- 392. 名無し募集中。。。 2009/08/27(木) 12:09:07.36 O
- あ、いたいた。みやみっけ!
嬉しくなって呼びかけようと開いた口は、だけど「み・・・」までしか言葉を出すことが出来なかった。
1秒前までの浮かれた気分、そして、今までずっと積み重ねてきた幸せな気持ちが吹き飛んでいくのを、どこか遠くの出来事のようにぼんやりと感じた。
あたしが呼ぶより前に振り返ったみやが、急に誰かに駆け寄って行った。
そして。
その人を強く抱きしめた。
大粒の涙をボロボロ零しながら。
あんなに感情的になっているみやを初めて見た。
確かめなくてもわかる。
あれが「もも」さんなんだね・・・
- 393. 名無し募集中。。。 2009/08/27(木) 12:20:37.70 O
- !!!
チラっと見えた横顔に、心臓が止まりそうだった。
あの人、ピーチ姫さんだ!
カラまれてたあたしを助けてくれた、正義の味方ピーチ姫さん。
・・・そっか、ピーチ姫さんがももさんなら、仕方ないね。
あたし、敵わないや・・・
「・・・りーちゃん・・・?」
隣の愛理が心配そうに声をかける。
「・・・愛理」
「ん?」
「あたし、先に帰るね」
「・・・・・」
「みや・・・夏焼先輩にさ、菅谷がお疲れ様でした、って言ってたって伝えて」
「・・・りーちゃん・・・」
何か言いたげな愛理に背を向けて、あたしは見つからないように――みやにも他の誰にも――そっとその場を離れた。
- 396. 名無し募集中。。。 2009/08/27(木) 12:50:55.82 O
- 少しずつ走りだす。
足を止めたらもう歩きだせないような気がして、
全速力で走り続けた。
―ある人に会いに来たんだ
―すごく大事な人に
二人…両思いだったんじゃん…
最初から…ずっと両思いだったんじゃん…
あたしが入る隙間なんてこれっぽっちもなかったんだ。
―梨沙子はももの代わりじゃない
うそつき…うそつき…
みやのうそつき…!
「あっ」
足が絡まってバタンと転んだ。
膝と肘を擦り剥いて血が出て痛い。
それでもあたしは足を引きずって歩き続けた。
少しでもあの二人から離れたかった。
分かってたよ…いつかこうなるのは…
一人で泣くには切なすぎたけど、涙は止まりそうになかった。
- 406. 名無し募集中。。。 2009/08/27(木) 16:45:41.39 0
- 「梨沙子ちゃん!」
後ろからそう呼ばれたけどあたしにはもう振り返る気力さえ無かった
声だけでわかる
追いかけてきてくれたのはみやじゃないと…
腕を掴まれ歩いていた足を止める
「大丈夫?」
優しい清水さんの声
それだけで涙が溢れて止まりそうにない
「みやも馬鹿だよね。こんな良い子傷つけて…」
清水さんは泣いているあたしの頭をそっと撫でてくれた
その温もりと優しさで楽しかったみやとの日々が頭を巡り
声にならない叫びが涙となって溢れ出す
気づくとあたしは清水さんの肩に顔を埋めていた…
- 408. 名無し募集中。。。 2009/08/27(木) 16:54:49.34 0
- みやとは違う・・・
ミヤジャナキャ イヤ
「ごめんなさいっ・・・!」
「!・・・梨沙子ちゃ・・・・・・」
あたしは清水さんから離れその場から走り出した
いや
いやなの
みやじゃなきゃ
ごめんなさい・・・・・
追いかけてきた清水さんの優しさを踏みにじって
でもあたしは誰かに期待するのは怖かった
みやが溶かしてくれたあたしの孤独な心は
また、みやによって凍らされたようで
独りでいよう
独りなら傷つくことも無い
恋なんて、知りたくなかった
- 410. 名無し募集中。。。 2009/08/27(木) 17:05:52.04 0
- どうやって家に帰ってきたのか
自分ではよく覚えてない
ママに「おかえり早かったわね」なんて言われて
部屋に入ると止まってたハズの涙が
一気に押し寄せてきた
「――っ・・・く・・・・・・・っう、っく・・・」
閉じたドアにもたれ
声を殺しながら泣き続けた
人間はこんなに泣けるんだって涙がポロポロ出てくる中ふと思った
あたしに恋を教えてくれたみや
あたしに愛を教えてくれたみや
大好きだよ。今でも愛してる。会いたい。
だけど無理だよね、ももさん・・・ピーチ姫さん・・・・いるもんね。
ただただ、みやを思って
もう誰も信じたくないという気持ちと
みやへの愛を何処へ持っていけばという想いと
色んな葛藤と涙が混ざり
そのままあたしは床に崩れた・・・・・・・・・・・・・・・・・・
- 412. 名無し募集中。。。 2009/08/27(木) 17:20:08.52 0
- 「・・・・っ・・・・っう・・・ぅ・・・・っく、ふ・・・・」
一瞬?どれだけかわからない
自分の嗚咽で目が覚める
とても頭が痛く喉が乾いてた
フローリングから体を起こすとバランスを崩し
また床に崩れ落ちる
激しい眩暈で何か星のようにチカチカと目に映る
身体に力が入らない・・・・
でも涙は止まらないんだね
ドア越しに足音が聞こえてくるみや・・・なワケない。
・・・・トントン
「梨沙子〜ご飯は?食べてきたならお風呂・・・寝てるの?」
ガチャ
「!っ梨沙子!?床に寝て・・・熱っ・・・ちょっと待ってなさい!」
熱中症かしら?と言いながらママは部屋を出て行った
確かに暑い・・・熱いかもしれない
でも、みやを諦める方がキツイよママ
独りはいや
でも
―――――――――――ウラギラレルノハ モットイヤ
- 422. 名無し募集中。。。 2009/08/27(木) 18:32:45.88 0
- 「・・さこ、梨沙子」
朦朧とする意識の中ママの声が聞こえる
「起きれる?少しだけ身体起こして・・・よいっ・・・しょ!」
「・・・はぁ・・・・・ありがとママ・・・」
「ほら、これ飲みなさい」
ポカリスエットのペットボトルに丁寧にストローまでつけて渡してくれた
「んっ、ゴク・・・」
「一気に飲もうとしないでゆっくりの見なさい飲みなさいよ」
「・・・」
乾いた喉にポカリスエットがよく沁みこんだ
あっという間に500mlのポカリが無くなる
ママは待ってましたとばかりに2本目のポカリをあたしに渡す
- 423. 名無し募集中。。。 2009/08/27(木) 18:34:44.13 0
- 「あんた多分、脱水症状も起こしかけてるから沢山飲みなさい」
優しい顔であたしの髪をクシャって撫でながらママが言う。
あたしは今度はママが優しすぎて涙が溢れた。
「あらあら、どこか痛い?ほら顔上げて冷えピタも貼るから」
「少し、頭痛い・・・」
「さっきよりはマシになったかしらベッドまで移動できる?」
「うん」
肩に掴まりなさいってママの肩を借りて
あたしは倒れるようにベッドに身体を沈めた
「ご飯運んできてあげるから今日は大人しくしてなさいね」
少しだけ痛みは和らいだ
ママ、ありがとう
今は何も考えないで寝よう
ママに心配かけちゃいけない・・・
最終更新:2009年08月28日 00:18