- 990. 名無し募集中。。。 2009/08/13(木) 03:13:36.42 0
- 練習を終えるとそそくさと帰って行ったみや
きっと家で待ってくれてる人がいるから…
そして、あたしにも待ってくれてる人がいる
「ごめん熊井ちゃん!後はよろしく!」
「え!?キャプテンまで!」
熊井ちゃんを一人残してあたしは一番大好きな人のところへ向かった
会いたくて会いたくて仕方がないほど愛してる愛理ちゃんの元へ足を急がせる
「はあ…はあ…」
着いたころには息は大きく乱れていた
ピンポーンという高い音を響かせたインターホン
そのインタホーン越しに愛理ちゃんの声が聞こえる
「はい…」
「清水です。清水佐紀です」
「あ!今開けますね!」
- 991. 名無し募集中。。。 2009/08/13(木) 03:22:05.80 0
- 玄関の扉が開き中から可愛いワンピースを着た愛理ちゃんが出てきた
あ…私服初めて見たかも
そう思うとなんだか嬉しい反面、胸のドキドキがうるさくなっていった
「清水先輩?」
「ほぉえ?あ、ごめん!つい…見惚れ…」
「え?」
恥ずかしくなってそれ以上は言えなかった
恋ってこんなに胸がドキドキして苦しいものなの?
息をするのがやっとで愛理ちゃんを見るのもやっと…
「どうぞ、上がってください」
「お、おじゃまします…」
おっきくて綺麗なお家
初めて見るものばかりでついつい周りを見渡してしまう
「先輩、こっちです」
そういって通されたのはリビングというには広すぎくらいのお部屋
そしてテーブルには手料理が並べられていた
- 993. 名無し募集中。。。 2009/08/13(木) 03:45:18.05 0
- 「あれ?ご両親は?」
「お父さんのゴルフの試合に家族みんなで行っちゃって…あたしだけ行かなかったんです」
お父さんがプロゴルファーなんて初めて聞いた…
今日は初めて知ることだらけでなんだかもう頭がすでにパンクしそうだった
「愛理ちゃんは行かなくて良かったの?大事な試合なんでしょ?」
「あたしは…どうしても先輩にお礼がしたくて…だから今日手料理を作って待ってたんです」
「お礼だなんてあたしは何も…」
愛理ちゃんはあたしの手を握り真っ赤に染めた顔を下に向けた
「清水先輩には色んなところでお世話になったから…。それにあたしに「好き」って気持ちも教えてくれた…」
「え…やっ…あの…」
積極的すぎるくらいの愛理ちゃんの言葉にしどろもどろになってしまい
こっちまで恥ずかしくなって顔が熱くなる
- 77. 名無し募集中。。。 2009/08/15(土) 21:30:09.41 0
- 「…なんてね。ンフフ…冷める前に食べましょ」
「あ…うん」
あたしにとっては初めての恋で初めて感じる愛しい気持ち
ゆっくりだけど少しずつ距離が縮まっているような気がした
愛理ちゃんが作ってくれた料理はどれも美味しくてどんどん箸が進んだ
ハンバーグにポテトサラダ、スープにデザートまであった
「美味しいですか?」
「うん!すっごく美味しい!」
「ほんとに?」
「うん!」
普段はあまり食べないけど今日だけはご飯もおかわりしちゃった
料理もほとんど空になり膨れたお腹が限界を現していた
「ふぅ、ごちそうさま」
「あの…」
「ん?」
「清水先輩って門限とかあるんですか…?」
- 159. 名無し募集中。。。 2009/08/18(火) 22:56:35.82 0
- 「門限?そんなのないよ。うち自由だからw」
笑いながら答えたあたしに対して、愛理ちゃんは至って真剣な顔
え?あたし何か変なこと言ったかな?と一人焦っていると、愛理ちゃんが口を開いた
「じゃ、じゃあ・・・・今日、泊まっていきませんか?」
「ゴホッ!!!!」
飲んでたお茶を盛大に噴き出した
大丈夫ですか!?とタオルを持ってきてくれる愛理ちゃん
今思うと相当恥ずかしいんだけど、その時は違うことで頭がいっぱいでそれどころじゃなかった
と、泊まるって・・・あの「泊まる」だよね?他に意味ないよね?
一瞬ちょぴっとやらしいことが頭に浮かぶ
って!あたし何考えてんだろ・・・だ、だめ!お泊まりなんてやっぱダメだよ!
第一、愛理ちゃんを隣にして眠れる自信がない!絶対無理!
・・・なんて思ったりもしたけど、断るなんてやっぱりあたしには無理だったみたい
「・・・いいよ」
- 182. 名無し募集中。。。 2009/08/20(木) 00:17:47.87 0
- あたしの言葉を聞いた愛理ちゃんは、脱力したかのように大きく息を吐いた
「はぁぁぁぁ・・・よかったぁぁぁ・・・・」
「えっど、どうしたの??」
「断られたらどうしようって・・・怖かったんです」
「・・・・」
「ほんとは、すんごい緊張してたんです」
そう言って上目遣いで笑う愛理ちゃんに心臓がとび跳ねた
どんどん顔が熱くなっていく
そっか・・・緊張してるのも、不安なのもあたしだけじゃなかったんだ・・・
愛理ちゃんも同じだったんだ
それに安心したのと同時に、年下の愛理ちゃんが頑張ってあたしとの距離を縮めようとしてくれてたことを知る
積極的に聞こえた会話も、きっと緊張しながら一生懸命言ってくれてたんだ
あたしも・・・もっと頑張んなきゃだな・・・
小さなことでいい・・・あたしだって一歩踏み出さなきゃ
好きなんだから、伝える努力をしなきゃ・・・
- 183. 名無し募集中。。。 2009/08/20(木) 00:19:55.79 0
- 「あ、あのさ・・・」
「なんですか?」
「その・・・愛理って呼んでもいい・・・かな?」
「え・・・」
「それから・・・あの、あたしのことも、名前で呼んでほしいなーなんて・・・」
「・・・・・」
「・・・・ほ、ほら!みやと梨沙子ちゃんだって、歳違うけどみやと梨沙子って呼び合ってるじゃん?だ、だから・・・えっと・・・」
「佐紀ちゃん」
「・・・・え?」
「さーきちゃんっ♪」
・・・本気で、目の前にいる子が天使に見えた
ほとんど無意識だった
ヘタレな自分が嘘みたいだった
気付いた時には、あたしは愛理ちゃんをぎゅーっと抱きしめていた
- 226. 名無し募集中。。。 2009/08/21(金) 00:17:53.50 0
- 「佐紀ちゃん?」
戸惑ってる愛理には悪いと思いつつも抱きしめたまま動けなかった
佐紀ちゃんって呼んでくれた愛理がすごく愛しくてすごく可愛くて
本当に無意識だった
「あい…り」
「ん?」
「絶対大切にする」
愛理が壊れるんじゃないかってくらいにぎゅっと抱きしめた
「佐紀ちゃん痛いよ」
「ごめん。もう少しこのままで居させて」
実感したかったの
目の前にいる愛理が本物で幻覚じゃないんだってことを
- 234. 名無し募集中。。。 2009/08/21(金) 01:33:55.07 0
- 佐紀ちゃんは小柄なのにあたしのことを力強く抱きしめてた
そして
「絶対大切にする」
って言ってくれた
嬉しくて顔がニヤけるのが自分でもわかる
佐紀ちゃんの腕の中は暖かくてなんだか安心して
このまま時間が止まればいいのに
なんて思っちゃったりもして…
だから佐紀ちゃんが腕を離したときはすごく寂しくて
今度は自分から抱きついた
「あ、愛理!」
「あたしももう少しこのままで居させてください…」
あたし佐紀ちゃんと会ってからきっと欲張りになった…
もっと一緒に居たい
もっと話してたい
もっと抱きしめてほしい
もっともっとって思ってしまうの…
欲張りな子、佐紀ちゃん嫌いかな…
- 257. 名無し募集中。。。 2009/08/21(金) 23:04:40.09 0
- 「なんか甘えん坊の愛理だと気がくるうよ」
あたしの腕に包まれながら呟いた佐紀ちゃん
いつもりーちゃんに甘えられてばっかだったから
あたしが甘えるのなんて初めてに近い
佐紀ちゃんだから甘えられるのかな
そう思うと余計に佐紀ちゃんが愛しくてずっとこうしてたいなんて
贅沢すぎるお願いを心の中で唱えた
「愛理?もう遅いしそろそろお風呂とか…」
「そ、そうですよね!すいません…」
「いいよ謝らなくて。これから先もっと抱き合えるでしょ」
佐紀ちゃんの笑った顔はあたしをいっぱいの笑顔にする
「うん!」
最終更新:2009年09月09日 23:29