ある?」
泣きそうになりながらこちらを見てくる愛理
「いひぃいい♪大丈夫だってー!そんな顔しないでよ、愛理ー」
「も、もーう!りーちゃんのばかー!」
頬を膨らませて冗談めかして怒ったふりをする愛理
- 151. 名無し募集中。。。 2009/06/23(火) 02:07:06.99 0
- 今日で何回目だろう・・・
「ごめんねぇ、みや、ちょっと今忙しいみたいなんだぁ」
廊下でずっと待っていた1年生に頭を下げる
「そうなんですか・・・じゃ、じゃあ!これだけ!渡してもらえますか?」
そう言ってうちに手紙を差し出すとバタバタとその場を去る1年生
「まいっちゃったなぁ」
手紙を手に持ったまま思わず頭を抱えたくなる
みやに渡してもどうせいつも・・・なんて思うけど
さっきの子だって勇気を出してここに来てこの手紙を書いたんだってわかるから
「渡してあげないとなぁ・・・」
ふーっとため息を一つついてみやのもとに向かう
- 158. 名無し募集中。。。 2009/06/23(火) 10:00:09.27 0
- 「みや、これ」
千奈美が手紙を渡してくる
別に千奈美がそんな申し訳なさそうな顔しなくていいのに
「…ああ」
正直めんどくさいという気持ちを隠して一応受け取ると、さっさとかばんに放り込んだ
「みやさ、ちゃんと読んであげてるの?」
「たまに」
「せっかく書いてくれてるんだから、ちゃんと読んであげなよ?」
少し怒ったような、寂しそうな顔で千奈美が言った
千奈美の言いたいことも分かる、だけどどうしてもこういう手紙はあまり読む気になれない
あの子達はうちのことを分かってない
きっといい部分、気に言った部分しか見てない。どこがいいのかもよく分からないけど
本当のうちを知ったらどうせ幻滅するんだ
あの子たちが作りあげた”夏焼先輩”は本当のうちじゃない
まぁ気が向いたら遊んであげたりしてるけど、この子マジだなって思うと距離を開けるようにしてる
でも一番嫌なのは、みんなが思う”夏焼先輩”を演じれる自分だ
今ではもう無意識に演じれるようになってしまった
- 159. 名無し募集中。。。 2009/06/23(火) 10:13:11.02 0
- 「あの子・・・・りさこって言ったけ」
一瞬桃かと思った
でも実際にいたのはくりっとした目をしたお人形みたいな女の子
なんとなくだけど、この子も人見知りなのかなって直感で思った
いつもは人の顔なんてすぐ忘れちゃうのに、梨沙子の顔は鮮明に覚えている自分に驚く
「ま、もう会わないだろうしどうでもいっか」
教室の窓から空を見上げる
やっぱり屋上が一番いいやなんて思いながら瞳を閉じた
- 163. 名無し募集中。。。 2009/06/23(火) 12:06:41.28 O
- 「聞いて聞いて!」
大声を出しながら教室に入ってくるクラスメイト
「どうしたの?」
そのこの周りに集まるみんな
「さっき高一の教室の前通ったんだけど
○○先輩、夏焼先輩にコクったんだってー!」
「うそ!あの人可愛いよね!」
「結果は?」
「会えなくて夏焼先輩の友達に手紙渡して終わりだって」
「なんだぁ…ちょっと安心したかも」
「確かに」
胸をなで下ろすみんな
「でもさぁ、夏焼先輩色んな人と遊んだりしてるけど本命の彼女とかいるのかな?」
「そういう話聞かないよね」
「いたらショックだなぁ」
なんてみんなが話している隣で一人俯いている愛理
「大丈夫だよ、愛理」
肩をたたいて元気づける愛理
なのに自分に言い聞かせている気がして、あたしはなんか変だ
- 173. 名無し募集中。。。 2009/06/23(火) 21:33:51.96 0
- 「でも、夏焼先輩ってそんな歌うまいの?」
話をそらすように愛理に質問してみた。
梨沙子が聞く限りでは合唱部に所属する愛理も相当歌がうまい。
そんな愛理が夢中になるぐらいなんだから相当うまいんだろう。
「うまいし、なんかあたしと違ってかっこいいんだよね・・・」
遠い目をしながら語る愛理の横顔はなんかすごい大人びてるように見えた。
「そうだ、インディーズだけどCDあるんだよ。りーちゃんに貸してあげる。」
愛理はバッグから大事そうに一枚のCDをとりだすとおもむろに梨沙子の手に渡たす。
Buono!と書かれたジャケットの中心にはまるで一流歌手のようなオーラを放つ夏焼先輩が写っていた。
その姿に梨沙子は思わず見とれてしまった。
- 174. 名無し募集中。。。 2009/06/23(火) 22:36:49.87 0
- みやは変わったと思う
前まではもっと明るかったし女の子に告白されたらすぐに顔を赤らめてた
それなのに今は断る時もそっけない
それによく違う女の子を自転車の後ろに乗せて遊んでる
だけど遊ぶだけ遊んであとはポイッ、女癖が悪くなった
なんでこんな風になっちゃったんだろう・・・
そう考えるとうちはみやの親友のはずなのに
みやのこと何にも知らない気がしてうちは悲しくなった
- 175. 名無し募集中。。。 2009/06/23(火) 23:55:56.69 0
- 「じゃありーちゃんに宿題!」
「宿題?」
あたしの顔をニヤニヤしながら見てくる愛理
「土曜のライブまでにこの曲を歌詞も含めて覚えてくること!」
びしっとあたしを指さす愛理
「えー!!歌詞は無理だよー!」
あたしの頭じゃ歌詞を土曜までに覚えるなんて・・・
- 176. 名無し募集中。。。 2009/06/24(水) 00:46:22.50 0
- とは言ったものの愛理にお願いされたら仕方ない
あたしは家に帰ると夏焼先輩のBuono!のCDを聴いた
あたしは元々ロックとか好きじゃないしあんまり聴かない
だから、これがあたしの中で本格的に聴くロックだ
初めて聴いたけどすぐにあたしは夏焼先輩の歌声の虜になっちゃった
人気があるのも頷ける
夏焼先輩の歌詞の内容は好きな誰かに対しての思いを綴ったものだと
なんとなく分かりました
その人好きだという思いや、その人がいなくなって寂しいという感情があたしにも伝わった
そうして聴いている内、あたしは夏焼先輩が思いを寄せているかもしれない誰かについて気になりだしてしまう
その人は誰だろう?あたしの勘違い?ただの歌のための歌詞で深い意味は無いのかもしれない
ほんとにそうなのかな?夏焼先輩は誰かを忘れられないような気がしてしょうがない
でも、その忘れられない誰かはあたしじゃないって気付くと少し切なくなる
もし・・・夏焼先輩にとっての忘れられない人があたしだったら・・・って!あたし何考えてんだろう?
あたしはもしかして顔も見たこともない、その人に嫉妬してるの?
夏焼先輩の姿が頭から離れない・・・あたし今夏焼先輩のことばかり考えている
胸が苦しい・・・何だろうこの気持ち?
最終更新:2009年07月05日 17:11