11. 名無し募集中。。。 2009/09/07(月) 19:24:55.15 0
いつもの公園で、うちは誰かを待っていた。
お母さんに帰ってきなさいって怒られても、暗くなっても、うちは帰ろうとしなかった。
やっと届くようになった鉄棒にぶら下がったり、ブランコに乗ったりしながら、ずっとその子を待ち続けた。
だけど、結局その子は来なかった。

何日待っても、その子は来なかった。

+++++

ある日、いつものように梨沙子の家にお邪魔してた時のこと。
部屋で梨沙子の小さい頃のアルバムを見ていた。

(・・・やばっ、めっちゃ可愛い)

小さい頃の梨沙子は天使みたいに可愛かった。
もちろん今も可愛いけど、この頃は茶髪で、ちっちゃくって、お世辞じゃなく本当に可愛かった。
思わず頬が緩んでしまうほど。どうしよう、可愛すぎ。

「・・・。あれ?」
「ん?どうかした?」
「・・・ううん、なんでもない」

一瞬、この写真の女の子を知ってる気がした。
・・・って当たり前か、梨沙子だもんね。
そう言い聞かせてアルバムをめくっていくと、ふと見たことある公園が目に入った。
12. 名無し募集中。。。 2009/09/07(月) 19:26:24.32 0
「あれ?ここに写ってる公園って、あそこの公園?」
「そうそう。あたしちっちゃい頃、引っ越してくる前この辺に住んでたんだよ」
「あ、そうなんだあ」
「あの公園好きだったなあ。なんかね、いつも遊んでくれるお姉ちゃんがいてね?」
「うん」
「もう名前も顔も覚えてないし、その子がどこに住んでたかも知らないけど、すごい大好きだったのだけ覚えてる」
「・・・そうなんだ」

その時なぜか、公園のブランコやシーソーで無邪気に遊ぶ梨沙子が目に浮かんだ。
写真の中でしか知らないはずなのに、どうしてだろう。
幼い梨沙子がうちに笑いかけてる。

「・・・そのお姉ちゃん、どうしたの?」
「それが、会えなくなっちゃったんだよね・・・あたし引っ越したから」
「・・・・・」
「『また明日会おうね』って約束したのに、会いにいけなかった」
「・・・」
「たまに、その時のことが夢に出てきて切なくなるんだよね」
13. 名無し募集中。。。 2009/09/07(月) 19:31:54.77 0
次の瞬間、『またあしたね』と笑う幼い梨沙子が頭に浮かんだ。

頭の中でモヤモヤしていた記憶が一本に繋がった瞬間だった。
写真の梨沙子と今の梨沙子、そして胸の奥に眠ってたあの時の女の子が、
綺麗に重なった。

―――あの子、梨沙子だったんだ

ああやっと出会えたんだ。

何年もの時を越えて、うちらはまた一緒になったんだ。

なんか猛烈に感動して、うちは梨沙子を思い切り抱きしめた。

「すごい!すごいようちら!」
「えっ、え?」
「うち、ずっと待ってたんだからね!」
「・・・・みや?」
「会いたかったよ。ずっと」
14. 名無し募集中。。。 2009/09/07(月) 19:35:00.42 0
なに!?どういうこと!?と困惑している梨沙子を無視して抱きしめ続ける。
焦らなくても、あとでゆっくり教えてあげるよ。
だってうちらはきっとずっと一緒にいれるから。

これってもう、離れられない運命だと思うから。

「?変なみや」
「変でも好きでしょ?うちのこと」
「うん。大好き」


ねえ梨沙子。どうしても伝えたいことがあるんだ。

夏焼雅は、世界で一番あなたが好きです。

こんなにも愛しい人に出会えたことを、うちは誇りに思います。

梨沙子はずっと、うちだけのたからもの。

うちだけの、dearest.
最終更新:2009年09月08日 00:44